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その67 特務隊の極秘行動

『デルゲオ島にあるであろう秘伝火術の魔法陣と黒曜石を破壊する』。

魔族のフィズン侵攻を未然に防ぐ方法がそれしかないと考えた漣次郎は、フィズン騎士団どころか宰相ビスロにすら秘密にして、特務隊の皆と協力してその作戦の準備を始めることに…。

 冬季後節のとある日。

 漣次郎は今日、王都の魔法院まで来ていた。




「申し訳ありませんジーンさん、急にこんな風にやって来て」

「いえいえ、この国を魔族から守る為に必要なのでしょう?それならば協力は惜しみませんよ。それに宰相ビスロ様からの書状も来ていますから、ここに入る為の“鍵番の同行”と“王族の許可”を満たしています」

 漣次郎は今、王都魔法院の幹部“鍵番”の1人…ジーン・パルサレジアと共に、魔法院最奥部の地下回廊に来ていた。ちなみに彼はここに以前、まだフェリアの姿だった頃に1回だけ来ていた。

 今回の目的は…2つある。

「現在特務隊はフィズン騎士団と共に、魔族によるフィズンへの大規模襲撃に備えています。だけど僕、自慢じゃないですけど魔法以外はサッパリなんですよね…」

「だからせめて、ご自分の持つ適性で使える魔法を可能な限り習得しようと」

「そういう事です」

 漣次郎の持つ魔法適性は火術と白術、そして木術だ。彼がフェリアだった時に持っていた魔法も含めると…現状この3属性で習得していないのは超級火術と超級木術だ。失伝している超級火術は習得不能なので、今日の彼の目的の1つは超級木術だった。


 冬の流星群の日まで、もう時間が無い。

 漣次郎としても、できる限りの備えをしたかった。






 漣次郎とジーンは、2人で暗く静かな回廊を進む。


「そういえば、ミューノは元気ですか?」

 最奥の地下室を前にして、ジーンが急にそう告げる。

 漣次郎としても…ずっと気になっていたことでもあったので聞いてみる。

「ミューノはこの前怪我をしちゃいましたけど、だいたい治りましたよ。今は僕と一緒に特務隊として魔族と戦うつもりでいてくれます。あと、やっぱり貴女もパルサレジア孤児院の…?」

「その通り。まあミューノと私は歳が離れているから、あの娘が入った頃に私はもう魔法院で仕事をしていましたけどね。私の知るミューノは、水害で家族を亡くした直後の頃だけです」

 そう言うとジーンはちょっとだけ悲しそうに、最奥の扉にそっと触れる。

「すべてを失ったあの娘が望んで自分の道を進む…本来は喜ばしい事なんでしょうが、危険な道と思うと心配ですね」

 ジーンの懸念…漣次郎は当然想定している。

 ミューノだけでは無い。ココロンもテルルも、漣次郎の作戦に巻き込んでしまった特務隊の皆の無事だけは、彼にとっての最優先事項だった。

「ミューノにあまり無理はさせたくないです。だからこそ、僕がより多くの魔法を習得して戦力になりたいんです」

 漣次郎のその言葉を聞き、ジーンは安心したように微笑んだ。

「…それは頼もしいですね。宜しく頼みましたよ」


 そう言いながら、彼女は最奥の扉を開く。











 魔族がフィズン襲撃を行うらしい、冬の流星群の日。

 特務隊の面々は“デルゲオ島潜入”への備えを、密かにだが着々と進めている。あまり時間が無いこの現状…それぞれが分担して行動していた。




「いやー、君達もなかなか大胆な事を考えるじゃないか。でも俺としては、君達にあまり無理をして欲しくないけどねぇ」

「いえいえ、ご協力頂けるというだけで有難いです。レンさんが頼れる騎士って貴方達の小隊だけなので…」

 ここはフィズン騎士団基地の一角。

 ルゥイ小隊が使っている兵舎の部屋に、ミューノがやって来ていた。

 建屋が独立している女性兵舎と異なり、男性の兵舎は中隊毎に大きく分けられている。その中でも貴族出身のルゥイ小隊は特別に小隊単位で大きめの区画を使っており、それがミューノにとっても都合が良かったのだ。

