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エド

 死の騎士とは、当初の邪神ニンザスは所属した女武神(ヴァルキュリア)ですら裏切ったから、そのせいで戦力が欠けていた。


 戦力を補足するために、ニンザスは優れる戦闘力を持つ個体を作ってみた。が、上手くいかなかった。


 最初作ったのは、少し強かった骨の騎士であった。数量はいたが、それも龍の主であったアレックス=トレスと仲間たちに消滅された。


 封印されたニンザスの肉体は動けないが、思考は止めていなかった。そんな彼が辿り着いた答えは、強力な魂を強力な肉体に押し込むこと。それは骨の騎士より戦闘力があるが、今度の相手は他の六柱神の半身である神龍たちと召喚された聖女たちだった。


 それなりの脅威や傷害になったが、そんな中途半端な作り物は神龍と聖女の相手になれるわけがない。結局、邪神ニンザスも自分の半身の神龍を召喚した。


 ザッドの神は自然の権能を代表するから、半身の神龍もその力を持っている。神龍たちの激突によって、ヘティインモクル大帝国の首都ヘル皇城が消えてしまった。そう、今の聖殿騎士団の根拠地になった「神権時計」と言う場所は、あの時の激戦遺跡だ。


 二度と封印されたニンザスは依然考えていた。何故勝てない?何故破壊の権能を持っても、憎い女神たちに負けたのか?


 正義?そんなのはただの屁理屈に過ぎん。力こそ正義、つまり勝てば良いって事だ。この時から、ニンザスは力を任せることを捨てて、謀略を考え始めた。


 まずは研究心が多すぎる白の聖女騎士である魔法使いを誘導し、白の神龍剣を汚して、魔剣「氷の死息」に転化した。


そうだ!魔剣だ!それは足りてなかった力を補足できる。強い魔剣と強い使い手が居れば、今度こそこのくクソッタレの世界を滅ぼせる!


 「そして初めて死化させられてしまったのは、後で第三代死の騎士第一号、灰剣と呼ばれるラヴェンダーであった……随分懐かしい名前じゃないか」


 レカーライヴズ王宮で行った定期会議で、エドは昔の事を思い出して、ぼっとして変な言葉を漏らした。


 「あの、導師様?」


 レカーライヴズの要人たちの前で他国の状況を報告している大臣が止まってしまった。


 「いや、なんでもない。そうか、カノンは義務教育を施す事を始まったか」。


 エドはさっきの報告から要点を引き出した。


 「はい。情報によると、それは帝国公子であるロティマス=サンタルシアの提案で、国皇が大臣の反対を押して、強く推行したのようです」


 「ロティマスか……ならばこの義務教育とあらは、アースの制度だろ」


 女王リリズは少し考えた。


 「もし陛下の言う通りだとしたら、つまり導師様もこの義務教育と言う制度をご存知で?」


 レカーライヴズ政府のみんなは誰でもエドがアースに行ったことがあり、聖女たちとも関係がいい事を知っているから、自然にみんなの目線はエドに集中している。


 「では説明させていただこう」


 簡単で説明しながら、エドはカノンの国皇がこうする理由を考えていた。


 (それは書き読みだけではなく、技術の伝承にも使えるものだ。ロックオンとクニミツの事をよく知らんが、カミトたちがいた高校は確か……)


 「導師の説明によると、この制度は我が国には適用しにくいのようだ」


 「はい、私も陛下と同意見です」


 輔政大臣に任命されたライナーはリリズに同意して頷いた。


 「それは仕方あるまい。何せ、我がレカーライヴズは遊牧民族によって建てた国であるゆえ、元々そう言う教育の意識が極めて低くなっていた。今は聖女とアカギたちのお陰で、国民のそう言う意識が向上しているが、カノンとは比べられないだろ」


 エドもリリズに肯定の言葉を送った。


 「しかしそれでも何とかしたい。その制度は短期間に効果を見えないが、長時間になったら、国力はきっと差が出るだろ」


 エドの説明で要点を掴んだリリズは全ての大臣に意見を求める目線を送った。


 「陛下、愚考では、まずは教師を担任できる者を育てる事から行うべきかと」


 「内政大臣の言う通りです。さっき導師様もおしゃっていました、我が国民たちはそう言う意識が低くなっている故、教師を務められる者はきっと極めて少ないでしょう」


 総務大臣は内政大臣の話を賛成した。


 「先王ネクライ様とその時の賢臣たちはニンザスに憑依された叔父様によって命が落ちてしまったから、今のそなたたちは母上が任命した者。そして私もそなたたちの能力を信頼している」


 「ははっ」


 リリズの視線が一回りをした。そしてリリズの視線に当たった大臣たちはリリズに向かって跪いた。


 「よい。そんな礼節より、今は問題を解決できる方法を考えるべきだ」


 リリズの話で討論を始まった大臣たちを見て、リリズとライナーも問題の解決策を考えている。


 エドがそんな彼らを見て、自覚なしに淡い微笑みを出した。




======================



 「おかえりなさい」


 その日の深夜、エドはやっと自分の家に帰って来た。家と言っても、それはレカーライヴズ王宮内にある独立な一階建て。そして王宮の豪華とは違って、エドの屋敷は極めて普通な屋敷であった。


