血の呪い
「俺はチャルス、チャルス=ブラウン、ファンス皇国の候爵だ」
女性の質問に、俺はまず自己紹介をした。
初めまして、見知らぬ諸君。
いろんな事を聞きたいのだが、とりあえず、俺はチャルス、今は軍服の凛々しく女性と人形に取り調べられている。
何故人形は喋られるかってことは一旦横に置いて、女性は警戒の目で俺を睨んでいる。
彼女の軍服は階級章がない事から見れば、軍服ではない可能性もあるが、さっきあの男の対応から見ると、国の正規軍じゃなくても、とある軍事組織に違いないはずだ。
ちなみに、今リエラは他の部屋で他の女性軍士に取り調べられている。まあ、危険は無かろう。何せ、リエラはあのエーカーの副官だ。まあ、総合的には既に騎士になって独立したリヴィアと比べられないが、戦闘力についてはおそらくファンス皇国最強の女性だ。
元々俺たちファンス皇国は武で国を建てたから、自然にほぼ全ての民はとある武術を身に付けている。
さらにその中に、エーカー、リエラ、そして俺は特別だ。その原因は、俺たち三人の体内には、「血狼ウイルス」と言う呪いが存在しているからだ。
「なるほど、ファンス皇国の候爵ですか。って事は、私は貴族への敬意をこむべきですね」
いや、そこは楽にするがいい。別にそんな事を気にするタイプじゃねぇからだ、俺は。
「ではヘイセイプライ様、何か意見がございますか?」
軍服の女性は少女の肩に停まっている鳥に伺った。えっと、どう言う事?
「このお方は私が仕える麻奈実聖上の半身、神龍の寒氷龍ヘイセイプライ様である、失礼のような真似を遠慮してもらいたい」
あの熊と言う生物から俺とリエラを助けられた男が鳥と少女に一礼して俺に注意の言葉をかけられた。
魔法があるなら、その鳥実は神龍の事も納得できる。何せ、ここは俺が詳しく知らない異世界だからな。
「一つだけ聞きたい。その『血狼ウイルス』とあらは何物?お主は呪いと称呼したようだが」
本当に鳥が喋った⁉︎しかも俺の思考を見抜かれたと言うのか⁉︎
「我ら神龍は神の半身である故、意志がある者の心を読める事をできるのも当然な事」
……これは認めざるを得ないのようだ。
正直、それは言うべきものではないと思ったが、あの神龍である鳥と軍服の女性からの視線は早く言えの威圧を感じられるから、俺は言った。
それは我が国のとある研究所で、人体の自己治癒力を向上するための研究をしていた。
しかしその研究の果てには、とんでもないものを作ってしまった。そう、それは「血狼ウイルス」だ。
人体の自己治癒能力だけではなく、半強制に細胞を取り替えのせいで、凶暴性も控えられないほど強くなってしまった。
本来は廃棄すべきなものだが、研究員たちの研究心が暴走した結果、勝手に人体実験でもやりやがった。そしてその犠牲者になった者は、エーカーであった。
あの時のエーカーはファンス皇国の交戦国「ナイヤ連邦」の少佐、つまり敵であった。そんな彼はとある原因で研究員たちにそのウイルスを注射されて、とんでもない化け物になった。彼が暴走した結果、カオション地区の惨劇は彼の手でやりやがってしまった。
だがエーカーがその暴走からようやく目覚めた時、彼は自分の罪を意識してしまい、悔しんでいる時、ある少女がまた呼吸していると気付いた。かなりの重体だから、エーカーは一か八かで自分の血を彼女に飲ませた。
結果としてはあの少女は生き続けたけど、エーカーと同じように血狼に呪われた。そう、その少女はお察しの通り、リエラであった。
その後、こんな事をやりやがった研究員たちを制裁するために、俺が動き出した。え?なんて侯爵である俺が自ら手を出したって?
