表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/80

その26 月の民

旭日祭が終わった数日後、フェリアは急遽王都へと呼び出される。

いつものようにカイン王の特務かと思ったフェリアだが、彼女を呼び出したのはカイン王の長子ビスロで、“半魔嫌い”だという彼がフェリアにある任務を持ちかけ…。

 フェリアは今日、単身王都へと来ていた。




 先日の旭日祭は、ネイオレスの不穏な動きもあったが無事終わっていた。3日に渡る期日の間に…ネイオレスを撃退し、アイラに1日潰され、ルゥイに度々絡まれて…。色々あったが、フェリアはまあまあ楽しめていた。

 そして今日は、祭が終わった数日後だ。既に通常任務に戻っている騎士団だったが、例によってフェリアは特別な任務で王都に呼び出されていた。


 しかし今日フェリアを呼び出したのは、カイン王では無かった。

「今日は忙しい所を呼び出してすまんな。そして…記憶が無くなって以来では、私とお前は初対面だったか?」

「ええ、僕もそうだと記憶しております。一応僕の方は、先日の旭日祭でお姿を拝見致しましたが…」

「そうか、しかしここは礼節に則り自己紹介させてもらおう」

 ここは王都の守護を担当する“憲兵”の本拠地だった。

 今居るこの部屋には、青銅色で統一された鎧を纏う憲兵達。

 そしてフェリアの眼前には、カイン王によく似ているが強面の男。

「私はカイン王の長男ビスロ・アルデリアスだ。宰相として王政を動かす立場にある」


 彼はカイン王の長男で、“半魔嫌い”と言う噂のある男だった。






 ビスロが最初に口にしたのは、フェリアへの賛辞だった。


「フェリア、旭日祭でネイオレス公の企みを阻止したそうだな…大儀であった。流石は父上が見込んだ騎士だ」

「光栄にございます」

「謙遜するな、お前の高い能力は王政内でも評判だ。いずれこのシュレンディア王国を支える人材になるだろう」

(この人も…どこまで本気で言ってるんだか)

 ビスロはフェリアを労うが…彼は眉一つ動かさない。フェリアに失脚させられたネイオレスも半魔族嫌いで有名だったので、“もしかしたらビスロとネイオレスは親しいのでは?”という疑問をフェリアは押し隠す。

「そしてその能力を見込んで、今日は憲兵の任務を補佐して貰おうという訳だ。悪いが私は多忙でな…任務の詳しい内容については憲兵隊より聞いてくれ」

 そして去り際に…ビスロは猜疑の視線と共にフェリアに言葉を投げ掛ける。


「今日の任務は、王都近辺で活動する『月の民』の取り締まりだ」











 憲兵隊から聞いた話は以下の通り。


 かつての“魔の侵攻”以来、シュレンディアに存在する邪教徒『月の民』。

 ラミ神を蔑ろにし、正体不明の神“月神”を信仰する彼等の行動理念は様々だが…基本的には現王政に不満を持つ者が入信しているらしく、様々な悪事に手を染めてはシュレンディアの民を悩ませているという。

 ラミ神を篤く信仰するシュレンディア王政としては、『月の民』の存在そのものが許せないらしい。表向きは“『月の民』なんてただの噂”という事にして、こうして裏で特任の憲兵隊に取り締まりをさせているのが現状だという。




 フェリアは憲兵隊と共に、王都の外れに来ていた。

 彼等は一様にラフな服装に着替えており、フェリアも帽子に色眼鏡でちょっとした町娘のような恰好へと変わっている。そしてそんなフェリアの横には…顔に傷のある年配の男が壁にもたれ掛かっていた。

