第3話 ジョブ&フレンド
「それではジョブについて説明します。矢印の方向に進んで下さい」
無機質な声とともに目の前に矢印が表示される。
そのままその矢印のとおりに石畳の上を進んでいくとレンガ造りの剣と剣をクロスさせた看板のが掲げられた建物がある。
矢印はその建物の中に入るように指している。中に入ると結構な数の人がおり、全身西洋甲冑で身を包んだ奴や、獣の皮をまとった山賊?みたいな格好したやつなどそれぞれがいろんな話をしているのが聞こえる。
「やっぱ俺グラディエーターがいいなぁ」
「うちのクラン、タンク少ないんだからパラディンになってよぉ」
「ええぇぇタンクかよぉぉ」
「DPSは足りてますぅぅ」
「っちぇ」
こんな会話が聞こえてくるがなんのこっちゃさっぱり意味がわからない。矢印に通りに進むと女の人がいるカウンターが現れる。
「剣士ギルドへようこそ!」
「はい」
「ここでは剣士関連のジョブに転職することができます」
「そうなんですね」
「あなたの剣士レベルは1ですので、剣士のジョブからスタートです。剣士レベルが30まであがると剣闘士か騎士にジョブチェンジできます。剣士にジョブチェンジしますか?」
なるほど個人のレベル以外にも職業によってもレベルがあるってことか、さっき他の人が言ってたのはこのことかぁ。
「他のジョブもあるんですか?」
「あなたの剣士レベルは1ですので、剣士のジョブからスタートです。剣士レベルが30まであがると剣闘士か騎士にジョブチェンジできます。剣士にジョブチェンジしますか?」
話が噛み合わないんだけど……
「ほ・か・の・ジ・ョ・ブってあるんですか!!」
少し声を張り上げてみる。
「あなたの剣士レベルは1ですので、剣士のジョブからスタートです。剣士レベルが30まであがると剣闘士か騎士にジョブチェンジできます。剣士にジョブチェンジしますか?」
なんだよこれ……
赤く長い髪型のピカピカした鎧をまとった気の強そうな顔をした女の人が話しかけてくる。
「あなた初心者ね。受け付け嬢はNPCだから決められた言葉しか喋らないわ」
NPC? いまいち分かんないけど取り敢えず人じゃないってことか……
「なるほど」
「私はユーリ。一応βテストからこのゲームやってるわ」
ベータテストの意味が分からんけど自慢するようなことなんだろう、適当に相槌うっとくか。
「へぇぇ俺はエイジです」
「あなたの質問は他のジョブはあるかだよね?」
「はい」
「えっと物理戦闘職のジョブは剣士の他に弓士、槍士、拳士、斧士。魔法戦闘職は魔術士、召喚士、神官といったところね。例えば魔術師レベル上げておいて剣士レベルあげると魔法剣士になったりとかそういうものできるわよ」
「たくさんあるんですね……どれがいいのか迷いますね……」
「最初に付与されたスキルは……あっごめんフレからTEL入った!行かなくちゃ」
「いえ助かりました。ありがとうございます」
「フレ投げとくから何か分からないことがあったら教えてあげるからTELしてね」
そういうとユーリさんは空中をピコピコ触っている。
ユーリさんからフレンド申請がありましたという字幕が表示される。
受理しますか?
YES/NO
YESをタップするとユーリさんがフレンドになりましたと表示される。
「それじゃ私いくね」
ユーリさんはそう言うと慌てた様子で走っていった。
「まっとりあえず、剣士でいっか」
カウンターの受け付けのお姉さんに再び話しかけ同じ問答をし剣士になること選択する。
「それでは装備一式をお渡しします。クエストはあちらの掲示板で受注できます」
そういって受け付けのお姉さんは俺のうしろを指す。
剣士装備一式を受け取ったと字幕で表示がされる。
さっそく装備してみる。
装備の項目を開いて、足から順にアバターにドラッグしていく。鎖帷子に鉄でできた胸当て最後にヘルメットみたいな兜をドラッグすると完成する。
全身装備をしたアバターをみる。
これただの雑兵だろ……兵士Aとか言われて名前すら無いやつだわ。
装備画面から出ると、頭の中にチュートリアル子さんの無機質な声がする。
「剣士にジョブチェンジしました。ジョブや装備品によってステータスが変化します」
エイジ2525 ジョブ剣士
Lv1
HP34↑
MP15
ATK 10(4)
DEF 10 (5)
VIT17↑
STR12↑
DEX9↓
SPD7↓
INT10
MND10
SPスキル:感染
ATKとDEFの括弧は装備した装備品の攻撃力や防御力ってことで、この矢印があるところが変化のあったステータスってことね。剣士のジョブでこの装備をしてHPやらVIT、STRはあがるけどDEXやSPDは下がるってことか。
「また、剣士ジョブ専用のWSの使用もできるようになります」
とチュートリアル子が話しそのまま続ける。
「それぞれのジョブLvを上げるにはクエストをこなしギルド貢献度を上げる必要があります。それではクエスト受注してみましょう。掲示板の前に立って下さい」
言われるがまま、俺は掲示板の前に立った。