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その66 異世界人の抱く野望

テルルに打ち明け、目指す先を定めた漣次郎。

彼は特務隊の仲間にそれとなく頼み込み、自分の計画の下調べを始動する…。

「あれ、テルルどうしたの?こんな時にこんな所まで来てさ」

「レンと来たんだ。テルルがラージェ様に会いたくてお願いしたの」




 特務隊がフィズン基地に着任して3日目。

 漣次郎とテルルは何故か、朧の箱庭を訪れていた。


 ラージェは今、長老であるフローデンの家で何やら書き物をしていた。戦衣関連でヅェニワラが謝礼として貰った本がここに集まっており、ラージェはそれの何冊かを読み込みながら、硬い木炭で紙に線を引く。

「ラージェ様、これは何してるの?」

「シュレンディアで使われている農具とかの簡単な図面を引いているんだ。この前ヅェニワラさんがそういう本を貰ったは良いけど、箱庭の皆には難解だって言うからアタシが読み解いてるのさ」

「ふーん」

「アタシも箱庭の一員にしてもらったんだ、ちゃんと働かないとね」

 そう言いながら机に向かうラージェは、忙しそうに見えてどこか楽しげだ。シュレンディアでの諜報活動から解放された彼女は、初めて自分自身がやりたいことをやっているようだった。

 静かな箱庭…窓の外は、寒いが風もない長閑な天気だ。


 ラージェとテルルを見守る長老フローデンは、火鉢で暖を取りながら穏やかにその様子を眺めている。

「いやー有難い。ここには学のある者が居らんからのう、折角頂いた本を役に立てる術が無かったところじゃ」

「こんなことでよければ、アタシはいくらでもやりますよ」

「かつて箱庭の古老達が崇めていた、伝説の雷将ユゥランジェ…魔王トワナグロゥ様の兄のような方で、死の砂漠を越えてくる以前から魔王様を支え続けた腹心だという。そんな方の御息女にこのような仕事をさせて、むしろ申し訳ないですじゃ」

「アタシはそういうんじゃないので、もう雑用でも何でもやらせて下さい。まだ建築の本とかもありますから、今度は穀倉や水車も作ってみましょうよ」

 生き生きとしたラージェは声にも張りがあり、歳相応の元気さがある。ようやく自分の居場所を手に入れた彼女は、ここでの生活を本当に楽しんでいるようだった。




 不意にラージェが手を止め、快晴の屋外に目を向ける。

「…それでテルル、漣次郎はどこに居るの?」

 しかしそのラージェの問いに、テルルがふるふると頭を横に振る。

「レンなら一回帰ったよ。お昼頃になったらまた迎えに来るって」

「アタシが言うのもなんだけど、忙しいんだね」

「ホントそうなの。そのせいでレン、あんまりテルルに構ってくれなくて…」

「というかテルルはこんなところに来てて良いのかい?一応君も特務隊の隊員になったんでしょ?」

「それなんだけどね…」

 ラージェの逆質問に、テルルは困ったような笑顔だ。

 そしてテルルは、ラージェの耳元で声を潜める。


「ラージェ様に聞きたいことがあって…」


 テルルのその一言を聞き、ラージェは呆れたような溜息だ。

「…漣次郎が、アタシに聞けって?」

「わふー…」

「図星かい」

「むー」

 ただ一言で見抜かれたテルルは、流石にばつが悪そうだ。

 勘のいいラージェの方も最初から予感があったのか、この展開にさほど驚いた様子は無い。

「テルルを使って話を聞きだそうとは、漣次郎も小賢しい事を。2人はもうデルゲオ島まで行っちゃってる訳だし、別にそんな事しなくてもアタシは正直に話すのにね」

「それでもレン“テルルの方が確実だ”って」

「そりゃあ…確かに君になら大体何でも話すけどさ」

 机に肘を置いて頬杖をつくラージェは、半眼で口を尖らせる。

「…で、漣次郎はアタシから何を聞き出そうと?」

「それがね…」

 確かに漣次郎から頼まれごとをされているテルルたが、その真意までは聞いていなかった。なのでテルル自身も微妙な表情だ。


「レンはね、超級火術の事を詳しく知りたいんだって」











「あれー?レンさん、テルちゃんはどこですかー?」


 昼前のフィズン基地、特務隊の兵舎。

 冬だというのに軽装のココロンがどこかから兵舎へと帰ってきて、談話室で考え事をしていた漣次郎にそう尋ねた。今ここにはミューノもテルルも居らず、ココロンが帰ってくるまではずっと彼一人の静寂が続いていた。




