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その55 三英傑の七不思議

特務隊の秘伝術捜索は、暗礁に乗り上げていた。

大司教ナディルから直接的な情報は得られず、王都にも目ぼしい手掛かりは皆無…という事で漣次郎は謎多き聖地・銀嶺山に目を向け、そこの調査を提案するが…。

「銀嶺山を調査したい…と?」


 特務隊がパマヤへの遠征から帰還した翌朝、漣次郎は早速ビスロへある相談をしていた。しかしその内容は、簡単に受け入れられるようには漣次郎自身も思えなかったが。

「そうなんです。ナディル大司教の話では『聖者マルゲオスは“魔の侵攻”直後にデルメーで動いていた』みたいなので」

「それは私も知っているし、国民の多くも知っているだろう」

「しかし正直、それ以外に情報が無かったんです…」

 漣次郎は秘伝術の行方を、聖地・銀嶺山の山中と考えていた…というか、他に当てが無かったのだ。パマヤの大司教ナディルも本格調査に着手してくれてはいるが、焦る漣次郎は今何か動きたかった。

 彼はシュレンディア王国における未踏の地である銀嶺山に、何かしらの遺跡があるかと期待したのだ。



 しかし…ビスロの反応は渋かった。

「銀嶺山は、三英傑の1人である聖者マルゲオスが禁足地に定めた場所だ。聖者の末裔であるナディル大司教はおろか、王族である私ですら入るわけにはいかん。ラミ教の啓蒙な信者はとても多い…下手な事をすればワルハランの様に騒動が起きるぞ」

「そ、そこまでですか…」

「加えて、表向きは“デルメーの流星群事件”が解決しておらん。未だに王都から調査団が出向中なのだ、そんな中で“銀嶺山調査”など到底行えんな」

「難しいんですね…」

 とは言え、冬の“流星群の日”はそんなに遠くない。最悪を想定した場合、秘伝術無しで魔族の秘伝火術を防がねばならず…それは厳しいと思われる。

「…ラージェは明言しませんでしたが、デルゲオ島に秘伝火術の魔法陣があるのは確定だと僕は思っています。それがどんな物かは不明ですけど、超級以下の魔法で防げるものでは無いでしょう。最悪はテルルの異能を使って迎撃…というのもありますが」

「それはお前が嫌なのだろう?レンジロウ」

「ええ、テルルは前線になんて出させませんよ」

「それについてはお前達の意思を尊重しよう」

 執務室の椅子で漣次郎の報告を聞いていたビスロは、ゆっくりと立ち上がって政務へ向かう支度を始める。そうして彼は窓際に寄り、まだ日の出前の暗い王都を黙って眺める。

「時間が無いのは私も分かっている、何かしらの手を打とう。その間は王都のどこでも調査してくれ、私の親衛隊が話を通してある」

「ありがとうございます!ナディル大司教の方も調査をしてくれてはいるんですけど、まだまだ時間が掛かりそうとの事なので…」

「悪いが私は、フィズン防衛強化の為に王政を動かさねばならん。石頭の貴族共を言いくるめて、早急に備えねばな」

 そうしてビスロは、足早に執務室を後にする。


 暗い王都の朝、城壁に囲まれた町には初雪が静かに舞い落ちている。











「銀嶺山…わたしもそこが本命とは思っていますよ?」


 漣次郎達“特務隊”はナディル大司教の話を受けて、王都にある魔法院の奥へとやって来ていた。

  設立に聖者マルゲオスと英雄王イリューザが関わっているというここには古い文書も多く残されており、その中でも機密性の高いものについては“禁書房”という暗い地下室に納められていたのだ。


 特務隊の名で無理を通した漣次郎は、本来立入禁止であるここへと調査に来ていた。今回特にできる事も無さそうなテルルは、来てはいるものの端っこの椅子に座って暇そうにしている…。

 今は魔法院の“鍵番”に予め聖者関連の資料を選別して貰っており、それらに漣次郎・ミューノ・ココロンの3人で目を通していた。端から手に取る漣次郎を尻目に…ミューノが手早くそれらを速読している。

