予言
「ようこそお越しいただき、お待ちしておりました」
カミトは剣成から貰った座標ポイントに降下して、ヘリから降りた後見たのはカニンガンのような執事の服を着用している、黒に近い灰色の髪が小さいテールを首の後ろにしている、見知らぬ男が待っている。
「剣成の奴は?」
剣成が裏切った事は考えにくいのだが、カミトは依然警戒態勢に入って、凛たちに少し待ってのジェスチャーを見せた。
「はい、時雨さんは屋敷の中でみんな様をお待ちしています。どうぞこちらへ」
男が指した方向に、大きさがあるけど、豪華とは程遠いの屋敷がある。
「おい、剣成、これどう言う事だ⁉︎」
さすがに気になる点が多すぎるから、カミトはアリスを通って剣成を質問した。
『俺は青森で土地を買って屋敷を建てた事は言ってなかったか?』
「言ってねえよ!」
『まあ、とりあえず、そこの執事さんに従って屋敷に来てくれ』
「申し訳ありません、時雨さんと奥さん、そして優さんと多惠子さんはみんなのために料理を準備しておりますので、みんなさんを迎える事は私に任せていただきました」
剣成はそのまま通信を切ったから、執事は代わって説明した。
「では案内は頼みますわ」
カミトと剣成の通話を聞いた凛はヘリから降りて、指示を出した。
「はい、お任せてください。こちらへどうぞ、足元を気付いてください」
「おい、これはどう言うつもりか⁉︎」
屋敷の接客室でソファに座った後、カミトはすぐそこに待っていた剣成に文句を言おうと質問した。
「俺が積んだ有給が多すぎるから、この後の事を考えたら、今のうちに少しでも消化したい」
「その長期休暇は私が許可したけど、まさか直接土地と屋敷を買ったなんて思わなかったよ」
凛も初めて剣成が土地を買った事を実感したから驚いた。
「昔は独身だったから、未来の事はあまり考えてなかった。しかし今の俺も家庭持つになったからな」
剣成は凛の質問を答える同時に、みんなのお茶を運んで来たシルベリアを見た。
「とりあえずお前の人生プランは横に置いて、そろそろその執事の事を説明してもらおうじゃねえか」
カミトはシルベリアを協力してみんなにお茶を分けている執事を見て問いた。
「執事さん。チャルス=ブラウンとリエラ=フォード、この二つの名前について、何か心当たりがありますか?」
カミトの次に発言したのは、カミトの肩に座っているアリスであった。
「……まさかチャルスとリエラもこの世界に……⁉︎」
執事はさっきまで冷静の態度を取っていたが、アリスが言った名前を聞いたらすぐ豹変した。
「つまりあなたは最初に血狼ウイルスを感染したエーカー=D=ルーンに間違いないよね」
執事の反応を見たから、凛も続いて問い掛けた。
「そこまで知ったって事は……!」
「おい、エーカー、殺気を納めろ!こいつらは俺の上司と同僚だから、お前が想像している事をするわけがないだろ」
エーカーから膨大な殺気が流れて来たから、剣成は慌ててエーカーを阻止した。
「申し訳ありませんでした」
「ここまで明らかにしたから、無理に敬語を使わなくてもいいよ」
凛は少しエーカーを観察したら言った。
「感謝する」
瞬間、エーカーの表情は少し緩くなった。
「安心しろ、あの二人は杉原のお嬢さんに預けている」
「そうか」
カミトの話を聞いたエーカーはようやくほっとした。
「まさかライブの現場で現れたのですか⁉︎」
麻奈実の名を聞いたシルベリアはすぐあそこにあった事を思い出した。
「その近くの森にいた。運が悪くて熊二頭と遭遇してしまった」
「熊……⁉︎まさか⁉︎」
エーカーにとっては聞いた事のない生物だが、エーカーは本能でその危険さを感じられた。
「大丈夫だ。ヘイセイブライ様はカニンガンを派遣して熊を解決した」
「そう言えば、カニンガンさんとイロヤさんは麻奈実のところにいたよね」
夕食の準備が一段落になったから、優と多惠子はやって来て自然に会話を加えた。
「そうか。そこはお二人の知り合いのところか。って事は、そのヘイセイブライってのも神龍の一員?」
「そうだ。鳥の姿にして、寒氷龍ヘイセイブライだ」
犬の姿で多惠子の隣に座っているギニンレードがエーカーを答えた。
「アカギ様、そしてみんな様、申し訳ありません」
肌色が少し深い精霊がやって来て、カミトたちに頭を下げて謝った。
「あなたはシェレニールさんだよね」
「ヤマト総隊長、どうか私の事を呼び捨てにしてください。あなた様は私たちの世界を救った恩人の一人ですから」
シェレニールは凛の呼び方を聞いたら、畏れ多い顔になった。
「って、なぜお前がこんなところに?お前はとある目的のためにアースに来たのは知ってるが、まさかそれは剣成と接触するとは……」
「瞞す事は申し訳ありません。しかし、接触するのはシグレ様ではなく、ルーン様の方です」