これは失礼した。普段の俺はできる限りこの身分を使いたくないが、今はその余裕がなさそうだな。
我らファンス皇国には、騎士爵位と一般爵位が分けている。俺の候爵は一般爵位、先祖から継承したものだ。それと違って、俺のもう一つ身分は、皇国の英雄騎士である。え?英雄って?神さまの半身であれば理解できるだろ?英雄とは、民を導くの象徴だ。だから国の為に、俺の手でこの悪を断たないと。
その結果、研究員たちを皆殺したが、まさか俺は残っていた血狼の原種を抹消しようとした時、研究員の悪あがきでウイルスに感染されてしまったとは、実に不覚だった。
それから数年後、俺がここにいた。
「ご説明、感謝する。念のため、そのウイルスの症状と伝染方法について教えていただきたい」
軍服の女性は心配しているそうだ。まあ、それも当然であろう。ウイルスだから、それを恐れない奴の方が変だ。
今知っているのは直接原種に注射されて、或いは持ち主の血を体内に、この二つだ。そう、今ウイルスを感染したのは俺たち三人しかいない。
「なるほど。ではそのエーカーもここに来たの?」
いや、それは知らん。ただもし俺とリエラがここに来たと言ったら、あいつも来たの可能性が高いって思っただけだ。
「ご協力、ありがとうございます」
軍服の女性はあの鳥と少女に頷いて、後ろの兵士たちに何かを指示した後離れた。
「あの、カニンガンさん、イロヤさん、お茶でも出して、お願い」
「はっ」
さっきの男ともう一人の女性メイトさんは少女の命令に従って、俺の前にお茶とお茶請けを用意してくれた。
「あのね、凛さんたちも安全のためですから、どうか許してください」
なるほど、さっきの女性は凛と言うのか?
「チャルス=ブラウン、ファンス皇国の候爵にして、英雄騎士の一人だ」
俺はあの少女と鳥に向いて、もう一度自己紹介をした。
「はい、私はここの地主の娘、杉原麻奈実です。そして彼女は寒氷龍ヘイセイプライです」
「寒氷龍のヘイセイプライだ、よろしく」
「しばらく世話になる」
今更だけど、鳥が喋る事は実に驚いた。
「どうぞ召し上がってください」
杉原さんが自分のコップを口に運んだから俺にどうぞって示してくれた。
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もし本当にエーカー様もこの世界にいたら、一刻も早く見つけ出さないと!
え?恋人かって?そんな畏れ多い事なんて……
でも、命の恩人です。私はカオション事件に巻き込まれて、重傷した。もしあの時エーカー様がいなかったら、きっと私はそのまま死んだはず。
え?暴走したのもエーカー様ではないかって?ブラウン卿はそんな事まで言ったのですか?エーカー様の暴走もあのウイルスのせいですから、彼の本意ではありません!
すみません、少し頭に来たですから。
改めて自己紹介させていただきます。私はリエラ、リエラ=フォード、ファンス皇国の陸軍中尉です。運がよかってエーカー様に副官に選ばれましたから、今は騎士を目指す頑張っています。
え?さっきの話ですか?私もそのウイルスを感染したって?そうですね、瀕死の私に、エーカー様は彼の血を分けてくれたんですから、私は瀕死から生きることができたのです。もちろんそれは私にもウイルスを感染された。
え?なんていきなり距離を取ったのですか?え?ウイルスが伝染する事を心配するって?そこは大丈夫なはずです。その研究員たちは狂たけど、仕事はちゃんとしたのよ。敵に利用されたくないから、彼らは伝染性を極めて低くしました。私がエーカー様の血を飲んだように、或いは原種に直接注射されない限り、感染しないよ、多分。
そのウイルスについて、私もあまり詳しくが……ブラウン卿なら知ってるはずです。え?後で訊問するから、今は私が知る範囲で教えなさいって?
えっとねー本当に知りたいの?では教えてやるよ!
パン!
