巨龍と人類と
お待たせしました。
巨龍と人類と
「巨龍の価値観、ですか?」
「はい。今リジルザックスさんは人の姿をしているのですが、根本的には違う生物ですよね」
元レカーライヴズ第一王子、ライドの伴侶であるメローは赤城家の日常家務を手伝いしながら、リジルザックスに質問した。
「そうですね。ではメローさん、龍の主、アレックス=トレスの事をご存知でしょうか?」
「確かにそれは1500年前、第一次邪神戦争の時、巨龍たちを従え、ニンザスとその軍団を打ち破った英雄の事ですよね。それはどうなさいましたか?」
「はい、彼です。彼こそ私たち巨龍が汎人種族を認めたきっかけです。しかしそれでも人を認めない個体が存在します。例えば私の妹、リヴィルザックスは私とカミトさんの事を反対しました」
「それは……悲しいですね。でも私はすごく理解できます。私も魔族のせいで、いろんな人々たちに差別されました」
「ライドさんを大事にしようね」
「もちろんです。リジルザックスさんもカミトさんの事を大事にしてくださいね」
「もちろんです。この子のためにも、私はもっと頑張らないと……」
リジルはベッドで横になっている菫を撫でて決心した。
「スミレちゃんは可愛いですね」
メローは少し羨ましいの目で菫を見た。
実は最初の時、みんなは菫をリジルナッザスと呼んだけど、ここはアースだから、不必要な面倒を避けたいから、呼び方はスミレって決めた。
「良かったね、スミレちゃん、メローお姉さんはあなたの事、可愛いって言ったよ」
菫は静かに微笑んで頷いた。どうやら彼女は二人の話を理解したのようだ。
(さすが巨龍と言うべきか?確かに生まれたからまだ二年もないのはずなのに……既に私たちの会話を理解しそいた、実に賢い子です。もしよかったら、私とライドの子も……ああ、何を考えてるの、私!)
メローが自分の赤くになった顔を塞いだ時、一人が来た。
「どう?ここの生活は慣れた?」
やってきたのは、カミトの妹のレイコだ。
「レイコさん。はい、おかげさまで、今は順調です」
「リジルさんはもっと楽にしていいのに。メローは?」
「はい、未知の事ばっかりですから、慣れるには時間がかかりそうです」
「何か問題があったら、いつでも私たちに聞いてね」
「はい」
「あ、そうだ。織姫さんは昼食ができたから、一緒に行こう」
どうやらレイコはこの事を二人に伝えに来たようだ。
「はい!織姫お姉様の料理はとても美味ですから、想像だけで……失礼しました」
メローの涎が落ちたそうで、慌てて自分の顔を塞いだ。
「スミレちゃん、食事の時間だよ」
リジルザックスは菫を優しく抱き上げ、レイコたちと一緒に食卓のところへ行った。
「どうぞ召し上がってくださいね」
食卓の上にはたくさんの料理が並んでいる。どっちも美味しそうだから、レイコたちは一時どっちから食べるに困っていた。
「そう言えば、さっきの話について、私も興味があるのよ」
「どんな話ですか?」
織姫はレイコの話に疑問を吐いた。
「私もなんてリジルさんが兄さんを選んだ事を気になっているよ。さっきメローの質問もなかなか面白そうだね」
「巨龍と人の価値観、ですか?」
「そうそう、それだよ。元々あまり繋がっていなかった兄さんとリジルさん、今は菫ちゃんまで産んだなんて、好奇心を持つようにならないわけがないよね」
「もー、レイコさんったら……」
「それ、私も気になっているよ」
「さ、サクラさん⁉︎」
意外に、やってきたのは桜であった。
「そして剣輝くんも……⁉︎」
「おばちゃん、こんにちは」
剣輝にとって、レイコはただ一人の知り合いだから、彼はレイコに挨拶をした。
「あら、剣輝!元気?ちょうど今は昼食の時間だ。剣輝も一緒にどう?織姫おばちゃんの料理は絶品だよ」
レイコは桜から剣輝を抱っこして、彼の前に料理を分けている。
「菫ちゃんも元気そうだね」
桜は手を洗った後、菫の前にやってきて、撫で撫でした。かなりの年の差があるけど、菫は紛れもなく、桜の妹だ。
つまり現時点では、菫は既に剣輝の叔母になっている。
だが二人はまだ小さい、そう言う意識はないだろ。