 時刻は昼下がり。ここは王都郊外にある市場で、平民と思わしき人々が食料品などを売買する活気溢れる場所だった。フェリアと憲兵隊は、そこにすっかり溶け込んでいる。

「…フェリア小隊長、今回の任務についてもう一度確認するぞ」

「ええ、お願いします」

 フェリアの隣に居るこの男は、『月の民』を取り締まる憲兵隊の隊長だった。くたびれた帽子を目深に被るその姿は、一見どこにでも居そうな人相の悪い男だ。

「今日の昼過ぎに、ここから少し離れた場所にある廃屋で『月の民』が集会をするらしいという情報が入っている。我々はそれを包囲し、そこに居る全員を捕らえるのが任務だ」

「了解です」

 慣れないフェリアは周囲に怪しまれないよう、表情に気を付けて小声で喋る。この体験で初めて、フェリアは諜報をするミューノの苦労が少しだけ分かった。


 そして今回の任務の、最大の肝。

「この周囲には憲兵隊が全部で20人程居る。我々が周囲を固めるから、フェリア小隊長は廃屋内に侵入して、連中をおびき出して欲しい」

「…上手く行くんでしょうか、それ?」

「それは、貴女次第だ」

 今回の任務、主力はフェリアだった。

 王政内で囁かれる“『月の民』がフェリアと協力関係にある”という噂の真偽を確かめるという意味もあり、ビスロの意向でフェリアを『月の民』にぶつけてやろうという事なのだった。











 フェリアと憲兵は市場を離れ、目的の廃屋の傍まで来た。

 そこでフェリアは憲兵隊長と別れ、単身廃屋に近寄って行く。件の廃屋は林に紛れる崩れかけの館で、昼なお暗いそこは何やら怪しげな雰囲気を醸し出している。

(今まで“フェリア”として生活する中で感じていたけれど…やっぱり僕はフェリアの事をよく知らないんだな。でもマリィルやラージェもフェリアの全てを知っている訳じゃ無さそうだし…こうやって色々知っていくしか無いね)

 内心複雑なフェリアは憲兵のアドバイスに従い、あえて隠れもせずに廃屋へと歩み寄っていく。不気味なその廃屋には人の気配が多数有り、フェリアは少しだけ緊張をしていた。

(ネイオレスは『月の民』が信仰する月神とかいう奴のことを“魔族が信仰する邪神”と言っていた…だけどそういうのに詳しいココロンもそんなこと知らなかった。正直今は『月の民』がどういう連中なのか見当もつかないや)

 そう考えるうちに…エリアはその廃屋のすぐ傍まで歩いていた。


「誰だ」


 フェリアが廃屋の玄関まであと少しという所で、その中から声がした。

 フェリアは手筈通りに帽子と色眼鏡を外し、あえて名乗る。

「…僕はフェリア、フィズン騎士団の小隊長です」

「…!?」

 廃屋の中の気配がどよめく。

 そしてフェリアの眼前で、廃屋の扉がゆっくりと開いた。




「フェリア様がいらっしゃったぞー!!」

 フェリアが招き入れられた廃屋の中に居たのは、老若男女様々な人々だった。彼等は皆、月を模った小さな装飾品を身に付けており、輪になって何かを行っていたようだ。そして彼等はフェリアの姿を見るなり、皆フェリアに駆け寄って来た。

「あのフェリア様が!?」

「遂にフェリア様も、我等の輪に加わって頂けるのですか?」

「ああ、偉大なるフェリア様…」

(うーん、ここまでは憲兵隊に聞いた通りか…)

 フェリアはたじろぎながら、その中の代表らしき男に声を掛ける。

「やあ…以前僕に『月の民』の方から声を掛けて貰っていたみたいですね。ちょっと記憶喪失で覚えていないんですけど…個人的に興味があったので貴方達を探していました」

「それは光栄です!」

 そうして『月の民』の皆が、フェリアに恭しく頭を垂れた。


 彼等の言葉によると、『月の民』は半魔族を“上位の存在”と考えているという。

 彼等の言い分によれば…魔族を絶対悪とするラミ神こそが邪神であり、魔族は優れた力を持つ種族なのだという。そして『月の民』は古来より魔族と同じく“月神”を信仰し、彼等の力を崇めていたらしい。

