余波
「総理!」
「バカヤロウ!ここはどこだと思うのか⁉︎騒がすな!」
「大変です、総理!藤原の二人は消えてしまいました!」
「なに!綺礼の反乱の後にはちゃんと監視員を派遣しているはずだ!」
「今捜査隊は既に出発しましたが、服が減少している事から見ると、どこかに行ったと考えています」
「だとしたら一体どうやって監視員から逃げられたのか⁉︎」
「はい、それも今調べていますが……」
「困っているのようですね、総理閣下」
一人の女性は二人の前に来た。
「あなたは……ライラ!」
「誰!?」
「私の事を覚えて頂いで、光栄ですね」
「総理、この人は?」
「あなたはここにいる事は…その件はあなたたちに関わっているって事か⁉︎」
若い事務官は総理に聞いたが、総理は答えない、女子に声を掛けた。
「その通りですよ、総理閣下。前特殊部隊指揮官、藤原信の娘たち、今は私たち、ガーディアンスに入りました」
「そう、そうですか」
「総理閣下!どう言う事です?」
「君は一旦下がってください」
若い事務官は疑問を感じた。この二人が話している事は全く理解できないようだ。
「総理閣下!」
「下がろ!そして余計なことをするな!」
「……はい」
若い事務官が下がったから、総理の目は柔らかくなった。
「可哀想ですね、あの子は」
「ライラ、あなたたちは一体どう言うつもりだ!あの双子の重要性は!」
しかし総理は譲れない事がありそうだ。
「それを聞きたいから私はここに来ました」
「そ、それは!」
「私たちに余計なことをばれたくないと言うなら、今のうちに吐いてくださいね」
ライラの口調は柔らかいけど、迫力が総理を圧倒している。
「いくらあなたは私の恩人とは言え……さすがにそれは……!」
「だからなに?」
「あの方の御意でお察しください」
「そうね、内閣制とは言え、日本は天皇陛下がいますよね」
「この国の為に、汚い手段も必要だ。あの双子の父親は陛下が信頼した護衛だから、交換条件として指揮官を担任させるしかない」
「よくそんな事を女子高生に掛けたわね」
「直系だから、あの方は彼女たちしか承認しない」
「まあ、これから彼女たちは私の生徒になるから、手出しは無用だ」
いつのまにかライラの敬語は消えた。
「あの、なんと言っても私はこの国の総理ですから、もう少し敬意を……」
「あら、あの猛吹雪からあなたを救ったのは誰だったかしら?」
「はい、すみませんでした。あなたのおかげで今私は総理に成り上がることが出来まして、本当に感謝している」
総理はライラの前に少し弱気になった。
「そのせいで私は傷ついて前線に復帰出来なかったけど」
「私で良ければ結婚してください、その責任を取るから」
今はまた単身とは言え、いきなり総理は訳わからないプロポーズをしてしまった。
「相変わらず女性に口説く事は下手ですね。残念ですけど、私は大事な任務を背負っています」
ライラの言い方は回復した。
「それはあなたが言った教育任務なのか?」
「あなたはこの国の総理だから、教えるのは構わないですが、それ以上を聞かない方がいいとお勧めですよ」
「わかりました。しかしこれからこの国は一体どうすれば……」
「もう少しこの国を信じろよ。それに、そんな汚い方法よりいい方法はきっと見つけられますから、頑張ってね」
「わかりました。あの二人はあくまであの方のお気に入りですから、よろしくお願いします」
「大丈夫ですよ、あの二人の保証者は私の可愛い弟子ですから」
「あの赤城の事か?」
どうやら総理はカミトの事を知っているそうだ。
「そうよ、世界を救った私の大事な弟子です」
カミトの事を言ってる時、ライラの目から愛恋を感じられる。それは決して弟子だけではない、それ以上の感情がある事を証明した。
「わかりました」
「では私はそろそろ行くよ、頑張ってね」
「あの、ライラさん!もしいつか休みたくなったら、いつでもうちにいらっしゃい」
「考えとくわ」
来る時と同じ、ライラは風のように行った。
「総理閣下、あの人は一体……?」
ライラが離れた後、若い事務官が帰って来た。
「君は若いけど、事務官としてはかなり高位だよな」
「はい、官房長官補佐官です」
「では君に話しよう、だが他の奴には」
「はい、わかっています」
「彼女はライラ=コーバート、所属はガーディアンス」
「あの噂のガーディアンスですか!」
「そうだ。この世界の管理者と守護者と言えるそのガーディアンスだ」
「まさか藤原の二人は……」
「ああ、ガーディアンスに入った。私の推測だけど、おそらくまた生きているレイヴンの三人も」
「でしたら、追いますか?」
「手出しは無用だと言われた」
「しかしあの方には」
「きっと他の方法がある、先ずは『企業』の撤廃を」
「しかしそれでその金持ちたちには…」
「正式に国から警備員を派遣すれば良いだろ。増やした費用は彼らに出せれば」
ライラと話した総理は、この前と全く違う態度で政務を処理している。
「わかりました」
若い事務官が行った後、総理はウイスキーをコップに注いだ。
「あなたの目から感じた愛恋、思わずあの赤城に嫉妬してしまったぞ、ライラ」
総理は呟きながら、酒を飲んだ。
少し短いですが、よろしくお願いします。




