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Claire  作者: 園田 楓
7/7

Catalina Rercaro 後編

★後編★

 数年後、Michelの酒場は可愛らしい娘がいると有名になった。その酒場は以前の場所とは離れた数年後Edwardの家の管轄地内に建てられた。MargaretとEdwardは結婚前提で付き合い始め、Edwardの家の主人にも挨拶は済ませた。その主人はCavendish家の夫妻がなくなったことを悲しんだ。Margaretにここに暮らすよう提案したが、結婚をしていない状態では入れないとお断りした。社会勉強を兼ねてMargaretはMichelの酒場で働くこととなった。そのこともありこの酒場には平民だけでなく裕福な人たちも来るようになった。

 そんなある日、隣の領地から一人の男が走っていた。

「Anderson様!」

その男は息を切らしながら酒屋にいるEdwardの元へやってきた。

「どうした?」

「先ほど、隣町まで行ってきたのですが、耳に入れておいたほうがいいと思いまして、それに街の方では…その…」

急に口ごもり俯き加減で、頭を掻いた。

「話してくれ…」

そう彼と同じように緊張した顔をした。あたりを見渡したその男は「Margaret様は?」と尋ねた。Edwardは彼女は今日体調が悪くて部屋で寝ていることを話すとその男の表情は明るくなった。

「ここの居場所を知られてはならないと思います。それに…店も…」

首をかしげるEdwardに

「街の方へ行きましたら、誰かを探す張り紙があちこちに貼ってあったんです。Margaret様でした。探し出したものには賞金をやると…」

「それは本当か?」

「はい。それに、あちらの方ではButlerという男が統治している様なんです」

「Butlerが?」

Edwardの他にMichelやNicolasも驚き、互いに顔を見合わせた。Margaretを失ったことをそこまでになって探すものなのか、彼女の両親はGeoffではなく奴が殺したのならば、もうあの屋敷は奴のものなのではないか。

「Margaret様を探している理由…」

Nicolasが手を顎に当て考え始めた。やがて何かを思う付いたらしく耳打ちを始めた。

「Edward、悪いが早めのうちに手を打っておいたほうがいいだろう」

「手を?」

「あぁ、Margaret様やつをCavendish家の人間ではなく君の姓を名乗らせるんだ」

(そうすれば完全にCavendishの人間ではなくなるってことか)

「あちらも探さなくて済むはずだ、他に理由がわからない。当の息子をいいように利用していた奴だ。何が何でもあの屋敷を手に入れたいと考えたのだろう。屋敷のほかに身分も」

そうNicolasは話し終えると、息を切らして走ってきた男にもう一度偵察はお願い出来ないかと頼んだ。

「わかりました、うまくいくかはわかりませんが」

そう言うと腰に護身用の拳銃を挿し、店を出て行った。

「なにかあったの?」

階下が騒がしかったのでMargaretはそっと話し終わるのを確認すると下に降りて行った。

「Margaret、君はあまり降りてきてはいけないよ?」

「え?」

驚いた表情を見せたMargaretに三人の男たちは口々に状況を説明しだした。それでも困った顔をしている所に一人の女が訪ねてきた。


 その女は店の中に入ると「酒は?」と言った。短めに切られたその髪は一瞬男かと思われた。この地域にはふさわしくないようなそう言った服装をしていた。何かイライラしている様で、椅子にドカンと座るとタバコをすかし始めた。

他の人たちはこの異様な女に眉を寄せながらNicolasはMargaretにそっと「上に上がってろ」といった。その小さな言葉が聞こえたようで、その女の耳がぴくっと動いた。

「なぁ、そこの娘。ちょっと顔を貸してくれないか?」

「え?」

階段を上りかけたMargaretは振り向いて思わず返事をした。

「あたしは客だよ、ここには他に女一人いないじゃないか。相談してほしいことがあるんだ」

と言い出した。MargaretはEdwardと顔を見合わせNicolasを見て、Michelをみた。Michelは小さな声で「ここから話すのはどうだ?」とカウンターの自分が立っている側を提案した。だが、その女にはそれも聞こえたらしく「早くここに来い」と言い出した。渋々その女のいるテーブルの迎いに座ると

