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その32 雌伏

フィズンの状況が気になるものの、腹の傷がまだ癒えない漣次郎。

サルガンに頼んで彼に情勢を伺って来て貰う事にはしたのだが…。

 木材の香りと木々の騒めきの中で、漣次郎は目を覚ます。


「う…」

 上体を起こした漣次郎は、腹の鈍い痛みに顔を顰める。

 ここは…レーヴェット山中にあるサルガン宅。急拵えでサルガンが用意してくれた木造ベッドの上で、漣次郎は朝を迎える。慣れない場所での目覚めに、漣次郎は複雑な心境だった。

「すー…」

「ん、テルル?」

 そして、何故か漣次郎のベッドには…テルルが忍び込んでいた。

 彼女は別に寝床が有る筈で、昨晩もそこで寝たのまで漣次郎も見ていたのだが…どうやら夜中にこっそり来たらしい。レーヴェットが比較的涼しいから良かったものの、毛皮のあるテルルは夏場だと非常に暑い。

 …あの嵐の日に漣次郎が見つけたテルルは、もっと鬱屈とした雰囲気を漂わせていた。しかし今の彼女は無垢で無邪気そのもの…環境がそうさせていたのだろうが、今のテルルが彼女の本当の姿なのだと漣次郎は思っている。

 そして漣次郎は、まだ眠る彼女を起こさないようにそっとベッドを出る。

(やれやれ…以前は僕がこの娘の恩人だったけど、もう今じゃこの娘が僕の恩人だよ。テルルが居てくれて本当に良かった…そうでなければ僕には行き場が無かったんだから)


 漣次郎は恩人である狼少女の寝顔を眺めた後、ベッドを後にした。






 実際漣次郎としては、すぐにでもフィズンに帰りたかった。

 しかしまだ腹の切傷が癒えていない現状に加え、フェリア達が本気で漣次郎を排除しようと考えているという事実、さらに何の証拠も無いフェリア達の凶行…。たとえ漣次郎が『アストラル』を見せたとしても、“国王の後ろ盾を持つフェリア”はまだまだ何ともなりそうにない。

 なので漣次郎には、フェリアへ反撃する準備が必要だった。


「フィズンの様子が知りたい…と?」

「ええ、お願いできないでしょうか?」

 漣次郎はサルガンと共に朝食を用意しながら、ある頼みをした。

 それは、フィズンに居るフェリア達の動向だった。

「確かにレンが行くのは危険だろうな。しかし儂が行っても良いが…そうだな、フィズンまで行くには丸1日掛かるだろう。帰りは2日後だが…それでもいいか?」

「ええ、構いません」

 無理を言っているのは承知な漣次郎だが、どうやらサルガンはサルガンで何かを考えていたようでそれを快諾した。

「いいだろう、儂もどうせ今日は王都に行く予定だったからな」

「本当ですか!?ありがとうございます!!でも何か王都に用事が?」

「…まあ儂も、退役したとはいえ元々騎士だ。もう儂に出来ることはほぼ無いが…フェリアについてできる範囲で調べてみよう」

「ええ、分かりました。僕としても、フェリアの企みを知っている以上…フェリア小隊の娘達が心配で。半魔族の2人はグルなのが確定ですけど、残りの人間2人は何も知らない筈なんです」

「焦るな焦るな、レンは自分でフェリアの事を探りたいんだと思うが…お前はひとまず傷を治すのに専念しろ。その体じゃ無理も利かんぞ」

(悔しいけれど…そうするしかないね)

 どの道…自身に起きた事や、フェリア達について考えを纏める時間が漣次郎は欲しかった。どうせ来訪者も少ないサルガン宅なので、漣次郎は療養がてらに推理をすることにした。











