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その22 祭りの気配

嵐の日の一件は、魔族征伐を望む王家にとってあまり良くない事だったらしい。

そんなフェリアの為か、騎士団長マシェフがフェリアを呼び出してある任務を依頼したのだが、それは夏に行われるというフィズンの祭に関するもので…。

 フェリアは夢を見ている。




 そこは“漣次郎”の知らない、どこか狭い部屋の中だった。

(…ここは、どこだろう?)

 窓から見える満月。

 それに照らし出される、異郷の風景。

 フェリアは椅子に腰掛け、窓からその光景を見渡している。


 立ち並ぶ、似たような形の建物。

 活気を感じない夜の町。

 そして遠くには、町をぐるりと取り囲む巨大な壁が見えた。


(…わかった、ここはワルハラン特区だね)

 “漣次郎”の記憶がそう答えを出す。

 これはフェリアの育った…ワルハラン特区の夜景だった。




『姉さま…?』

 不意に、フェリアの背後から声が。

 フェリアは振り返る。

『どうしたの、ラージェ?』

 小部屋の中、ベッドの上。

 その狭く暗い部屋には、マリィルとラージェも居た。

 リラックスしているマリィルと、不安そうなラージェ。

 …2人とも、とても幼い容姿だ。だいたい12、3歳に見える。

(これは、3人の…子供の頃の記憶…?)

 窓際に張り付いて外を眺めていたフェリアが、椅子から飛び降りる。

 そして突然、ラージェに思いっきり抱き着いた。

『えいっ!!』

『わっ!な、なんだよ姉さま!?』

『心配いらないよラージェ!僕が付いてるからね!!』

『ちょ、声大きいよ姉さま…』

『そうかな!?』

 フェリアに抱き着かれ、あたふたするラージェ。

 その様子を、微笑ましそうに見守るマリィル。


 一旦フェリアがラージェを放す。

『いいかい2人とも。今日から僕らはこの“ワルハラン特区”の一員さ。僕らは魔族と人間の血を引く半魔族で、半魔族はワルハラン特区で暮らせっていうのがシュレンディア王国の決まりだから』

『…うん』

『そうですね、フェリア様』

 頷く2人。

 フェリアは腰に手を当てる。

『でも大丈夫さ!騎士に…騎士になりさえすれば、この町から出られるんだ。だから僕は騎士になる。2人もがんばろう!』

『やっぱり…アタシには無理かも、姉さま…』

 しかし尚も不安そうなラージェ。

 そんな彼女に、マリィルが寄り添う。

『…ラージェ様、私も頑張りますから。3人一緒に頑張ればきっとぜんぶ上手く行きますよ♪』

『マリィル…』

 マリィルに励まされ、やっと肩の力を抜くラージェ。

 そんな2人に、フェリアが再び抱き着いた。


(…これは、3人がワルハラン特区に来た頃の記憶だろうね…)

 “漣次郎”の意識がそう考える。

(僕達3人の出身はここじゃ無くてレーヴェットのどこか…確かテンジャ様はそう言っていたね…。それ以上の過去をマリィルもラージェも話そうとしないけど、あまり良いものじゃ無かったんだろう…)

 “漣次郎”は、持っている知識とこの夢との整合を図る。

 しかし…“漣次郎”はこの夢に、小さな違和感を覚える。

(…あれ、でも何かがおかしい…?なんだろう、この違和感は…?)

 だがそれを突き止める前に、“漣次郎”の意識は深い眠りに沈む…。











 早朝のフィズン基地・団長執務室にフェリアは呼び出されていた。




「フェリア小隊長、もう調子は戻ったかい?」

 フェリアを呼び出した騎士団長マシェフは、まだ日も出ていないというのにもうすっかり起きている。この少年は勤勉らしく、寝る間も惜しんで王となる為の勉学に勤しんでいるという噂は騎士団内でも有名だった。