「レイコさんと桜さんのご存知通り、今でも巨龍しか認めない個体が存在します。例えば私の妹、リヴィルザックスは私とカミトさんの関係を反対してます」
桜も位置に付いたから、リジルナッザスは語る続いた。
「それもそうだろ。私も今でも織姫さんがお父さんの妻って認めてないのよ」
「桜さん……」
織姫はちょっと切ないかつ涙目で桜を見ている。
「桜」
少しずつ剣輝の口に料理を運んでいるレイコは桜を睨んだ。
「おばさん、それは仕方ないでしょう。だって、織姫は私より年下なのよ!そんな年齢の女の子をお父さんの伴侶に認めるなんて、私には無理よ」
「確かにそれは理解できるが、兄さんは織姫を受け入れたから、せめてこの家族の一員として認めてほしい」
「もし家族だと思わなかったら、剣輝を連れてここに来ないのよ」
「桜さん……」
「まあ、私としてはこれ以上言う事がないから、織姫ちゃん、頑張ってね」
レイコはカミトより二つ下だけだから、つまりリジルナッザスを除いたら、この場の一番年長者だ。更にレイコはここにいるみんなを繋いだ人、カミトの妹だから、この場合では一番上の立場だ。
「実は、織姫さんより、リジルさんの方が疑問があるのよ」
「え?」
桜が口にした言葉、この場にいる誰でも驚いた。
「だってそうでしょう?汎人種族を認めたとは言え、そもそも根本的には違う生き物だから、お妹さんの方が正しいと思うよ」
桜はリジルナッザスに向いて、辛辣な言葉で質問した。
「あ、あれは……」
一時的に、リジルナッザスは返事出来なかった。
「あの、レイコさん、サクラさんを阻止しないのですか?」
メローは桜の口調に怯えながら、レイコにこっそり確認した。
「いいじゃない?これから家族になって一緒生活するから、はっきりしたほうがいいよ」
レイコは阻止しないの態度を見せたから、メローと織姫も介入することを諦めた。
「最初は……私の世界を救った英雄として尊敬していた。レカーライヴズの王宮で居候した時、よくエド様からカミトさんの事を聞いたから、その尊敬はいつのまに恋に転化した。しかし確信したのは、カミトさんが王弓騎士団団長の就任演習であんな無茶な戦術を取ったから。私が側で見張らないと……って気持ちになった」
「なるほど、それなら納得できるわ。要するには、お父さんの無茶苦茶を看過できない母性って事だね」
桜があっさりリジルの理由を受け入れたから、メローと織姫もほっとした。
「もしかして、レイコさんは既にこうなるとお見通したのでしょうか?」
「私はあなたたちより桜を知っているだけよ」
「お母さんはどうしました?」
「なんでもないよ。ほら、ゆっくり食べないと喉に詰めてしまうよ」
剣輝の疑問に、レイコは適当に誤魔化した。
「なんかレイコさんが子供の面倒を見るにはすごく手練に見えますが……」
メローの知る限り、レイコは子供だけではなく、恋人ってすらいないのはずだ。
「私の仕事だからよ」
剣輝の前だから、さすがに支援兵科とかは言えない。
「ほら、料理が冷めてしまいますから、みんな早く食べましょう」
話が少し長過ぎたから、織姫はみんなに料理を分けた。
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一方、その頃ー
「ああ、俺も織姫の料理を食べたいな」
とある地区にある廃棄ビルの最上階に、カミトは月光剣をステルスモードで待機している。
『駄目よ、みんなの有休が終わるまで頑張りなさい』
そしてカミトの望みはえりなに否定された。それは仕方ない、今全ての小隊長は有休を取っているから、怪しい地区を監視できるのはカミトだけ。
「ああ、なんて俺は自ら待機シフトを選んだのかよ!」
『あなたはいい隊長になりたいでしょう?だから頑張ってね、あ、な、た』
今まで滅多にそうやってカミトを呼んでいなかった、更にわざとした甘える声、それはカミトにたくさんの力を与えた。
『敵の反応がありました』
「アリス!」
『はいはい〜戦闘モード起動したよ』
カミトは滅多に月光剣を乗ってないが、この程度の任務で貫雷魔剣を使うのはやりすぎ、余計な面倒を呼び出してしまう可能性があるから、カミトは月光剣を使った。
「レールガンの状況は?」
『いつでも撃てるのよ』
