その4 偏屈な騎士団長
転生する前のフェリアが望んでいたという、彼女を中心とした女性部隊の設立。
昇進も決まって順調にも思えたその夢だが、どうやらフィズン騎士団の団長は
賤民であるフェリアの事を嫌っているらしく…。
昼前のフィズン基地を、女騎士フェリアは速足で進む。
カイン王の突然の訪問から一夜。
今朝フェリアは“フィズン騎士団団長”からの呼び出しを受け、現在1人で司令塔へと向かっている所だった。白昼の基地内には大勢の騎士が駐屯しており、今も時折フェリアに視線を向けてくる者がいたりする。
“騎士の使命は、シュレンディア王国の守護”。
記憶喪失のフェリアは、当初マリィルからそう聞いていた。
あらゆる脅威から国土と国民を守ることこそが、騎士の役割なのだという。しかし…それは単に、シュレンディアと敵対する国と戦うだけでは無いらしい。シュレンディアを脅かす脅威は他にもあるのだ。
嵐や旱魃といった天災。
王政の打倒を狙う反逆者。
そして、遥か海の彼方から来る…魔族。
それら全ての脅威に対処し、シュレンディア王国をより高みへと発展させる事。シュレンディアの騎士にはそれが求められている…との事だ。
…だがしかし、それはほぼ全て建前だった。
(なんだか長閑だね、この基地は。一昨日の迎撃戦が嘘みたいだ)
フェリアの感想通り、フィズン基地は穏やかな状態だった。
騎士達の姿も見える事は見えるが…大抵は練兵所で訓練をしているか、フィズンの町へ警邏に出たり帰って来たりという具合だ。彼等は至って普通の人達といった様子で、ピリピリとした感じは全く無い。
(…まあそっか。このシュレンディア王国って、「魔の再来」が起きるまでずっとずーっと平和だったらしいからね)
シュレンディア王国には現在、敵国が無い。
王政に対する大規模な反乱も起きた事が無い。
まともな脅威は…天災と、フィズンを襲う魔族だけなのだ。
という事で、騎士団の実体は…緩い警察みたいな感じなのだった。
(しかし何というか…)
フェリアは不意に立ち止まり、周囲をこっそり見回す。
フィズンの騎士は男ばっかりだった。
まあそれは良い。
しかし…マリィルやラージェの様な『半魔族』を、今だにフェリアは騎士団でもフィズンの町でも見かけることが無かった。
フィズン基地・司令塔の、とある一室。
「フン、やっと来たかフェリア。私を待たせおってからに」
「…遅れてしまい、大変申し訳ございません」
「全く…貴様ら半魔族はやはり躾がなっておらんな。いくら貴様があの偉大なるカイン王のお気に入りだとはいえ、こういう舐めた態度は許されんぞ」
(何なんだコイツ…)
フェリアが今居る場所は、フィズン基地の団長執務室。
部屋の中には、フェリアとこの男だけ。
つまり今、フェリアの眼前に居るこの男こそが…シュレンディア王国騎士・フィズン騎士団団長だった。
彼の名は…ネイオレス・ポルック。
マリィル曰く、彼は“漣次郎”転生以前からフェリアに対して何かと難癖をつけていたという…ちょっとイヤな感じの奴だった。
ネイオレスはわざとらしい溜息を吐き、フェリアを睨め付ける。
「低能な貴様には理解できんだろうが…貴様と私では時間の価値が違うのだ。それなのに貴様のせいで私は時間を無駄にしたという訳だ。全く…これだから下賤の民は嫌なのだ」
「すみません」
(“昼過ぎに来い”って言われていた筈だけど。マリィルが早く行ったほうが良いって言うから昼前に来たのに…面倒臭い人だね)
クドクドと同じようなことを続けるネイオレスの言葉を聞き流しながら、フェリアはぼんやりと考え事をする。
「いいかフェリア…この私には、遠縁とはいえシュレンディアの王族であるアルデリアス王家の血が流れているのだ。汚らわしい魔族の末裔である貴様と同じ空気を私が吸っているこの状況…如何に私が寛大なのかを貴様は理解するべきだ」
