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無界必中の赤炎

お待たせしました

 王城の謁見庁の周りの壁には、色んな絵を飾っている。


 その絵の内容は、何千年前王が英雄たちを倒した場面を描いている。


 「そうか……この瞬間はこうやって記録されたのか……?俺たちとの戦い、今もお前を讃える讃歌になっていると言うのか……?」


 一人の男はその絵を見ながら、静かな怒りを感じられるほど呟いている。


 「なんて……!?」


 ふっと人の声が響いてきた。男が声の方向を見たら、絵を見た時より深い怒りが起こした。


 声の主は一人の少女だった。しかし少女の手にある槍は、男が自分の為に作った槍であった。


 「それはこっちの台詞だ!なぜあの槍はきさまの手にある!?」


 見間違いはずがない。あの槍は男の半身だから、感覚だけでも見つけ出せる。


 「まさか忘れたの!?私の事……」


 「はん?知らねぇよ」


 男は嘘をついてない、目の前の少女に関して、男には本当に知らない。


 「なんて!?私は(みやび)だよ!この槍もあなたが私に残してくれたのよ!?」


 泣きそうな口調で、雅は自分と男の過去を語っていた。


 「ペラペラって、知らん事は知らん!」


 自分の物を取り戻す為に、男は槍に手を伸ばした。


 「ダメ!」


 少女が大きく跳んで、男の手を回避した。


 「だから返せって」


 男も急遽跳んで少女を追いつける。


 「なんて私の事を……あんなに一緒だったのに……」


 男は理解できない。彼にとって、目の前の少女はただの他人にしか認識してない。それに、自分の槍を他人に与えられるのはただ一人ーー


 「そうか、これもきさまの仕業か!ギルガメッシュ!」


===================


 エーカーがギルガメッシュの指示通り、謁見庁に到着した時、あそこは既に戦いが始まっている。


 一人の少女は槍を構えて、一人の男と対峙している。


 「おい、さっさと俺様の物を返ろよ!」


 男は女子の槍を掴みたいのようだが、少女は男の意図を予測したようで、うまく避けた。


 (これはどう言う状況……?それにさっきあの野郎の手が槍に近く時、槍は震えていたようだ……)


 「もし、あなたは本物の彼だったら、私のことを覚えているはず……」


 「しつこいな、きさまは!」


 どうやらこの二人にはなにかの因縁がありそうだが、片方は全く記憶がないと言ったら、この因縁もなかったことになった。


 「そんな……」


 少女はとても悲しそうな顔になって、涙が床に落ちた瞬間。


 「はっ!」


 その刹那の隙を掴んだ、槍は少女の手から離れて、男の手に入った。そして男が槍を握った瞬間、槍からとても不祥そうな炎が流れてきた。


 「セタンタ!」


 少女は男の名を呼び出したが、男はその名を聞いた瞬間、とても嫌そうな顔になって、嫌悪な目で少女を睨んでいる。


 「その名で俺を呼ぶな!」


 目の前の少女は自分と何か因縁がありそうだが、彼女はギルガメッシュの部下に違いない。それに自分の槍を返さない瞬間、彼にとって、少女は敵にしか認識できない。


 敵ならーーーーーーー


 もう躊躇がなく、男は素早い速さで槍を少女の心臓に刺そうとした。


 キャン!


 「じゃ、お前の事はどう呼ぶがいい?」


 槍が少女を貫くそうな時、エーカーは大太刀でその刺撃を防げた。


 「てめ、何者だ!」


 「あなたはーー」


 どうやら二人はようやくエーカーの存在を気づいて驚いたようだ。


 「エーカー=D=ルーンだ。ギルガメッシュ陛下の指示に従って、ここを援護しに来た者だ」


 「ギルガメッシュだとーー!ならばきさまも死ね!」


 どうやら王の名は男の怒りと殺意を更に起こしてしまったようだ。男はチャルスに劣れない槍の攻撃技を次々とエーカーに襲えて来た。


 「おいおいおい、せめて名乗ったからだろ」


 男の槍を防ぎながら、エーカーは男に声を掛けてツッコミしてみた。


 「クー・フーリンだ!この男がお前を殺した、よく覚えろうよ!」


 「確かに素晴らしい槍捌きだ……が、俺はもっと凄い奴と戦った事があるからな!」


 キャン!


