翼を持つ王女
お待たせしました
これはなんと言う火力だ……⁉︎
あれはシンが言った、剣成でも敵わないエーカー=D=ルーンの力なの?陽炎龍エスレール様の力とは言え、そこまで使いこなせたのは間違いなくエーカー自身の力だ。
カミトが対策会議を行なった理由も納得できた。
そして僕の予想ではそろそろーー
「きさまの予想に当たられたのは少々気に入らんだが、その対策会議の内容を教えてくれたら許してやってもいいぞ」
勝手に僕の夢を乱入したのはそちらでしょう?ってツッコミしたいのだが、さすがに夢の中でもそんな勇気がない。
「きさまのツッコミなら聞きたかったぞ」
……おいおい。
「とりあえず、そのエーカーとやらの情報を教えてくれたまえ」
僕もあまり知ってないけど。それより、王は全知ではないの?
「アルスの事ならともかく、さすがの俺様でも他の世界の事を知るわけがないだろ?」
あ、それもそうだよね。
そして、僕は僕が知ってるエーカーの事を王に教えた。
「異世界の奴は本当にくだらない事ばっかりをやりやがったな。まあ、俺様には関係がないが」
あの血狼ウイルスの事を聞いた、王はやれやれって肩を竦めた。しかし王の表情は全く無関係に見えない、むしろさっきより真剣な顔になったから、少々怖くなった。
「俺様の世界に危害をかけるかもしれんからな。まあ、もし本当にそのような状況になったら、排除すればいいのだ」
王の言葉に、僕は強い意志を感じられた。もし王は依然僕が見たあの映像と同じ人を遥か超えている神の力を持てるなら、おそらくーー
「ほう、俺様の事は他の世界にも流れているのか?超神?なるほど、このアルスにあった事を繰り返さぬため、神の神を創造したと言うのか?」
これはもう魔力を読むではないよね?
「賢いな、狐もどき。そのエーカーだけではなく、エドと言う奴もかなり不気味だから、俺様は試しにきさまの記憶を見てみた」
やっぱりね。
「しかしなんて超神ともが俺様の名と似てばっかり、ギルガレッシュとか、ギルバレッシュとか、もう少し考えろうよ!」
尊敬に値すると思ってそう名付けたから?ザッドのメーリア様はそう教えてくれたのよ。
「まあ、勝手にすればいい。さすがに今の俺様は他の世界を構える暇がねぇからな」
王の表情はとても真剣で、威厳がありすぎて、僕は少々ビビった。
あ、挨拶が遅れてすみません。僕はヴィク、変な夢を見続いているポメラニアンです。
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「とても怖かったが、きさまのお陰で、我が領地の怪異を一掃できたのも事実だ、感謝する」
エーカーが作った炎の地獄は三日間でずっと燃えてきた。滲み出すものを焼却して、そして焼却させられた個体が増援を呼んで、その増援しにやってきた個体も焼却した。そのような事が三日間で休まずずっとやってきたから、このアフリカにいた怪異はほとんど全部エーカーに燃え尽くした。
強すぎるだろ!太陽の炎!
だがそのせいで、この三日間、ジェナーダ様と俺たちはエドの氷から溶かした水と持参した予備食料でなんとか耐えられた。
そしてその炎の地獄を作った張本人ではーー
ドン!
炎の地獄が消した事を確認できた後、俺たちのところにやってきて、地面に倒れた。
「さすがに精神力と体力も大幅に消耗したからな」
エドもずっと氷を展開していたから、エーカーと同じ地面に倒れた。まあ、また意識があるから心配は不要そうだ。
「しかしきさま二人はさすがだな、あのような規模の大魔法を三日間でずっとやっていたとはな。あのお方はきさまたちを送って来たのも納得できるわ」
ジェナーダ様はエーカーとエドを認めた。うん、それほど驚異な事をやったから、さすがの俺でも認めざるを得なかった。
しかしあのお方って一体誰だろ?言い方から考えれば、王ではないだろ。
「タイマーの強化魔法もなかなかだぞ。拳でここまで戦えたのは初めてだぜ」
いや、それほど大したことないだろ。シンの拳が範囲攻撃になったけど、エドの氷とエーカーの炎と比べたらーー
「何を言う?少し反応が遅れたが、きさまもできる事をやった、それだけで十分だ」
あ、ありがとうございます!
まさか王下騎士のジェナーダ様に褒められたなんて……!
「それに、タイマー様も私を助けてくれたのね、本当に感謝します!」
シトリ様は俺の傷痕を軽い触れて、治療魔法を掛けてみたけど、癒そうになってない。
え?