「はい」
(下賤の民…魔族の末裔…か。たぶんシュレンディアでの半魔族の扱いって基本こんな感じなんだね…まあこいつが特別って可能性もあるけど)
「…そもそもだ。私はカイン王に“穢れた血を持つ半魔族”を誉れ高き騎士団に入れること自体を止めるよう進言したのだ。いくら英雄イリューザ王が始めた伝統とはいえ、敵性種族とも言える連中に国の守りを任せるなどという馬鹿な話も無い」
(“穢れた血”…ね)
ネイオレスのこの言葉。
フェリアはマリィルから聞いた、半魔族の話を思い返す。
(全く、面倒な立場だよ…)
国王に気に入られているが、忌み嫌われる被差別民でもある。
それが騎士フェリアの…奇妙で厄介な立ち位置だったのだ。
「…おい、私の話を聞いているのかフェリア?」
ネイオレスの言葉に、ハッと我に返るフェリア。
「…申し訳ございません」
「成程貴様…私の話になど興味が無いのか。相も変わらず無礼な小娘だ」
「…そもそも僕がここに呼び出された理由は、こういったお話を延々としていただく為なのでしょうか?」
いい加減無意味な愚痴に飽きていたフェリアは、思わず言い返す。フェリアの正論に言葉を詰まらせたネイオレスは舌打ちをし、机の中から封筒らしきものを取り出す。
「…貴様を呼び出した理由はこれだ。これはカイン王から頂いた有難い親書だ。受け取るがいい」
(…昨日王様が言っていたアレか)
「はっ」
王様からの手紙と聞き、フェリアは跪いてそれを頂戴する。
「読んでみろ」
「わかりました」
ネイオレスに促され、封筒を開ける。
その中身は…王の署名まで入った仰々しい文書だった。
「“任命書”…」
その内容は…昨日カイン王から聞かされていた“騎士フェリアをフィズン騎士団の小隊長に任ずる”という内容のものだった。
フェリアが王の親書を読み終わり、顔を上げた瞬間。
「ではフェリア、本題に入る」
ネイオレスが突然、フェリアを置いて部屋を出ようとする。
「…え?」
ネイオレスは振り返らない。
さっさと部屋を出て、早歩きでどこかへ行ってしまう。
「ちょ、待ってください!」
ネイオレスが開けっぱなしにした扉を閉め、フェリアは彼の後を追って駆け足で団長室執務室を後にする。
フェリアが息を切らして追いつくと、先行していたネイオレスがつまらなそうにフェリアに言い放つ。
「遅い。貴様はいちいち愚鈍だな」
「…申し訳ありません」
(面倒臭い人だ全く。よくこれで団長が務まるな)
ネイオレスの尊大な態度に、フェリアは内心呆れ返る。半魔族を嫌っている彼が自分に良い顔をしないという予想はしていたフェリアだが、実際のネイオレスは彼女の想像以上の曲者だった。
「して、本題とは?」
フェリアは平静を装ってネイオレスを促す。
ネイオレスはフェリアを一瞥すると、
「貴様の記憶喪失…騎士の任務に支障があるだろうと私は考えておる。私としては貴様を即刻追放したいくらいだが…陛下は貴様の能力が十分とお考えのようだ。という訳で、貴様には試験を受けてもらう」
「…どんな試験ですか?」
「模擬戦闘だ。戦えない騎士など不要だからな」
「戦闘…ですか…」
フェリアは不安に駆られるが、そんな彼女の反応が期待通りだったのか、ネイオレスは嫌らしく続ける。
「ちなみにそれは、この後直ぐに行う」
「…は?」
フェリアは聞き間違えたかと思う。
しかしネイオレスは当然とばかりに進み続ける。そこでフェリアは、彼がフィズン基地の練兵場へ向かっていることに気付いた。
「ちょ…すぐですか!?」
「当然だ。出来んというなら即追放とさせてもらう」
「う…わ、わかりました」
(今ここで追放は不味いでしょ!フェリアの遺志どころか…マリィル達から引き離されたら僕、この世界で生きていけないだろ!?)