 部外者を断絶できているこの場所。ビスロすらも知らない“特務隊の密命”…その相談事をする相手にはルゥイが打ってつけだった。


 ルゥイ小隊が使っている兵舎の談話室…そこにはミューノとルゥイとワールの3人だけ。ミューノが語った特務隊の計画を聞き、ワールは驚きを通り越して呆れている。

「島にカチコミって正気かよ。その上向こうで秘伝術を発動して、魔族の持つ黒曜石を吹っ飛ばす…とても現実的とは思えねーが」

「でしょうね、わたしだってレンさんがそう言いだしたときは反対しましたよ。だけど…特務隊には色々と隠し玉もありましてね、一応可能な見立てなんですよ」

「信じらんねーな…だが、レンならやりかねねーけど」

「そうだね、俺も同意見だよ。彼はやっぱり特別な男だ」

 現実味の無さそうな計画をさも当然のように語るミューノに、ルゥイもワールも半信半疑ではあるが…彼等にも漣次郎に対する妙な信頼感があるようだ。

 そしてルゥイは珍しく真剣な眼差しで、ミューノに本題を尋ねた。


「で、俺達にやって欲しい事って何かな?」


「それはですね…」

 ミューノ自身としては、まだちょっとの迷いがあった。

 初めてパルサレジアに黙って行動している現状。

 作戦自体の危険性と難易度。

 そして…ココロンを危険にさらす可能性も。

 それでも、ミューノはこの作戦を完遂する覚悟だった。

「わたし達の作戦には魔法媒体がある程度の量必要になります。だけど今回の特務隊の行動はレンさんの独断…あまり特務隊自体は目立ちたくないんですよね。なので、ルゥイ小隊の皆さんにフィズン基地の魔法媒体を集めて欲しいんです。種類については別途連絡しますので」











 その日の昼、特務隊は兵舎にまた集合していた。


 漣次郎は王都魔法院に行って超級術の習得。

 ミューノはルゥイ小隊への協力要請。

 どっちも昼頃には戻れる見立てだった事もあり、昼食に合わせてそれらの状況を一旦整理しようという事にしていたのだ。




「レンさんのお願い、ルゥイさんは快諾してくれましたよ。ついでに、フィズン基地はこの国を魔族から守る最前線という事で魔法媒体も多種で大量みたいですね。まあ流石に黒曜石は無いみたいですけど、今回は関係無いですよね」

 先に報告したのはミューノ。

 最初の懸念と言える“魔法媒体の確保”について動いてくれていたミューノだが、どうやらそちらは順調らしかった。

「ルゥイさんは“頼ってくれて嬉しい”って言っていましたよ。どうもあの人貴族って事もあって、基地内で結構自由が利くみたいですから」

「マジかぁ、有難いね。でも貴族だからってよくそんな…」

 ルゥイの素性を知ってはいるものの、あまりに順調で漣次郎はだいぶ驚いている。しかしココロンは腕を組んで、何故かしたり顔をしている。

「貴族って言っても、あの人は由緒正しいモードン家の人ですからねー!“魔の侵攻”後期の“王都奪還戦”で大きな功績を挙げたモードン将軍の末裔という事もあって、あの家は結構特別みたいですよ!」

「く、詳しいねココロン…」

「えっへん!三英傑関連は任せて下さい!」

 ココロンの妙な自慢話が挟まったものの、漣次郎もこれだけは分かった。

「じゃあ“デルゲオ島の魔法陣破壊作戦”は、どの属性の秘伝術でも可能という事か。まあまだ色々懸念はあるけど、これだけは確定だね」

 デルゲオ島に描かれているだろう秘伝火術の魔法陣…特務隊の策はそれを別の秘伝術で破壊するものなのだが、物資の方は何とかなりそうだった。






 そして今度は、漣次郎の報告。

「僕も一応、超級木術を習得してきたよ。魔法の名前は『エレメンタル・シールド』で、魔法や異能を防げる防壁を張るものなんだって。正直気休め程度みたいだから当てにはできないけど、まあ一つの武器にはなるかもね」