「え、レンあそんでくれないの…?」

「ごめんねテルル、そんなに時間は掛けないからさ」

「…つまんなーい」


 朝っぱらから漣次郎にじゃれついてくるテルルには申し訳無かったが…自身に起きた事を確かめておく必要があった。なので漣次郎は、手持ちの情報を整理することにする。

 漣次郎は…湧き上がる怒りを鎮めるよう努める。

(冷静に…冷静にならないと、そうしないとフェリアと戦う事なんてできないぞ。あいつが何を企んでいるのか、そして何で僕を選んだのか…それを突き止めたい)

 そうして漣次郎は、可能な限り記憶を辿る。




 漣次郎はサルガンに借りた紙と羽ペンとインク壺を机上に並べ、腕を組んでいる。テルルはつまらなさそうに地下の食料貯蔵庫に行ってしまったのでここは静かだ。

(しかし…まさかラージェがあんな奴だったとは。あいつが言っていた事は嘘ばっかりだと思った方が良いな)

 あの流星の夜…ラージェは豹変した。

 話をしていたら急に態度を変え。

 持っていない筈の異能を使用し。

 そして…漣次郎に斬りかかった。

(ラージェの異能…“ソウルスワップ”と言ったな。誰か2人の魂…精神を入れ替えたのか?でも僕だけじゃ無く、騎士団もラージェの異能は“無い”という認識だった筈…ラージェは全てを騙していたのか)

 漣次郎は正直…不本意だがラージェに感服していた。確かに彼女はたまに雰囲気が陰ったりしていたが、それは単に“故郷”に関する秘密が原因だと思っていた。


(そしてマリィル…良く考えればあの娘も、昔の事を語りたがらなかった)

『まず、半魔族の全員が異能を発現するわけではありませんの。現にその…ラジィは異能がありませんから、あまりラジィの前でその話をするのは…』

 マリィルはラージェの異能について嘘を言っていたが、よく考えればその時彼女は明らかにどもっていた。そしてラージェが大嘘を吐いていた時…流星群の夜でも…彼女はほぼ黙っていた。きっとマリィルは嘘を言うのが下手なのだろう。

(思い出せる範囲で、マリィルの発言を思い出そう。もしかしたら何か手掛かりがあったのかもしれないから)

 そして漣次郎は最も分からない、フェリアの事を考え直す。




 フェリアが漣次郎の体で、漣次郎の居た世界からここへ来た訳だが…漣次郎の首には彼が見慣れないものがあった。

「しかしこれ、何でこんな物が…?」

 漣次郎の首には今も、黒い石のネックレスが掛かっていた。

 それが“何”か…それ自体は、漣次郎にもわかる。

 しかし、何故こんなものがあるのかが分からなかった。

「何で黒曜石が…?こんなの見た事無いぞ」

 転生前の漣次郎が持っていなかった筈の…黒曜石のネックレス。これはつまり、転生したフェリアが入手したという事になる。

 そして…昨日見た夢。

(ただの夢だからどこまで真実かは分からないけど…フェリアはもしかしたら、シュレンディアで失伝した筈の超級火術を習得していたのかもしれない)

 夢の中でフェリアが何か魔法を唱えたのは覚えていたのだが…漣次郎はそれを思い出せなかった。少なくとも黒曜石を使用する、漣次郎が見た事の無い魔法だった筈…そしてフェリアの持つ魔法適性の中で、彼女が所有していないのは超級火術だけの筈だ。

(まさか…シュレンディアでは希少だという“火術媒体の黒曜石”を異世界に渡って入手した?それならあの荷物も…)

 あの夜“勇者像”の所へ現れたフェリアは、何か大量の荷物を持っていた。それが何かまでは断定できないが、きっとあれがフェリア達の企みなのだろうと予想しておく。

(失伝した超級以上の火術、大量の黒曜石、フェリア達の本当の故郷、そして『月の民』…これらの手掛かりからフェリア達の企みを暴く。そうでもしないと王様の後ろ盾を持つフェリアに対抗するのも難しいぞ)