「…まだ完全に戻ったとは言えないです、すみません団長。相手が仇敵である魔族だというのは重々理解しているのですが、どうしても抵抗が…」

 フェリアは済まなさそうにマシェフに謝る。


 マシェフがフェリアを呼び出した要件は…昨日の“魔族漂着騒動”についてだった。2年前の『魔の再来』で魔族の大将を討ち取ったというフェリアが、魔族の死骸に怯んだというのを心配されたのだ。


「記憶を失ったからなのか、貴女の中の魔族の血がそう思わせるのか…。原因は分かりませんが、今はまあ仕方が無いでしょうね」

「はい…ですが昨日は急に非番を頂いてしまって…」

「それは大丈夫。ルゥイ小隊が進んで代わりを務めてくれましたから」

(そうか、ルゥイにお礼を言っとかないと…)

 昨日のトラブルが丸く収まったとわかり、フェリアは密かに胸を撫で下ろす。

「しかし、父…カイン王はいずれ魔族の根城“デルゲオ島”を征伐したいと願っています。まだ先の事ではあるでしょうが…いずれ克服して頂かねばなりません」

「分かっています、ええ」

 フェリアもそれに、苦々しく答える。

 彼女自身…転生前の“フェリア”の遺志を継ぎたいという想いがあるので、何とか克服したいとは思っている。しかし昨日の狼少女との出会いで、フェリアの魔族に対する見方が少し変わってしまっていた。

 落ち込むフェリアに、マシェフが微笑む。

「…そうだね、そういう意味では近々良い機会がありますよ」

「え?それは一体…」

 何かいい考えがあるというマシェフが、柔らかい笑みをフェリアに向ける。

「シュレンディアには二大祝祭というものがあるのだけど、その1つは王都で行われる冬の“黄金祭”で、もう1つがこのフィズンで行われる夏祭り“旭日祭”なんだ。これらは三英傑に関係する由緒正しいものなんだけど…」

(だけど…?)

 フェリアは嫌な予感。

 そして珍しく、マシェフが悪戯っぽく笑う。


「今年の旭日祭…フェリアにはある重要な仕事をお願いするから楽しみにしていてね!」


 マシェフの笑顔は、冗談好きなカイン王に良く似ていた。











 夏ノ33日は、フィズンの“旭日祭”だ。


「三英傑がシュレンディアの夜の時代に“夜明け”をもたらしたから旭日という名なんだそうですよ。でも普通なら勇者の命日とかをお祭りにしそうな所ですけど、旭日祭は何故かフィズン騎士団が設立された記念日なんですよね。これも勇者の遺言とか言われていますが正確な由来は不明で、三英傑の七不思議の1つなんですよ?」


 今日フィズンの騎士には特別な任務があり、その為にフェリア小隊もある所へ来ている。そこはフィズンにあるラミ教の神殿で、今日そこにとある要人が来るのだという。そいつがかなり高位の人物らしく、フィズン騎士団がそいつの神殿入りを厳重に警備しているのだ。

 …そしてその待ち時間、ココロンが好き勝手に喋っている。

「あたし今日が楽しみで昨日殆ど寝れなかったんですよ!だってパマヤの大司教が旭日祭の為にいらっしゃるんですからね。伝説の生き証人で、シュレンディアのラミ教団の頂点で、かの聖者マルゲオス・ヤショウの末裔…そんな方がこの町に来るんですから!」

「ちょっとココロン、静かに…」

 ミューノが宥めるものの、興奮するココロンは小刻みに跳ねている。ココロンの柔らかな茶髪が荒ぶっている…。

 フェリアも心なしか緊張している。

「フェリア様、大丈夫ですか?」

「まあまあかな…」

 ただ…フェリアの緊張は原因が別にあった。フェリアはマシェフに言われた仕事の内容が気掛かりで、任務に集中できていない。

「姉様、来たよ」

 不意に呟くラージェ。

 周囲の騎士も居住まいを正す。

 周囲の民衆が騒めく。

 どうやら、大司教様とやらが来たようだ。




「剣を構え!」

 騎士団の大隊長が号令を発する。

 中隊毎に整列した騎士達が、刃の引いてある儀礼用の剣を抜き眼前に構える。

 そして通りの向こうから、白い礼服の一団が現れる。

 その中に一際目立つ牛車がおり…そこに誰かが乗っている。

(あれが、大司教…?)

