学園襲撃①
ホームルームの始まりを告げるチャイムが鳴る
だけど俺はその時は教室にいる訳ではなく……屋上にいた
雨翔先輩と一緒にイヤホンを分けながら音楽を聴いている
「チャイム……鳴ったけど……」
きっと、教室に行かなくていいのかという意味で訊いたのだろう
そんな心配の言葉に俺は
「まぁ、少しサボるくらいいいですよ」
とだけ返した
事件が起こったのはその瞬間だった
突然、耳を塞ぎたくなるような轟音が鳴る
「うわっ……!?」
「何が起こって……!」
狼狽えながらも俺と雨翔先輩は立ち上がって、轟音が鳴った場所を見る
そこではなんと、校舎の一部が瓦礫の山になっていた
「……マジかよ……」
俺は唖然としていた
そんな中辺りを見渡していた雨翔先輩が俺に告げる
「星乃君……学園が囲まれてる……」
それを聞いた俺は学園の辺りを見渡すと、黒服を身に纏った武装している集団が取り囲んでいた
……数はおよそ100人以上
そのまま続けて状況を確認していると、学園の非常口などから蹴破って、黒服の集団が学園に押し入るのが見えた
「雨翔先輩、とりあえず屋上で待機しててください」
少なくともあれは『敵』だろう
学園が危険に晒されるなら倒さなくてはいけない
決して学園に愛着があるという訳ではないが……
「ぼ、僕もついてく……!」
「屋上から何があったか見ててほしいんです、お願いします」
雨翔先輩はそれを聞くと、もう何も言わなかった
それを確認した俺は屋上の出入り口の扉を開けて、学園内がどうなっているか確認する為に走り出すのだった
「伏せろ!」
ホームルームの途中で京宮先生がそう叫ぶ
みんなが訳も分からずに机の下に入ると、強烈な爆発音が鳴った
教室の中がパニックになる
いや……学園中がパニックになっている
「みんな、静かに」
京宮先生がそう言うと、教室の中は静かになった
そして京宮先生は俺に指を指して……
「今多分襲撃されてる。だから一年生は君に任せたぞ。草薙」
それだけ言うと、京宮先生は窓から飛び降りた
……ここは4階なのだが
でも、今はそんなことを気にしている場合じゃない
京宮先生に任せられたのだから、それに応えなくてはいけない
俺は少し考え、教室の中のみんなに伝える
「みんな聞いてくれ、能力練習場に行くぞ。あそこなら安全だ」
能力練習場は校舎内からしか入ることは出来ないし、衝撃にも強いから俺はそのように提案した
まず教室の外に俺が一番最初に出て、廊下を確認する
「今のところは大丈夫だ、早く移動しよう」
それを聞いたみんなは俺を先頭にして小走りで能力練習場に向かう
他の一年生のクラスも自分達のクラスについてくる
……少しザワザワしていて騒がしいが、襲撃者にバレずにいけるだろうか
能力練習場は3階の渡り廊下をつたって行くことが出来る
一年生のフロアは4階、一回だけ階段を降りなければいけない
階段まで辿り着いて3階まで降りる
そして廊下を歩いて行くのだが……
「残念だったな小僧共」
……黒服に身を包んだ、黒子のような男が道を塞ぐようにして立っていた
「みんな4階まで下がれ!こいつは俺が相手する」
その男を視認した瞬間、俺はそのように叫んでいた
黒服の男はそれを止めることもなく、逃げる一年生達を無視して俺の顔をまじまじと見つめる
顔を隠しているから俺の顔を見ているかは厳密には分からないが……
「金髪……そしてその顔立ち……小僧、異能都市6位だな」
その言葉に俺は肯定をして……そして怒りを露わにして言い放つ
「……ああ、俺が草薙渡だ。おとといきやがれドブカスが」
「ふ〜……後は一年生だけかしら……3年は委員長達がなんとか移動させてくれたっぽいし……」
私こと黒崎佳奈は誰も居ない教室の中で呟いた
誰も居ないは少し間違っていたかもしれない
……死にかけの武装集団が5人程倒れているから
急に爆発音が鳴ったと思ったら教室に知らない人達が侵入してきたのだ
2年生のフロアである2階にはどうやら15人程度しか襲撃者がいなかったらしく、殲滅するのは簡単だった
全員半殺しにして、みんなを〈深淵〉を使って能力練習場の方へ避難させた
今度は一年生を助けに行こうと考えて、教室から出ようとするが
「ここに居たんだ、異能都市3位」
少女の声がした
いつの間にか開いている窓のふちに座っていたその少女は、まさに日本人の女の子で、人形のような可愛げがあった
なんでこんな所に少女が……
それに私のことを知っている……?
そう思ったのも束の間
「どーん」
「!?」
少女からその言葉が発せられた瞬間、身体が重くなりそれに対して驚く
全く思い通りに動かせないくらい重くなったのだ
そんな私とは逆に、その少女はフワフワと羽根のように窓のふちから降りた
「ふふっ、楽しもーね?」
少女はニヤニヤと笑いながら私に向かってそのように言った
この少女はただの少女ではない
……この少女は倒さなければいけない相手だ
そう考えた私は少女に向かって笑顔で言い放った
「上等じゃない……全身全霊であなたを倒すわ」
「京宮だ!撃て!!」
校舎から飛び降りて駐車場まで走っていると、学園を囲んでいたであろう20人程の集団が持っている銃の発射口がこちらに向く
そして一斉に射撃された
放たれた弾丸を能力を使って軽く避けながら、超スピードで近づいて一人ずつ触れていく
触れられた者は全て動きを止め、後ろにいる自分に気づかずに首を捻られて殺される
そのままゆっくり続けて一人ずつ殺していく
すると……目の前に少し小太りの男が歩きながら現れる
「おいおい、あんたがSランク能力者の京宮新一か?」
という質問を自分にしてくる
「そうだけど……誰だい君は」
「それには応えられねぇな〜……」
こっちは質問に答えたんだが……
自分は深くため息を吐いた
その様子を見て何も思わなかったのだろうか
あろうことかそいつは自分に命令してきた
「残念だが、貴様は生け捕りにしろと言われている。大人しくこっちに来てもらおうかっ!」
「うおっ……!?」
腹が殴られた感覚がして、驚いてしまう
小太りな男を見るが、何もしていないように見える
中々どうして……面白い能力じゃないか
さっきまで銃を撃っていた連中とは一味くらいは違うらしい
「くっくっく、分からないだろう……これが俺の異能だ。改めて言おう、大人しくこっちに来い」
再度男は悦に浸りながら自分に命令する
それに対して“俺”は圧を出しながら言ってやった
「……道端に捨てられたタバコ並のカスが……その程度で俺に勝てると思ったら大間違いだってこと思い知らせてやるよ」
どうも皆さん、わがまくです
読んで頂きありがとうございます
異能都市の小ネタ2
星乃は一人暮らしをしていて、家事も全部自分でしている家庭的男子
得意料理は肉じゃがらしい
それでは皆さん、また会いましょう




