黒い光
お待たせしました
「改めて自己紹介させてくれ。俺はエーカー=D=ルーン、ファンス皇国の騎士だ」
「雅=藤木です……いいえ、ここはミヤビ=ザ=アジアと名乗らせていただきます」
「……確かにあのジェナーダと言う者もザ=アフリカと名乗った。つまり君も彼女と同じ王に管領の事を任されたと言うのか?」
「はい。私はジェナーダ卿と一緒に陛下の試煉を合格できたから、騎士を任命されました」
「なるほど」
エーカーは雅をしっかり観察していた。鍛錬した体に見えるが、エーカー自身やチャルスのような騎士と言えるほどと思えない。
「つまりあの槍のお陰か」
エーカーは少し考えたら、目線はクーフーリンが残した槍に向いた。
「はい。この槍がなければ、私はきっと騎士になれませんでした」
あの槍の凄さ、実際に対戦したエーカーは凄く理解している。そこまで考えたら、エーカーは下意識で自分の左胸を触れる。
しかしまさか雅が素直に自分の弱さを承認した事、エーカーは少々意外な顔になった。
「自分の弱さを知るなら、君はまた強くなれる。俺が保証する」
「ありがとうございます。それより、この世界には沢山の国がありますが、ファンス皇国と言う国は聞いた事ありません」
エーカーの言葉に微笑んで頷いたから、雅は質問した。
「ああ、赤城の奴の話によると、どうやら俺らは異世界からやってきたそうだ」
「ええええええええ!?」
まさかエーカーは異世界から来たの者とは、予想はしたが、まさかこれほどの強さを持つとは予想しなかった。
「まあ、そんなに驚くのも仕方ない。何せ、今の俺もあまり実感がないんだ、王と対戦したまでに、な」
エーカーはやれやれって肩を竦めた。
「しかしなんて臣下でもないのに、陛下の命令に従ったの?」
「あのお方が見事に完膚なきまでぽこぽこさせられたからだ」
「え?」
王の強さをよく知っているとは言え、さっきあの古の英雄クー=フーリンでも互角できる剣技を見せてくれたエーカーが全く歯応えがないなんて、雅は全く想像できない。
「よく見れば、これは相当な悪趣味だな。他人の失敗を自分の誇りとして飾るなんて」
エーカーは改めて周りを見た。
「でもさっきあなたも言ったでしょう?王が自分の功績を展示するのは当然な事って」
「ここの治世に必要が有ればの事なら。まあ、今回みたい描いた本人が蘇るのは滅多にない事だな?」
「英霊の召喚は陛下に禁止された今、普段ではありえないの事です」
「だろうな」
「では他の場所を助けに行きましょう、ご協力ください」
「それは構わないが、君はもう大丈夫か?」
「はい、おかげさまで無事に済みました」
雅は重く頷く、エーカーは雅の意志を感じた。
「わかった、じゃ行こうとするか」
「はい!」
エーカーは雅を引き上げたから、雅とエーカーは他の場所を助けに駆け出した。
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あ、みんなさん、こんにちは、ポメラニアンのヴィクです。
エーカーとその英雄クー・フーリンの戦い、実に戦慄でした。まさか心臓が貫けられても治せるなんて……いくらその血狼ウイルスで自己治癒能力を高まったとは言え、流石にこれはやばすぎだろ?道理でカミトはエーカーの対策会議を行なったわけか。
「ウイルス?つまりあの奇跡のような治癒能力は人為によるものですか!?」
和奏妃殿下がその疑問を持つのも当たり前だから、僕は僕が知る事を妃殿下に教えた。
しかしこれは驚いた。まさか妃殿下はウイルスの事を理解できるなんて……
「サタンの遺産を継承したアースと比べられませんが、このアルスも陛下の管理の下で、それなりの科技が発展してますよ」
えっと、剣と魔法の世界で科学による科技が発展するなんて、なんか変な気がするよね。
「今更ヴィクくんがそれを言うのですか?ヴィクくんがいるアースも聖女や神龍がいるではありませんか?」
そう言えば確かにそうだね。正確的には、お嬢様たちはザッドの聖女ですけど、今はアースに戻って普通に生活している。
あ、言われてみれば、お嬢様の月の聖女と妃殿下の月光聖女、似てるよね?
