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その10 王様の任務と魔法陣

王都に呼び出されたフェリアにカイン王が命じたのは、騎士を目指す少女達の視察だった。

しかし魔法の事を忘れたフェリアがそのまま向かう訳にもいかず、フェリアは急遽

魔法のことをマリィルから教わることにするが…。

 朗らかなシュレンディア王都・王城の朝。

 フェリアはそこで、カイン王に会っていた。


 カイン王の招待で昨日王都に来ていたフェリア小隊だが、その要件はフェリア隊の謁見だけでは無かった。その詳細を説明すると言われていた為、フェリアは単身で王城へとやって来ていたのだ。






 城の一角…とある部屋に案内されたフェリアを、カイン王が待っていた。

「こんな早朝に悪いなフェリア。昨日は其方の部下も居ったので、あまり込み入った話をしたくなかったのでな」

「いえ、お気になさらず」

 カイン王に促され、フェリアは王と対面の席に着く。


「今日の任務について、詳しい話をしておこう」

 給仕の女性がカイン王とフェリアの前にティーカップを置く。その中身は透明な空色の何かで、どうやら茶らしいが…今のフェリアにはそれが何なのか分からなかった。

「今日フェリア小隊には、騎士団学校の女子分校へ訪問してもらう。其方は半魔族であるという以前に、女性として初めての騎士団小隊長だからな。女性幹部などフィズンはもとより、王都、パマヤ、レーヴェットのどの騎士団にも居ないからな」

「初めての…女性幹部…!?」

「そうだ。言わなかったかのう?」

 悪戯好きな笑顔を浮かべ、カイン王が口角を上げる。この王様は、フェリアが記憶喪失なのをいいことに…たびたび彼女を驚かそうとしてくるのだ。

「其方を中心にした女性騎士部隊…この目的は我々の趣味だけでは無い。明確な目的があるが…其方は覚えておるかのう?」

 試すようなカイン王の物言いに、フェリアは少し考え込む。

 そして今まで得た情報を頭の中で纏め、一つの答えに辿り着く。

「…女性部隊を設立し、勇者アルヴァナの威光を借りての魔族征伐…それがカイン王の望みでしょうか?」

「おお、流石だな。それとも記憶が戻ったのか?」

 カイン王が目を細める。陽気なおじさまという雰囲気のカイン王だが…フェリアはその眼の奥に、王としての確かな覚悟を感じた。


「いつかは避けられぬデルゲオ島の魔族征伐…その厳しい戦いで士気を上げる為に、勇者に肖るのも悪くは無いだろう。ちょうど其方は、“魔の再来”の功績で勇者アルヴァナの再来と噂された逸材だからのう」


 その言葉に、フェリアは思わず眉を顰める。

「…その噂、出所はもしや陛下では?」

「ふふふふ…」

(食えない人だ…)

 フェリアはこの食わせ者の王様に舌を巻いていた…。




 そこでカインは、スッと片手を挙げる。

「話を戻そう。其方達には今日…女子分校の視察と称してあそこへ向かい、新進気鋭の者達を指導する。その中で、其方の部隊に相応しいと思う者に目を付けてもらいたいのだ。部隊編成は春と秋に行う故、来秋には増員できよう」

「了解致しました」

「…其方の好みで選ぶなよ?其方の“女好き”の噂は王都でも有名だからな」

「げっ…そんなですか僕って…」

「現にフェリア小隊は美形揃いじゃからのう」

「で、でも選んだのは僕じゃないですし…」

「ふふ…冗談だ」

(冗談って…!)

