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王義学園

「あ……おはよ、星乃君……」


朝8時頃という結構早い時間に来たのだが、雨翔先輩の方が先に待っていた。内心で驚きつつも、雨翔先輩に挨拶を返す


「おはようございます、行きますか王義学園に」


「そうだね……」









「王義学園は1区でしたっけ」


「うん……」


俺と雨翔先輩は駅の入り口にいた。この異能都市には14の区があり、清院学園は9区に存在している。そして、9区から1区に行くには電車に乗らなければいけない。とはいえ、1区は異能都市の中心にあるのでそこまで遠くはないのだが……


「電車、乗りますか」


「僕、二人分の切符買ってくるね……」


雨翔先輩がそう言って、駅の奥へと歩き出していく。俺もそれに着いていって、一つのポスターが目に止まった。『学生無料!!』と書いてあるポスターが。どうやら学生証があれば無料で移動出来るようだ


「雨翔先輩、学生証って使えないんですか?」


「え、そうなの……?」


雨翔先輩でも知らなかったのか……いやでも、そこまで家が学校から遠くないから実際使わないもんな……。とりあえず俺はそのポスターを指差して、雨翔先輩に伝える


「向こうのポスターに書いてありますよ。学生無料なんて待遇良いですね」


「本当だ……じゃあ切符買わなくてもいいんだね……」


「そうですね、早速行きますか」


そして、俺と雨翔先輩は駅の奥へと進んで行った








「ここが1区か……真ん中ってだけあって大都市だな」


特に何事もなく……いや、雨翔先輩が避けられるという事はあったが、とりあえず1区まで来れた。駅を出てからビルが立ち並んでいる。何処からどうみても大都市だ。


「そうだね……迷わないようにしなきゃ……」


1区は都市である為か、少し入り組んでいる。入り組んでいるというよりかは、住宅地より単純ではないと言った方が正しいかもしれないが。俺は雨翔先輩の言葉に頷いて、王義学園の方向を訊いた


「とりあえず、王義学園はあっちの方でしたっけ?」


「そうだね、行こっか……」


俺が東……駅を出てから右の方を指を差して、雨翔先輩がそれを肯定する。そのまま俺と雨翔先輩はそちらの方へ歩き出して王義学園に向かうのだった









「雨翔先輩って、王義学園でなんか知ってることとかあります?」


向かっている最中、雨翔先輩にそんなことを訊いた。俺が知っているのは精々、異能都市1位ゾンが在籍していること。それと、超がつくほどの実力主義ってことだけだ。


「ん……異能都市1位と、5位、7位、8位がいるね……」


雨翔先輩がそのように言った。結構豪華なメンツである。流石、清院学園に並ぶ高校と言われる訳だ。だが少し疑問に思ったことがある


「俺らの所は3位の黒崎、4位の雨翔先輩、6位の草薙、9位の水戸さんがいて……あれ?」


「2位と10位は載ってないね……ランキングに……」


「……なんでですか?」


他の学園に在籍している可能性もあるにはあるかもしれないが、その前にそれくらいの実力を持っていたらスカウトされそうなもんだが……


「僕も詳しくことは知らないけど……でも2位は岩瀬瑠美って人だよ……」


「岩瀬……瑠美」


少し記憶を遡ってみるが、やはり聞いたことのない名前だ。正直10位以内の人の名前は関わってない人以外全員覚えていないが。……覚えた方がいいだろうか。


「まぁ、そこら辺の話はまた今度するから……」


雨翔先輩が少しだけ俯いていた。……今はあまり深く訊かないほうが良さそうだ。


「分かりました。そういえば、急に俺たちが来て困ったりしませんかね」


俺は話題を変えた。よくよく考えたら王義学園にアポを取っていない。なので心配になって雨翔先輩に訊いたのだが……返ってきた答えは意外なものだった


「そこら辺は僕がどうにかするよ……一応知り合いの先生もいるし……」


「知り合いの先生がいるんですか!?」


初耳である。驚いてしまったが雨翔先輩は気にしていないようで、続けて俺に言った。


「うん……。だけど、もし何かあったら……僕がどうにかするよ……」


「どうにかって……無理はしないでくださいよ」


俺は少し心配してしまう。いくら俺を手伝いたいからと言っても、無理はしてほしくない。そう思って言ったのだが、雨翔先輩は笑顔で俺に言う


「星乃君は優しいね……けど、僕は君に協力したいんだ……初めての友達だし……」


「……ありがとうございます」


……感謝することしか出来ないのだが、俺は雨翔先輩に何かしてあげることが出来ているのだろうか。というか、なんで俺はこんな感情を持って……


「お礼なんて大丈夫だよ……それと、着いたね……」


「……ここが、王義学園か」


東に進んだ先には、学園というよりかは最早大学のような……そんな大きな建物があった。立ち止まって眺めていると、誰か近づいてくる気配がした。敵意はないが……


「う、雨翔さん!何しに来たんですか!?」


眼鏡に白衣を着た、いかにも医者……それか研究者のような見た目をしている黒髪の若い男が、こちらに近づきながら雨翔先輩に対して訊いた


「西谷君……ゾンと会いたくて……」


西谷と言うらしい。……誰がどのように見ても慌てている、というか怯えている……。雨翔先輩の前に立ったらそうならざるを得ないのは分かるが……。大丈夫だろうか?


「ゾンと……!?いや、居ませんよここには!?」


え?居ないの?


俺がそう思ったように、雨翔先輩も知らなかったようで困惑している


「あれ……この学園に在籍してるんじゃ……」


「あーそうですね、ちょっととりあえずこっち来てください!」


ここでは話せないのか、西谷という男はそう言って、着いてくるように促す


「待って、もう一人いるんだけど……」


それを雨翔先輩が一旦止めた


「え?そちらの方がどうか……?」


西谷さんはどうやら俺のことを知らないらしい。まぁ当たり前だが、キョトンとしている。それに対して雨翔先輩は説明をする。


「厳密に言えば僕じゃなくて、彼が会いたいんだ……」


「……ちょっと待ってください」


西谷さんは俺に近づいて、眼鏡を外して俺の顔をジッと覗く。そして、訊いたのか呟いたのか分からないが、確かに言った。「君……何者?」と


それに対して答えた方がいいと思った俺は、自己紹介をする


「星乃龍弥です。最近清院学園に転校してきました」


それを聞いた西谷さんは困った顔をして、頭を掻きながら少し考えている。が、それは数秒で終わって、俺たちに対して言った。


「んあ〜……まぁ、分かった。二人ともとりあえず着いてきて」


そして、俺と雨翔先輩は王義学園の中へ一歩ずつ進み出すのだった

どうも皆さん、わがまくです

読んで頂きありがとうございます

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異能都市小ネタ10

西谷は見た目通り科学の教師

……清院学園の京宮は数学の教師である

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