「私はZaraだ。君は?」

と尋ねてきた。

「Janeよ」

警戒して本名を答えなかった彼女の発言に三人が心の中で拳を握った。それから三人はMargaretの楽しそうな様子を見て、あまりZaraには何も警戒することないと思い、Michelは店の仕事を続け、Edwardは一回自宅に戻ると言い、Nicolasは買い出しに行った。

 Nicolasが店に戻った時、店の雰囲気が変わってると気づいたのはそう遅くはなかった。中に入れば椅子だのテーブルだのが散乱し、Michelの姿もMargaretの姿も見えなかった。あれほどいた客も全くいなく、何が起きたのかと目を見開いて立っていた。

「あぁ、Nicolas…」

ふと後ろから誰かの声が聞こえた。Michelだった。彼は片腕を布で抑えそこからも血がにじんでいた。

「Margaretは?何があった」

慌てた口調でそういうNicolasにMichelは震えながら事の顛末を話して聞かせた。

「あのZaraという女はMargaret様を探していたらしいんだ。彼女と話しているうちに気づいたのだろう。今思えばZaraは召使だったそうだ。こんな形とは違う風でいつもパッとしないような恰好をしていたそうだ」

「…」

「ZaraはJaneと名乗った少女がMargaret様だということは初めのうちから知っていたらしいんです。俺たちがいなくなるのを待っていたようで…」

「そうか…それで?Margaret様は?」

「彼女は二階にいるよ。最初、彼女の手を掴み外へ出ようとしたもんだから私が止めたらこの有様だ」

Michelはため息をついて言った。Nicolasは周りを見渡した。

「ほかにけが人は?」

「自分だけで済んだよ」

「…そうか…すまんな」

申し訳なさそうに言うNicolasにMichelは笑って

「いいや、お前のせいじゃないよ。ただMargaret様は怖がっていてもう外には出たくないと」

その言葉にNicolasは頷いた。まだZaraもButlerもこの近くを彷徨っているだろう。それにこの場所をもう知られてしまった。

「そのほうがいいな。そのZaraという女ももしかしたらButlerの仲間なのかもしれないな。それでここも知られたんだろうし。時間の問題な気がするが…」

「明日になったらEdward様に状況を説明しよう。俺たちだけでは何も解決できないからな」

そう二人は言うと扉に鍵をかけ、営業を早めに切り上げた。Nicolasはドアの前に大きな本棚を何個も置きもし誰かが入ってきたとしても入れないような工夫を始めた。

「Michelさん?」

そっと階段の上からMargaretの影が見えた。Nicolasは笑顔で

「降りてきても大丈夫だ」

と言った。そろりと下へ降りてきた彼女にNicolasは

「店の営業を当分やめるか?」と聞いた。Michelはその答えに

「どうせだったらどこかへ逃げたほうがいいと思うが」と言うとNicolasは手を顎に当て考え始めた。

「あの…」

状況から小さな声で言うMargaretに初めは誰も気づかなかった。

「私…」

その声ではっと顔を上げたNicolasはMargaretの肩に手を置いた。

「つまらないことは考えないで」

「でも…」

とMichelの腕を見ながら俯きがちに

「皆には迷惑をかけたくなくて…私の家の問題を…Butlerは優しい方よ。それに…」

「それに?」

「えっと…親切で…誰かを不幸にさせるなんてことは考えないわよ。さっきはあまりにも気が動転しちゃって外に出たくないって口走ったけれど、本当はそう思っていないわ。…あの家に私は呼ばれているのかもしれないじゃない…」

「…」

Nicolasが何を説得しようか悩んでいると外の様子が騒がしいのが聞こえた。玄関から覗くより窓からとMichelは二人を二階へと上げた。一回の電気は全て消し、二階の窓も明かりをつけないようにと言い聞かせ、三人はそっと覗いた。外には何十人もの男がいた。どれも見覚えがなくここの街の住人ではないように感じた。彼らは手に武器のようなものや農具を持ち、近くを歩くこの街の住人を脅かし歩いていた。通りすがる住人は異様な雰囲気の集団を恐れできるだけ近づかないまいとし、Margaret達と同じように遠くから見ていたり、走って逃げたりと散らばっていた。