「……聞けばそうなりますね。しかし、私の月光とヴィク君のお嬢様の月、根から全く違いもののはずですよ。ヴィク君のお嬢様の月はおそらく星の衛星を指す事だろ。しかし私の月光は夜の代名詞であり、過去の象徴であります」
過去の象徴……?それは大袈裟すぎない?
「陛下の隣に居られる為に、星辰の女神様に賜われた力です」
星辰の女神……?
「ええ。創世の女神の一人で、朝と夜、そして時間を司る女神です」
あ!思い出した!カミトたちと一緒にザッドからアースに戻る途中で会ったあの方、確かにミヤビと言う星辰の女神って紹介してくれた!
「ええええ!?ヴィク君は既に女神様と会ったの!?」
ええ。あの時女神様はリジルザックスをカミトの三人目の妻として勧められたよ。
「まさか妻が三人もいるなんて……」
初めてその事実を知った和奏妃殿下はこの前の王と同じ信じられない顔を見せてくれた。うん、やっぱり夫婦だね。そんな顔はそっくりだ。
「そ、そうなの?」
妃殿下は少し恥ずかしいのようだ。でも頬が赤くなったから、妃殿下はどれほど王の事を愛してるが見える。本当に王が幸せ者だね。
僕の話を聞いた妃殿下の頬は更に赤くなったから、妃殿下は自分の顔を塞いだ。
「それより、あのチャルスさんが持つのも神龍の鱗から変化した槍なのですか?」
妃殿下は自分の恥ずかしさを耐えられないようで強引に話を変えた。
えっと、エーカーの大太刀やシンのゲッカビジンと共鳴しているから、間違わないはずと思う。
しかしせめて僕がアースにいる今、そう言う情報は聞いてないよ。まあ、黒なら多分知愛さんとソムプト様だろ。
「千英!?」
いやいや、読み方と外見は全く同じですが、漢字の書き方は違いますよ!
「なるほど。まあ、ヴィク君のお嬢様は私とそっくりだったら、千英姐とそっくりの人がいるのも怪しくありませんね。そう言えば、初めてシンさんと出会った時、彼も千英姐を見たら驚きましたね」
千英姐?
妃殿下の口から予想外の呼び方を聞いた。
「ええ。千英姐は私が小さい頃から私の世話役を担当した者です」
そしてそんな者は王下騎士だけではなく、王宮総管にも担当している。つまり妃殿下は元々お金持ちですか?
「私の実家はただの神社ですよ。まあ、それなりの大きさを持つ神社ですけど」
いやいや、それは十分お金持ちと言えるよね!?
「黒い車とかで登校した事はありませんよ」
あ、お嬢様が卒業する前に、いつも黒い大きな車で登校したようでシンが言った事がある。
「しかしエーカーさんはあんな強い炎の地獄を作れたのに、陛下やクー・フーリンとの戦いに使わなかったのはどうして?」
『それは、彼らの武者としての誇りだ』
突然、この空間にまた誰がやって来たように光が女子の形になった。
「モ、モルカイデアーザン様!?」
僕はまだ反応してないうちに、和奏妃殿下が慌てて立てた。
「いいよ、いいよ。和奏ちゃん、もっと楽にして、ね。適当に腰をかけろよ」
「あ、はい」
女神様から座ってのジェスチャーを見たから、妃殿下は再び座った。
「例えあの炎の地獄を再現したとしても、ギルガメッシュに通用できないって事、和奏ちゃんがよく知ってるよね?」
え!?いくらなんでも強すぎるだろ!?王は!?