 漣次郎が王都魔法院で習得してきた超級木術だが、それは正直あまり強力なものでは無かったのだ。とはいえ元々超級術は特殊な効果のものが多かったので、これは彼も予想の範疇ではあった。

 しかし、ミューノはそれに微妙な表情だ。

「…わたし達相手ならいいですけど、基本的に超級術は秘匿されるものですからね?言いふらさないで下さいよ」

「大丈夫大丈夫。でも皆には言っとかないとね」

「まあ、それはそうですけどぉ…」

 危険を伴うデルゲオ島行きなので、特務隊としても情報を共有しなければというのは皆思っている事だった。未明の時間帯に全てを完遂するという計画なので、皆で力を合わせなければならないのだから。




 ちなみに漣次郎は王都魔法院でもう1つの用事も済ませてきた筈なのだが、それについて気になっているらしいココロンがそわそわしながら急かす。

「ねーねーレンさん、結局『スター・ウィスパー』の方はどうだったんですか?アレって占いとかできる魔法なんですよね?」

「ああ、超級白術ね…」

 漣次郎のもう1つの用事…それは超級白術『スター・ウィスパー』の効果について詳細を再確認してくることだった。未来視さえもできるというこの魔法なら、この作戦をより確実に実行できるのではないかという期待があったのだ。

 しかし…その結果は思わしくなかった。

「超級白術は曖昧な未来視ができる魔法なんだけど、その視えた“結果”に対して積極的に干渉しようとしている程上手くいかないんだってさ」


 以前漣次郎がこの魔法を使ったのは1回だけ。

 それは、夏の流星群の日の直前だ。

 あの時まだフェリアだった漣次郎は…元々安心する為に使ったに過ぎず、また視えた結果に安心して何も行動を起こさなかった。故に結果として、視えた通りの未来が実現してしまったのだが。

 しかし今回…漣次郎は既に、視ようとする結果に対して積極的に行動しようとしているのだ。こういう場合だと、正確な未来は視えないと鍵番のジーンは語っていた。


 それを聞いたミューノは頭を抱える…。

「それは困りましたね…向こうの状況も分からないと拙いです。向こうに魔法陣が描かれている前提で話を進めていますけど、それすら読み違いだったら大変ですからね?」

 しかし、漣次郎はそれに軽く答えた。

「いや、それは大丈夫。もう描かれているし、黒曜石も置かれている」

「えぇっ!?レンさんなんで分かるんです!?」

「それだけはもう視えたから。たぶんもう動く事の無い未来だからだろうね…」

 実は漣次郎、もう既に超級白術を試していた。

 そして…場所は不明だったが、デルゲオ島の荒れた大地に描かれた大きな魔法陣を視ることに成功していたのだった。






 漣次郎とミューノが今日の行動について報告を終えた時。

 黙って聞いていたテルルが、嬉しそうに漣次郎にじゃれついた。

「ねーレン、聞いて」

「ん、どしたのテルル」

「えへへ」

 妙に嬉しそうなテルルは、自慢げに胸を反らして見せる。


「テルルね、けっこう強いかも」


 彼女の言葉は微妙に要領を得ず、そこをココロンが補足する。

「えっとねレンさん、今日テルちゃんを連れて練兵場に行ってみたんですよ。テルちゃん魔族だから力が強いとかあるのかなーって」

「それで、まさか…」

「そのまさかです。テルちゃん反射神経も腕力も凄くてですね、白術も合わさると男性騎士を圧倒しちゃってましたよ!」

「マジかぁー…」

 漣次郎も内心、魔族であるテルルの力が強いのではないかと思っていた。拾った当時と比べて体も心もすっかり成長したテルルは、どうやらかなりの戦力になりそうだ。

 これは漣次郎にとっても、嬉しい誤算だった。

「これは僕の予想だけど…魔族がフィズンへの侵攻を考えている以上、戦力は可能な限りそちらに回す筈。それにシュレンディア側からデルゲオ島に攻め入る手段は少ないから、魔王はきっと魔法陣の防衛に戦力を割かないと思う」