 フィズン騎士団所属となった特務隊は現在、団長直属の部隊になっていた。

 騎士団は元々…数人単位の小隊と、それの集まりである中隊、あとは海上や陸上などの活動域で区分けされた大隊で構成されている。しかしそこに特務隊がいきなり組み込まれても逆に邪魔になりかねず…結果マシェフがそこを直接指揮することになったのだ。


 という事で、ココロンはさっきまで騎士団基地の練兵場で騎士に交じって鍛錬をしていたようだ。探索をメインにしていた特務隊で多少腕が鈍っていたのをココロンは気にしており、こうして自主的にしょっちゅうやっている。

「お帰りココロン、まだ早朝は寒いのに頑張るねぇ…」

「えへへ、やっぱり騎士は戦うのが本分なんで!あたし元々は迎撃戦で戦うために騎士になったようなもんですから、ここに戻れてホント嬉しいんです!」

「成程ねぇ…ちなみに今テルルは箱庭に居るよ。ラージェに会いに行ってる」

「ああ、箱庭ですか。テルちゃんってばラジィさんが大好きですからねー」

 だいぶ体を動かしてきたらしいココロンはいい汗をかいており、色々と発散してきたさわやかな笑顔だ。そうしてその汗を流す為に、兵舎備え付けの風呂場へと歩いて行く。

「ミューの戻りは昼過ぎでしたよねー?」

「そうだね。僕個人の希望で色々と調べて貰っちゃってるから…」

「ふーん、何を調べてるんでしょーね?」

 そうして去り際のココロンは、悪戯っぽい笑みで振り返る。


「レンさんも悩みが晴れたみたいですし…ミューが帰って来たら色々教えて下さいよ?あたしだって力になりますから!」


 漣次郎は、去って行くココロンの後姿を見てまだ少し迷っている。

(ココロン、それにミューノ…2人を巻き込んでいいのかな?でもそこは僕がフォローすればいいし、2人の力はきっと必要になる筈だよね)

 彼は今、騎士団にもビスロにも特務隊にも伏せて、ある事を企んでいる。

 テルルの説得もあって漣次郎は腹を決めており、異世界から来た自分にしかできない事を模索しているのだった。






「ただいま戻りました。みんな揃ってます?」


 漣次郎が兵舎に戻ってきた、少し後。

 とある用事を彼に頼まれていたミューノが兵舎に帰ってきた。彼女の帰りを出迎えたのは…風呂上がりのココロンと、既に箱庭から帰って来ていたテルルだった。

「あれれ?ミュー、思ったより早かったね!」

「ミューお姉ちゃんおかえり」

「あらテルルちゃん、もう帰って来てたんだ?わたしてっきり帰りは夕方頃になるかと…」

「もうレンに頼まれたことは済んだからね」

 騎士団が使う冬場用の上着を脱ぎ、ミューノはそれを手近な椅子に掛ける。そして彼女は部屋の中を見回す。

「で、レンさんは?」

 ミューノは、自分に頼みごとをして来た漣次郎の姿を探す。


 最近ずっと何かを悩んでいた漣次郎。

 ミューノもココロンも彼の悩みを聞き出せず…仕方なくテルルにそれを聞き出して貰うように頼んでいた。

 そして昨日…彼と一緒にレーヴェットへ出かけたテルルが、やっと漣次郎の悩みを聞き出せたようだ。何しろ今朝、彼は急にミューノに“頼みたいことがある”と言ってきたのだから。


