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紗耶編 任務完了

「あ〜……まぁ、良くやったゾン」


アッシュは椅子に座り少し複雑な顔をしながら、家に帰ってきて目の前で正座しているゾンを労った。なんで複雑な顔をしているか……それは星乃紗耶ことスタードが、腹に一発銃弾を受けて帰ってきたことにある


「半殺しにはしないんですか」


スタードを危険な目に遭わせたと自覚しているゾンは師匠である目の前の彼女に向かってそう言った。しかし、アッシュは苦笑をしながら言葉を返す


「いや、イフュート相手だし……逆にそれだけで済んだのが良かったよ」


「……そうですか」


ゾンは納得がいかない様子ではあるが、アッシュはそれを紛らすように話を変えた


「でもやっぱり一人一人で行動するのは違うな、時間は前よりかは短縮されたが……」


今回の作戦についての話だった。分担して行動するのは少し違うかもしれないとアッシュは考えているようだ。ゾンもそれに頷いて、自分の意見を出す


「……二人行動でスタードが子ども達を守って、俺が敵に集中するの方がいいかもしれないですね」


その意見にアッシュも同意して、欠伸しながら上に向かって腕を伸ばす軽いストレッチをした


「ふぁ〜……だな、とりあえず今はモンブランの報告を待とう。多分4区になるだろうが……」


「師匠もスタードの強さ、分かりましたか」


ゾンがそのように訊いた。イフュートという女はAクラスに分類される、能力とは別の指標である〈危険度〉の指標の最高クラスだ。その相手に対してスタードは善戦しただから、スタードは認めて貰えたのだろうかとゾンはアッシュに訊いたのだ


「疑っていたが確かに本物の実力者だったな。だが……なんであの施設に一人で囚われたのか……少し疑問でもあるがな」


アッシュはスタードの実力を肯定するが、キメラの研究施設にいたことに対して何か引っ掛かるようだ。ゾンもそれに反応する


「確かに、スタードが囚われていた所にAクラスはいませんでしたね」


「……少し私は調べてみることにするよ」


やはり気になったのか、アッシュは調べることにしたようだ。


そして、ゾンはその件とは違うことを質問する。スタードの兄についてのことだ


「分かりました。スタードの兄の件は……」


「モンブランによると異能都市には確実にいるらしい。だが、異能都市の住民のデータベースをハッキングするまであと10日かかるようだ」


スタード自体、兄の本名を忘れているらしいのだが……分かっているのは名字だけだというのに、モンブランはどうやって分かったんだ??と、ゾンは驚きながら疑問を抱える。それが思わず口に出てしまうほどに


「……早くないですか??」


「それは私も思った。まぁモンブランは当たり前だと思っているんだろうが……」


アッシュもまるっきり同意のようで、モンブランの天才振りに圧倒されている


「とりあえず、スタードが作戦に参加するのはあと一回ってことでいいんですね」


ゾンはそのように訊いた。顔には出さないが寂しい気持ちはあるようだ。アッシュはそれに気づいているけれど口に出さないで、ゾンの質問に対して少し付け足しながら答える


「そういうことだ。私も一応近くに待機するよ。4区だし」


4区だし、と付け加えたのは4区がそれほど危険な場所であるからだ。もはや無法地帯とまで言える。しかしゾンはアッシュが現場に向かうというのを聞いて、素の表情を出してしまう


「無理はしないでくださいよ」


「分かってるからそんな顔するな……さて、スタードとモンブランの所にいくか」


「……そうですね」


そのようにゾンが同意して、アッシュとゾンはスタードが現在入院している病院へ向かう為立ち上がって歩き始めるのだった
















「ここは……」


私は目を開けて、起き上がる。ベッドの上……また知らない部屋……いや病室だろうか?


「病院ですよ、スタードさん」


「モンブラン君……」


モンブラン君がベッドのすぐ横の椅子に座って、私にそう伝えた。モンブラン君の言う通り、ここは病院のようだ


そういえば……お腹を撃たれたはず。そのことを思い出して、腹を触ってみると


「……あれ、治ってる」


そう呟いたことに対して、モンブラン君が答える


「僕ら行きつけの、優秀な病院なんで」


優秀なだけで撃たれた身体が治るのは少しおかしい気もするけれど……流石は異能都市といった所だろうか。とりあえず、気になったことをモンブラン君に訊くことにする


「そうなんだ……ここまで連れてきてくれたの?」


「ゾン兄ちゃんとアッシュお姉ちゃんがですね。僕はお見舞いです」


モンブラン君は笑顔で答えてくれた。それに対して感謝を伝える


「ありがとう……ございます」


「いえいえ、それと敬語じゃなくてもいいですよ。僕歳下なので」


随分と大人びている印象なのだが……本当に10歳なのだろうか。とりあえず、敬語じゃなくてもいいと言ってくれたことに対しても感謝を伝える


「……ありがとう」


「どういたしまして。あ、そうそう途中経過だけ報告したくてですね」


モンブラン君が話題を切り替える。なんのことかすぐに思いつかなかった私は首を傾げてしまう。それに気づいたモンブラン君はすぐに説明を始めた


「紗耶さんのお兄さんの話です。結論から言うと、確実に異能都市にいますね」


「ほんと!?」


思わず大きな声が出てしまう。お兄ちゃんが……本当に異能都市にいるんだ……!……モンブラン君凄い……!


「ええ、本当ですよ。あと10日もあれば場所も突き止めれます」


モンブラン君がそう答えてくれる間に私はモンブラン君を抱きしめてしまっていた。勿論モンブラン君は困惑するが、そんなこと気にせずに私は抱きしめてしまっている


「って……ちょっ、ちょっと……「何してんだモンブラン」


アッシュさんが病室に入ってきた。……私達の様子を見て怪訝そうな顔をしている。すぐに私はモンブラン君から離れた


「こっ、これは違うって!断じて僕が何かした訳じゃ……!」


モンブラン君が必死に弁明しようとしている……だが、アッシュさんは聞く耳も貸さず、モンブラン君の身体をひょいと持ち上げる


「とりあえずこっち来い」


「アッシュお姉ちゃ、ちょ、スタードさん助け……」


アッシュさんに病室の外に連れ出されていくモンブラン君を、苦笑しながら見送った。そして、入れ替わりでゾンさんが病室の中に入って来て……私に訊く


「モンブラン……まぁ大丈夫か。スタード、身体の調子は良さそうか?」


「はい、大丈夫です!」


私は元気良く笑顔で答えたのを見て、ゾンさんは頷きながら言った


「なら良かった、早速帰るか」


「はい!」


そう言ってゾンさんと二人で病室から出て、家に帰ろうと歩き始めるのだった

どうも皆さん、わがまくです

読んでいただきありがとうございます!

良ければ感想、評価、ブックマークをいただけると嬉しいです


異能都市小ネタ8

イフュートの能力はBランクだが、Bランクよりも強いせいで危険度がAクラスに跳ね上がっている

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