「聖地・銀嶺山…謎の多い場所ではありますが、なにしろ広大ですからね」

 禁書の中にも有力な情報が少ないこともあり…ミューノは難しい顔で本に視線を落としながらぼやいている。

「それでも下の方から見える遺跡とか何か無いのかなぁ?」

「レンさん、そもそも銀嶺山の山中なんて地図すら無いんですよ?挙句今は冬季…雪の積もる銀嶺山の調査には多大な危険が伴いますからね」

「むぅ…」

 先日パマヤの大司教ナディルから得た情報を考慮すると、最優先に調査すべきはやはり銀嶺山だろうと漣次郎は思っている。しかし冬季の高山は危険極まりなく、これについてはミューノの考えが正しい。

 漣次郎は内心、焦りを覚えている。

(ビスロ様も言っていたけど、そもそも銀嶺山調査を王政が許可しそうに無いんだよな…。フェリアの件を信じずに、特務隊を“宰相ビスロの強権”と言って批判する連中も居るみたいだし)

 国難と言っても良いこの状況だが、ワルハラン騒乱からの一連の流れを“権力強化を図るビスロによる策謀”などと考える輩が居るらしく、思った以上に国内の状況が難しいのだ。

(特務隊だけで勝手に調査に行っても良いけどさ…あんな広い山を数人で調査は無理だよね。それに下手に見つかれば非難轟々だろうし)

 上手く行かないこの状態…漣次郎は深く溜息を漏らす。




 そもそも本を読むのが苦手らしいココロンは、だらーっとしながら本の頁を捲っている。

「もー…いつもの年ならもうすぐ“黄金祭”なのにぃ…。まあ今年はそれどころじゃ無いですけどぉ」

「…黄金祭?」

 やや集中力が切れて来た漣次郎は、ココロンのその言葉に反応する。どこかで聞いたような気もするその言葉だが、漣次郎には覚えが無かった。

「何だっけそれ」

「え、黄金祭といえばシュレンディアの二大祝祭ですよ!?」

 読書に飽きていたらしいココロンが、急に眼を輝かせる。

「シュレンディアの5大都市にはそれぞれ年一の大きなお祭りがありますが…その中でもフィズンの“旭日祭”と王都の“黄金祭”は特別です。そしてその“黄金祭”は、王都中で行われる冬のすごいお祭りなんです!」

 そうしてココロンは座っていた机を力強く叩き…拳を握りしめて立ち上がる。


「“黄金祭”…元々は王都奪還戦の際に命を落とした、賢者を始めとする人々の死を悼む意味で始まったものとされています。日没と共に祭りが始まり、王都中に明りが灯されて夜通し町中が黄金に輝くんですよね。うちの実家もその時期になると忙しくて!」


 そこでふと、漣次郎は小さな疑問を抱く。

「…なんで祭の名前が“黄金”なんだろうね?」

 フィズンの祭が“旭日”なのは、“魔の侵攻”の勝利がシュレンディアの夜明けとも言われるのが由来だと思われる。しかし黄金という言葉にどういう意味があるのか見当が付かなかった。

 漣次郎の問いに、ココロンも首を傾げる。

「さあ?何ででしょーね。英雄王や三英傑にまつわる単語でも無いので、実はこれも三英傑の七不思議の1つと言われてますね」

 その時…黙っていたミューノが顔を上げる。

「…それだよ、ココ」

「え、何?」

「三英傑の七不思議」

 ミューノは読んでいた本を閉じ、ココロンを見つめる。

「三英傑にまつわる謎…その中に、何か手掛かりがあるかもしれない。ナディル様に聞いた話と併せれば、何か見えてくるものがあるかもしれません」


 どの道、今はあまり動ける状態では無い。

 ここは漣次郎も、ミューノの発案に沿う事にする。











「先に言っときますけど、“三英傑の七不思議”なんて噂話の集まりですからね?あくまで噂ですし、厳密に7個でもなければ語る人によって内容も違っちゃうので!」

 そう言ってココロンは、得意気に胸を張って語り出した。




「この七不思議で特に有名な2つは、それこそ二大祝祭に関するものですね。“黄金祭”は名前の由来も不明ですし、何故か日没から始まる習わしです。三英傑は太陽の化身であるラミ神の加護で戦ったというのに、夜中にやるのは変ですよねー?」