「聞いたか、ここに殺人鬼がいるらしい」

「やっつけちまえ」

といった声が不気味な集団の中から聞こえた。

「何かあったのかしら?」

そう聞くMargaretに他の2人も首を傾げた。暗い街の中心部にこの異様な雰囲気の男たちはいつまでも声を荒げていた。


 MargaretはGeoffの話が再び出てくるとは思わなかったと涙を流した。あの不気味な男たちによって大好きなお兄様がこの街では悪く言われていた。あんなに優しくていつも味方になってくれた人だったのに、自分の両親を殺したなど思えなかった。だから群衆たちが亡くなったはずのGeoffを探し出し、死体となったGeoffの墓を探し出し、丁度お参りをしていたMargaret達の元に人々はやってきた。Margaret達をどかし、墓を穿り出しその骨を晒そうという魂胆だった。残酷なことが行われることに我慢のならなかったMargaretは気の狂ったような目をしている人々に大声で

「違うわ!Geoff…お兄様はそんなことをする人ではないもの」

と言い出した。周りの2人が止めようとしたが、大好きな兄のことならMargaretは黙っていられず、怒りは収まらなかった。人々の前に立ち、兄の潔白を証明しようと言い出した。

「何をしている」

とどこからか声がした。長老のように白く長いひげを生やし、腰を曲げたお爺さんがやってきた。そのお爺さんが歩くところに道ができ、敬う様な姿勢を見せた。

「お嬢さんや、わしの土地でなに大声で喚いていたのだ」

どこの誰だかわからないが、土地という発言から偉い身分の人だと判明し、丁寧にお辞儀をした。

「ごめんなさい、お爺様。私、こんな残酷なことをする人たちが我慢できませんでしたの。貴方の場所だとは知りませんでしたわ」

その言葉からそのお爺さんは「残念だが、そのことを命令したのはわしだよ」

「え?」

「昔はここは平和だった。だがその男のせいで平和は崩れてしまった。じゃから二度とこのようなことはするなと言う見せしめだ。いくらその人がお前さんの兄でも、骨になったものはモノとしては変わりない。教養の材料にしたほうが今後の身のためだと思うがね」

その言葉に思わずMargaretは何叫ぶ声で

「いいえ、そうは思いませんわ。それに私のお兄様はそのようなことをしていないわ」

といった。NicolasもMichelも止めに入ろうと加わった時、長老はニヤリと笑い

「ならば、誰だと言いたいのかね?」と聞いた。

「それは…」

Margaretは口ごもった。だがやがてはっと思い出し

「Geoff兄さまが言っていたわ、俺はBu…」

Margaretが言い終わらないうちに強い力でそのお爺さんに口を塞がれた。

「この治安を悪くするようなもの共を連れていけ」

その人は力がヨボヨボではなく力強く、それに誰かの声に似ていた。

(どうして早く気づかなかったのかしら)

三人は馬車に乗せられ、しばらく走った後NicolasとMichelは降ろされた。Margaretだけそこに残され、森の奥深くまでその馬車は走り続けた。

 Margaretが降ろされたところは古い塔だった。罪人が来ると言われている場所で思わず彼女は身震いした。昼間の雲ない日なのにそこだけは暗く、カラスが飛んでいるようだった。早く歩けと言われ縄を撃たれた。中は冷たくひんやりとしていた。あまりの恐ろしさに泣くことも騒ぐことも、抵抗することもできずただ中へ入っていくMargaretは顔を青ざめ眉をひそめた。

 その頃Butlerは誰からにも支持されるほど強い力を持っていた。市民たちからも厚く、誰もが彼以外の有望な男はいないと喜んでいた。それは言葉巧みな話し方のせいだったのかもしれない。彼は人に共感を持たせる話し方を身に着けたのだった。たとえそれが間違っていたとしても、Butlerの話や演説を聞いてしまうと頷かずにはいられないようなマインドコントロールにかかってしまうのだった。それに彼は気に入らないものは徹底的に殺し、力ずくで政治を行ていた。人々は恐怖で楯突くこともできずButlerの思うがままにすべてことは進んでいった。誰も逆らえず逆らったものには死を与える。そうした精神的の圧力によりこの街は黒く邪悪なものへと染まっていった。