 眉一つ動かさずに冗談を言い放つカイン王に、フェリアは朝っぱらから疲労感を感じてしまう。そして彼女は、出された茶を一気飲みして席を立つ。

「では陛下…僕は部下を連れて出立します」

「是非とも豊満な娘を選び給え!儂が喜ぶぞ!!」

「…善処します」


 そしてフェリアは、会釈をして部屋を後にする。











 フェリアは今、王都郊外にある騎士団学校・女子分校を目指していた。先程宿に戻って仲間と合流し、短いながらこうして再び馬車の旅をしている。

 御者を務めるのはココロンとミューノ。

 フェリアの横に座すのはマリィル。

 そしてフェリア。

 …馬車に乗っているのは、この4人。


 そこには、ラージェの姿が見えなかった。






 先程、宿での合流時。


「アタシ行かないよ」


「は?」

 今日の任務を伝えるや否や、ラージェが任務を拒否したのだ。

 まさかの反応に困惑したのはフェリアだ。

「な、何言ってるのラージェ!?ダメだよ、これはカイン王から受けた重大任務なんだから!そんな駄々捏ねないでよ!」

「だってさ」

 ラージェはいつものような軽い口調で話すが…何故か今日だけは、少しだけ真剣な雰囲気を醸し出していた。

「王様の任務は、先輩女性騎士としての“騎士団学校の視察”だろ?だったらアタシは行かない方が良いって。王様だって、姉様が行けばそれで十分だと思ってるよ」

「…ちゃんと説明して」

 勝手を許すわけにもいかず、問いただすフェリア。

 頑ななフェリアに、ラージェは珍しく陰のある笑みを見せた。


「…だってさ、姉様とマリィは騎士団学校の優等生。ココやミューだって、この部隊に選ばれているならそういう事だろ?だけどアタシは違う」


「ラージェ…?」

「アタシは騎士団学校の落ちこぼれ。魔法も中途半端で、半魔族のクセに異能もナシ。じゃあ何でそんなアタシが、あの“英雄フェリア”の側に居ると思う?」

「…!」

 その言葉で、フェリアは察してしまう。

「姉様が推してくれたのさ、姉様とアタシは小さい時からの仲だったからね。反対する人は多かったけど、姉様の頼みで王様が無理を通したっちゅーワケさ。そんなアタシが…先輩騎士として騎士団学校になんか行けるワケないよね」






 そんなこんなで、フェリアはラージェを宿に残してこうして王都郊外を目指す羽目になったのだ。

「ラジィさん…意外とそういうの気にする人だったんですね」

「…確かにね」

 御者をするココロンが、フェリアに背中を向けながらぽつりと呟く。これはフェリアも思っていた事で、いつも気楽なラージェがそんな事を気負うのが不思議に思えた。

 しかし、マリィルは寂しそうに王都城壁を見つめている。

「フェリア様は思い出せないかもしれませんが…フィズンに着信した当初、ラジィはあまり歓迎されませんでしたの。特にネイオレス様なんて、フェリア様以上にラジィへきつく当たっていましたから」

「ネイオレス…あいつ…」

「ラジィは表面上ああやって気楽にしているので、きつく当たっても無駄だと思ったのでしょう…ネイオレス様もそのうちラジィをあまり気にしなくなりました。しかし昔のラジィは良く落ち込んでいました…」

「…そっか」

 ちょっと暗い雰囲気になってしまった馬車が、ガタガタと轍を踏みしめる。











 しかしフェリアには、落ち込んでいる時間が無かった。

「フェリア様、今日こそ魔法についてしっかりと覚えて頂きますわ!」

「そうだね、騎士団学校で恥をかくわけには行かないよね」

 騎士団学校で魔法科首席…その成績で卒業したフェリアの魔法を、きっと騎士の卵達が楽しみにしている筈だった。だからこそ、魔法についてしっかりと覚える必要があったのだ。


「フェリア隊長にはがっかりです」

「そうだそうだー!」

 魔法の本を読み込むフェリア達を尻目に、ミューノとココロンが軽口を叩く。しかしその茶化すような口調には、馬鹿にしたような響きは感じられない。

 先日のネイオレス騒動の際…マリィルが上級魔法を使う場面が幾度かあった。そしてその際いちいち驚くフェリアを見て“フェリアが魔法の事も忘れている”とココロン達に知られてしまっていたのだ。