 フェリアは横目に、一団の先頭に視線を送る。


 数頭がかりで引かれるその大型の牛車には、神職らしい人間が1人だけ乗っている。

 しかしその人は…浅黒い肌に長い黒髪の、20代前半程の若い女性だった…。











「旭日祭の前夜祭…ですか」


 フェリア達は夏季に入り、任務が鍛錬に変わっていた。

 フィズン基地の練兵場は“陸上大隊”と“海上大隊”が合同で使用するので、時間を分けて使用しているとはいえ人が多く居た。

 しかし夏季の日差しはなかなか激しく…フェリア小隊は今、日陰で休憩中だ。なのでフェリアは今、マリィル達に“旭日祭”の催しについて確認をしていた。


「旭日祭は一応フィズン騎士団設立の記念日ですが、本質は『魔の侵攻』の戦勝記念です。この偉大な勝利が“シュレンディアの夜明け”と呼ばれている為、旭日祭も夜明けと共に始まるんですわ♪」

「え、夜明けから?」

 布で汗を拭うマリィルが、日陰にフェリアと並んで休みながら説明をする。ココロンは弱冠バテ気味で横になっており、それをラージェが楽しそうに看病している。

 ちなみにミューノは今日“体調不良”を訴え、今ここには居ない。




 フェリアは少し暑い程度の体感なのだが、マリィルはかなり暑いらしく隊服の胸元を少し広げている。しかしラージェは元々軽装とは言え汗も少ないので、これは半魔族3人の種族差なのだとフェリアは納得しておく。

「旭日祭は夜明けからですが、皆夜明けを待って前夜祭をするんですの。そこでラミ教団が主体となって『三英傑の英雄譚』を演じるんですわ。普段は有名な役者を集めるのが習わしですが…」

「それを僕がやると…」

 フェリアは頭を抱える。


 騎士団長マシェフが言った旭日祭の特別な仕事…それは、前夜祭で行われるという舞台に出演しろという事だったのだ。


 当のフェリアは困り果てていた。

「僕…無理じゃない?役者なんて無理だって絶対!」

 漣次郎にはそんな経験は無いし、記憶喪失前のフェリアにもそんなものは無いという。なのでフェリアはもうその祭が憂鬱になっていた。

「その…まあ何とかなるとは思いますわ、前夜祭の舞台は台詞が無いですからね♪それに観客の大半は子供達で…そんな大勢が見に来るわけではありませんから♪」

「本当?なら何とかなるかも…」

 フェリアはちょっとだけ安心するが、

「へへへ、しかしあの英雄フェリアが“女勇者アルヴァナ”の役をやるとなればみんな見に来ると思うけどさ!」

 ラージェに茶化されてやっぱり不安になる。


 何しろフェリアが仰せつかったのは…よりにもよって勇者役だったのだ。


「僕がそんな役やっていいのかなぁ…いくら王様が推したからって反発が絶対ヤバイでしょ。フィズンでは僕達もそこまで嫌われては無いけど、祭となれば他所からも人が来るだろうし…」