これは逆らえない。
フェリアは渋々、ネイオレスの試験を受ける事にする。
広い練兵場の中央に、フェリアは立っている。
フェリアの周囲には、鎧を纏う屈強な騎士が10名も。
フェリアを取り囲み、木刀と盾を携えている。
それをさらに、噂を聞きつけた野次馬騎士達が取り囲んでいる。
フェリアの方は、鎧も盾も無く…ただ木刀一本だった。
(…ヤバイ、どうしようか)
フェリアは平静を装うが、彼女は“漣次郎”の記憶だけで戦わなければならない状況だった。彼女は“漣次郎”が修めた、中途半端な剣道の記憶を手繰り寄せる。
「フェリア、この私直属の先鋭達を戦闘不能にするか、武器を手放させろ!そうすれば貴様は合格だ!逆に貴様が戦闘不能になるか、武器を取り落とした時点で失格…即追放だ!さらにこの試験では魔法も、貴様の異能『アストラル』も使用禁止だ!」
ネイオレスが嫌らしい顔で、ルールを宣言する。
周りの野次馬がどよめく。
「…魔法と異能禁止とは、フェリアにとっては不利だな…」
「流石のフェリアでも、精鋭相手に異能無しでは勝てまい…」
「相変わらず団長は滅茶苦茶だ。陛下が黙ってないだろうに」
(ヤバいぞこれは、でも味方なんて…あれ?)
フェリアは周囲の野次馬を見回し、その中からマリィルとラージェを見つけ出す。2人もこの騒動を耳にしてか、フェリアを案じて来てくれていたようだ。
しかし今回、2人の助力は望めそうになかった。
(まあなんというか、厳しいねこりゃ。魔法か異能OKなら、まだ状況は違ったんだろうけどなぁー…)
フェリアは内心、早々に諦めていた。戦闘の記憶が無い自分が鍛え抜かれた騎士を相手に…それも数の不利まである状況で、勝利は望めないだろうと。
覇気の無いフェリアを見て、ネイオレスはご満悦だ。
「この間の迎撃戦では調子が良かったようだが…異能なんぞに頼る奴は駄目だ!たとえ王が認めようがこの私が認めない!誉れ高き騎士団に、汚らわしい半魔族など不要だ!!」
そしてネイオレスは、勝ち誇ったかのようにテストの開始を宣言する。
「では…始め!!」
(もうこうなった以上、やるっきゃない!)
フェリアは腹を括る。
足に力を込める。
(囲まれているんじゃ勝負にならない!どこかから抜けないと!)
そしてフェリアは、弾かれるように真横へ飛んだ。
その瞬間、フェリアは不思議な感覚にとらわれる。
真横に居た騎士の不意を突き、脇を抜けようとする瞬間。
時間の流れが遅くなるような、不思議な感覚。
(…動きが、見える)
フェリアの急な動きに驚きながらも、木刀を振るう騎士。
横薙ぎの動作が見えたので、フェリアはスライディングを選択する。
時間の流れが戻る。
フェリアはスライディングで包囲を抜けていた。
「な、何!?」
「貴様…ちょこまかと…!」
脇を抜かれた剣士が苛立っている。
(な、何だ今の!?異能じゃないよね…という事は今の、“フェリア”の戦闘センス…って事!?)
一番驚いているのは…フェリア自身。
(いけるぞこれ!ていうか余裕かも!!)
