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スリーピングビューティー “剣術に全てを捧げたこの俺のスキルが魔法使いだと??”  作者: 鰺屋華袋


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ep27. 正義は強者の理屈……⑤

「フフンッ……甘いねレオン君」


 処置なし……とでも言いたげに肩をすくめるレオン。


 このクナイから得られる情報は今のG.O.Dにとって革命的なものになる可能性があるのだが……彼はこの手の調査には興味を示さない事が常だ。


 他プレイヤーのステータスやスキルを無断で調べる様な行為は、一般的に見ればとても褒められた事ではないが……キャラに忠実なプレイスタイルを標榜している彼は依頼人の正邪理非に頓着しない。


 それは、現実世界で犯罪者寸前まで追い詰められていた彼にとって“正義とは強者の理屈”という考えが身に染みているからだろうね。


「彼の事はこの国に入った時から注目していたんだ。なんと言っても久々に現れた“チュートリアルスキッパー”だからね」


「ボスが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()事は知ってますがね……“チュートリアルスキッパー”ってのはそんなに違うもんなんですかい?」


 渋面で疑問を呈するレオン。彼の返答は“そんな理由で爆弾貴婦人を彼にぶつけたのか?”と揶揄している様にも聞こえる。


 とはいえ、()()()()β()()()()()上位勢の……現実世界で()()の少ない者達にとっては当たり前のことなのだが。


 いい機会だから、彼にはほんの少しだけ()()の目的を教えようか。


「勿論だよ。僕と仲間達が資産を蓄積し組織を運営しているのも……彼の様な“人間の規格を踏み越えた存在”を探す為と言っていいくらいだよ」


△△△△△△△△△△


 『……お疲れ様でした。お帰りなさい』


 ログアウトを告げるアナウンスが終わると同時に……逸る気持ちを抑えてベッドから跳ね起きた俺は頭を覆うアリス・ドアをむしり取った。


 アリス・ドアを飛び降りたベッドに放り投げ、まっすぐ妹の部屋へ直行……ドア越しに声を掛ける。


「凛! 入るぞ!」


 返事を待たずに部屋に入る。警報の危険度は中だった。まだそこまで危急の状態では無いはずだが……


「……静かにせんかい」


 凛のベッドの傍らに控えた爺ちゃんが……アイスバッグを替えながら俺をたしなめた。


「爺ちゃん! 凛は?」


「センサーを見るに……各種のバイタルがかなり不安定じゃ。ちと遅いが片桐君に連絡した。すぐに来てくれるそうじゃ」


 俺はベッドに横たわる凛の様子を確かめる。ひどく辛そうではあるが……それでも重篤な状態では無さそうなのでその点だけは安心した。だが……


「片桐さんが?」


 妹の主治医が往診に来る事に疑問が浮かぶ。


 片桐さんは道場(うち)の師範代の一人で本業は医師だ。専門は人の免疫機構で()()()()()()のスペシャリストでもある。


「片桐さんがこんな時間に来るなんて……」


(見た目以上に状態は良くないのか?)


 爺ちゃんは俺を見て小さく首を振る。俺は”それ以上何も言うな”と言う意味だと悟り口を噤んだ。爺ちゃんは凛がこちらを見ていない事を確認し……


「とにかく……今は片桐君が来るのを待つ。幸い凛も今は少し落ち着きを取り戻しておる。静かに寝かせてやろう」


 そう言った爺ちゃんは俺を促して凛の部屋を出た。


▽▽▽▽▽▽▽▽


「………」


 私は無言のまま深夜の国道を藤堂家へ向かっていた……救急車ではなく個人所有の車を使って。


 藤堂最高師範から緊急の連絡をもらった時……私は病院ではなく、少し離れた場所にある研究室で『パナケイア・システム』による〔免疫系疾患への対処を確立するためのプログラム〕をシュミレートしている最中だったからだ。


 『パナケイア・システム』とは、G.O.Dが世に発表されると同時に、F.O.Lの子会社である医療法人が全世界に向けて発表した特殊な先進医療技術の名称だ。


 その技術は、特殊なナノマシンによって構築された医療用マイクロマシンを体内に投与し、そのマイクロマシンの活動によって“体内で”外科的処置を行う事を主目的とする。


 この医療技術の最大の利点は……血液を媒介にする(マシンを注射する)ことで、切開する事なく体内の疾患に外科的アプローチが可能な事だ。


 それまでも内視鏡手術をはじめとする低侵襲・高難易度部位へのアプローチを目的とする手術ロボットは、数多くの研究者が携わる先進分野だった。だが……


 パナケイア・システムはその文字通り神の加護と見間違うかの様な実績を示した。


 その効果は病巣を除去するスピードだけを比べれば外科的アプローチに一歩劣るが……それ以外は完全にそれまでの外科的医療技術を置き去りにした。


 それはそうだろう……大げさに言えば『定期的にマイクロマシンを注射で投与すればガンが治る』のだ。


 しかも、ステージが進みリンパからの転移が進んでも、血液を媒介にして全身をスクリーニングする事で治療が可能なのだ。それは……まさに一部の不治の病を患う者にとって福音だった。


 だが、この技術が発表された時は、あくまでも基幹技術が開発された事実の公表のみにとどまり、F.O.L社によって新たな医療技術が世界中の医療関係者へリーチするのはもう少し先の事となる……


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