 三英傑について語れるのが嬉しくて仕方が無いらしいココロンは、やや早口で自慢げに話している。


「“旭日祭”についても…フィズン奪還の際に命を落としたアルヴァナの鎮魂と見せかけて、あれはフィズン騎士団創設の記念日なんですよね。英雄であるアルヴァナを差し置いてのお祭りなんて不思議ですよね」

(…これ、前に聞いた事あるかな?)

 漣次郎が“フェリア”だった時、たまにココロンが七不思議を語っていた事を彼は今更思いだしていた。


「あとはそうですね…有名な所だと“勇者の墓はどこか?”とか“王族だという賢者ロディエルの血縁が謎”とかですね。この七不思議、誰が語ってもここまでの4つは入るんですが、後の3つは本当にまちまちです」

 ココロンは芝居がかった変な語り口で喋っている。漣次郎はちょっと呆れ気味だが、ミューノは熱のこもった視線を送っている…。


「他にはえーっと、主流なものだと“聖者が銀嶺山に向かった道順が謎”ですかね?“魔の侵攻”の際にシュレンディア軍は魔族に押されてパマヤまで後退したのに、そこそこ遠い銀嶺山へどう向かったのかが完全に謎なんですよね」

 喋りたい事が沢山あるらしいココロンだが、有益と思われる情報を選んで小出しにしている。漣次郎はその情報と、ナディルやラージェから得た情報を合わせて考えている。






 ココロンの話を聞いていた漣次郎は、気になった点を洗い出す。

「旭日祭で知ったけど…そういえばシュレンディアでは賢者ロディエルって“王族だった”って伝わっていたね。ラージェは“魔王の息子”だって言ったけど」

 ミューノもそれに、神妙に頷く。

「もしそれが真実なら、賢者の出自は“秘匿された”と言うのが有り得ますね。魔族の血が流れていたとしたら、とても表沙汰にはできませんし」

 そう考え込みながらも、漣次郎はある事を言いだせずにいる…。

(まだ誰にも言えていない…『朧の箱庭』の事。あそこで得た情報も共有したいけど、これを言っていいのか悩むよな)

 テルルと行った銀嶺山の集落…あの場所の存在をまだ誰にも言えていない漣次郎。銀嶺山調査に彼等の助力が欲しかったものの、どう説明したらいいかもわからず…もう単騎で向かおうかとも考えていたのだった。


 しかしそんな漣次郎の心中を透かすかのように、ミューノがじっとりとした視線を漣次郎に送って来る。

「…何か思う所があるんですか?レンさん」

「え?いやそのね…」

 言い淀む漣次郎だが、ミューノは読んでいた本を閉じ、落ち着いた声色で告げる。

「まだ何か、言えないような秘密があるんですね?」

「うーん…」

 煮え切らない漣次郎だが、ミューノは立ち上がって漣次郎に詰め寄る。

「王政に言えない秘密であっても、わたし達には言って下さいよ。わたしもココも秘密は守りますから」

 ミューノの深緑の瞳は、とても真摯だ。

 漣次郎も考え…決断する。

(…確かにミューノの言う通りだよね。もう時間が無いんだ、慎重さは大事だけど迅速にも行かないとね)

 そして漣次郎は、ココロンとミューノに秘密を話すことにする。




「ぎ、銀嶺山に魔族…?」

 漣次郎は“朧の箱庭”の存在と、そこで見聞きした内容について2人に伝えた。ココロンはともかく、ミューノもこれには大きく驚いている。

「そんな、何故…」

「彼等に聞いた限りだと、“魔の侵攻”末期に住み着いたらしいよ?そしてそれを聖者マルゲオスも承知していた…」

 漣次郎はこれとココロンの話を併せ、ある結論を出す。


「僕が思うに…聖者マルゲオスって魔族と親密だったのかなって。それこそラージェが言っていたように“魔法陣を巡って魔族と人間が対立”するまでは普通に交流していたのかも。聖者が銀嶺山を聖地に指定したのも最初から魔族の保護が目当てで、ラミ神の啓示云々はまるっきり創作なんじゃない?」