 今回の刺撃、エーカーは大太刀で偏移させた。


 この世界の普通の大太刀だったら、英雄の槍を防ぐはずがない。なのにエーカーは防げた。


 「てめ、その刀は何物!?この俺様のゲイ=ボルグを防げたと!?」


 「ただの神龍から賜われた物だ」


 エーカーの答えを聞いた瞬間、クー.フーリンは少々意外な顔をした。


 「てめーーーー!」


 今まで守勢だったが、クー・フーリンの隙を見て、エーカーは攻勢を展開した。


 エーカーはゆっくりと着実な足取りでクー・フーリンを近くなっている。


 この間、エーカーの大太刀はずっと横の構えをしている。クー・フーリンもバカではない、これはエーカーの罠だとわかっている。


 「そっちが来ないと、こっちから行くぞ!」


 エーカーの大太刀の蒼い刃は嵐より早いの速さで凰翔斬艦撃をクー・フーリンに放った。


 だがそれを見たからクー・フーリンも動き出した。エーカーの大太刀が彼に届く前に、クー・フーリンの刺撃は既にエーカーの頬を掠った。


 「きさまの憎らしい頭を貫くつもりだったが、よく避けられたな」


 クー・フーリンの刺撃を避ける為、エーカーの凰翔は完成できなかった。


 「まだ終わってねぞ!」


 今度クー・フーリンの刺撃はまるで雷霆のように、さっきよりさらに一段増えた速さと猛烈さでエーカーを襲いかかってきた。


 エーカーはそれを対応する為、自分の大太刀で槍をガードした。しかしその衝撃もエーカーの手を震えられている。


 それでもエーカーは依然しっかり立っていて、大太刀を体の横位置に。


 「破られた技を執着したら、俺らの時代では死の意味だ!」


 クー・フーリンはまるで蛇のように槍を振る舞って、槍が空気を貫く声が響く。この瞬間、エーカーも斬撃を放った。


 「なに!?」


 今回エーカーはただの横斬りではなく、斜め上方へと一閃の斬撃を放った。


 その一撃はクー・フーリンの手の位置を捉え、クー・フーリンの右手の指二つを斬り落とした。


 「終わってねぇぞ!」


 今回はエーカーがこの台詞を言い出した。雅が見たのは、斜め上方から強引に逆方向に斬り戻そうとしたエーカーだった。


 それからクー・フーリンは変化自在な槍技を繰り出している。少女から見れば、どれも必殺レベルの攻撃に間違いないけど、エーカーはそれぞれ対応して、色んな斬撃でクー・フーリンの槍を反撃できた。


 (まさかあのセタンタと対等に戦える存在は陛下以外もいるなんて……)


 雅は王立学院を入る前には長刀の使い手だった。しかしある因縁で、彼女はクー・フーリンとクー・フーリンを召喚できた人類(ノーマン)の魔法使いの少女と出会った。


 それからいろんなことがあって、雅はクー・フーリンから槍を習いだ。しかしそのクー・フーリンは滲み出すものから雅を守る為、己を犠牲した。


 その魔法使いの少女は全てが雅のせいにして、クー・フーリンの槍で雅を殺そうとした。


 (お前はまた戦える)


 その憎らしい怒りは魔法使いを滲み出すものに変化させて、雅を襲いかかってきた。


 その瞬間雅の耳が聞こえたのは、槍自身の声だった。


 雅はクー・フーリンが残した槍を手に握って、槍の力で化け物を勝てた。


 なのに今槍の元主は自分の事を知らねぇって、雅の心はまるで大きく裂いている様になっている。


 だから涙が流れてきた。


 だからクー・フーリンと対等に戦えるエーカーを見て戦慄して。


 クー・フーリンの強さ、この謁見庁の絵を見たら、誰もわかる。そしてそんなクー・フーリンを勝てた王の強さも。


 「まさかこの俺様の速さを対応できる奴がこの時代にいるとはな」


 「ギルガメッシュはお前より余裕があったぞ」


 「なんだと!」


 どうやらこれはクー・フーリンにとっては禁句のようだ。エーカーのの言葉を聞いた瞬間、槍の速さはさらに増えた。


 「よっぽどあいつを恨んでいるよな」


 クー・フーリンの反応を見たエーカーは、わかるような顔で頷いた。


 「当然な事だ!周りを見ろ!」


 エーカーの反応を気づいてない、クー・フーリンは安全の距離で自分の槍を止めたから、エーカーも一歩下がった。


 そしてクー・フーリンの言葉に、エーカーはようやく周りの絵を気づいた。


 「ギルガメッシュは英雄が争った混乱の時代を終わらせたと聞いたが、まさかここにある絵は……」


 「ああ!あいつが俺らを倒した場面だ!これで俺らの怒りを理解できるだろ。さらに俺の槍をこんな小娘に与えるなんて….!」


 クー・フーリンの話に、雅はもう一度涙が出た。


 「そうか。理解できない話でもないが、自分の栄誉と功績を讃えられたいのも当然な事だろ」


 エーカーは絵の中に、クー・フーリンが負けた姿を描いた絵を見つけ出した。


 「こんな汚いやり方、誰かが賛成する?誰かが認める?誰かが喜ぶ!?」


 外の雷鳴が強くなっている。クー・フーリンの槍とエーカーの大太刀はさらに数十回叩いた。槍と刀が交錯する姿はまるで外の雷鳴を答えているようなシンフォニーになっている。