 前途は多難だったが、まだ戦えないわけでも無い。

 フェリアの思い通りにだけはさせないと、漣次郎は想いを固める。
















「王都に、3人で行く…?」




 流星群の日から2日目。

 記憶を取り戻したフェリアは、カイン王にそれを報告すべく王都へ向かう準備をしていた。そしてフェリアは王都にマリィルとラージェを連れて行きたいと言ったらしく、マシェフの許可を得て3人が王都行の準備をしていた。

 そしてその旨を、ミューノは訝しんで聞いていた。


 フェリアはさっぱりとした表情で、自信に満ちた笑顔を返す。

「ああ、マリィルとラージェにも付き合ってもらう事にした」

「そんなー!あたしも行きたいですー!!」

「ココちゃん、ごめんね。フェリア様がどうしてもって言うから…」

 ごねるココロンをマリィルが宥めるが…ミューノは納得できないと言いたげだった。

「何故、3人で?」

「実はね、“流星群の日に記憶が消えたり戻ったりした”件を陛下にちゃんと報告しておきたいんだ。今後の任務の事や、いずれ“紅百合部隊”を立ち上げることを考えてもね」

「…それで、わたしとココを残す理由は?」

「それはね…」

 フェリアは少しだけ言いあぐね、一呼吸を置いた。


「あの現象が僕達の産まれ…“半魔族”であるという事に関連していると拙いからね、それに場合によっては小隊まるごと王政の監視下に置くとも言われかねないし。でも僕は、君達2人を巻き込みたくないんだ」


 その発言に驚いたのは、ココロン。

「ええっ!?じゃあフェリア小隊はどうなっちゃうんです?!?」

「今の所は何とも。陛下と王政の判断に委ねるよ」

 フェリアはサバサバした表情で、肩を竦めた。




「まあまあミュー、心配しないで!姉様はダイジョーブだからさ!」

「そんな、何の保証も無いじゃないですかー!」

「へへ、姉様が大丈夫って言えば大丈夫さ!今までもそうだったしね!」

「そ、そうですか…」

 相変わらずヘラヘラ能天気なラージェに呆れつつ…ミューノは溜息を吐く。

(記憶喪失の件を自分から王政に言うんだ…これは、フェリア隊長を疑ったわたしが間違っていたのかな…?どのみちこの状況、わたしが動かなくても王都のパルサレジア孤児院が動くだろうし…一先ずは引こう)


 フェリアを密かに疑うミューノだったが、ひとまず様子見を決め込む。
















 サルガンが出かけて、1日目。

 情報を纏めようと考えた漣次郎だったが、手持ちの情報が少なすぎて動きにくいのが現状だった。仕方なく漣次郎はサルガンの帰りを待ちながら、怪我をゆっくり治すことにする。


 どの道漣次郎は、異能『アストラル』を練習したいという思いがあった。

 そしてそれとは別に…サルガンが面白い物を漣次郎に渡してくれていた。

 なので今日は、そいつでテルルと遊ぶことにする。


「ねえねえレン、これなぁに?」

「これはね、魔法を使う道具だよ」

「まほう…?」

「魔法を知らない…あ、そりゃそうか」

 サルガンの私物だというこれは…なんと6種の魔法媒体だった。人差し指程のサイズで綺麗に揃えられているそれらは…高価だという金剛石や隕鉄、さらには希少な筈の黒曜石まで含まれていた。

 しかもそのセットには中級以下の魔法陣まで同封されており、どうやら魔法初心者向けのものなのだろう。

「うーん、なんか見た感じ…これ結構高そうなんだけど?サルガンさんは元騎士だって言ってたけれど…もしかして偉い人だったりして?」

 よく考えれば、漣次郎こそサルガンの事を良く知らないのだ。

 彼について知っている事と言えば…元フィズンの騎士で、半魔族に親身で、強面の割に何だかんだ甘く、テルルと歳の近い孫が居るからテルルの服を買っても怪しまれなかった…せいぜいそのくらいだ。

「まあいっか、それもまた聞いてみよう。それじゃあテルルも一緒に何の魔法が使えるか試してみようよ」

「テルルも楽しみ、なんかおもしろそう」

(僕に使えるかどうかは分かんないけどね。でも“漣次郎”の体でも異能が使えたくらいだから、魔法も期待したいなぁ)

