状況整理
お待たせしました。
「オリヒメ・レカーライヴズと申します」
「カミト・赤城だ、敬語はいらないって事は、そっちも普通に喋っていいじゃないか?」
うん、それは姫様からの要求だ、カミトは姫様の命の恩人だから。
「は、はい、そうだね。すみません、まだ普通の喋り方に慣れてないから。あ、あの、助けてくれて、本当にありがとうございます」
「それは俺の仕事だけだから、無事で何よりだ」
「はい!」
先日の病弱少女はまるで別人のようだ。
「ところで、なんてあなたの名前はアース式の?」
「はい、祖父様から付けてもらった名前ですから」
「祖父…あのエドか?」
「はい、祖父様はアースに聖女様を援軍として連れて帰った事を記念する意味で。それより、カミトさんは裂隙に突入すると聞いたけど」
「ああ、あなたのお爺様と共に」
「どうか気をつけてくださいね」
「また先の話だ。突入する時、こっちでも準備できないと」
「そうだね」
うん、なぜカミトと姫様の会話はこんなに普通なの?相手の身分は高貴なはずだ。シンは和歌奈お嬢様に対してもできる限り敬語を使っているよ。
あ?どうして僕はここにいる?
今日はシンが正式軍団長の仕事を始まったから、あまり僕を構えられない、出勤時間でカミトに預けた。
ちょうどオリヒメ姫が目覚めたから、僕はカミトと一緒に医務室に来た。
拉致された時と比べたら、今はかなり元気になった。
例の取り調べが済んだ後、今は普通の会話をしている。
「そう言えば、この子の紹介忘れた」
カミトは僕をオリヒメ姫の前に抱き上げた。
「可愛い!」
「だろ!この子はヴィク、俺と一緒に姫様を助けたよ」
「ヴィク、ありがとう!」
「ワーッ!」
姫様は感謝の気持ちを込めて僕を撫でた。
「カミトさん、もし良ければ…」
「ヴィク、そろそろ君の帰り時間だ。」
姫様は何か言いたいところで、カミトに止められた。
「ちょ、ちょっと待っでくだー」
カミトは姫様の話を全然聞きたくないようで僕を抱き上げて姫の部屋から離れた。
何ていきなり…
結局カミトは本当に僕をシンの勤務室に連れて来た。
「よ!シン、お疲れさん。邪魔したか?」
「大丈夫、丁度終わったところだ。ヴィク」
シンの両手が広くて僕を呼んでいる、そんなの見たら、飛び込んでしかないだろ。
「てっきりもうちょっとその姫と一緒にと思ったが、何かあった?」
シンは僕を撫でてながら、自分の腕時計を見た。
そう言えば、その腕時計を見たクロエは驚いた。この世界の時計はかなり大きな物だそうだ。
「おそらく自惚れかもしれないけど、それ以上あの子と関わったらいけない気がする。そして政治的に中立とするって、凛から発令された」
「お前ほどの狙撃兵がそう言ったら、多分そうだろ」
シンはすっかりカミトの狙撃兵として信頼していた。
「すみません、何かあったんですか?」
クロエもいる。それもそうだろ、何も分からないシンの為に、副官のクロエの存在は不可欠だな。
「そう言えば、クロエはレカーライヴズ人だったな」
カミトはクロエの出身を言った、少しなぜそれを知っていると考えたが、レッドのカミトたちには既にそんな情報まで集めたのも怪しくない。
そう言えばエドの息子であるレカーライヴズ王夫もレッドと言ったな、紛らわしい。
「凛の予想だけど、エドは何かを通って俺らと関係を持ちたいかもしれん」
「それって今度の事件はちょうど利用できるって事?」
シンはカミトの隠し台詞を察した。
「それは『俺は姫を救った王子の役、自然で姫と一緒のも怪しくない』ってことだ」
「でもそれは何かのメリットがありますか?」
クロエは理解できないようだ。
「一番の意味はレカーライヴズは友好な態度を示しているんだろう。貫雷魔剣の力を見たら、俺だってそんな事をする」
シンの説明によると、どうやらエドはカミトと貫雷魔剣の戦闘力を見たから、セラフィーブリンガースの実力を気づいた。
「うん…エド様なら、そんな事でも平気にできる人ですね」
「おう?」
「エド様は王家導師ですから、国に有利なことはいつも他人より未来を見えています」
「クラナド人なのに?」
「確かに血縁から言うとクラナドはエイルとカノンに近いですが、レカーライヴズ先王ネックライ陛下から当時は王女だったのリズ女王をエド様に頼んだから、エド様はリズ女王を自分の娘として教育している。それはレカーライヴズ人なら誰でも知っている事です」
「一つ聞きたいことがある」
カミトが何かを考えているようだ。
「はい、なんでしょうか?」
「織姫の兄弟、何人がいる?」
「はい、一番上のはライド王子殿下、織姫殿下はその次です、あとはラーナー王子殿下とリリズ王女殿下です」
「一般的には一番上の人が王位に続くのか?」
「はい、そうです」
「つまり王位に関係薄いか」
カミトは何か納得したようだ。
「ところで、お前の仕事初日はどうだ?」
話が一転、カミトはシンと普通の会話を始まった。
「不満な奴とちゃんと格付けさせた、今の軍団は完全に掌握できた」
うわ、軍団全員は千人いるよね、それを一日で掌握できた、シンは凄い。
「なーに、実力で通用できればそれは簡単だ」
「私も驚いたよ、まさかこんなに早く軍団を掌握できた。シンは凄い!」
クロエの感想は直接シンへの好感を感じられる。
「それでは、俺はそろそろ帰らないと」
「暇ではなかったか?」
「艦内の仕事はないけど、凛から周りの情報調査を頼まれた」
「そう言えばそうだったな。姫様の方は大丈夫か?」
「生理的にはもう大丈夫だ」
「つまり心理的にはまた問題があるってこと?」
「一度に拉致されたからきっと多少影響があるはずだ」
「もしそうなったら、姫様にとって英雄のカミトさんは責任を取らないといけないと思いますわ」
クロエもすっかりカミトに慣れていたようだ。そう言えば、カミトも長官なのにちっとも長官のポーズがない。
「俺はえりなだけでいい、それに俺の娘である桜より年下の女の子は対象にするわけがねえだろ」
「しかし、オリヒメ様はもう十七歳になっているはずです、もう立派な結婚年齢だと思いますよ」
クロエの話によると、その姫様はもう結婚できる年齢だ。でもさっき、カミトは娘である桜はその姫様より歳上だと言った?
「ちょっと待っで、お前は俺と同じ三十五歳だよね」
「そうだが何か?」
「桜は?」
「十九だ」
シンは僕が気になるところをカミトに聞いた。
「つまりお前とえりなは十六で桜を産まれた事か!」
「…そうだが何か?」
カミトは少し考えて答えた。
「いくらでも早すぎじゃねえか?」
カミトは答えなかったが、表情は険しくなっていた。