 ふっとクー・フーリンは体を低くして、強く勢いで槍を刺し出す。それは一撃だけではなく、エーカーの胸、腹、喉を狙い三連撃であった。


 この瞬間は雷鳴が閃いたせいで、エーカーの反応は一歩遅れたが、本能的にこんな状況に最適な剣技を繰り出した。


 その一閃は致命傷を避けられたが、槍は依然エーカーの左肩を貫いた。


 「うぐ」


 「ルーンさん!」


 過去の因縁のせいで、雅は本能でクー・フーリンを応援したいが、今の彼女は王の臣下、理性的に考えれば、どうやってもエーカーを応援しないと。


 「……なぁに、俺はまたちゃんと生きてるぞ」


 少し弱くなったけど、エーカーの目にある光は消えてない、むしろどんどん強くなっている。


 「これでもきさまを殺せないのか?ならばーーーーーー」


 この一瞬から、クー・フーリンの雰囲気が変わった。


 「我が心は森のように、桜が舞う」


 クー・フーリンは何かを唸って始めたから、この謁見庁の空気が震えている。


 「森が千万の命を育てるように、炎も千万の命を滅ぼす」


 わけがわからない言葉だが、それぞれの文字から力を感じられる。


 「エーカーさん!気をつけて!」


 「つまりあれはやばいものだな!」


 雅はエーカーに注意したけど、クー・フーリンからの圧力は半端なく、エーカーは押さえられているほど感じている。


 「我が契約に従って要求する。火焔よ、刹那の槍となって、我が敵を貫け!」


 クー・フーリンの詠唱が完成して、後ろが巨大な古い時計が現れて、針が逆方向を回っている。針が重ねた瞬間、炎がクー・フーリンを包まれて、そして槍の先端に収束した。


 「破魂死霊の槍=無界必中の赤炎=ゲイ・ボルグ!」


 まるで炎が雷霆になったようで、炎がこれまで以上、全てを凌駕できるの速さであっさりエーカーの心臓を貫いてしまった。


 「エ、エーカーさん!?」


 エーカーが悲鳴すらなく床に倒れたを見て、雅は戦慄な悲鳴を上がった。


 「喜ぶがいい。この俺様に真名解放まで使わせたとはな」


 さっきまで槍になった炎が消えて、普通の槍に戻ったから、クー・フーリンはエーカーに接近して槍を回収しようとしたその時ーー


 「切り札を持つのはお前だけじゃねぇぞ」


 クー・フーリンの心臓は、エーカーの大太刀に刺された。


 「ええええええええ!?なんて!?」


 さっきもエーカーの死を確信した雅は驚きの声を上げた。


 「俺は確かにきさまの心臓を貫いたはず……そうか、これはきさまが言う切り札と言うのか?この再生性とこの俺に届ける剣技……なるほど、確かに今はもう俺の時代じゃないようだな、ギルガメッシュめ、どこからこんな化け物を見つけたのかよ……だが、悪くねぇな」


 クー・フーリンはエーカーの肩にある傷跡と心臓の穴はもう治している事を見たら、満足したように目を閉じて床に倒れた。


 「おい、雅とやら。きさまに使わせるのは不愉快だが、ギルガメッシュのクソ野郎よりマシだ。この槍は任せたぞ」


 「セタンタ……!」


 「だからその名で俺を呼ぶなって言ったのによ。まあ、もうどうでもいいさ。そして確かに、エーカーと言ったな」


 「ああ」


 「お前はギルガメッシュの部下ではないだろ?」


 「え?でもさっきは陛下の命令に従ってって……?」


 雅は疑問符ばっかりの表情でクー・フーリンとエーカーを見回っている。


 「つい最近までには確かにお前の言う通りさ。だがあの方に俺の未熟を思い切り教えてもらったから、きさまの悔しさは理解できる」


 エーカーはもう一度クー・フーリンがギルガメッシュに敗北させられた絵を見て言った。


 「道理でこうなるか。ならこの子と俺の槍の世話役は頼んだ。きさまなら、きっと大丈夫だろ」


 「良いのか?」


 エーカーの疑問はもっともだが、クー・フーリンは軽く頷いた。


 「きさまも生粋の武人であれば、さっきの戦いで俺と分かり合えたはず……だからきさまを頼んだ」


 「わかった。安心して行きたまえが良い」


 「生意気ね、じゃな」


 苦笑いをして、クー・フーリンの息が弱くなっている。


 そして止まった。


 「セタンタ!」


 雅はクー・フーリンを抱っこうとしたけど、クー・フーリンは黒い煙になって、そのまま虚無に消えた。

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