水面から垂れた天使の輪
氷が溶けて水面が揺れ
たった一滴が輪を作る
コップを持ち上げれば
天使の輪が浮かび上がって
私を天空へ連れて行きそうに
私はこのまま水を飲み
どうにか地上に留まって
天使の輪をじっと見つめる
私のことを見ているようで
何処かそっぽを向いている
そんな私が何人も居るのだ
水を飲むだけで現世に戻り
しかし輪はいつまでも残る
現世に残り続ける天使は消えない
形を崩さない一滴は
簡単に拭ってしまえば良い
天使を無下に扱えないまま
朝には忘れて消えたまま残っているのに