「しょうがないだろ記憶喪失なんだから!見てろよ、思い出したら2人をビックリさせてやるからな!」

「その意気です、フェリア様♪」

 そしてマリィルが、魔法について詳しい説明を始める。


「前に聞いたのは…6属性の魔法の話だね」

「ではそこから踏み込んだ話を致しましょうか♪」

 そしてマリィルは突然、フェリアの手を取る。

「な、何さ?」

「これですわ」

 そのフェリアの手には、金剛石の指輪。

「まずは魔法媒体の話ですわ。前にも言いましたが、6属性の魔法にはそれぞれ固有の魔法媒体が存在し、それを通して魔法陣を起動致しますの。フェリア様は3属性の魔法を使われますので、3つの魔法媒体をお持ちですわ♪」

「この金剛石は、白術の媒体だったよね。あとはこの変な石の首飾りと、黒石の小刀…これか」

 フェリアは首飾りと、腰の小刀を手に取る。

 それを見てマリィルが頷く。

「ええ。その首飾りは隕鉄…黒術の媒体です。黒術は魔力をそのまま使用したり、魔力で分身を作ることもできる系統ですわ。そしてその小刀…王様から賜ったそれは、火術媒体の黒曜石ですの♪」

「火術は…そのまんまか。火を扱うんでしょ?」

「ご名答♪そしてそして…」

 そう言いながら、マリィルは自身の手の指輪と腰の杖をフェリアに見せる。

「この指輪は水術媒体の真珠、杖は木術媒体の琥珀です。土術媒体は翡翠なのですが…土術適性のあるラジィが一応翡翠の腕輪を持っているんですが、あの娘は下級術までしか使えませんので滅多に身に付けませんわね…」

「ふーん」

 そこで1つ気になるフェリア。

「ねえ、その下級術って何さ?」

「6属性魔法には、それぞれ下級・中級・上級魔法が存在しますの。だから魔法は全部で18種類と言われています…一般的には」

(一般的?)

 言い淀むマリィルだが、そこに黙っていたココロンが食いつく。


「ねえ隊長!隊長は“超級術”も修めてるってホントですか!?」


 食い気味のココロンに押されるフェリア。

「ちょ、超級術!?」

「…それ、わたしも気になります」

 何故か乗っかって来るミューノ。

 当然答えられないフェリア。

 3人の視線は、自然とマリィルに集まる。

 マリィルも困ったように首を傾げる。

「…あらら、“超級術”はそもそも修めていても公言していけないらしいので確信は持てませんが、フェリア様が秘密裏に“超級術”を修めたという噂は確かに存在致しますわ」

「それも使えるようになるかな?」

「…残念ながら、超級術の魔法陣なんか公になっていませんので。もし再び目に出来れば、再習得は容易かも知れませんが」

「あらら、そりゃ残念」


 そんなこんなで、馬車中の魔法講座は進む…。











 春の陽気の、王都郊外。

 騎士団仕様の馬車がのんびりと進む。

 遥か西には、雪を頂く銀色の山脈が霞んで見える。


 フェリアは自分の指に嵌めている、金剛石の指輪を見つめる。

(魔法ねぇ…面白いけど、どういう原理なんだか)

 フェリアはこの道中で、かつて使えたという9種類の魔法を全て再習得していた。記憶が無くともやはり体が覚えているらしく、それらの魔法陣は見ただけでフェリアに馴染んだ。

 そして彼女は、頭の中に魔法陣を描き、その効力を思い浮かべる。

 そうすると、金剛石の指輪が光り、その光が宙に魔法陣を描き出した。

 だがフェリアは、ただそれを眺めている。

(これは下級白術『スナップ・ウィンド』の魔法陣。ただし、白術適性を持つ者が金剛石を手にしてその名を口にしなければ発動しない…不思議だね。しかし超級とかいうのを含めても魔法陣って24種類しかないのか…ちょっと少ないなぁ)