 漣次郎の仮説に、ココロンは仰天する。

「じゃ、じゃあ七不思議の“聖者が銀嶺山に向かった道順が謎”ってのも…『そもそも“魔の侵攻”の最中に聖者は銀嶺山に行っていない』…って事!?」

「僕はそう考えているよ」

「つまりレンさんは…王政に“銀嶺山調査”の許可をもらった上で、その集落の魔族から情報を貰って、彼等と一緒に山中調査を行いたいんですね?」

「そうなるね」

 シュレンディアの知らない、聖者の情報。

 “朧の箱庭”になら、それが有り得ると漣次郎は考えていたのだ。











「おやレンジロウ、また来ていたんだ?」

「お久しぶりですヅェニワラさん、ちょっと用事がありまして…」

「こんにちはー」

「テルルちゃんも一緒かい?ふふふ、何かは知らないけどゆっくりしていくと良いわ」


 同日の昼下がり…漣次郎は特務隊の皆に伝えた上で、こっそり“朧の箱庭”を訪れていた。異能で移動した先はヅェニワラ宅の近所だったので、2人は居合わせたヅェニワラと世間話をしていた。

 ヅェニワラはテルルの肩に手を置き、満面の笑み。

「あれあれテルルちゃん、なんか前より大きくなったかしら?」

「そうかな?」

「背が伸びたというか、大人っぽくなったというか…」

「えへへ」

 以前ここに来たのはそんなに前でも無いが、ヅェニワラの言う通り確かにテルルは成長が著しい。なのに彼女は相変わらずお構いなしに漣次郎にじゃれて来るので、漣次郎としては内心小恥ずかしさもあった。

 …しかし漣次郎が今日会いに来たのは、箱庭の長老フローデンだ。

「僕は今日、長老に会いに来たんです」

「へー、どうしたのさ?」

「ちょっと聖者マルゲオスについて調べていまして」

「ふーん?まあそういうのなら長老が一番詳しいわねぇ。自分もヒマだから付いて行くよ」

 そう言ってヅェニワラは“折角だから”と言い、2人と一緒に長老宅まで付いて来てくれることになった。




「ないよ」

「えぇ…?」

「この間話した以上の事は伝わっていないよ」

「そんなぁ…」


 しかし…期待していた長老フローデンの回答は漣次郎の想像とだいぶ違っていた。聖者について漣次郎が改めて聞いたものの、この箱庭にはあまり詳しい話が伝わっていないようだ…。


 火鉢を抱えて暖を取っている長老フローデンは申し訳なさそうにしている。

「悪いのぉ、先代達は子孫にあまり多くを語らなかったのだ。“聖者の慈悲でここに居着くことが出来た”としか伝聞が無いのでな、その際のやり取りだとかなんかはさっぱりじゃ」

「この銀嶺山のどこかに聖者が何かを隠したとか、何か正体不明の遺跡があるとか…そういう話を知りませんか?」

 せめて何かを持って帰りたい漣次郎は食い下がるが、フローデンはゆっくりと首を横に振る。そして彼はちらりと、漣次郎の横に座っている狐獣人に目を向ける。

「さてねぇ…儂等も食料集め以外だとあまりこの集落を出んからのう。むしろ集落を無断で出て行くことがあるヅェニワラが一番詳しいかもなぁ」

「え、自分かい?うーん…」

 話を振られるとは思っていなかったらしいヅェニワラが素っ頓狂な声を出す。彼女は腕を組んで考え込むが、やはり唸るばかりだ。

「自分も勝手に山を歩き回っているけど、人の手が入っているような場所は知らないわね。まあ自分が知る範囲なんてそんなに広くは無いけど…このくそ広い山を探索するのはきっと骨が折れるわよー?」

