あの男の真実
「フゥ…まずはお前の住みところを準備しないとな、あと環境の認識も。行こう」
「ウーッ!」
「では私も一緒に!」
「よろしいですか?お嬢様」
「今日の日課は全部終わったから大丈夫ですよ」
「まだ午前中のはずですが、もう全部終わりましたんですか?」
「そうですよ。シン兄が今日帰ると聞いたから、起き早すぎて待ちながら片付けたのよ」
「そう、そうですか」
どうやらお嬢様はシンに十分好感が持てるようだ。
「そうだ。シン兄、まずはこの子を彼のところに連れて行って」
「ああ、それもそうだ」
そして二人は歩き出した、僕は二人の後ろについている。道の先、僕が見たのは、一匹のジャーマンシュパードドッグ。
その体型が僕よりかなり大きい。
ちょっと怖い。
「テゥカラガン、この子はヴィクちゃん、世話お願い」
彼は頷いた。まるで本当にわかるように。そしてその名前は何、怖い。
「ワーッ!」はじめまして!僕はヴィク!よろしくお願いします!
とりあえず僕は挨拶してみた。しばらくの沈黙、あのジャーマンシュパードドッグが口を開けた。
「礼儀が悪くない、それはよろしい。私はテゥカラガン、今の外見は君と同じ犬だが、実は私は異世界の神龍、重月龍テゥカラガンである。まあ、これを聞いたばっかりから信じてない表情も当然だな。仕方ない、最初は上下関係をしっかり確立しなければならない」
このデゥカラガンと言う犬はいきなり何を言ってるの?なんのお伽話のか?
テゥカラガンはお嬢様を見た、そしてお嬢様は頷いた。周りは他の人がいないを確認したから、テゥカラガンの背中は翼を展開した。そして頭も二本の角が現れた。
それを見ただけで僕が震えている。そしてそれはどれほどの恐怖を感じてしまった。
「もういいんだろう?このバカ犬め」
シンはプルプルしてる僕を抱き上げた。
「すみませんね、君を驚かせてしちゃって」
お嬢様は僕に謝った。本当に怖かったんですよ、お嬢様。
「テゥカラガンは私の従属神龍だけど、本来の姿で無理だったから、この姿にお願いした」
「それは大丈夫です、和歌奈様。それにこの姿は元の姿よりあなた様の護衛にピッタリです」
人類の言葉を喋った?お嬢様もそれを証明したから、どうやら承認しかねない。目の前にいるこの存在は犬ではない、神龍だ。
「とりあえず、ヴィクを虐めなよ」
シンが言ったけど、テゥカラガン様は反応していない。
「テゥカラガン。お願い」
「はい、お仰せのままに」
でもお嬢様が言ったら直ぐ反応した。ご主人の差だからか?
「お嬢様、これから俺はヴィクの住みところを用意しますので、ヴィクを少しお願いできますか?」
「私もシン兄と一緒に行く、テゥカラガン、ヴィクをお願いできますか?」
「はい、どうぞごゆっくり」
「では行きましょう、シン兄」
「あの、テゥカラガン様っていいですか?」
シンとお嬢様が去った後、怖いけど、でも聞きたいことが多すぎるから、僕は頑張って声を掛けてみた。
「そんな堅苦しなくでいい。私はそんなに恐ろしいか?」
予想外の優しく返事された。
「は、はい」
とても怖いですよ。
「まあ、それは無理もない。楽にするがいい」
「あの、なんかさっきデゥカラガンは僕のご主人を無視しているような、それはなぜですか?」
「ああ、それはただの同類拒否だけだ」
確かにデゥカラガン様からの嫌味は全くない。
「まさか僕のご主人も龍ですか?」
「いや、彼は紛れもなく人間だ。その拒否はあくまで和歌奈様の守護者としての意味で」
「なぜですか?」
「君には疑問があるのも当然だ。だが私はあいつを嫌いではない、むしろこの世には和歌奈様と他の聖女様以外一番信用している人間だ。だからそれは競争意識でも言えるだろう。和歌奈様は地位高い存在であること君は既に知った。そんな彼女が一番信頼しているのは君のご主人、綾崎シン」
「え、ご主人は本当の兄ですか?」
「そうじゃない、全く血が繋がっていない他人だ。綾崎の苗字は、当主様からのお賜わりだ。彼の功績によってな」
「ご主人は凄いですね」
「確かに凄い。説明する前に、一つ確認したいことがある、君は彼から変な感じはないか?」
「そう言えば、ご主人から変な匂いがしていました」
「どんな匂いなのかな?」
「はい、まるで硝煙と血の匂いが混んでるような匂いでした」
「良い鼻が持ってるようだ、君は」
「それはどう言う事ですか?」
「君のご主人は和歌奈様の専属護衛、そしてこの国の秘密特戦部隊、『トワイライトレイブン』のメンバーでもある。そんな匂いがしたのは多分任務完了したから直ぐ君の所に行ったからだ」
デゥカラガン様の言う通りだっだら、それはシンが僕を迎えに来るの時が遅れたの原因かもしれない。
「そうですか…変な想像しなかったよかった」
「あと、これから君に言うことはちょっと重い、でも私はそれが君には知るべき事だと思う」
デゥカラガン様の言い方が重くなった。
「ご主人の事ですか?」