 そしてフェリアは気を緩める。

 途端、宙の魔法陣は煙のように霧散した。




 そんなフェリアの挙動を、困惑しながらマリィルが見ていた。

「…フェリア様、それは何をなさっているのでしょうか?」

「え?ああ、魔法陣ってどういう仕組みになっているのかなーって」

「仕組み、ですか…」

 フェリアの何気無い疑問に、マリィルは言葉を濁す。

 が、明確な回答はミューノが口にした。

「“不明”が正解ですよ、フェリア隊長。魔法陣の図式が何を示しているのか、何故魔法陣が誰にでも使えるのか、そもそも魔法陣とは何なのか…。結局のところ、原理は誰にもわかってないんです」

「え、そんななの?魔法陣って…」

「魔法陣の生まれた地であるこのシュレンディアですら、皆なんとなく魔法陣を使っていますから。全てが解明されるのはきっと数百年後とかですよ」

「へぇ…」

 何となく納得できないフェリアは、今までの魔法陣を思い浮かべる。

(いやいや、何か法則性はあるでしょ。というかこういう技術になっている以上は開発者が居るわけで。きっとプログラミング的な構造になってたりして、それさえ分かれば意外と単純な物かもね)

 そしてフェリアは、密かに考えていたアイデアを口に出す。


「原理が分かれば、僕も魔法陣を作ってみたいよ」


 その瞬間。

 マリィル、ココロン、ミューノが…息を呑んだのが分かった。

 ミューノも馬車を止めた。

 そして3人が、目を丸くしてフェリアに視線を集めた。

(や、やばい。なんか拙いことを言ったぞ僕)

 沈黙の馬車の中…フェリアは何も言えなかった。




「魔法陣を創り出したのは、かの三英傑が1人…賢者ロディエルです。彼が“ラミの啓示”を受ける以前、この世界には原始魔法しか存在しませんでした」

 ちょっとだけ重苦しい空気になった馬車の中、あえてといった感じでミューノが説明をしていた。三英傑の話が好きなココロンも、さすがに自重してモジモジしている。

「原始魔法?」

「フェリア隊長、黒曜石の小刀を抜いて下さい」

「こう?」

「そして“火”を念じて下さい」

「う、うん…」

 すると…小刀の先端に、小さな火が生まれた。

「これが原始魔法…6種類の魔法媒体が起こす、ほんの僅かな現象です」

 確かにその火は、魔法陣とは比べるべくもない微弱なものだった。

「かつて魔族に滅ぼされそうになったシュレンディアを救った三英傑ですが、その中でも賢者の魔法陣は特に偉大です。かの勇者も、魔法陣を駆使して魔族と戦ったと言いますから。賢者は王都奪還戦の最中で命を落としたといいますが、その功績は今でもシュレンディアで称えられています」

「…魔法陣を作ったのは、賢者だったんだ」

「そうです。だからこそ賢者の遺した魔法陣は神聖なもので、誰もその境地に近付く事すらできていません。そもそも軽々しく口にする類の事では無いですし、しかもそれを半魔族のフェリア隊長が言い出したなんて事が誰かに知れたら…」

「なるほど…それは僕がおもいっきり叩かれそうだね」

 フェリアもようやく理解した。

 “魔法陣”が、どんな存在なのかを。


 ミューノはしかめっ面でフェリアに苦言を呈する。

「前にも言った通り、わたしは半魔族の隊長と慣れ合う気はありません。しかしわたしにとっても“フェリア小隊での功績”は必要…なので、こんな下らない事で敵を作るような真似は止めて下さい」

「…わかったよ。忠告ありがとね、ミューノ」

「…なんで感謝するんですか…」

「あははは」

 気を取り直し、馬車は王都郊外への進行を再開する。











 正午の鐘もまだまだ遠い時間。

 フェリア達は思いの外早く、目的地に到着した。

 そこは、騎士団学校・女子分校。

 騎士を目指す少女達が、剣技と魔法を磨く場所だった。


 しかし、そこには妙な光景が。

 分校の門の前、10歳位の少女が1人。

 そしてその両脇に…明らかに生徒では無い、正規の男性騎士達。

 まるでフェリアを待ち構えていたようだ…。


「…あれ誰?」

 思わぬ歓迎にビビりながら、マリィルに聞くフェリア。

 マリィルも困ったような笑顔を見せ、言い難そうに絞り出す。

「…あれ、アイラ様ですわ」

「アイラ様?」

「アイラ・アルデリアス様…カイン王の末の姫様ですわ。フェリア様の事をとても気に入っていらっしゃる方ですから、きっとフェリア様が来るのを知って待ち構えていたのでしょう…」