「で、ですよね…」

 気を落とす漣次郎の肩を、テルルがぺしぺし叩く。

「ねーレン」

「…何だいテルル?」

「集落の人達にも聞こうよ。誰かが何かを知ってるかも」

「…うん、そうだね」

 仕方なく漣次郎は、箱庭の住人に聞き込みを始める…。











 夕刻の箱庭、漣次郎は途方に暮れていた。

 漣次郎はテルルと一緒になってこの時間まで集落中の魔族・半魔族に聞き込みを行ったのだが、収穫は皆無だったのだ。


 落ち込む漣次郎を励ますように、テルルがそっと寄り添う。

「レン、しょうがないよ」

「いやぁー…ここにだったら何かあると思ったんだけどなぁ。残念だ」

「わふ…」

 そしてこの状態は、“かなり状況が悪い”という事を意味していた。

(銀嶺山の調査…それが一番有力ではあるけど、まあ難しいな。ビスロ様の感じだと王政が簡単に許可するとは思えないし、許可が出た所で今は冬季…レーヴェット騎士団を動員できたとしても、広い銀嶺山の調査は厳しいよな)

 冬の“流星群の日”まで時間が無いというのに、秘伝術はその存在すら未だ不明瞭なのだ。そもそも“存在しない”という可能性まで脳裏にちらつき、漣次郎は先行きが不安になる。


 その時、テルルがふと何かを閃いたようだ。

「んー…?」

「どうしたのテルル」

「あれ…長老さまのお家にあった」

「…何かあったっけ?」

「なんか、聖者さまから何かをもらったって」

「えーとそんな…あ!!」

 そこまで来て漣次郎は、ようやく思い出す。

 漣次郎はそのまま、フローデン宅へと急いで向かう。






 テルルのお陰で思い出せたそれは、長老宅の壁に祀られていた。

「…これを調べたいと?」

「そうです!」

「ふむ、これに何かあるのかのう?」


 以前来た時にも見せて貰ったのだが…長老フローデン宅には、聖者から賜ったという不思議な布があったのだ。


 それは数枚の布で…複数の色が乗っており、幾何学的な模様が並んでいる。1枚の布を切り分けたようにも見えるそれだが、フローデンによると“どう並べても柄が合うことがない”らしい。

 漣次郎は、どうしてもこれを借りたかった。

「僕にもこれが何かは分かりません。だけど…パマヤに居る聖者の末裔なら、何か分かるかもしれないんです!これを借りるわけにはいきませんか!?」

「しかしのぉ…」

 今まで何でも快諾してくれていたフローデンは、珍しく漣次郎の頼みを渋った。

「これは聖者に頂いたとても大切なものなのじゃ。先代にも“決して人間に渡してはならん”と念押しされておるのでな…箱庭の外に持ち出すのすら許可し難いのう」

「そこを何とか!」

「そうは言われてもなぁ…」

 折角の手掛かりを目の前にしたというのに決め手に欠ける漣次郎は、歯がゆい思いで強く自分の両膝を掴む…。




「話は聞かせてもらったわ!自分が行こうじゃないか!!」


 突然、長老宅に乱入者が。

 漣次郎もテルルも、フローデンすら驚いている。

「え、ヅェニワラさん!?」

 いきなり現れたヅェニワラは…好奇心が抑えられないといった無邪気な笑顔で、漣次郎に熱い視線を向けて来る。

「“自分がそれを持って行こう”って言っているのよ!長老は人間に渡したくはないけど、レンジロウは持ち出したい…なら魔族である自分が同伴し、それを肌身離さず持ち歩けばいいんじゃないかしら!?」

「えー!?」

「自分も人間の町を見てみたい!なぁレンジロウ、どうかしら!?」

「えーっ!?!?」


 人間に興味津々なこの狐獣人は、漣次郎にものすごい圧を掛けて来るのだった…。


いつも読んで下さっている見知らぬ方々に感謝します。

いつの間にか書き出して1年経っていましたね。

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