 そんな普通な屋敷からエドを迎えたのは二人の女性で、一人は背中には小さいけど変な翼を持つ、頭の両側に曲がっている角がある、悪魔のような大人の女性。


 「シンイン」


 そしてもう一人は少し小柄の体だけど、背中はシンインより何倍も大きな巨龍のような翼を持つ、頭も巨龍のような角が生えている。


 「シックリス」


 「疲れたでしょう、ゆっくり休んでください」


 シンインはエドを用意した椅子まで連れてきて、エドを椅子に座らせた。


 「お茶をどうぞ」


 シックリスはエドに小さい杯を渡した。


 「この匂い……シヴァニの特産茶か」


 どうやらエドはその茶の味に驚いたのようだ。何せ、今まではファランディナやロディヴァンの転移魔法のお陰で、あまり距離感がなかったけど、シヴァニは実は大陸と離れているの島国である。


 「はい!今朝僕が飛んで行って、買ってきました!」


 シックリスはエドにドヤ顔を見せた。


 「さすがシックリスちゃん!お陰で海産物もたくさん手に入れましたよ」


 シンインも喜んでいるのようだ。巨龍は相当な重量を背負えるから、シックリスはシヴァニの特産を大量に仕込んで入ったそうだ。


 「さすが飛行能力が得意している『翔紅龍』か」


 エドはシックリスを讃えるつもりのだが、シックリスはエドの話を聞いたから、落ち込んでるようになった。


 「僕は……」


 「飛行系の最高位称号『星龍』ではなくても、俺はよく君に助けてもらっていたではないか」


 エドはシックリスの頭を撫でて慰めた。


 「で、でも……」


 シックリスはただの翔龍って事はいつも彼女に劣等感を持たれている。もちろん陽炎龍エスレールから彼女をエドの支援者に選ばれた事は彼女にとってはそれなりの栄誉になっているが、彼女がその劣等感を払う事は依然できなかった。


 「ダメですよ。せっかくの可愛い顔は無駄になりますよ」


 シンインもシックリスを抱っこしてよしよしって慰めた。白龍のリジルザックスとは違う、シックリスの実年齢はエドやシンインよりも年下だから、他の巨龍から見たら、シックリスはこの位置に相応しくないと考えてるだろ。


 「そう言えば、マンヴィナからラエリエトは『ウイスキー』を完成したってな。なるほど、欠けていたのは酒を熟成する時間か……こうなると、この世界の技術では、そのウイスキーとやらの生産性が更に一段落ちたじゃない?どうやら俺がチャルソウのところへ行く必要かありそうだな」


 エドは誰かと通信したのようだ後、自ら出かける事を決めた。


 「是非私を連れて行ってください。母親として、息子(チャルソウ)を見に行くのも必要だと思います」


 チャルソウはエドをお義父さんと呼ぶなら、自然にシンインもお義母さんになっている。表面の関係だけではなく、シンインは実際にチャルソウを育てた親に間違いない。


 エドがニンザスを討伐したけど、自分の命も払ったから、シンインはエドが復活したまで、ずっと崩天氏族の智母を担当して、獣人たちにいろんな知識を教えた。だから今チャルソウたちは旧クラナイドの領地で生きていた。


 「ではシックリス、君も一緒に行こう。チャルノウとチャルナウもきっと君と会いたいだろ。昔、君たちはよく一緒に遊んだな」


 「はい……」


 (でも実際に、要るのは僕の飛行能力だけだよね……)


 「飛べたくないなら、馬車で行くのも構わんぞ。むしろその方がゆっくりできそうだ。それに新しい馬車を試すにもちょうどいいだな」


 シックリスは忘れた、目の前にいるのは、他人の魂から思考を読み取れる死の騎士である事を。


 「も、申し訳ありません、僕は決してそう言うのは……!」


 慌てて謝ろうとしたシックリスに対して、エドは撫で撫でした後、旅行と馬車の準備に入った。


 「あの、シンインさん、本当に僕がここにいてもいいのかな?」


 エドはシックリスを責めないが、シックリスは依然自信を持てないようだ。


 「陽炎龍エスレール様の命令とは言え、今まであなたも頑張ってきたじゃない?エドは他人の努力を貶める人ではないわ」


 「それはもちろん知ってます……」


 「なら大丈夫じゃない?」


 「そうでしょうか……」


 「それに、レカーライヴズの、いや、この世界の未来はシックリスちゃんに任せる予定だよ」


 「え?え?それはどう言う……?」


 シンインが言った責任は突然すぎて、シックリスは動揺した。


 「エド、そして私とマンヴィナはこの世に存在すべきではないものだから、いつかは消えないといけないの」


 シンインがの言葉に、シックリスは覚悟を感じられた。


 でも本当にそう簡単に己の死をそう簡単に受け入れられるの?


 「消えるべきの私たちとは違って、シックリスちゃんはまた何百年を生きられるよね」


 「きょ、巨龍ですから」


 それは事実だ。だからシックリスは既にエドたちは自分より先に亡くなると言う心の準備ができている。


 「だからですよ。まあ、今はあくまで予定に過ぎない。これからはシックリスちゃんにはもっといろんなことを経験してほしいわ」


 「え?」


 「知識はもちろん、経験も重要だよ。エドの強さは力だけではなく、多数の魂から知識と経験を得られたこそエドの強さだよ」


 (それ、死の騎士だからの強さだよね。今更だけど、僕はようやくシンインさんが言った消えるべきの存在って事の意味を少し理解した)


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