「…王女様!?」

(なんなんだよ、次から次に…!僕はスローライフ希望なんだよ!)

 心労が絶えないフェリアは、がっくりと肩を落とす。




 フェリアの内心を知ってか知らずか、そのお姫様が馬車に歩み寄って来る…。





















 「ふふ、君は付き合いが良くて助かるよ、逸太」




 晴れた夏の休日。

 漣次郎は逸太に連れられて、港に来ていた。


 漣次郎達の住むこの町はこの国の首都であり、漣次郎達の家から最も近いこの港は大型船舶が往来する広大な湾だった。巨大な船に驚く記憶喪失の漣次郎を、逸太は面白そうに眺める。

「へへ…俺達も昼飯食ったら船に乗って対岸までの船旅だぜ。まあそんな長時間にはならねーけどな」

「助かるよ。こうしていろいろ体験していくうちに、きっと僕の記憶も戻るかもしれないからね」

 そう言いながら、漣次郎はソフトクリームを舐めている。確かに今日は夏の盛り…2人は手近な日陰で涼んでいる最中だった。

「…お前、いろいろと食い過ぎじゃね?」

「む、そうかい?」

 記憶喪失の漣次郎は、何かと甘いものを食べたがる。今日だってスイーツ店を見かければすぐに惹かれて行ってしまい、逸太が目を離せばすぐに見失ってしまう程だった。

 呆れ気味の逸太は肩を竦める。

「…まあいーか。お前元々大食いだったしな」

「ふふん、そう褒めるな」

「褒めてねーよ」

「ちなみに自慢じゃないが、昔から僕は太りにくい体質だったからね。今はどうか分からないけどさ」

「おま…記憶が戻ったのか!?」

「別に?ただの冗談さ」

「冗談こいてんじゃねーよ!俺をがっかりさせんな!!」

「まあまあ、急く事でもないさ」

 軽口を叩き合う2人だったが、不意に漣次郎が真剣な眼差しに変わる。


「なあ逸太。この国に戦いは無いのかい?」


 突然の漣次郎の言葉に、逸太は目を丸くする。

「な…そりゃどういう意味で言ってんだ?」

「文字通りの意味さ。人同士だったり、人とそれ以外だったり」

「ねーよそんなん。直接ドンパチなんてこの国じゃ100年くらい前の話だぜ。それに人以外って…そりゃ宇宙人の話でもしてんのか?そもそもお前、突然どうしてそんなこと…平和主義者かよ」

 今度は漣次郎が目を丸くする。

「ほう、宇宙人という種族が居るんだね?」

「いねーよバカ!いやそりゃ居るかもしれねーけど…誰も見たことねーし、噂だけだから居ないようなもんだろ」

「そうか、残念だ」

 漣次郎の突飛な発言が本気か冗談かを量りかねている逸太は、なんだかんだ心の中で彼の心配をしていた。

(…こりゃ駄目だ、まだ漣次郎を家族に会わせるわけには行かねーだろうな。せめてもう少し…突拍子の無い発言が無くなるまでは様子を見てやらねーと…)

 しかし彼は、目が離せない記憶喪失の同期に振り回されるのを…楽しんでもいたのだ。




 そして遊覧船の出発時間が近付き、2人は船着場へ向かって行く。


見て下さっているまだ見ぬ誰かに感謝を。

魔法は良いですよね、ファンタジーで。


※2023.4.30 修正

 ココロンの魔法について致命的な矛盾があったので修正します。

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