「まあ、有り得そうですね」

「でも最低限、フェリアは待ち構えていると思うよ。あいつは僕が“何か”をしでかすのを待っているようにも思ったんだ。だからこそ、こっちの戦力もやっぱり強いに越した事は無い」

「まあ英雄とまで呼ばれたフェリアさんは強いですからねー、あたしはその強さを良く知っていますよ!」

 ただでさえ難しい作戦、手札が多いに越した事は無かった。


「レン、テルルも役に立つからね」

「もちろん、頼りにしているよ」

 テルルが漣次郎の手をそっと握る。

 初めて出会った時よりずっと大きくなっているその手に、漣次郎は頼もしさを感じ取っていた。











 現状これで、漣次郎の望む状況は整いつつある。


 必要となる魔法媒体も目途が立っていた。

 島の状況も、超級白術で概ね把握できている。

 そして…特務隊の皆で島へ渡航する手段も、テルルと漣次郎の異能を合わせれば不可能では無い筈。

 あとは、使う秘伝術を決めるのみだった。




 しかし…この中で秘伝術の詳細を知るのは漣次郎のみだった。非常に危険な力を持つあれらは機密とされており、漣次郎以外の面々はまだ記録でしか秘伝術について知らないのだ。

 なので漣次郎は、まずそれを皆と共有することにする。

「僕、秘伝術の詳細は一通り聞いてきたけど…そもそも候補になる秘伝術は白術・黒術・木術のどれかだね。だって特務隊のみんなの適正の事もあるからさ」

 特務隊のメンバーの魔法適性。

 漣次郎は白術・木術・火術。

 テルルは白術。

 ココロンは土術。

 ミューノは黒術。

 しかしココロンの土術は錬度が低いらしく、中級土術までしか使えないという。そして当然秘伝火術は選択肢に入らない…となると選択肢になるのが残りの3種類だった。

「魔法院で実験の結果を聞いてきたんだけど…秘伝術の中で遠距離攻撃ができるのは白術と黒術と水術で、その中でも秘伝水術『オーシャン・レイジ』は津波を起こす海岸限定の術なんだ」

「ふむふむ…」

「秘伝白術『ゲイル・バースト』は、エーテルで覆った圧縮空気を発射して着弾点で爆発させる魔法。秘伝黒術『エーテル・ブラスター』は、エーテルそのものを収集して照射する魔法。どちらも作戦実行には問題無いね」

「そうですか、やっぱ凄いんですねー」

「あと秘伝土術と秘伝木術は魔法陣の周囲に影響を及ぼすもので、もしデルゲオ島の魔法陣を壊すならかなり近付かないと駄目っぽいね。こっちはあまり使いたくないなぁ」

「…成程、大体わかりました」

 そこまで黙って聞いていたミューノは、まとめて簡潔に告げた。


「じゃあ本命は秘伝白術『ゲイル・バースト』ですね。遠距離攻撃できるなら無暗に近付かずに済みますし、レンさんとテルルちゃんの2人が適性を持っています」


 ミューノの考えを聞いたココロンは、不思議そうに首を傾げる。

「え?ミューも黒術が使えるから、秘伝黒術じゃ駄目なのー?」

 ココロンのその問いも自然ではあったが、ミューノはわざとらしく肩を竦めて見せる。

「魔法陣の所で待ち受けているであろうフェリアさんとその仲間…正直に言って、それと対峙する戦力として一番厳しいのはレンさんでしょ。秘伝術の発動役はレンさんが最適だとわたしは思う」

「そっかぁ、確かにレンさんは別に武器の扱い上手くないしねー」

(そりゃ確かに事実だけど、なんかヘコむな…)