 漣次郎は魔法媒体の中から…試しに金剛石を手に取る。


 そして漣次郎は、フェリアが自分を選んだ理由を察する。






「ねえ見て見てレン!石が光ったよ!」

 テルルが金剛石を手に取って強く握ると…光が灯り、僅かに風が巻き起こった。

 他の5つの魔法媒体が全く反応しなかったのでしょんぼりしていた彼女だったが…最後の最後に白術適性だけあったので、彼女は尻尾を振って喜んでいる。

「そっかぁ、白術ねぇ…」

「…レン、どうしたの?」

「いや…ちょっと気になる事がね」

「ふーん?」

 漣次郎は…自分の魔法適性に驚いていた。


 漣次郎の魔法適性は…なんと木、白、火の3種類だったのだ。


 つまり漣次郎の魔法適性は…フェリアと2つも被りだったのだ。

(まさかフェリアが僕を選んだ理由がこれ…?そもそも魔法適性は2種でも多いらしいから、2種被りなんて凄い確率なのか。まあラージェの異能『ソウルスワップ』の内容が分からないから何とも言えないけど…)

 漣次郎にはある疑問があった。

 “何故フェリアが、性別の違う漣次郎を転生先に選んだのか”。

(どう考えても同性に転生すればいいのに…って思っていたけれど、“流星群の夜の交通事故”も含めて…もしかしたら僕じゃないと駄目だったのかなぁ?)

 漣次郎は黒曜石のネックレスを弄りながら、ぼんやりと考えていた。




 何にせよ、魔法適性が3種もあったのは僥倖だった。

 漣次郎は“フェリア”だった頃に使えた魔法を思い返し、発動する。











 その日の夕刻、サルガンが帰って来た。


「帰ったぞ」

「あ、じーじお帰り」

「おお…テルルか。留守の間何もなっかた?」

「なにもなかったよー」

 予定より早い帰宅をしたサルガンを、テルルが出迎える。相変わらず表情はあまり変わらないが、尻尾をパタパタ振りながらサルガンにじゃれつく彼女は嬉しそうだ。

 サルガンもテルルの頭を優しく撫で…そして家の中を見回す。

「…で、レンはどうした?」

 そこには…漣次郎の姿が無かった。




「いやー…参りましたよ」

 漣次郎はというと、寝床でぐったりとしていたのだ。

 サルガンが様子を見に来たので、何とか重い体を起こす。

「どうしたレン、大丈夫か?」

「ちょっと無理をしちゃったようで…」

 漣次郎は頭を掻いてみせるが…内心複雑だった。


 今日漣次郎は、異能と魔法の練習を繰り返していた。

 とりあえず異能と、フェリアと適性被りの火術・白術は一通り使える事が確認できたが…今まで通りに魔法を使っていたつもりなのに、何故か今まで感じたことの無いような倦怠感に苛まれていたのだ。


 サルガンは漣次郎の寝床の側に椅子を持って来て、それにどっかりと腰を下ろす。

「魔法の使い過ぎか?まだ本調子でも無いだろうに…」

「いやその…“フェリア”の時はもっと無理なく使えたんですけど、この体だとすぐに疲れちゃって」

 異能も魔法も…漣次郎の身体ではフェリア以上に負荷が大きいのか、疲労の溜まり方が格段に違ったのだ。こんな所でも半魔族は強いのか、と漣次郎は実感していた。

 そしてそれは、漣次郎にとって誤算。

(フェリアに対抗するにしても、素質の時点でこの差は厳しいね…。でもまだ木術は未収得だから、それで対抗できないかなぁ?)