「だから私たちは彼を第一の神剣使いに選んだよ。しかしそんな彼はまさか和奏のために怒ったとは、さすがに予想外だったよ」
おそらく僕の考えを見抜いただろ。女神像は僕を見て答えた。
「よ、予想外だったのですか?」
和奏は少し驚いた。
「彼が他の英雄たちを圧倒できたのはその力だけではなく、徹底な冷徹の性格も原因の一つだったよ。原初のギルガメッシュは今よりずっと無情かつ残酷な人だったよ」
あ、まさかあの謁見庁に飾っている絵も…
「いいえ、それはないはずです。だって、今の王宮は王が私と結婚した後に建てたものですから」
「そうよ、ヴィクくん。だからあの絵は自分の勝利を自慢するためのものではない、むしろそれはギルガメッシュが自分への戒めの方が正しい」
えっと……一体何かあったから王がそこまで変えたの?妃殿下との出会いか?
少し考えた後、妃殿下は自分と王の過去を語り始めた。
「……私と王の出会いは、私が高校二年生だったの時でした」
え?王が高校!?
「疑うのも仕方ありません。これはあとで王から教えていただいた理由ですが、とりあえずあの時の王は民の生活を理解したかったのですから、自分が高校生を偽装して、高校生の生活を体験した」
いくらなんでも王だよね!?しかも古の英雄だよね!?目立ちすぎません?
「もちろん目立ちすぎましたよ!遥か昔の神様が制限なく作った完璧な存在のせいで、私はどんなに頑張ったとしても、永宮式を勝てなかっただけではなく、追いつく事すらできませんでしたのよ!」
珍しいに、妃殿下から大きな感情の波動を見えた。
ちなみに、その永宮式ってのは、あの時王の偽名だったのようだ。
「和奏ちゃんは苦労だったね」
女神様は微笑んで和奏を見ている。
「俺様もだぞ。そうやって俺様をライバルと見て、一生懸命追いつく奴は初めてだから、つい、興味が生まれた」
あ!王!?
「久しぶりだね、ギルガメッシュ君」
「確かに久しぶりだな、星辰の女。この空間まで来られたなんて、よっぽどの暇じゃねぇか?」
女神様は王に声を掛けたけど、王の返事は相変わらず無礼だった。
「ギーーーーむかつく!これ以上無礼をしたら、あのお方にお前を消しちゃってもらおうぞ!」
「やってみるがいい」
さすが星の王者と言うべきだのか?女神像
様の威嚇に、王は全く恐れない。
あの!?僕の夢の中で喧嘩しないてくれる?
「夢?そうか、まだ気づいてないのか?」
え!?なになに!?
僕は王をじっと見てるけど、しかし王は沈黙のままだけ。
「今の話を忘れて頂戴」
女神はうっかり言ってしまいではありませんの目でギルガメッシュを睨んでいる。
ええええ!?僕は一体ーー
「ただのポメラニアンですよね」
妃殿下は僕をふとももに置く、撫で撫でしてくれた、わいー!
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「みんな!お早く!」
瑛は大きな声で王宮の避難を指揮している。当然ながら、そんな大きな声で叫んだら、滲み出すものの注意を引かれてしまった。
「殿下を接近する事をさせると思うか!」
チャルスは槍と盾を構えて、瑛を滲み出すものの攻撃から防げている。
ギルガメッシュと対峙した時とは違う、今チャルスのランスは、黒の中で毒腺と考えるようなものが流れているようにはっきり見える。
「その槍、父上陛下と戦った時と違うよね?その毒腺みたいな不気味なものはなんだ!?」
まさかチャルスは王に手加減したとは、瑛は戦慄した。この男は一体ーー
「手加減なんかするわけが無かろう!それに、あのお方に借りた力を使おう方が失礼だろ!トリャアアアアアアアアア!」
一気に三匹の猟獣型が瑛に跳んで襲いかかって来た。チャルスは白い盾で瑛の安全を確保しながら、ランスで異種を一掃できた。
そして瑛はしっかり見えた。チャルスのランスの中にあるのは、強力な融蝕液のようだ。異種がランスに捌かれたところは溶けたから見ると、もしギルガメッシュとの戦いはこの力を使ったらーー
「いや、それでも父上陛下に勝てないよね。私の実の父、英雄エンキドゥの記憶によると、父上陛下たちのような初始の英雄たちは、肉体自身の固さだけではなく、異常耐性もありえないほど高く持っているのようだ」
「それはともかく。俺としては、自分の力で勝てなきゃ意味がねぇからだ!」
今度チャルスのランスはちょっと大きな異種を貫いた。
「あのエーカーもこうだったかな?あ!避難はこっちよ!」
新しいやって来た王宮の人に、瑛は避難方向を導いた。
「さすが殿下!こんな大勢な滲み出すものにも恐れないとは……!」
王宮の職員だから、瑛を知るのも当然な事だ。だから自然にここの異種を倒したのも瑛だったと勘違いした。
「い、いやー」
瑛はチャルスのために弁解したかったけど、チャルスに阻止された。
「そんな事今はどうでもいい」
「し、しかし!」
チャルスは口で答えてない、更に両機の猟獣型異種を倒した。それを見た瑛はようやくチャルスが言いたいことを理解した。
「避難はそろそろ終わりそう、もうちょっとだ!」
「危ねぇ!」
ドンガン!