 フェリアの懸念は、王都民などの半魔族を嫌う人々に叩かれる事だった。しかしカイン王とフェリアの夢の為にも、ここは曲げられない。

「私はフェリア様を信じていますから♪」

「そうそう、姉様なら大丈夫だって!」

「うん、そうだね…!」

 2人の声援に後押しされ、フェリアも決意を新たにする。






 休憩を終え、再度鍛錬を始めようとした矢先。

「姉様、ミューが来たよ?」

 ラージェの指差す先。


 体調不良を訴えたはずの、ミューノの姿が。


 彼女はフェリア小隊の所に真直ぐ来るが、体調が悪いようには見えなかった。その様子を見たマリィルが眉を顰める。

「…ミューちゃん、何をしていたのでしょう…?」

 あからさまにミューノを疑うマリィルだが、フェリアはミューノを迎えるよう彼女に向かって歩き出す。











「今日はすみませんでした、フェリア隊長」

 開口一番、ミューノはフェリアに謝った。しかし彼女は体調不良のフリもせず、どうやら何かをやっていたようだ…。

「もう大丈夫なのかいミューノ?」

「ええ、すみませんでした。朝の神殿警護で少し頭痛が」

「そっか、でも無理はしないでね?」

 しかしフェリアとしてもあえて聞く理由が無いので、様子が良いことが確認できれば十分だった。フェリアは踵を返し、皆の元へ戻ろうとするが…。


「…何も聞かないんですか?」


 フェリアの背中に投げかけられた、ミューノの言葉。

 フェリアは振り返る。

 ミューノは真顔だが…僅かに怪訝な雰囲気が漂う。

 しかしフェリアの答えは、最初から決まっている。

「ミューノを信じるって言ったからね」

「…それで片付けるんですか?」

「僕に二言は無い…的な?」

「わたしが言うのも何ですが、甘くないですか?」

「そうかなぁ?」

 気にも留めないフェリアに呆れ、ミューノはフェリアと並んで歩き出す。そして試すようにフェリアを半眼で盗み見る。

「…本当は、王都の騎士団からの密書を受けていました」

「そうなんだ。パルサレジア孤児院から直接じゃないんだね」

「正確に言うと、パルサレジア孤児院は諜報員の育成機関に過ぎませんから…騎士団が私を雇っただけです。なのでフェリア隊長の監視は王都騎士団の意向ですね」

「だろうね」

 軽く揺さぶってもフェリアがあっけらかんとしているので、ミューノも毒気を抜かれてしまったようだ。大きな溜息の後、小声で耳打ちをした。


「…今度の旭日祭、ネイオレス様が何やら仕掛けてきそうです」


 ネイオレス・ポルック。

 ミューノの口から出てきたのは、以前フェリアを嵌めようとした前フィズン騎士団長の名だった。流石のフェリアも目を見開く。

「…マジで?」

「マジです。しかもフェリア隊長への復讐を目論んでいるとの情報が」

「そっかぁ…」

 頭痛がしてくるフェリア。フェリアはネイオレスのしかめっ面を思い浮かべながら、今後の立ち回りを考える。

「ありがとねミューノ、教えてくれて」

「…わたしの任務にとっても、ネイオレス様の復讐は障害になります。パルサレジアにとっても王都騎士団にとっても…フェリア隊長がシュレンディアの為になるなら喜ばしい事なんですからね」