 そしてその最たる物が、半魔族への崇拝だという。

 『月の民』の教義では…半魔族は“魔族の力”と“人間の英知”を併せ持つ、人間をはるかに超えた上位種と考えていたのだ。


「まさかフェリア様に賛同頂けるとは思いませんでした」

 この場の『月の民』の代表らしき男が、感慨深げに告げる。

「…そうですね、僕が王都の騎士団学校に居た頃に声を掛けて貰っていたようですが」

「ええそうです!貴女こそ、我々『月の民』が長きに渡って待ち望んだ存在!我等の教義である“半魔族が上位の存在”だという事を体現する方です!だからこそ貴女に賛同して頂ければ、我等も勢力を拡大できるというものです!」

「そ、そうですか…でも犯罪に手を染めるのは如何なものかと」

「ふん、ラミなどを信じる連中は存在自体が悪なのです!我々が月神に代わり、愚民に罰を与えているだけなのです!」

(思っていたよりはマシっぽいけど、それなりにヤバそうだな…。確かにこんなのを野放しは拙そうだね)

 興奮するその男に気圧されながらも、フェリアは憲兵との段取り通りに事を運ぶことにする。

「そうですか…あとその、今日は僕の他にも何人か半魔族を連れて来たんですよね。その者達とも会って貰えますか?」

「おお…もちろんですとも!全てはフェリア様の仰る通りに!」


 そうしてフェリアは、『月の民』を廃屋の外へとおびき出した。











 その後の任務の顛末はあっけなかった。


 フェリアが『月の民』を廃屋外におびき出した後、周辺に潜伏していた憲兵隊が彼等を一網打尽にして任務は達成された。フェリアは彼等を裏切る形になったが、彼等はあくまでフェリアを盲信しており…フェリアに恨み言を吐くような者は居なかった。

 任務を達成したフェリアだったが…あまり気分は良く無かった。相手が犯罪者とは言え、利用し騙すような作戦だったのがそもそも不満だった。そして全てがビスロの思惑通りというのが…色々と気に入らなかったのだ。




 その日の夕刻、フェリアは再びビスロの元を訪れていた。


「今日はご苦労だったな」

 この報告の場に居るのは、フェリアだけ。

 憲兵隊は居らず…何故かフェリア1人がビスロに呼び出されて、こうして2人対面で事件のあらましを報告する事になってしまったのだ。

「やはりお前を行かせて正解だった、感謝するぞフェリア。多少は逃がすのも止む無しと考えていたが、一網打尽とは思わなかった…流石だな」

「身に余る光栄で御座います」

「まだ証拠を掴んではいないが…私は連中が“夢遊病事件”にも関わっていると踏んでいる。冬季の末に報告されたのが最後ではあるが、いつ起きてもおかしくない…連中から何か聞き出せればいいのだがな」

「そうですか、何か情報が得られると良いですね」

 フェリアの言葉は、フェリア自身が思った以上にぶっきらぼうだった。

 その口振りに、ビスロが反応する。

「…何か不満があるのか?」

「いえ、そのような事は」

「申してみよ…お前は父上には遠慮せん筈だ、ならば私に畏まる道理も無かろう」

「…では、畏れながら」

 そしてフェリアは、今回の任務に対する不満を口にする。

「今回の任務…そもそも僕が必要だったのでしょうか?」


 今日の任務…作戦だけ見れば、そもそもフェリアが居る必要が無かった。

 最初から憲兵隊が突入すれば済んだ話で、フェリアが居ても居なくてもほぼ同じだったのだ。しかし今回敢えて呼ばれたという事は…そうする理由がビスロには有ったという事になる。