優れた騎士だったという“フェリア”。
これは魔族の血によるものなのか。
今のフェリアには分からなかったが、
「おりゃああ!!」
体が覚えている戦い方に頼り、フェリアは雄叫びをあげて突貫する。
一分後。
練兵場の中央。
そこには、フェリアだけが立っていた。
その周囲には、倒れ込んだりへたり込んでいる…10人の騎士。
「ぐ…ぬぬぬぅぅ…!」
そして顔を引きつらせて、何やら呻いているネイオレス。
フェリアは、あっという間に試験を終わらせてしまったのだ。
終わってみれば、勝負にもなっていなかった。
フェリアはどんな攻撃でも紙一重で避け、その攻撃の隙を突いてカウンターで相手を倒し…ただそれを10回繰り返しただけで決着は付いた。結局誰一人として、フェリアに触れることすらできなかったのだ。
当のフェリアは、呼吸こそ荒いが…まだまだ余裕綽々だ。
「…ネイオレス様、ご満足頂けましたか?」
「くっ…貴様ぁ…!」
ネイオレスは悔しさを滲ませながらも、絞り出すように呟く。
「…合格だ」
それだけ言い残すと、足早に司令塔へと去って行ってしまった。
「やったな姉様!!」
「信じていましたわ、フェリア様!」
ネイオレスの姿が見えなくなった瞬間。
戦いを見守っていたラージェとマリィルがフェリアに飛びついて来た。
そしてさらに、
「流石はフェリアだな!!」
「騎士団学校主席は伊達じゃねぇなぁ!」
「やっぱ王様に認められただけの事はあるぜ!」
他の野次馬たちもフェリアに群がって来たのだ。
彼女の身体が、大勢の男性騎士に掴まれる。
「うわちょっと!?」
「胴上げしてやる!」
「な、何で!?」
男性騎士達に持ちあげられるフェリア。
「ちょ、助けてラージェ!」
「何でさ!?アタシも姉様を胴上げするもんねー!」
やたら楽しそうなラージェ。
「マリィルー!たすけてー!!」
「ああ…胴上げされるフェリア様も美しいですわ…♪」
何故か恍惚としているマリィル。
「わー!わー!誰かー!!」
訳も分からぬまま、フェリアは練兵場の宙に舞う。
夜。
フェリアは兵舎で、ゆっくりと風呂に浸かっていた。
フェリア達女性騎士の兵舎は妙に大きく、風呂などの設備も不要なほど大きかった。転生当初は妙だと思ったフェリアだが、カイン王の語った『女性部隊設立』の件を鑑みれば納得はできた。
そしてフェリアは大きな溜息を吐く。
「つ、疲れたぁ…。何だったんだ今日は…?」
騎士団長ネイオレスに呼び出され。
突然、団長付きの先鋭部隊と戦わされ。
何故か野次馬たちに胴上げされる始末。
さらに明日には、フェリアの部下となる女騎士が来るという。
ここ数日の慌ただしさも加わり、フェリアもだいぶ参っていた。
「しかし…」
フェリアは目を閉じ、独り言を零す。
「この基地での僕の扱いは、大体わかってきた。僕は王様に気に入られているけど、ネイオレス団長はそれが気に食わない。でもネイオレス団長はあんな態度だから隊員の殆どに嫌われていて、そんな僕はむしろ隊員から同情されている…って所か」
とりあえず…フィズン基地でフェリアを目の敵にしてくるのがネイオレスくらいだと分かったので、彼女はネイオレスとの関わり方を模索することにする。
「うーん、あの人あんな言い草だから今日は思わず反論しちゃったけど…アレは不味かったなぁ。マリィル辺りに相談して、上手い付き合い方を…」
「呼びましたかフェリア様?」
マリィルの声。
思わず目を見開くフェリア。
全裸のマリィルが、浴室に入って来ていた。
思わずたじろぐフェリア。
何しろ転生したばかりの“彼女”は、自分の裸だってまだ直視できないのだ。無防備なマリィルの姿から思わず目を逸らす。
「ちょ、マリィル!僕は1人で入りたいって言ったじゃん!」
「そんな、つれないですわフェリア様。今までだってご一緒させて頂いていたではないですか♪」
「だ、だけどさ…」
真っ赤になるフェリア。
問答無用で湯船に浸かり、フェリアに寄り添うマリィル。
その大きすぎる胸をフェリアに押し当ててくる…。
「さあフェリア様、まだまだ思い出せないことがあるのでしょう?ならば何でも聞いて下さいな。私の事なら、フェリア様に何でも教えて差し上げますわ♪」
うっとりとした笑みで迫るマリィル。
「ちょ、そんな…」
「フェリア様になら私、何でも見せて差し上げますのに…♪」
「いやいやいや…」
突然現れ猛攻を繰り広げるマリィルを前に、フェリアは呑まれないよう必死にどうでもよさそうな質問を考える。
「じゃ、じゃあさ…ネイオレス団長について教えてよ!」
流れを変えようと、適当な話題を振るフェリア。
マリィルは不満そうに、頬を膨らませる。
「…折角ならもっと踏み入った事を聞いて頂きたいですわ」
「いいから!」
「もう…フェリア様ったらぁ…」
仕方が無いとばかりに、マリィルが手短に説明する。
「ネイオレス様はこの基地の長です。ただあの横柄な振る舞いは王政内でも不評との噂で、また騎士上りで無いため隊員達にも人気がありません。ただし王様の親戚なので大きい顔をしていらっしゃいます。以上ですわ」
さっさと説明を済ませたマリィルは攻撃再開をする。
「そんな事では無く、私の事を聞いて下さいな♪」
「う…」
「さぁ、フェリア様…♪」
マリィルが、顔をフェリアに近付けてくる。
(や、ヤバい!何か知らんがヤバい!!)