「ああ、そうだ」
「では教えてください、彼は僕のご主人ですから、僕はもう心の準備が出来た」
それは知りたい、たとえどんなに重くても。だって、もうご主人として認めたから。
「わかった。では最初から話しよう。君のご主人はこの国のお金持ちたちの為に改造し訓練したの改造人間」
「えええええ、ご主人はロボットですか?」
「それは違う、まあこれは私の言い間違いだ。改造とは言え、それも骨の強化レベルだけ。つまり彼の全身の骨は金属化された」
「そんな事本当に出来ますか?」
「私もこの世界の科技にはよく知っていないから、今君に話したこと全部和歌奈様や当主様から聞いたことだ。でも当主様は真剣に話したから、多分本当のことだろう」
「つまりご主人があの匂いをしたの原因はそれですね」
「ああ、彼のその強さは彼を『トワイライトレイブン』に選ばれた。それはこの国の政府からお金持ちたちにの要求だ」
「それはどうして?」
「シンたちを訓練した組織は『企業』という秘密組織。そして彼らから孤児たちに施した訓練は非人道なレベルだ。その上で人体改造まで施した、どう見てもこの国の法律を違反したに違いない。でもお金持ちたちはこの国の経済に大きな貢献がある、それも事実だから、交渉したの結果はこれだ。企業から有能な兵士を政府に提供して、強大な秘密部隊を成立する事になった」
「この部隊の仕事は何ですか?」
「私が和歌奈様から聞いたことによると、主に対テロリストと私設武装組織の殱滅等普通の警察や軍隊には難しい事件のようだ」
「ふー安心しました」
「なんて?」
「てっきり暗殺とかやっている危ない部隊だと思ってしまった、そうなったら僕はちょっと不安になります」
「そのような仕事もありそうだ、でも担当はシンではない」
「よかった。でもどうしてご主人はここに来ますか?」
「ああ、言い忘れた、さっき言っただろう、シンは和歌奈様一番信用している男だ。それは和歌奈様が初中に入ったとき、安全の為に当主様は和歌奈様の護衛体制を考えている時、丁度ある日、孤独なシンと出会った。一般的には、企業から出た人には人性がない、ただ任務の為に存在する人間ではない存在」
「それは酷すぎではありませんか?」
「だから当主様はシンの目から残っている人性の光を見た時、シンを拾いた。その日丁度君と同じ雨の日だったと聞いた」
「え?それって…」
「多分君と彼自身を重ねたからな、でもそれも彼はまた人性を保持している何よりの証拠である」
「ああ…」
「彼はそれからずっと和歌奈様の専属護衛を務めていた。和歌奈様が拉致された時も彼が和歌奈様を救った。当主様からの評価は最強の最後防衛線、もし私は来なかったら、彼はトワイライトレイブンに入る事をしないはずだと思う。そして綾崎家はこの国だけではない、世界でも有数な名家だから、君も失礼な事をせなよ」
「僕はとんでもない所に来たんですね」
「そうだ。そして一つお願いことがある」
「え?」
「シンから離さないってことだ、同じ雄だけど、君は彼にとっては既にただ一人の家族になった」
「お嬢様もいるではありませんか?」
「和歌奈様はシンに好感を持ってるは間違いない。けどあの二人はなんと言っても主と使用人の関係に過ぎない、家族のよう関係だけど家族ではない」
「そう言えばさっきの感覚も距離感があるって気がしていますね」
「その上で、先月の時、シンの幸せは壊された」
「え?」
これはテゥカラガン様より怖いことだ。
「この綾崎家には、高原美咲と言う使用人がいた」
「いた?」
過去式?
「彼女は母と一緒にここの使用人を担当していた、そしてシンと恋に落ちた」
へ〜
「シンがトワイライトレイブンに選ばれた時、彼女も努力してシンの支援官に合格した。公私共にシンのパートナーになった。けどシンたちがある組織を破ったから、その組織の残党は復讐の為に、美咲を拉致してしまって、そしてできるだけ酷いことをさせた。シンが再び美咲と出会った時、美咲は既に冷たい死体になってしまった」
「そんな事があたんですか…」
「本当の恐怖はそれからだ。シンはその残党の復讐があるヤクザ組織が支援したことを知って、一人であのヤクザと残党を殲滅した。五千以上の人が一人で全て残殺した。その時の血の匂い,多分シンの一生を掛かっても洗うことができない」
「怖いですけど、なんかご主人に罪を定められない気がしています」
「私はこのことを聞いた時も同じ考えである。その後彼と新しい支援官と仲良しことができなかった。てっきり彼はもう自分の人性を放棄したと思って、丁度その時、彼は君を拾いて、保護した。多分当主様もこの点の上で君を飼うことを同意した」
「ワーッ……ご主人、可哀想…」
「だから君に頼んだぞ」
「はい、分かりました!恩返しの為にも、ご主人の側にいます」
「よろしい、では付いてきて。私はこの家について君に紹介する」
「はい!ありがとうございます」