 ビスロの表情は、終始厳しいものだった。

「過去にお前が『月の民』と関わっていたという報告が多数有る。今回は“記憶喪失”という事で都合が良かったのでな、それを試させて貰っただけだ」

「…僕が記憶喪失だから、僕か『月の民』のどちらかがボロでも出すと?」

「そうだ、それを期待していた。しかし実際は期待外れで…お前と連中の関係は浅いものに過ぎなかったようだ。どうやら連中は以前からお前を引き込もうと勧誘していたようだが、お前がそれを全て断ってきたというのは事実らしいな」

(なんて人だ…確かに“フェリア”と『月の民』の関係は僕にも解らないけどさぁ、ここまで露骨とはね)

 フェリアは内心憤る。

 そして…自身が王政内でいかに信用が無いのかという事を改めて痛感した。




 フェリアの報告に満足したらしいビスロが、フェリアに背を向けた。

「いずれにせよ、今回の任務は良い働きだった。しかし今日捕らえたのは『月の民』の末端に過ぎん…真祖と呼ばれる連中がどこかに潜んでいるというからな、そいつらとお前がつるんでいるという可能性はまだ残っている」

「…殿下がどう思われようと、僕はシュレンディアの為に戦います。それがカイン王と僕の約束であり、陛下への恩返しになるんですから」

「ほう…」

 その時初めて、ビスロの表情が変わる。

 フェリアはさらに続ける。

「そして僕としても、僕の働きがワルハラン特区の同胞の為になるんですから…尽力するのは当然です。だからこそ、僕がシュレンディアに仇為す筈が無いんですよ」

 フェリアの返した、思いの外強い言葉。

 驚いたらしいビスロが、改めて向き直る。

「…お前、やはり変わったな。あんな自信家で高慢で不遜だったお前がこうも謙虚だと、私も調子が狂うな」

 そしてビスロが、今日初めての笑顔を見せた。

「…私は個人的にお前を信用していないが、お前の父上への忠誠心を疑うつもりも無い。そしてお前が我等がシュレンディア王国の為になるのであれば、当然私はお前を歓迎する」

「ええ、カイン王の悲願である“デルゲオ島征伐”…いずれこれを成し遂げて見せましょう」

「いい心掛けだ」

 そして今度こそ満足したビスロが、去り際に一言告げる。


「『月の民』との密会報告に加え、ワルハラン特区での異様な人気…父上からの信頼が篤いとは言え、王政から睨まれているお前は信用を得るために実績を積む必要があるのだ。期待しているぞ…励め」


 その最後の一言を聞いたフェリアは、改めて思う。

(僕がシュレンディア王政から信用されて、いつかワルハラン特区の半魔族を開放する為にも…僕は“フェリア”のことをもっと知るべきだ。ラージェやマリィルが知らない、フェリアだけの秘密が有るかもしれないからね)

