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『殺し合おうや』

「星乃君の……知り合い……?」


赤マフラーの男が「久しぶり」と声をかけたので、それを疑問に思ったのだろう

雨翔先輩は赤マフラーの男を訝しみながら俺に訊いた

……それに答えるのは今はかなり難しいが……

とりあえずは、こいつをどうにかしなくてはいけない

そう考えながら俺はカウンター席から立ち上がって赤マフラーの男に近づく


「なんや、殺気は出しとんのに……すぐかかって来んのか?」


赤マフラーの男は……いや

『甲斐直人』

この男の名前は甲斐直人だ

そして甲斐が、呆れたような、残念そうな顔をしながらそう言った

……殺気が出ていることにも気付かれた

いや、あからさまだっただろうから気付かれるのも当たり前だが

場の雰囲気はかなり異常だ

そんな中、鬼頭さんが口を開く


「荒事なら外でやってくれないか」


低く、重い声だった

場の異常な雰囲気に更に重い圧がかかる

そんな雰囲気にもものともせず、甲斐は軽い口調で言う


「あれ、重喜もワイのこと忘れとるん?」


なんだと……?

鬼頭さんが……甲斐直人の知り合いなのか?

それを聞いた鬼頭さんはハッとして呟く


「まさか……蒼……」


それを聞き逃さなかった甲斐直人は、待ってたかのように明るい声で言う


「正解や。まぁ今は甲斐直人やけど」


蒼……甲斐の名前……?

いや、今はそんなことを気にしている暇はない

俺は甲斐の目の前まで歩き終わる

……全く隙がない

今は甲斐を殴るより先に、質問したいことがある

答えてくれるかは分からないが、俺は甲斐に向かって声を震わせながら訊く


「お前……紗耶を何処にやった」


それを聞いた甲斐はポカンと口を開けてまるで覚えていないかのような振りをする

だがすぐに思い出したようで「あ〜!」と言って、俺に告げる


「お前の妹やろ?別嬪さんの。羽鳥が持ってったから知らんで」


と……あたかもどうでも良いような感じで

そして、羽鳥という言葉に雨翔先輩が反応する


「羽鳥って……あなたはもしかして……羽鳥真也の関係者……?」


雨翔先輩もカウンター席から立ち上がって、甲斐に対して警戒を強めた

そして、雨翔先輩が訊いたことに対して甲斐は答える


「ん?そうやで?……あ〜……君はあれか、失敗作の子やっけ?」


雨翔先輩が絶句する

失敗作……羽鳥真也の研究の……?

そんなことを考えていると、甲斐は俺らを見渡して、少しため息を吐いてから言う


「『怪物』鬼頭に、最凶の異能都市4位、それと……カミサマに選ばれた者……か」


カミサマに選ばれた者……だと?

俺のことを言っているんだろうが何を言っているのか分からない

そう考えていると甲斐が言葉を続ける


「とりあえず今回は異常体質のサンプルがほしいんや。だから鬼頭には申し訳ないけど……」


そう言いながら甲斐は俺たちの目の前から消える

気配も……全く感じなくなる

そして俺の真後ろから声が聞こえる


「荒事起こさせてもらうで?」


冷や汗が出る

俺は身体を瞬時に屈ませる

何かが来る気がしたからだ

そして甲斐の拳はギリギリで空を切った

当たっていたら……確実に気絶までもっていかれていた


「お、やるやん」


甲斐は攻撃を屈んで避けた俺の首根っこを後ろから掴み、出入り口の扉に向かって投げる


「がっ……!?」


出入り口の扉は木製のドア、投げられた勢いでそれを思い切りぶち壊しながら俺は外に出る

なんとかギリギリで受け身をとって、立ち上がりながら店の中にいるであろう甲斐を視認しようとする


「もうこっちおるで」


声が聞こえた方へ振り向くと蹴りが飛んでくる

速すぎる……!!

反応しきれずに俺はそのまま甲斐の蹴りを顔面に受ける


「……っあ……!!」


痛みで思わず呻き声が出る

……意識が、朦朧としてしまう

素の身体能力でバケモンみたいな強さをしていやがる……

どうすれば勝てるんだこいつに……

どう……すれば……


「星乃君……!」


いつの間にか店に出ていた雨翔先輩が倒れる俺の身体を抱きしめて支える

そして、雨翔先輩が甲斐を睨みつける


「邪魔や、失敗作」


甲斐は雨翔先輩の睨みつけなど、脅威にもなんとも思っていないようで、そんな言葉を放つ

そして甲斐が雨翔先輩ごと俺を蹴り飛ばそうとした瞬間


「困るんだよ……俺の娘と、娘に初めて出来た友達に手を出されちゃあな……蒼!!」


一人称が私から俺に変わった鬼頭さんがそう言って、素手で甲斐の蹴りを受け止める

そして鬼頭さんはそのまま甲斐の足を掴み10mほど投げ飛ばした

……いやマジかよ成人男性を10m投げ飛ばすって……

しかし甲斐は吹っ飛ばされた勢いを巧く使い、身体を半回転させて綺麗に着地した

甲斐はニヤリと笑い


「やっぱ、こんなかでは君が一番強いなぁ」


と言いながら歩いて近づいてくる

その内に鬼頭さんは俺らに逃げろと促してくれた

雨翔先輩は俺に肩を貸して、鬼頭さんの言う通りに逃げようとする


「大丈夫なんですか……鬼頭さんは……」


喫茶店の前から少し離れた時に俺が雨翔先輩にそう訊くと、答えが返ってきた


「うん……僕のお父さんは……伝説の傭兵だから……」


伝説の……傭兵

その言葉が意味するものを知ることになるのは……かなり後のことだった……




















「逃して良かったのか?捕えなくちゃいけないんだろ?」


俺は、ニヤニヤ笑いながら近づいてくる蒼……現在は甲斐直人らしいが、目の前にいるそいつにそう問う

こいつは先程、異常体質のサンプルがほしいと言った

……心には、異常体質がある

人のオーラが見えるという異常体質が

相手が何を考えているのか、大体分かるのだ

だからこそ、最初蒼が店に入ってきた時に警戒していた

それを逃して良かったのだろうか

こいつなら……すぐにでも俺を倒して心を連れ去るくらい出来そうなものなのだが……


「星乃は別に捕まえんでもええ。面倒やし面白くないからな」


星乃……星乃だと?

星乃も、異常体質を持っているというのか?

一体何が……


「そんなことより、面白いことしようや」


俺と蒼が瞬時に攻撃が出来る間合いで蒼は立ち止まり……

一拍置いて更に告げる


「殺し合おうや、『怪物』鬼頭」

どうも皆さん、わがまくです

読んで頂きありがとうございます

甲斐直人かいなおとあおいと二つ名前が出てきましたが、どちらも同じ人物に対して使用してます

それでは、また会いましょう

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