 難しい表情のミューノをよそに、ココロンがテルルを抱き寄せてわしゃわしゃと荒く撫でる。

「ありがとねテルちゃん!それでレンさんは何を悩んでたの?」

「わふ…それはレンから話すって」

「あらー!?気になるなぁー!」

 魔族の侵攻が間近に迫るこんな状況なのに、心底楽しそうなココロン。ミューノだって、内心では何かが起こる予感があった。

(異世界人のレンさんは…騎士フェリアの策を暴き、この国の謎を見つけたり、何か持ってるものがあるよね。そんなあの人が何かをしようとしてる…わたしもちょっと楽しみかも)

 漣次郎に特別な何かを感じているミューノとしても、彼のやろうとしている事に内心期待をしているのだった。











 そして昼過ぎの特務隊兵舎。

 漣次郎は、特務隊の皆に談話室へと集まって貰っていた。

 皆が漣次郎の言葉を待っており、ここには緊張した空気が漂っている。




「今僕は、魔族のフィズン侵攻を未然に防げる方法を考えているんだ」


 漣次郎は意を決し、そう切り出す。

 しかし意外な事に…予め漣次郎の考えを聞いていたテルルはともかく、ミューノとココロンは何故かその言葉にさほど驚いていない。

「…ほー、そっちですか」

「あれ、驚かないの!?」

「まあミューはその辺まで予想してましたよ!」

「う、マジかぁ…」

 かなり覚悟を決めて話したつもりの漣次郎は、“予想の範疇”というミューノ達の思わぬ反応に困惑する。正直“反発覚悟”だった彼は、ミューノとココロンに反対されてテルルと2人で強硬…という道も頭の片隅にあった。

 そのミューノはというと、澄ました顔で口角を上げている。

「デルゲオ島に行ってからレンさん変でしたから。おおかた“魔族迎撃の秘策”か、もしくは“デルゲオ島への強襲”を考えているのかなー…って」

「うーん、まあそんな感じかな」

 自分自身で抱え込んでいた自覚があった漣次郎としては、思ったより考えを見透かしてきたミューノに面食らう。


 そして漣次郎は、話の本筋に進んでいく。






「魔族が、滅びる…?」


 漣次郎は、デルゲオ島での出来事を2人に語った。

 デルゲオ島が何も無い不毛の土地だった事。

 魔王がもう老い先短いらしいという事。

 そして魔族が、シュレンディア側からの攻撃を恐れている事を。


 あの日漣次郎が見てフェリアが語った全てを、包み隠さず話し切った。

 一通り話が終わった後、流石にミューノとココロンは何とも言えない表情だ。2人もこの内容は予想外だったらしく、言葉を詰まらせている。

「え、じゃあ何ですか?魔王がやってるスレイヴによるフィズン襲撃って、どちらかというとシュレンディアへの牽制なんですか!?」

「フェリアはそう言っていた。そうしないと逆にフィズンからデルゲオ島を攻撃されかねないから…ってさ」

「古い記録にも“デルゲオ島は不毛の地”とあったらしいですけど、どうやらわたし達の想像以上みたいですね」

「魔族も大変なんですねー…」

 漣次郎の話を聞き、ココロンは僅かながら魔族に感情移入しているようだ。しかし…ミューノはあくまで厳しい眼だ。そして彼女は、フィズンで戦う者の1人として冷徹な言葉を放つ。


「魔族にも事情があるでしょうね。しかし我々としても、黙ってフィズンを奪われるわけにはいきません。たとえ戦いの根本がアルヴァナによる悪事だったとしても、多くの人間が“魔の侵攻”の犠牲になったんですから…もし魔族が滅ぶとしたら、それは長い歴史の積み重ねの結果です」


 ミューノの言葉はもっともだ。

 しかし、それでも漣次郎は考えを押す。

「現状魔族側からシュレンディアを攻撃できる手段は、魔王の異能と秘伝火術くらいのものだよ。その魔王はそう長くないらしくて、なら秘伝火術をどうにかすれば…ひとまずフィズンの危機は去るよ」