「どうして⁉︎」
シトリ様も驚いた。見た目は浅い傷に過ぎないはずなのに。
「奴らが負の光子エネルギーで動くものだから、お前を治療できないのはおそらく、負の因子に影響されたからだろ」
えっと、教えてくれてありがとう。しかしシンから説明してもらったのは妙な気分だ。
「たまたまそう言う例を知ってるだけだ」
「こっちもかなり滲み出すものに侵攻されたけど、一度もそう言う情報をもらってなかったぞ」
「だって攻撃された奴はほとんど死んだだろ?」
「それはそうだが……」
ジェナーダ様が落ち込んでるのも理解できる。俺と妹が攻撃された時、もしシンがいなかったら、きっと既に死んだだろ。
「シンがいたアース、そこには守護聖剣と貫雷魔剣がいるせいで、多分今で一番多く異種に侵攻された世界だろ」
え?その名前は……⁉︎
「おい、なんてきさまの世界もそう言う名の武器があるのかよ?」
ジェナーダ様の顔は険悪なった。それも当然な事だ。だってさっきエドが言ったのは、このアルスの何千年前既に王に討滅された英雄たちの聖武具の名前だ!
「もって事は、つまり違う世界には同じ名の英雄がいたって事か?」
エドは興味深いの顔になっている、おいおいおい!
「いや、俺がいたアースにはそう言う伝説があるが、実際存在の人物ではないはずだ。史実人物だとしても、伝説とは全く違うのだ。守護聖剣と貫雷魔剣は、剣成とカミトの座機であるPAWSの名前だ」
パウス?なにそれ?
「座機……?」
どうやら俺はジェナーダ様と同じ顔になっているようだ。
「ああ、PAWSと言うのは、人形兵器の事だ。しかもあの両機を作ったのはアースではなく、既に滅んでしまったのサタンが作ったものだ」
ま、また他の世界と関わっているのかよ⁉︎
「きさまらば一体どれほどの世界と関係を持つのかよ……!」
「ジェナーダちゃん!」
突然、誰かがやって来た。
え?ジェナーダ様をちゃんって呼ぶのは一体……⁉︎
「エミリー王女殿下」
ジェナーダ様はその人をはっきり認識したから、しっかり王族への礼をした。そしてジェナーダ様の動きを見た俺とシトリ様も急いで敬礼した。
「エミリー⁉︎」
予想外に、シンの反応が怪しい。
「おい、失礼するじゃねぇぞ!この方は陛下の第三王女にして、サウスアメリカを担当してるのエミリー=サウスアメリカ殿下だぞ!」
ジェナーダ様の目からのは、早く敬礼しろって。
まあ、驚いたのも仕方ない。だってエミリー様ははっきり人族と大きく違うところがあるからな。
「こちらの殿方たちは母上が言った、あのお方から送って来た援軍ですか?」
「はい、仰る通りでございます。彼らのお陰で、私のアフリカにいた怪異を一掃できました」
うん、敬語を使っているジェナーダ様、やっぱりとこか変な感じだな。
「これは失礼しました。エミリー殿下は私の知人とそっくりしてますので、思わず驚きました」
シンの礼儀正しい言葉も怪しいのだが、彼は名家を仕えたから、それも当然なんだろ。
「またのかよ⁉︎妃殿下やヴィレッタ様だけじゃなく、王女殿下まできさまの知り合いがそっくりさんがいるのかよ⁉︎」
「あの、ジェナーダ様、王女殿下の前ですから、言葉使いには……」
「シトリさん、大丈夫ですよ。ジェナーダちゃんとは古い知り合いですから」
えっと、どう言う事?さっきから殿下がジェナーダ様に対しての態度はある程度の親密さを察知できるのだが、王族と臣下がそこまで親密なのは……?
「ならこの地にいるだけで、無礼講だ。さすがに王の耳に入られる範囲でそれはちょっとな」
「そうですね、父上陛下は厳しいですから」
「そのギルガメッシュ陛下は人族だな?」
「そうだが?」
「そして和奏妃殿下は和歌奈聖女聖上とそっくりだと聞いた」
「ああ」
「つまりエミリー殿下は養女って間違ってないのか?」
エドは少しエミリーを観察したら、一々確認して質問した。
「おい、きさま!それを聞くと言うつもりか!」
それを聞いたジェナーダ様はキレた。それも当然だ。もしエミリー殿下はここで何かあったら、それはジェナーダ様の無能な証になる上、王の懲罰も免じられないだろ。
しかしエドの疑問のも当然だ。何故なら、それはエミリー殿下の背中には、羽の翼があるから。
つまりこの世界にとって、実はエミリー殿下は魔物の類である。今までその魔物たちが我ら人族と仲良ししているのは、王の威厳のお陰だ。
「あなたはタイマーさんですよね」
あ、はい!