 そしていつの間にかMargaretに対する愛は憎いものへと変わっていた。可愛さ余って憎さ百倍というのだろうか、彼は自らの手で殺し、自分のものにしたいと考えるようになった。顔も体も傷つけることなくそれが彼にとっての彼女への愛だった。今までの罪人はその実験に使われたと考えてもいいだろう。恐ろしい男はいつまでも何をしていても恐ろしかった。

 牢屋の中に入れられ、1人になったMargaretは微かに光る小さな窓を見上げ涙を流した。誰も助けに来てくれる人がいないのではないか。NicolasもMichelもあの後どうなったのか分からなかった。愛するEdwardは自分を探しに来てくれるのだろうか。

「きっとそうよ」

彼にかけてみたい。彼はいつも優しかった。愛する兄と同じように自分になにはあるとすぐに駆けつけてくれた。牢屋内での生活は最低限の食事を与えられるだけで今までの生活とは全く違った。ここに来たものは死刑だという言い伝えがあり、いつ殺されるのかわからない恐怖でMargaretは夜も眠ることができなかった。

 何日間そうしていたのだろう。小さな窓だけが昼なのか夜なのかを知らせてくれるだけだった。起き上がる気力もなく僅かなスープのみを与えられ、精神的にも疲れてきたころ

「Meg」

とどこからか声がした。力のないMargaretは声がするほうに顔を向けた。

 そこには死んだはずのGeoffが立っていた。

「お兄様?」

自然と涙が出た。いつも自分に何かあるとすぐに駆けつけてくれた兄だった。泣きじゃくるMargaretにGeoffは彼女を抱き上げ腿の上に座らせた。幼いときにいつもそうして慰めてくれた兄は優しくささやいた。冷たく暗い牢屋はそこだけ明るく暖かい光に包まれた。

「Meg、希望を捨ててはならない。きっと君に迎えがやってくるから。俺はあいつに…託したんだからな」

ますます声を殺して泣くMargaretをGeoffは抱きしめた。彼に体温はないはずなのに温かかった。

「いいことを教えてやる」

「何?」

「Edwardが来ているといったら?」

その言葉を聞いてさらに涙を流した。

「それほんとう?」

「あぁ、俺は全て見ているよ。だがMeg、君が…」

「なに?」

「いや、なんでもないさ。…ほらずっと泣いていると変な顔になるぞ」

おどけた調子で言い出したGeoffにMargaretは思わず笑ってしまった。

「やっと笑った、いつでも呼んでも構わない。Megの為なら必ず守ってやる」

ポンポンと頭を撫でられGeoffは姿を消した。撫でられた部分にはほのかな温かさが残っていた。


 その頃Andersonの軍が隣町に攻めていた。先日見られた夜の人たちはやはり隣町のButlerが統括する場所の住人だった。それから、彼らの凄まじい非行ぶりはやまず、Andersonが統括する街にも影響を及ぼし、治安が悪化して行った。

「Margaret…」

あの日、Edwardはサプライズで様々なことを考えていた。煌びやかなドレスやそれとおそろいのガラスの珠が散りばめられた靴を彼女にプレゼントしようとしていた。それらは彼の屋敷で眠っている。その光はいつになっても消えることなく、光り続けていた。

 馬に乗り、憎い敵の領地へEdwardとNicolas達の軍は向かっていった。

「お供いたします」

Nicolasはそう言ってついてきてくれた。力強い人に助けられ、Edwardは頷いた。彼らの軍は勇ましくButlerの屋敷へと向かった。


 ある夜の日だった。Margaretは等々呼ばれた。手首に巻いた縄を掴まれ、両腕には大きな男が付いた。一つの部屋に連れてこられると白い布で目隠しをされた。

 「あ…」Andersonの屋敷の中であのガラスの靴が音を立てて落ちた。使用人が誤って落としてしまったのだった。その靴は周りについた赤いガラス玉を彼方此方に散らばせ四方八方に飛び散った。あんなにも綺麗だった靴が今となっては光を失ってもう直すことも後戻りのできないように見えた。使用人は涙を流し崩れ落ちた。