「じゃあ折角だから、僕から1つミューノに頼んじゃおうかな?」

 ミューノを信頼するフェリアは、あることを閃いていた。


「ミューノの可能な範囲で、ネイオレスの周辺に探りを入れて欲しいな。その間は任務を休んでもいいから。マシェフ団長には僕の方から話を通しておくからね」


 フェリアの提案に、ミューノは呆気にとられる。

「…本気ですか?」

「本気本気」

「…それでは貴女の監視が疎かになるんですけど」

「大丈夫だって、しばらく僕は舞台の稽古ばっかりだろうし」

「舞台…?」

 フェリアが何を考えているのか、もしくは何も考えていないのか…。少し悩んだミューノだが、最後に小さく頷いた。

「…わかりました」

「ありがと、頼りにしているよ」


 フェリアの感謝の言葉を、ミューノはそっぽを向いて聞いていた。
















「旭日前夜祭で三英傑の役なんて、名誉なことじゃない!」




 夕暮のフィズン。

 フェリアは今日の鍛錬の終わり際に王女アイラと遭遇して絡まれていた。


 今は港の見える高級そうな店に連れ込まれ、夕食を奢られていた。分不相応に思えるフェリアは居心地が悪く、辺りの様子を伺っていた。

「こ、光栄です」

 しかしそんなフェリアの様子もどこ吹く風で、アイラはご機嫌に果実のジュースを楽しんでいる。

「気に負う事は無いわ、だってどうせ仮面をするからね!まあフェリアの場合はそのキレイな髪で目立っちゃうでしょうけれど!」

「鬘とか無いんですかね?」

 フェリアが居心地悪そうなのは、アイラに遠慮するばかりでは無い。旭日祭で大役を仰せつかった事をかなり気負っていたのだ。

「しかし、半魔族の僕がそんな…」

 悩むフェリアに対して、アイラは気楽なものだ。

「お父様だってそれを楽しみにしているんだから!頑張ってよね!」

 そして景気よくジュースを一気に開け、にやけ顔でフェリアに迫る。

「あと…旭日祭当日は、妾と一緒に回るのよ!」


 確かに旭日祭には、騎士団にも自由時間がある。

 旭日祭は前夜祭も含めてほぼ2日半。騎士団は任務の手を完全には緩められないが、持ち回りなので必ず空いた時間があるのだ。


「そうですね、しかし…」

 だがフェリアは今、怪しい動きをするネイオレスの事も心配だった。まだ祭は先だとは言え、いつ何をやって来るかが読めない。

「…何かあるのフェリア?」

 表情が晴れないフェリアにようやく気が付いたアイラが、心配そうにフェリアを伺う。フェリアもアイラに心配はさせたくないので、なんとか誤魔化そうとする。

「いや別に…ちょっとこの店の雰囲気に緊張していまして」

「嘘ね!」

 フェリアの誤魔化しにアイラが頬を膨らませる。

「妾そういうのは分かっちゃうんだから!お父様が何か無茶振りしたの!?それともナディル大司教が鬱陶しい小言でも!?」

「別にそういうのでは…」

 食い掛かってくるアイラを躱す為、フェリアは話題の転換を図る。

「…ナディル様って言うんですね、あの大司教の名前は」

「そう、ナディル・ヤショウ!貴女よりは少し年上かしら?」

 あっさりフェリアに引っ張られたアイラの話題は、今日フィズンに来たラミ教団の大司教に移る。


「妾、あの人嫌い!」

 アイラは大司教ナディルと因縁があるのか、食器を握りしめて渋い表情をしている。そしてその鬱憤をフェリアにぶつける。

「…何で嫌いなんです?」

「お小言が多いの、あの人!妾に“もっと勉強しろ”だの“王族らしく振る舞え”だの“騎士団は諦めろ”だの…もうサイアクよ!おまけにあの人が居るパマヤは“死の砂漠”のすぐ前だから暑いし、でもラミ教団の本部だから時々行かなきゃいけないしー!」

(…別に悪い人じゃないな、これ)

 アイラの言葉からわかるナディル大司教の人物像は、お堅い聖職者という所だった。自由奔放なアイラにとってはさぞ苦手な相手なのだろう。

「それに、なんかおかしいと思わない!?三英傑で『魔の侵攻』を唯一生き残ったのが聖者だけで、今もその一族がシュレンディアで2番目に偉いのよ!?きっと何かを隠しているわ!!」

「ちょ…アイラ、流石にそれは拙いんじゃ…!?」

 三英傑に対する暴言に、フェリアも流石に焦る。幸いここは貸切の小部屋だったが、アイラは止まらない。

「少なくとも…あの人は何か大事な事を隠しているわ!妾そういうのは絶対分かっちゃうんだからー!」

「そ、そうですか…」

 すっかりご機嫌斜めになったアイラ。

 そして最後に、思わぬことを言う。


「あと妾、ラージェも嫌。貴女には悪いけど…あの人、何考えてるんだか…」


「…え!?それはどういう…」

 フェリアが問い質そうとした矢先、

「お待たせしました」

 待っていた料理が運ばれてきてしまった。アイラはすっかり料理に目を奪われ、さっきまでの話がすっ飛んでいるようだ。

「来たわねー!?さあフェリアも遠慮しないで!」

「…ええ、ありがとうございます」




 ご機嫌なアイラに悪いので、フェリアもこの場では言葉を引っ込める。

 そしてフェリアには…得も言われぬ不安が心の奥底に芽生えていた。


読んで下さっている方々に感謝します。

このお話は2章構成を考えているので、もうちょっとしたら折り返し地点に来ると思います。

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