突然殿下に声を掛けられたから、少々驚いた。
「私は父上陛下への供物に違いませんよ。父上陛下と敵対しないを示すため、私を差し出しました」
うわ!まさか俺が考えてた事が見抜かれたのか⁉︎お願いします!不敬罪で処刑しないてください!
「その話によると、つまり君を養女にする事も、君の種族の誠意を大事にするを示す事か?」
もしエドは大字で横してながら言うじゃなかったら、きっといい先生っぽいだろ。
「おい、きさまの言う通りだが、他の言い方があるだろ⁉︎」
ジェナーダ様は根からの騎士だから、王族のエミリー殿下の肩を持つのも当たり前のことだ。
「さっき無礼講って言ったよな」
シンの呟きで、俺は思わず頷いた。
「貴方は?」
「これは失礼しました。私はエド、エド=リチャルソンと申します。本来の世界では邪神を仕えた死の騎士だったが、聖女聖上たちのお陰で、人族に回帰できました」
「なるほど、道理であなたの目に不祥な蒼い炎が燃えているわけですね」
「殿下!危ないです!」
エミリー殿下はエドの目を触れろうとしたが、ジェナーダ様は慌てて阻止した。まあ、俺もそうしようと思ったが、さすがに勇気がない。
「そう言えば、そろそろその目の炎を閉めてもいいだろ?」
シンが発言した。え?その炎は閉められるもの⁉︎
「俺もそうしたいのだが、どうやらこの剣のせいで、うまく抑えないのようだ」
「え?」
「やっぱり危険な奴だな、きさまは」
「ご心配なく、その自覚がある」
炎が燃えているけど、エドの目からはちっとも狂気を感じてない。むしろ知性の方が圧倒的に感じられている。
「ところで、なんてエミリー殿下がここに?」
「父上陛下からジェナーダちゃんのところはそろそろ片付いたそうだから、次は私のサウスアメリカを片付けろって」
「つまり殿下はこいつらの力を借りたいと?」
「ええ、もしみんながよろしければ」
「是非手伝いさせていただきたいと」
おい、シン、お前はあっさりすぎるだろ⁉︎
「彼は聖女聖上の護衛だけではなく、世界を守る守護者でもあるから、そう言う事から目を逸らす事はできないだろ」
「ああ、カミトや剣成ほどではないが、俺も守護者特殊戦技部隊の一員として頑張っている」
「剣成とカミトもそうだ、さすがだな」
やっと目覚めたエーカーはシンを讃えた。しかしさっきから話に出ているケンセイとカミトとやらは一体……?
「お体はもう大丈夫のですか?」
「ああ、もう大丈夫だ。それより、嬢ちゃんは誰?」
「おい!この方は王の第三王女にして、あたしと同じ騎士に任命されたエミリー=サウスアメリカ殿下だぞ!」
「これは失礼いたしました、殿下を拝見します。自分はファンス皇国が英雄騎士の一人、エーカー=D=ルーンと言います」
しっかりエミリー殿下に膝をついて敬礼したエーカーはやっぱり騎士だと思わずを得なかった。
「ではジェナーダちゃんのところで一晩休んだら、明日で出発するとしよう」
「「はっ!」」
エミリー殿下は同意や意見を求めるの目で俺らを見ているけど、エーカーたちはあっさり頭を下げて同意した。
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え?魔物?あれって翼人族だよね?翼人族は汎人種族の一つって、ザッドの神話はそうやって伝承しているよ?
「なるほど、道理で奴らは魔物にありえない知性を持つのも納得したな」
え?僕から言うのはあれだけど、世界によって違う可能性は?
「あいつはそんな面倒な事をするわけがねぇから、もしきさまの言う通りだったら、おそらくそれは紛れもなく真実だろ」
あいつ?うん、王は余計な事を聞くなって迫力が散らしているから、僕は聞く事をやめた。
えっと、それならエルフ、ドワーフ、ドルイド、獣人、魔族は?
僕は僕が知っている汎人種族を王に聞いてみた。
「きさまが言う種族なら、俺様の世界にはいるかどうかと言ったらいるが、汎人の類に考えなかった。奴らから我が妃に神託を下した時も一度も言ってなかった。てっきり亜人種の魔物だと思ったが、そうか、奴らも人類か」
この前はどうなっていたのは知ることではないけど、どうやらこれからは好待遇を期待できそうだ。