チャルスは急いで瑛を引いた後、強烈な雷撃が瑛がいた場所を命中した。
そして焦げた煙の中から、一人が現れた。
「気をつけて!彼は……英雄です!」
瑛の注意を聞いたから、チャルスは臨戦態勢に入った。
「ほう……俺が英雄って事を一目でわかるとは……この懐かしい匂いは一体……?そうか、あの泥野郎の娘か?」
「私はギルガメッシュ陛下の第一王女、瑛=ザ=アンタークティカだ!」
「ギルガメッシュ陛下だと……!!」
ギルガメッシュの名を聞いたから、英雄も一気に怒るようになって、自分の得物を瑛に襲いかかって来た。
「きさまの相手は彼女じゃねぇぞ!」
チャルスは英雄の斬撃から瑛を守った。
そしてチャルスは盾で英雄のバルティシュのような兵器を横に捌き、自分のランスで英雄の左腕を貫いて斬り落とした。
「まさか英雄をそんなあっさりーー」
ギルガメッシュの時はほぼ完全に圧倒されたから、チャルスは凄いってわかっていても、瑛は依然心の中のどこかでチャルスを軽蔑している。
「クソ!きさまごときにーーー」
英雄は右手でバルティシュをチャルスに猛烈な攻撃を発動したけど、その攻撃もチャルスの白い盾に防げられた。しかも防げられただけではなく、瑛は見えた、そのバルティシュは凍った。
(まさか、その盾も特殊な能力を持つじゃないよね?)
「きさまは一体なんなんだ!俺様はーー!」
彼の話は中断させられた。その原因は、チャルスのランスは彼の口から貫通して、頭から溶けた。
その様子を見た瑛は思わず気持ち悪すぎて吐いた。
「大丈夫か?」
チャルスは周りの安全を確認しながら、瑛を慰めてみた。しかしチャルスの口調は相変わらずに平気だそうで、瑛はちょっと怖くなった気がする。
「いや、ただあなたの戦いを見たから……」
瑛は考えもしなかった。まさかチャルスは迷いなくそんなやり方で相手を殺したなんて……
「やるなら確実に。俺はもうあの日のような慢心をしないと決めた」
瑛がチャルスから答えを貰った同時に、チャルスが槍を英雄の心臓に貫く、もう一度槍の中にある融蝕液を放出し、英雄の胸はあっという間に溶けてしまった。
頭は既に潰されたから、悲鳴ですら上がれなかった。
「あなたのやり方はいつもこんな風に残忍なの……?」
瑛は全く信じられないの目でチャルスをじっと見ている時、別の声が答えた。
「だからこそあいつは『死を呼ぶ騎士』と呼ばられているわけだ」
「殿下!ご無事で何よりです!」
エーカーと雅は猟獣型異種を捌きながら、瑛とチャルスのところに来た。
「エーカー!?そして雅!?なんて君たちは……?」
「エーカーさんは何故か復活したクーフーリンを倒しましたから、私と一緒に増援しに来ました」
「ええええええええええ!?あのクーフーリンを倒したと言うの!?」
さっきの無名英雄とは違って、クーフーリンは紛れもなく大英雄に違いない。そして既に死んだはずのクーフーリンは英霊として現世した事があったから、瑛はある程度クーフーリンの強さを認識している。
「そうか。そっちもうまくいけたのようだな。と言いたいのだが、どうやら実は間一髪の状況だったな」
雅は気づいた、チャルスの視線はエーカーの心臓位置の服にある穴をじっと見ている。