 そして漣次郎は深呼吸し…ついに口に出す。

「僕は…異能でデルゲオ島に乗り込んで、秘伝火術の魔法陣と黒曜石を破壊しようと考えているんだ」











 漣次郎の作戦に、特務隊の皆が黙り込んだ。

 4人の間に、緊張した空気が流れる。

 しかし、漣次郎は話を進める。




「今の僕は、秘伝術の魔法陣を手に入れられる立場に居る。そして一度デルゲオ島に行っているから異能『アストラル』を使って飛ぶことも可能だ。そうして強襲をかけ、魔族に気付かれる前にデルゲオ島で秘伝術を発動しようと思っている」

 かなり突拍子もなく危険な漣次郎の作戦に…テルルはともかく、ミューノもココロンも言葉を失ったままだ。

 漣次郎は続ける。

「ミューノ、僕の頼んだ調査はどうだった?」

「え?あ、あの件ですか…」

 不意に話を振られたミューノは戸惑うが、それでも報告を始める。


「レンさんに頼まれた通り、このフィズン基地に備蓄されている魔法媒体の実態を調査してきました。結果から言うと…比較的安価な真珠・翡翠・琥珀に加えて、希少な金剛石や隕鉄まで備蓄があるようです。流石は魔族迎撃の最前線ですね」


 そこまで話を聞いて、黙って呆けていたココロンが飛び上がる。

「ん!?じゃあつまり何ですか、レンさんはこの基地の魔法媒体をこっそり持ち出して、デルゲオ島で秘伝術を発動させようと!?」

「ココうるさい、声は小さく…」

 目を白黒させるココロンをミューノが宥める。

 しかしココロンは興奮冷めやらず、小声ながらも捲し立てる。

「いやいやいやいや…だって、そもそも発動が大変な秘伝術をそんな一気に行けます!?それに魔族が魔法陣を用意しているかも分んないし、仮にもしそうなら魔法陣を守ってる魔族だって居るんじゃ!?」

「それらについては、一応考えがあるよ」

 漣次郎は落ち着いた様子で、口元に手を当てる。

 そうして彼は、もっと入り込んだ説明に移る。




「僕の予想だけどね、魔族はもう秘伝火術の魔法陣を用意していると思う」


 これは今までの情報から推測した事。

 シュレンディアの行った秘伝術発動実験により、あれらは予め地面などに描いておく必要があることが分かっている。それは恐らく魔族も同じで、元々荒野ばかりなあの島のどこかに、既に魔法陣が描かれている可能性は高いと思われる。

 それを聞いたミューノは神妙な表情で頷く。

「まあ…確かにシュレンディアからデルゲオ島を攻撃したことは今まで無いですし、レンさんみたいな特異な例を除けば、魔族側だって“島への人間の侵入”を警戒はしないでしょうけど」

「だから僕の予想では…もう魔族は島のどこかを整地して、そこに魔法陣を描き、黒曜石の配置も済ませていると思うよ。わざわざそれに守りも置かないんじゃないかな」

「なるほど…」

 まだ漣次郎は、どの秘伝術とまでは考えていない。

 しかし…黒曜石さえ何とかしてしまえば秘伝火術の脅威は今後一切無くなることになるので、漣次郎は何とかそこを叩きたかった。




 しかし…ミューノはまだ難しい顔だ。

「でもレンさん、この前デルゲオ島でフェリアさんに遭遇しているんですよね?貴方対策で守りを置かれている可能性があります。それに、こちらの秘伝術の発動をどうする気です?大きな魔法陣を島に渡ってから悠長に描く気ですか?」

 ミューノのこの指摘も…無論正しい。

 先日のデルゲオ行きで、漣次郎はフェリアと出会っている。つまり魔族に“異能でデルゲオ島に来れる人間が居る”事を知られてしまったのだ。そして秘伝術に関しても、まともに準備するのは一苦労だ。媒体と移動手段があるとはいえ、長時間掛けてあちらで魔法陣を描くのは現実的ではない。