広い湯舟の隅に追い詰められたフェリアは、必死に“当たり障りのない質問”を考える。そしてちょうどいい質問を閃いた。
「ね、ねえマリィル…」
「何でしょうか、フェリア様」
「君とラージェの異能って何?」
「そうですわね…」
(よし、切り抜けられそうだ)
我ながらいい質問だったと自画自賛するフェリア。
そういえば聞いていなかった、2人の異能。彼女達も半魔族であるなら、フェリアの『アストラル』同様に何か異能を持っている筈だ。
あまり乗り気では無さそうなマリィルが、それでもしぶしぶ口を開く。
「まず、半魔族の全員が異能を発現するわけではありませんの。現にその…ラジィは異能がありませんから、あまりラジィの前でその話をするのは…」
「え、そうなんだ…」
硬い口調になってしまったマリィル。
あまり良く無い話題だと察して閉口するフェリア。
さっきまでと打って変わって、少しの静寂。
「…なんかゴメンね。答えにくい事を聞いて」
「構いませんわ。何でもと言ったのは私ですから」
そしてマリィルは、湯船を出て…何故か浴室の窓を開けた。
夜の空には、満月よりやや欠けた…月。
「マリィル…?」
「フェリア様、見ていて下さい。私の異能を」
そしてマリィルは、月に手を翳し、異能を発動する。
「<ムーンフォース>」
マリィルの体が、月光を受けて光を帯びる。
フェリアにもわかったそれは…魔力の光。
「私の異能は、『月の力を魔力に変える異能』です。この魔力を私が使ったり、誰かに与えたりできますわ。また月が満ちる程にこの効力は上がりますの」
「…綺麗だね、マリィル」
思わず呟くフェリア。
(マリィルは兎耳もあるし、月の兎みたい)
光を帯びるマリィルの姿は、とても神秘的だった。
「フェリア様…♪」
ちょっとだけ恥ずかしそうに微笑むマリィル。
マリィルがそのまま、フェリアに手を伸ばし、
「何か楽しそーなことしてるじゃん!!」
突然の大声。
浴室にラージェが乱入してきたのだ。
「…ラジィったら…」
あからさまにガッカリするマリィル。
「何さ、2人でこっそりアタシを置いて仲良くしちゃって!」
「べ、別にそういう訳じゃ…」
「いいからアタシも混ぜろー!」
場の雰囲気などお構いなしなラージェ。
そして彼女は、行儀悪く湯船のど真ん中に飛び込んだ。
夜の執務室。
騎士団長ネイオレス・ポルックが、何やら苛立っていた。
「あの小娘…大人しく追放されれば良いものを!」
そして何やら、走り書きのメモを書いてそれを懐に仕舞う。
「見ておれフェリア…必ずや貴様を追放して見せる!」
そしてネイオレスは、執務室を後にする。
評価・ブクマして頂いたどこかの誰かに感謝です。
いつか獣人のキャラを出したいです。
その時までお付き合い頂けるとわかめも浮かばれます。