 漣次郎は密かに、自分の不甲斐無さに頭を痛めていた。




 だが、これで突入した際の大まかな立ち回りが決まった。

 秘伝火術の魔法陣の位置について、超級白術で予め目星を付けておく。そして夜中に『アストラル』と『スターダスト』で島に渡り、夜目の利くテルルを飛行させて実際の位置を掴む。

 もしフェリアが待ち受けていたら、その時はミューノとココロンとテルルで応戦し、漣次郎を守る。

 そうして漣次郎がテルルの2回目の『スターダスト』に合わせ、予め布か何かに描いておいた秘伝白術を発動し、そして秘伝火術の魔法陣を破壊するのだ。











「悪いなレンジロウ、秘伝白術の開示は許可できない事になった」


 しかしその矢先、あるトラブルが発生してしまった。

 “フィズン防衛戦で秘伝白術を使いたい”という方便でビスロに頼んであった漣次郎だが、それに対するビスロの回答が芳しくなかったのだ。


 執務室の椅子に座するビスロの表情も、流石に申し訳なさそうだ。

 しかしこれは計画が根本から変わってしまう予定外だったので、漣次郎も何とかしようと食い下がる。

「な、なんで駄目なんですか?秘伝白術は遠距離攻撃が出来るから、海上から攻めてくる魔族相手には有効だと思うんですけど!?」

「いや…魔法院の実験結果から分かったのだが、今フィズン基地にある金剛石の備蓄では有効な射程と威力が出せないらしい。それに予め魔法陣をフィズン街中に用意しておいても、魔族の秘伝火術で破壊される恐れがあるからな」

「…」

 ビスロの懸念は正しい。

 魔族の使う秘伝火術が高空からの攻撃だった場合、津波を起こす秘伝水術ではそれを直接防げない。故に王政は既にフィズン郊外に避難区画を設営しており、流星群の日にフィズンの住民をそこに移す予定だった。




 しかし、漣次郎はビスロの言葉に“裏”を感じ取っていた。

「ビスロ様、まさかとは思いますが…」

「どうしたレンジロウ」


「秘伝白術が魔族のテルルに渡る可能性がある…それが拙いと?」


 漣次郎の問いに、ビスロは答えない。

 しかし、その沈黙が実質的な答えだった。

(たぶんビスロ様じゃなくて、王政の誰かが嫌がったんだ。“白術適性を持つ魔族に、秘伝白術を見せてはならない”…どうせそんな所だろう。くそ、テルルはもうシュレンディアの為に戦う覚悟だってのに)

 漣次郎はこの状況に、歯痒い思いを隠せなかった。






 ビスロの呼び出しに応じて王都に行っていた漣次郎は、異能で急ぎフィズン基地に戻ってきた。この予定外について、皆と話し合う必要があったからだ。

 異能『アストラル』で自室に戻った漣次郎は、一階に降りて皆の姿を探す。

「おーい、誰か居る?ちょっと大変なんだ!」

 しかし…。


「レンおかえりー。ミューお姉ちゃんとココお姉ちゃんは出かけているよ」


 兵舎に居たのはテルル1人だけだった。

 ミューノとココロンの姿は、今ここに無い。

「…どこに行ったか分かる?」

「鍛錬だって。できるだけ鍛えておきたいって言ってたよ」

「そっかぁ…」

 漣次郎は頭を抱える。

 予定と大きく異なるこの状況を皆で急ぎ話し合いたいのに、かみ合わない状態がとてももどかしかった。

(ビスロ様は言っていた…“他の秘伝術なら開示可能”って。こうなったらミューノに秘伝黒術を使ってもらうしかないのか?ルゥイ達に協力を頼むって手もあるけど、流石にあっちの小隊の魔法適性まで知らないぞ?)


 冬の流星群の日は、もうそう遠くない。

 しかし作戦だって大きく変更できない。

 漣次郎はこの状況を考え直し…ある“別の結末”に思い至る。


いつも見て下さる方々に感謝を。

やはり最初の構想通りにはいかないものですね。

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