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第8話 マナchandayo!

 ログインするなり、剣士ギルドに走る。調べた結果、Lv1で効率のいいクエストはグリーン・ゴブリン討伐。グリーン・ゴブリンはダブルスラッシュ2発で倒せる上、3体現れる。3体に囲まれないように気をつければ、簡単にこなせるクエストらしい。


 例のサイト『初心者集まれぇぇサルザエアの歩き方』にオススメクエストと書いてあった。


「あとはタケシかユーリさんとパーティが組めればいいんだけど」


 フィールドで死んだ場合デスペナルティが発生する。これはアバターLvの低下なのだが、パーティを組んでいるとパーティが全滅しない限りデスペナルティは発生しない。パーティを組むことでクエストそのものの難易度も下がる、つまり一石二鳥。


 ……これも例のサイトの受け売りだけどな。


「タケシ、レベル上げ手伝ってくれね?」

 ハリーボルダーことタケシにTELをする。


「あーわりぃ今日はクランのメンバーでダンジョンに潜るから無理だわ。また今度な。あとゲーム内本名厳禁! 俺のことはハリーと呼んでくれ」

「ああ、分かったよタケシ」


 タケシとの会話を終え、ユーリさんと連絡を取るがユーリさんも用事があるということだった。


 さて……どうしよう……一人で狩ってこの前みたいなことになるのはいやだよな……


 こういう時は掲示板使ってパーティ募集しろとか書いてあったな……


『初心者のレベル上げ手伝ってくれる方いませんか? 当方剣士をしております』当たり障りもない文章だけどこれでいいか。


 ということで、パーティ募集掲示板にさっきの文章で投稿をする。数分でID マナchandayo!さんという人からTELがある。


 TELに出るとIDから推測される通りに女の子の声が聞こえてくる。


 まあこんなIDで野太い男の声が聞こえてきても嫌だけどな……


「掲示板見たんですが私も初心者なんですけどご一緒してもよろしいですか?」


「喜んで! 待ち合わせは最初の街の噴水の広場でいいですか?」


「分かりました。そちらに向かいます」


 ということで俺も噴水広場に向かう。


 待つこと数分。


 周囲をキョロキョロとする人影が現れる。


 よく見ると黒髪ロングヘアーの頭にチョコンと猫耳のような物がでている。顔自体はヒューマン族の顔立ちで端正に整っている美人な人。ともすれば気が強そうにみえなくもない女の子。


 あれがマナさんか? アバターは美人だな。などと思いながら俺のハゲキャラで話しかける。


「ひょっとしてマナchandayo!さんですか?」


「あ! あなたがエイジ2525さんですか」

 パッと明るくなった表情を見て一瞬ドキっとする。


「はい! エイジ2525です」

「マナです。よろしくお願いします」


 俺はジーッと頭についている猫耳のような物を見る。


 俺の視線に気がついたマナさんが猫耳をポフポフと触りながら話し掛けてくる。

「これ可愛いでしょ? 課金アイテムなんですよ」


「へぇぇ。何の役に立つんですか?」


「んーただの飾りですよ」


 そんな課金アイテムあるのか。俺もつけて……噴水の水に反射する自分の頭にマナさんの耳を合成してみると恐ろしい物が出来上がりそうだったので課金するのは止めておくことにした。


「グリーンゴブリンの退治ですよね?」

「ええ。そうです」


「私、ギルドでクエスト受注してきているのでこのまま行きましょう」


 よく見るとマナさんの足元にはエメラルドグリーンの柴犬ぐらいの大きさの猫みたいな動物がいた。


 俺が目を丸くして見ているとマナさんがこういった。

「知らないんですか? カーバンクル」


 そういってマナさんはその猫のような動物の頭を撫でる。

「うん。初めて見ました」


「……そうなのよねぇぇカーくんこんなに可愛いのに不人気ジョブらしいのよサモナーって。デバッファーってことでソロで戦うのが難しいからって不人気らしいのよねぇ」


 マナさんは見た目に反してよく喋る。そして初心者とは思えないほどの知識なんだけど……


「マナさんってこのゲーム始めてどれぐらいなんですか?」

「今日の昼頃から始めたわよ。だってエイジくんと同じレベルでしょ?」


「すごい知識ですね……」

「まあ、ずっとこのゲームやりたくて、調べまくってたからね。やっとバイト代が溜まってVRマシン買えたんだよね」


「そうなんですね」

 ということでマナさんとゴブリンの狩りのクエストに向かう。


 カーくんの目が輝くとゴブリンは元気が無くなる。カーくんがゴブリンに対して脱力というデバフを使用したらそうなるらしい。そうなったら剣士の俺は剣でゴブリンを突き刺す。これを繰り返すだけ。


 1時間ほど同じクエストを繰り返すとレベルが5程あがる。



 ちょっと二人で休憩をとり、お互いのスキルの話になる。

「へぇぇ。エイジくんのスキル面白ね。次はエイジくんにデバフを掛けてみようか?」


「それ、面白いかもしれないですね。マナさんのスキルってなんですか?」


「私のスキルは……召喚獣を連れて歩ける……」


「……え?……」


「私のスキルは召喚獣をずっと連れて歩けるスキルなのよ! だって可愛いでしょカーくん」

 とマナさんは顔を赤らめて言った。



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