 フェリアとの実力差に自信を失いつつも、それでも漣次郎はまだ諦めたくは無かった。






「すまんな、儂はフェリアと入れ違いになっていたらしい」


 夜、テルルが寝た後…サルガンは漣次郎にフィズンと王都の様子を伝えてくれた。そしてその内容は、漣次郎にとって厳しいものだった。

「昨日の夕方に儂はフィズンに着いたのだが…どうやら王都に向かうフェリアと街道ですれ違っていたらしい」

「そうですか…」

「フィズンの町には“フェリアが記憶を取り戻した”という話が広まっていた。そして“フェリアが王都へ向かった”という情報もあったので、今朝急いで王都へ蜻蛉返りしたのだが…その帰りでまたフェリアと行違ってしまったのだ」

 どうやらフェリアは、昨日今日とで王都とフィズンを往復していたらしい。結局彼女の行動は良く分からないが…王都に行く用事があったというのだけは確かだ。

「何故王都に…?カイン王に報告でもしたんですかね」

「さあな」

 しかし漣次郎はもう動きたい思いが止まらない。

 彼はもう既に、次の行動を決めていたのだ。

 そして漣次郎は…意を決してサルガンに告げる。


「僕も、ケガを治したら王都に行きます。フェリアと関わりのあるという『月の民』について探りたいんです」


 サルガンは、眉を顰める。

「『月の民』…?確かに連中は、半魔族の異能を崇める異教徒だが…まさかフェリアと繋がっているのか!?」

「ええ、僕の情報によれば」

「なんと…それは、怪しいな。恐らく王都のラミ神殿なら何か情報があると思うが…」

 サルガンはその後しばらく黙り込み…何かを考えている。

 そして、重い口を開く。

「王都のラミ教神殿に儂の知人が居るから、そいつを頼るといいぞ。儂が一筆したためておこう。あと…そういうのに詳しい男を知っているからな、そいつに手紙を出しておくぞ」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

 思わぬ情報に、漣次郎も思わず笑顔。

(よっしゃ!これは良い情報だ、まだ手はあるぞ!)

 そして、フェリアへの怒りを再び胸中で燃やす。











 しかし漣次郎には、ある懸念があった。

 どの道サルガンに相談したかったので、ここでしておくことにする。

「…サルガンさん、テルルには白術の適性がありました」

「ほう」

「しかもあの娘…上級白術まで使えるようになったんですよ」

 今日漣次郎と一緒に魔法を試していたテルルだったが…なんと見よう見まねで上級白術『アーク・ウィング』を習得してしまったのだ。そしてそれを見た漣次郎には…ある考えが浮かんでいる。


「テルル…上級白術を使えば、デルゲオ島に帰れるんじゃないでしょうか?」


 漣次郎はフェリアとの戦いに、サルガンとテルルを巻き込みたくは無かった。シュレンディア民のサルガンが協力的なのはまだ分かるが…魔族のテルルには戦う理由なんて全く無いのだ。

 デルゲオ島がどれだけ遠いのか漣次郎は知らないが…可能性として無くはない。

「テルルはデルゲオ島に帰りたいと思ってはいないんでしょうけど…このシュレンディアにはあの娘の居場所が無いじゃないですか。このままの状態が、あの娘の為になるのかどうか…」

「儂からは何とも言えん」

 サルガンはあっけらかんと言い放ったが…その言葉には含みがあった。

 彼の口調には、“テルルがどうしたいかを聞け”という圧があったのだ。

「…わかりました、そこはあの娘の意志を尊重します」

 自分が拾った以上、テルルの事は何とかしてあげたかった。

 しかしサルガンの言わんとすることも理解できる。

 いろんな考えが浮かんでくるが…漣次郎はとりあえず、目先の目標に集中する事に決めた。


(とにかく怪我を治して、王都に行って、とりあえず木術を習う…そして『月の民』について探る。そしていずれ…ラージェの言っていたレーヴェットの“フェリア達の故郷”を見つけ出してやる)




 魔法も異能もフェリアに劣る漣次郎だったが…味方の少ないこの戦いを始める決意を、静かに固めたのだった。


こんな暑い中お付き合い頂けている皆様に感謝を。

わかめは暑くて干乾びています。

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