屋上の戦い:決着
「なんで……なんでお前がここにいる!」
僕こと、レースはそう叫ぶ
目の前の『最強』に対して
この学園を破壊しろと、上に伝えられて来たものはいいけれど……
学園に侵入させていた分身も誰一人殺せずに何も出来なかっただと?
そして一番の予想外が目の前の男
本気を出したら世界を壊すことだって出来るSランク
それも……日本で一番最初の……
勝てる訳がない
なので、僕は一つの決断をした
「あっ、おい!」
京宮新一が僕を止めようとする
だが、それは出来ない
逃げてしまえばいいのだ。一刻も早く
だから自分の能力を使用しながら空を飛んで屋上の柵を越える
流石の京宮新一でも、空を飛ぶことは出来まい
「しょうがないな〜……。まぁ、ここの屋上だと色々壊しかねないから空で決着をつけるとしよう」
……その時点で嫌な予感がした
それを感じた束の間、瞬きの間に京宮新一は目の前にいて……
相手の右手でこちらの首元を思いっきり掴まれる
自分の能力から足を踏み外して、そのまま落ちていく
真下はこの学園の校庭……逃げきれない……!?
その瞬間、変な感覚がした
時間が延ばされているのような……
いや……掴まれた瞬間から、何秒経っている?
そのまますぐ落ちるモノだと思っていたのだが、数十秒も空中に……
自分は、「お前何をした!」と言おうとした
しかし、口が思い通りに動かない
僕は一体、何をされている!?
何の能力の効果を受けているんだ!?
マズい、早くこちらも能力を使わなければ……
そう思って、分身と意識を入れ替えようとするが
……使えない……!?
能力すらも思い通りに使えない
というか……何かを考えることも……難しく……
校庭で何かが落ちたような、大きな音がした
俺は、教室の窓から校庭の方を覗く
どうやら同じクラスの人も、他のクラスの人も全員気になったようで、みんなで校庭を覗いていた
校庭には京宮と、先ほどまで屋上にいた赤い髪の少年がいて
京宮は立っているが、赤髪の少年は仰向けになって倒れていた
きっと戦闘した後なんだろうと誰もが思ったはずだ
同じクラスの人も、他のクラスの人もそれを理解して、みんなで「おおお!!」と歓声を上げて拍手をする
まぁ、負ける訳がないだろうな、とそんなことを考えながら俺は窓から校庭を覗くのをやめた
しかし、みんなはまだ見ていて、そして何故か悲鳴があがった
また気になって校庭を見ると、倒れていた赤髪の少年が綺麗さっぱり消えてしまっていた
血を、一欠片も残さずに
京宮自身も驚いていると、遠目から見て分かるほどには驚いていた
一体……何が……
そう思っていると、校庭にいる京宮が窓から覗いている俺たちに対して言う
「とりあえず、僕が調べておくから!さっさと授業に戻れよー!!」
はっきりと聞こえた
みんな素直に窓から覗くのを辞めて、授業に戻る
……ただ、俺は窓際の席だったので、そのまま横目に京宮の様子を見ていると……
京宮が消えた
それも、瞬きの間に
速すぎるだろ……と、思ったが、まぁ京宮だからそりゃそうかと思って俺もちゃんと授業に戻るのだった
放課後になった
今日は途中で授業が終わってみんな帰宅になるかと思ってたんだが……
そんなことはなかったようだ
襲撃者が現れても平常通りに授業をするこの学園頭おかしくないか?
いや……京宮がいるなら平気とか考えてそうだな
まぁそこら辺は教師達にしか分からないんだろうが
そんなことを思いながら教室の扉に手をかけて廊下へ歩き出そうとすると
「おい、星乃!」
教室全体に響く大きな声で草薙に呼び止められる
そして教室内の視線が、自然と俺に集まる
ちょっと面倒臭いなと思いながら、俺は草薙に訊く
「何か用か?」
廊下から教室に戻って、草薙に近づきながら単純な一言で質問する
というか朝、赤髪の少年に腹を刺されたばっかりなんだから安静にしておけよ
と、そんな心配も虚しく草薙は俺の質問に答える
「俺と手合わせしてくれよ、いつでも挑戦を受けるんだろ?」
いやバカか、何で怪我人と戦わなくちゃいけないんだよ
そうツッコミをしようとも考えたが、「いつでも挑戦を受ける」という言葉を覆すのも何か癪だ
どうしたものか……
……とりあえずは怪我の様子を訊くことが先決か
そう考えて、俺は草薙に言葉を放つ
「お前、怪我してるだろ。そんな奴と戦ってもつまらな……」
「治ってるぞ?」
……即答された
治ってるのかよ、いやこの学園の医療技術どうなってるんだよ
……いや、確か決闘も……決闘が終わった後はどちらも傷一つなく回復される
俺がその効果を受けることはないが
そんなことを考えたのだが、とりあえずは手合わせをする
ということでいいだろう
「分かったよ、じゃあ行くか」
そして俺と草薙は教室を出て能力練習場へと向かうのだった
どうも皆さん、わがまくです
読んで頂きありがとうございます
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