「どう言う事?」
奈美はそのままシェレニールに問い掛けた。
「はい。我がザッドの星の巡行者アルヴィス様の預言を告げるためです」
「アルヴィス様か」
超神からの指令であれば、これ以上文句を言うことはできない。更にそれは未来を見える星の巡行者からであれば、尚更だ。
「そう言えば、この前、デゥフランゴ様も来て、エミリーを寄越せってな」
「デゥフランゴ様が⁉︎」
ふっとカミトは驚き事を言い出した。
「まあ、当然な事だ。なんと言ってもデゥフランゴ様は情報部門の指揮を取っている。エミリーのような情報部隊が彼の管轄外なんて、耐えられるわけが無かろう」
北上は少し考えた後、推測を言った。
「まさかと思うけど、エミリーをデゥフランゴ様に出してないよね」
凛はとても真剣な目でカミトを見ている。
「そのために少し揉めたけど」
カミトはアリスを見て、肩を竦めてやれやれと言った。
「今までの話から、そのデゥフランゴもあのマーヴェレヴェスと同じこの世界の超神だとわかった。それなら超神に対してそんな態度で大丈夫か?」
ずっとみんなの会話を聞いたばっかりのエーカーは疑問を口にした。
「大丈夫だよ。他の超神はカミトを賛成しているから」
エーカーの疑問を答えたのは、アリスだった。
「人形が喋った、だと……⁉︎」
「チャルスも同じ反応だったね」
凛はエーカーの驚きの顔を見て呟いた。
「それも無理ではないだろ。既にAIを貰った俺たちがアリスを見た時も驚いたじゃなかった?」
「勝手に俺の鞄の中に隠して、家に到着したら勝手に出てきた事はもはやホラーの領域だったな」
カミトの顔は珍しい怖い表情になった。そしてカミトが言った事を想像したみんなも同じ顔になった。
「とりあえず、アルヴィス様の予言を教えていただけない?」
「はい、わかりました」
凛の言葉でみんなの視線に集中されたから、シェレニールは予言を言い始めた。
「空が燃える、風が泣く、大地が割いている。復活した龍の災厄が咆哮し、悪の深淵から降臨した悪意の集合が全てを圧倒する。だが、英雄たちが奮起し終焉に立ち向かう」
シェレニールはできる限り感情を込めないようにアルヴィスの予言をみんなに伝えた。
「予言にしては具体的すぎるだろ」
「確かに予言とは、もっとわかりにくいのものだと思ったが」
カミトと剣成がシェレニールの言った予言を聞いた後、すぐツッコミした。
「今が持つ情報から見ると、英雄とはエーカーとチャルスの事?確かに英雄騎士って呼ばれているよな」
北上は予言の内容を少し考えた。
「カミトと剣成も英雄と称えられているのよね」
北上の推論に、奈美は二人の名を追加した。
「私もそう思うわ。何せ、この二人は救世主と絶対守護の剣だからね」
凛の話は恥ずかしい表情を出した二人には追加攻撃になった。
「さっきの話から見ると、お前はあの赤城カミト?」
エーカーはカミトをじっと見て聞いた。
「そうだが何か?」
「いや、多惠子と優、そして神龍たちからよくお前の名前を聞いたから、どんな人かってな」
「冴えない顔で悪かったな」
カミトは機嫌悪いの表情をエーカーに見せた。
「外見で一人の真実を判断できない、お前のような戦士はそれをよく知っているはずだろ」
エーカーさっきまでの執事口調は全く消えた、今のは本性のようだ。
「チャルスは皇国の候爵だとしたら、つまりお前も貴族か?」
「それはチャルスが騎士公爵と世襲候爵両方の爵位を持つからだ。今俺は英雄騎士の一員として騎士公爵扱いが、世襲爵位を持てないから、基本的に俺は一介の平民だ」
「これは意外だね。チャルスの話によると、エーカーは相当な強さを持つ事はわかっているが、それはどれくらいの?」
「普通の刀で猟獣型多数を足止めさせた。そして神龍から大太刀を貰った後、巨拳型でも倒せた生身の化け物だぞ、こいつは」
もしこれは剣成や神龍たちから言った事ではなかったら、カミトたちは全く信じられないだろ。
「神龍から剣をもらったの⁉︎凄い!」
奈美が讃える同時に、ギニンレードとアスレールを見た。
「我々が保証する、エーカーは信頼に値する人だ」
奈美の視線を気づいたから、ギニンレードは肯定な発言を言い出した。それを聞いたエスレールも頷いて同意した。
「エーカーの状況から考えると、もしチャルスも武器が有れば、熊を倒せるかもしれないって事だろ」
「その熊と言うものはどれくらい危険なのは知らんが、チャルスはファンス皇国最強の槍使いだ。人呼んで、皇国神槍である」
エーカーの赤い狂狼や蒼藍猟狐よりまともそうな称号だから多惠子は讃えたいけど、エーカー次の発言は多惠子の言葉を止めさせられた。
「まあ、あいつも『死を呼ぶ騎士』で呼んでいるけどな」
「ええええええええ⁉︎」
エーカーの口から言い出した称号はみんなを驚かせた。