 そうしてフェリアは、王城を後にする。











 夕刻のフィズン基地。

 黄昏時の光が差し込む、女性兵舎の一室。

 マリィルが、ラージェの部屋に来ていた。


「ああ…フェリア様、貴女は今頃どこで何をしているのでしょうか…?」

 ベッドに腰掛けるラージェの膝に顔を埋め、マリィルは弱々しく吐露する。

 フェリアは今日のビスロの任務が急だったこともあり、小隊の皆に詳しい任務内容を告げずに王都へと向かっていたのだ。

「大丈夫じゃない?姉様の事だしさ」

 しかしラージェはあっけらかんとしている。

 いつも通りの飄々とした態度で、軽やかな笑みをマリィルに向ける。

「しかし…もしフェリア様の身に何かあったらと思うと…!」

「へへへ、らしくないねマリィ。いつもみたいに“私はフェリア様を信じていますわ”っていればいいんだよ!」

「そうですけれど…フェリア様は私にとって何よりも大切で、フェリア様のお役に立つ事が私の全てなんですのに…」

「マリィ…」

 尚も弱々しいマリィルの頭を、ラージェが優しく撫でる。

「大丈夫大丈夫、姉様を信じなって。姉様が何を考えているかは正直アタシだって分かんない時があるけど…とにかく姉様は凄いんだからさ!」

「…貴女は?」

「ん?」


「貴女は大丈夫なんですの?ラジィ…」


 少しの間。

 ラージェは優しく返す。

「…大丈夫さ、心配しないで」

「…なら良いのですけれど」

「へへ、ありがとねマリィ!」

 そうしてラージェは、もうすぐ沈む夕日に目を向ける。

「今年の夏の流星群も、3人で一緒に見るんだ。約束だからね」




 そのまま2人は、黙って日没までそうしていた。





















「すごいすごい、すごいよ逸太!!」




 とある休日。

 逸太と漣次郎は、2人で遠出をしていた。

「見てごらん逸太!!遥か太古の人間は、こんな道具を使っていたんだね!!へー面白いじゃないか!実に興味深いよ!」

「楽しそうだな、漣次郎…」

「む、君は面白くないのかね?」

「いや、展示物よりお前が面白いぜ」

「何?失礼な!知識を増やすことは知的生物にとって重要だよ?」


 ここは田舎の山中にある、とある小さな博物館。

 2人は今日、在住している都市を離れてわざわざこんな所まで来ていた。朝早く出発した後、3時間ほど車を走らせてここに辿り着いたのだった。


 展示物自体に興味無さげな逸太は、漣次郎を観察している。

 そして、今日の遠出について少しぼやく。

「しかしお前さぁ、よくこんな場所見つけたよな」

「そうかい?だって面白そうだったからね!」

「いやいやいや…俺ならここに来る間にあったあの湖の町を観光するぜ。なんか有名な神社も多いし、温泉とかもあるらしいからな。他にも、時期を選べばなんかヤベー祭りとかもやってるって話だぜ?」

「いや、僕は断然こっちが良いね」

 この博物館の展示物は、いわゆる石器時代に使われていたという道具が主だった。逸太が調べたところ、どうやらこの場所は遥か昔から“特別な石”を採掘していた場所だったらしい。

 …ちなみに、ここに来たいと言い出したのは漣次郎だった。




 興奮冷めやらぬ漣次郎が、逸太を急かす。

「お…逸太!なんかここでは小物作りの体験ができるらしいよ!是非やってみようじゃないか!」

「え、何作るんだよお前…」

「首飾り!!」

「…頑張れよ」

「何を言ってるんだ逸太?君もやるのさ」

「俺はやらねーよ!?だって何だか恥ずかしいじゃん!!」

「いいからいいからー!」

「やめろって!」

「何事も挑戦が大事さ!」

 漣次郎はグイグイと、逸太の背を無理矢理押していく。






 夜。

 逸太の運転する車が、高速道路を走っている。

「今日はありがとうね、逸太」


 今日のお出かけに満足したらしい漣次郎は、助手席で満たされた笑みだ。

「…お前は良いよな、俺はこれからまた3時間運転だぞ?」

 逸太は疲れ切った顔をしている。いつにもまして興奮気味だった漣次郎に振り回されたのに加えて、今日は運転を全て逸太がやっているからだ。

「む、疲れているね…逸太」

「お前のお陰でな」

「…この乗り物の操縦、僕が変わろうか?」

「な、バカ言え!お前記憶喪失だし、そもそも免許持ってねーだろ!そんなことしたら事故るに決まってんだろ!!」

 呆れ気味な逸太だが、内心悪い気はしていなかった。なんだかんだ言って、この奇妙な2人組での小旅行を彼も楽しんでいたのだ。

「そうか、では後日別の謝礼をしようか」

「…じゃあなんか奢れよ」

「承知した。では楽しみに待っていてくれたまえ」

 そう言うと、微笑む漣次郎は視線を車外の夜景に向ける。




 彼の首には、黒く耀く石のペンダントが掛かっていた。


読んで下さった皆様に多大な感謝を。

このお話は前後編の2章にする予定で、ぼちぼち前半も終わりそうです。

後半は少しお話の雰囲気が変わるかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