カミトが言うレールガン、それは電磁加速式狙撃ライフルの事だ。原理は近いから、そのまま略称にした。
短剣式で運用した時、機体の出力が消耗に及ばないから、武器としては失格だった。しかし月光剣で運用すれば、そのような問題だけではなく、再装填と冷却の速度問題も一気に解決できた。
「そして光子反応も低いから、異種に気付かれた事も減れる、実にいい!」
今のカミトを見たら、誰でもカミトがその武器をかなり気に入っていると見えるだろ。
『奈美とグレイドに感謝しなさいよ。あの師弟二人はどれほど苦労だったのは知ってるでしょう?』
使っている奴が少ない特注品だから、ほとんどのパーツは奈美たちの作りだ。
「ああ」
ポン
火薬式の武器とは違い、レールガンの爆音は軽かった。しかし弾丸は音とは違って、猛烈な速度で大気を貫く、目標を貫通した。
「戦場後始末部隊には仕事が増えたのは欠点だが……」
『一般の部隊はよく実弾を使っているから大丈夫だろ』
アリスのツッコミで、カミトはそれもそうだの表情になった。光子武器は普及してない、実は熾炎天使と光神信使を除いたら、実弾だけを使っているのは常態だ。
『右、3000位置』
「翼獣型は久しぶりだな」
『真面目にやってくれないと困るのよ』
「こんな事で冗談するわけがねぇだろ!」
『エネルギーチャージ完了、いつでも撃てるよ』
「上等だ!」
カミトは再び狙撃態勢に入った。
『どこを狙うつもり?』
しかし数秒前とは違う、カミトがずっとトリガーを引かないを見たから、アリスは聞いてみた。
「こいつはなんか違う……」
『リポートして』
カミトのその話を聞いたから、彼とえりなの間の空気は一瞬で重くなった。
「光子探査儀でスキャンしたいが、あいつは光子の反応に敏感だからな」
『こちらで見た光子反応データは特に変なところを見当たらないよ』
えりなは超遠距離で戦艦の探査儀を使ったから、翼獣型は気づいていない、ウロウロしている。
『一体どうなるの?私にはわからないよ』
「アリス、今からあいつの動作パターンを記録して、データと照合しろ」
『それはなに……あ!』
えりなもカミトの言う通りした、そして気づいた。
「ほんの少しだが、あいつの動きはこの前とは微妙な差がある」
『本当にほんの少しだけ、だから私は見落としたと言うの?不覚……!」
「その悔しさは一旦抑えろよ。俺が帰ったら愚痴はいくらでも聞くから」
『わ、わかったわ』
カミトの言葉に、えりなは冷静を取り戻したが、カミトは依然撃ってない。
『どうするつもり?』
アリスは聞いたけど、カミトからの返事はない。
でもカミトは依然目標を狙っている事、アリスは知っている。
「アリス!光子動力を全開しろ!」
そして突然、カミトから訳がわからない指令が来た。
『いいの?それで気付かれてしまうじゃない?』
「それが狙いだ!」
『何か思い付いたの?』
「やってみればわかる。早くしろ、アリス!」
『わかったわ』
瞬間、カミトの月光剣の出力が一気に増えて、隠蔽モードが自動に解除した。そしてその瞬間、翼獣型はカミトを向いて高速接近。
『カミト!』
「大丈夫だ、問題ない!」
そのスピードは以前のを遥か超えている、異種とカミトの距離は一気に短縮してしまった。
『接触まで三、ニ、いーーー』
最後の瞬間、カミトは撃った。全く反応時間を与えない、レールガンの弾丸は翼獣型を綺麗に貫通できた。おそらく弾丸の衝撃力が凄すぎるか、或いはこのタイプの翼獣型は装甲を減って無理に速度を上がったから、カミトの月光剣と衝突した前に爆散した。
『こんなギリギリしないて欲しいわ、肝が冷えたよ』
アリスがカミトを責めた。
『軌道を変えられない極限で撃つ……本当にアリスの言う通り、肝が冷えたのよ』
「それは悪い、こうでないと余計な事態になる気がしたからだ」
『こちらとしてはもっと観測データが欲しいけど、あなたの安全はそれ以上大事なんだね』
『ラブラブのはいいだけど、新たな敵性反応は確認してないから、撤収してもいいと思うよ』
「そうか」
『こちらも確認したよ。お疲れ、カミト』
「うん、では帰還しよう」
月光剣は再びステルスモードに、周りの景色に溶けて消えた。