 漣次郎も、これにはちょっと困った顔だ。

「あはは、今思うとあそこでフェリアに出くわしたのは良くなかったなぁ…。だけどまあこっちにも超級白術『スター・ウィスパー』とかあるからさ、予め簡単な下見くらいならできるかな」

「ちょっと心配ですねー…。それに、実際乗り込んだところでどうやって秘伝術を発動するんです?準備するだけの時間が稼げるとは思えませんけど」

 弱気な漣次郎を見て、ココロンも萎む。

 しかし…それについてだけなら当てがあった。

「でもテルルの異能があるから、秘伝術の発動については大丈夫かな?」

「え、テルちゃんの異能…!?」

 漣次郎の言葉に首を傾げるココロン。

(さすがにこれはもう隠せないよな…)

 漣次郎としても…この作戦を進める上で、もう隠すわけにはいかない。


 という事で、漣次郎は“他言無用”として…ミューノとココロンにもテルルの異能について話すことにした。






 漣次郎があらかた全て話し終わり、ミューノとココロンは黙り込んでいる。

「流星群を起こす異能…?途方もない力ですね。それなら確かに、予め秘伝術の魔法陣を大きな布にでも描いておけば、向こうでテルルちゃんの異能を使って発動もできそうですが」

「そうそう。向こうは当然テルルの異能を知らないから、僕の侵入をそこまで警戒し無い筈。『アストラル』じゃ2人くらいしか飛べないのはフェリアが一番知ってるし、その人数で秘伝術の魔法陣をどうこうするのは非現実的だからね」

 頭が痛そうなミューノは、それでも納得したように頷く。

「…まだ準備することは多そうですけど、一応可能そうですね。じゃあとりあえず、分かっている情報とやるべきことを纏めましょうか」

 そう言いながら筆記用具を準備するミューノだが…。


「待って、書いちゃダメだ」


 突然、それを漣次郎は阻止する。

 急な彼の態度に、ミューノとココロンは驚いて目を見開く。しかし…テルルだけは得意げに頷いている。

「…レンさん、何故止めるんですか?」

「それはね…」

 今日、漣次郎がテルルに頼んだ件。

 この作戦を進める前提として、どうしても確認せねばならないことが1つだけあったのだ。

「デルゲオ島にはシュレンディアで失われた超級火術も存在しているんだ。フェリアが異世界転生の策にも使ったその魔法は“遠視をする術”…もしかしたら魔族は、それでこちらの情報を視ているかもしれない」

 フェリアも使っていた超級火術『ディメンション・ホール』。

 デルゲオ島からでもこちらの事が分かってしまうかもしれない魔法…それについて知らないと迂闊に行動できない。という事で漣次郎は、テルルに頼んでその辺をラージェから聞き出して貰ったのだった。

「超級火術『ディメンション・ホール』は、術者が良く知る場所を遠視する魔法。そして遠視先が近い場所なら、さらに別の魔法や異能で干渉もできるらしいんだ。フェリアは流星群の日にそれを使い…異世界に居た僕の場所を遠視して、さらにラージェの異能で精神を入れ替えた」

「え、いやでもどうやってレンさんの世界を?術者が知る場所しか遠視出来ないんですよね?」

「それは占術の超級白術で何とかしたらしいよ。あいつらは流星群の日にコソコソ何かをしていたらしいから」

「ふーん、そーいう事ですか…」

「フェリアはこの兵舎の事を良く知っている筈。だから今この瞬間も、あいつに見られているかもしれないんだ。まああの術…音までは聞こえないらしいから、話す分には大丈夫だけどね」

 超級火術を警戒せずとも、そもそもフェリアは異能でシュレンディアのそこら中に来られる。故にこれから行う“準備”は、かなり気を付けながら行わねばならないのだ。


「冬の流星群の日は近い。急いで有用な秘伝術を絞って、魔法媒体を集めて、デルゲオ島へと乗り込もうと思う。準備することは多いから…皆にも協力をお願いしたいんだ」


いつも読んで下さる皆様に感謝を。

漣次郎とフェリアの旅もだいぶ終盤となってきました。

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