 Nicolasは目の前で自分を庇いながら撃たれたEdwardを抱え涙を流した。

「Edward様、どうして俺なんかを…」

「許してくれ、どうしてもMargaretの傍へ行きたいんだ」

「貴方様が生きていなければ…」

「いいや…あれを見ろ。Geoffが顔を背け泣いているんだ…」

そうEdwardは森の中を指さした。Geoffが悲しそうな顔をしてEdwardに何かを訴えていたのだった。

(殺した俺には見えないのか…)

その方角を指さしてもNicolasには何も見えなかった。血を吐き息を失ったEdwardを抱え、Nicolasは馬に乗り他の生き残った僅かな兵隊とともにその場を後にした。

 戦いは大敗に終わった。この街はButlerの政治下にあった。型破りな生活は許されない。罪のない兵隊たちが何人も死んだ。どうすることもできない悔しさと後悔でNicolasは酒場に引きこもった。

「ちょっと考えさせてくれ…」

二人の死は自分の中でもとても大きかった。この街はいつかまた飲まれるだろう。唯一の救いが二つの街にある深い森だった。未だに平和なゆったりとした生活はかろうじてできていた。

 ある日、Michelが買い出しに行ったとき、何やら大勢の人たちが揉めているのが見えた。

「どうしたんですか?」と聞くと隣の領地の人となにやら喧嘩をしているようだった。

「お願いします、ここで生活したいんです」

そう切羽詰まった声があちこちで聞こえMichelは1人の男と話してみることにした。


ふと見ると見覚えのある男が刀や銃を持った人たちとこちらに向かってきた。

「Owen?」

彼は以前Edwardが使いに出したものだった。

「今までどこに行っていたんだ?それにその者たちは?」

「Michel、あまり驚いた顔をするなよ。すべて偵察してきたよ」

「…遅いな。もうEdward様もMargaret様もいないんだ」

「知ってる、俺はそうなる運命だったことも知っているよ。Edward様もButlerに狙われていたよ。過ぎ去ったことは仕方がないじゃないか。だがな、復習をするなら今だってことだ」

「何を言ってる」眉をひそめたMichelにOwenは鼻で笑っていった。

「わからないのかい?この状況が」

そう言って周りを指さすと、隣街の人たちがこの街に入れてくれとしきりに騒いで訴えていた。

「これであちらの味方はほぼゼロに近い」

Michelにでさえも隣の住人が言ってきた。

「…」

「Nicolasは?彼なら話が通じるだろう」

とOwenは言った。

(自分では話が通じないってか)その言葉に機嫌を悪くしながらもMichelは彼らを自分の酒場に連れて行った。

 NicolasとOwenは久しぶりの再会を喜んだ。先ほどの会話をNicolasに話して聞かせると、頷いては見せたが俺は何もしないと言い出した。

「本当だったら反撃したいほどだ。だがな…」

頭を抱えながら言うNicolasに

「いいのかこのままで、もうあちらのことは見えているんだ」

といった。長い説得の末、Nicolasは返事をした。

「これからは君がここの人たちを引っ張っていくんだ」

「それは俺には向いていないよ」

噴水前で演説する前にOwenとNicolasは笑ってそう会話をしていた。

「聞け!この街はかつて平和だった。隣のButlerという領主が納めてからこの街は不幸に見舞われている。今こそ自由を求めて戦うんだ」

ど大声で言うNicolasの周りにはこの街の住人と隣から逃げてきた住人が聞き入っていた。言い終わると聴衆はわっと声と両手を上げNicolasに同調した。


 その話はButlerの元へといっていた。

「どうするんだ?」

傍らに座るZaraがButlerを睨みつけた。屋敷の外には自分たちの行いは間違っていたことを伝えようとする輩が大勢いた。

「ここも終わりだな」

Butlerはポケットからそっと1人の青年の写真を出した。

「Geoff…。俺はどこで間違えた。いつもお前のためにと思っていたが…。だが、自分の身を守るばかりに…」

「いいんですよ、父さん」

目の前に現れたGeoffはニコッと笑った。



ありがとうございました


もしかしたら続きかくかなぁ

Nicolas編とか

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