「やっぱり瞞せねぇのか?正直、血狼の力でなければ、俺は既にあいつの槍に殺されたぞ」
「ま、まさか槍が奪われたの!?」
エーカーの話を聞いたら、瑛は緊張な表情で雅を質問した。
「はい、私の力不足です。申し訳ございません」
「俺があいつを倒した後、あいつからその槍を雅に譲ったぞ」
「そ、そうか、ならいい。雅も彼と因縁があるから仕方ないわ。無事でよかった。これからも精進しなさい」
さすがにあのクーフーリンを倒したエーカーに、瑛は悪口ができない。
「はい……!」
「間話はここまでにしよう。新たな客が来たぞ」
チャルスは槍と盾を構えたを見て、エーカーも凰翔の構えをした。
そして空から降りて来たのは、頭がない巨大人形であった。
「その模様、間違いなく時雨のやつが巨拳型と呼んだタイプに違いないはずだが、俺が倒したのは手が二つだけだったぞ」
「つまりアースで遭遇したものより更に進化する姿って事か?これどう言う事だ!?今まで遭遇したのはアースより旧式なものだったと聞いたぞ!」
「つまりやつらも何かの原因で更に進化した事だ!」
「ど、どうしよう!?」
アースのより更に進化した姿と聞いたら、瑛はとても心配かつ慌てるのような顔になっている。
「第一王女よ。こう言う時はな、俺たちにやれって命令すればいいのだ」
チャルスの冷静さは別の意味で瑛を恐怖を感じさせられた。
「その通りです、殿下」
雅もチャルスを賛成した。クーフーリンと対峙した弱気な面影はもう見えない。
「し、しかし!更に進化したと言ったら、つまりそれは全く情報がないって事だよね!?ヴィレッタがあなたたちを招いて入れたのもあなたたちが持つ対応経験の為のはずだ!」
「なるほど、彼女がそう言う算段だったか。まあ、そんな事より、命令するか?王女様よ」
「でも勝算は……」
誰が見てもわかる、瑛は全く把握がない。
アルスの南極もアースと同じ、温度が低くすぎて、あまり住む人がいない。だがこの世界の魔力は不明の原因であそこに集中しているせいで、魔物が良く現れる場所になってしまっている。
だからギルガメッシュは亜沙に次の実力を持つ瑛を南極の管理者に任命した。
瑛はあの英雄エンキドゥの実娘だから、アルスにいるどんな魔物でも彼女に敵わない。
しかし「滲み出すもの」なら話は別だ。
滲み出すものは生命が持つ負の意識から生まれたものだ。聖魔の女神はできる限りそう言う負の意識を抑えたいけど、正の意識が多すぎになると、それも負の意識になってしまう。
アルスの南極の生命体が少なさすぎるから、滲み出すものが生まれる事が滅多にない。だから瑛は極めて滲み出すもの、即ち異種に対する経験が極めて少ないと言える。
だから瑛は滲み出すものと対峙する時は本能的に恐怖を感じさせられたのも仕方がないことだ。
「そんな事はどうでもいい!お前も英雄の娘だろ?ならばこう言う時に、英雄こそ一番前に立つべき者ではないか!?」
チャルスが激問しながら、そんな化け物と対峙する構えに、瑛は眩しくと感じた。
(そうね、それは英雄と言う者なのね……)
それを悟った瞬間、瑛の顔も凛々しくなった。
「第一王女、瑛=ザ=アンタークティカとして命じる、我らの世界を守りなさい!」
「「Yes!Your highness!」」