「やめなさい!馬鹿者!」
ブ、ブラウン卿⁉︎なんていきなり乱入したの⁉︎しかも私を阻止しようの態勢で、私と私を訊問する人の間に立った。
「彼らの前に血狼の力を発動するのはどう言うつもりだ!」
すみません、さっきこの人たちの口調で少し腹が立ったので。
「その短気な性格こそエーカーがお前を騎士に推薦しなかった原因だ!」
え?そうなの⁉︎
これは衝撃的な事実だ。
「チャルス殿、どうなさいましたか?」
私とブラウン卿を助けた男も入って来た。そう言えば名前は未だ伺ってないですね。
「これは失礼した、私はカニンガン。カニンガン=ライオン、白の聖女を仕える聖殿騎士だ」
え?聖殿騎士⁉︎魔法を使ったからてっきり……
「それは我が主の権能を少々借りたに過ぎん、別に大事なことではない。魔法のようだが、魔法ではない」
へ〜それにしても、執事と騎士の役目も似てるよね。
「カニンガン様、ただいま総隊長から撤退命令を貰いました。この二人の事を麻奈実様に任せてもよろしいでしょうか?」
「少し待ってくれ。あ、はい!では我々にお任せてください」
カニンガンさんが誰かと通話した後、兵士たちに頷いた。
「感謝します。では我々はこれより撤収しますので、お先に失礼します」
兵士たちがそう言ったから、この部屋から出て行った。
「彼らはそう言ったけど、お前たちは俺とリエラをどうするつもり?」
こんな状況でもしっかりやっているチャルス様はやっぱりエーカー様と同じファンス皇国を担うの一人、さすがです!
「どうするも何も、お前らは客じゃねえか」
え?
「知愛様、おいらっしゃいましたか?」
「ああ、兄さんたちは別館で休みになった。シアンシャズからは何かあったってね、知愛さんと来たの」
「玲様、お元気そうでなによりでございます」
え?また別人が来た⁉︎
「ご紹介します。この方々は我が主と同様、神に選ばれた聖女であります」
えええええええ⁉︎聖女がこんなに多いの⁉︎
「これは失礼しました。我はファンス皇国の候爵、チャルス=ブラウンと申します」
「松岡知愛よ、よろしくね」
「遠藤玲だ」
は、はい!リエラ=フォードと申します!
チャルス様は何をしやがる。早く自己紹介を!っての目で私を睨まれたから、私は慌てて自分の名前を言い出した。
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「カミト、撤収するわよ」
『了解、今はそちらへ向かう』
「あの二人は何かを言ったのか?」
しばらく後、凛と合流したカミトは質問を言い出した。
「その話はヘリを乗ったからよ」
「……わかった、ではヘリの操縦者は……俺がやるのようだな」
「え?兵科長自らが⁉︎」
カミトと同行した麻美はその話を聞いたら驚いたそうだ。
「俺の技術を信じられんのか?」
もちろんそんな事はない。麻美は知ってる、最高級戦闘兵には操縦できない乗り物はない。必要であれば、戦艦でも操縦できると言われている。
「いいえ、そうじゃなくて、それは兵科長がやるべき事ではないかと」
「いいか?麻美、そう言う考えは捨てる方がいいぞ。いざという時、お前はまた誰かを操縦に呼ぶのか?」
「あ、はい!勉強になります」
カミトはとても真剣な顔で注意されたから、麻美は慌ててカミトに頭を下げた。今は独立したとは言え、カミトは桜の父にして、最強の狙撃兵かつ麻美が軍士学校卒業以来の上司だったから、麻美は素直にカミトの話を受け入れた。
「そうだとすると、あたしもヘリの操縦を練習する方が良さそうだね」
「いや、ヘリくらい、君が既に操縦資格を持てるよな」
麻美を代わってカミトの話を答えた人、そしてその人をツッコミしたのは、熾炎天使の技工兵科長の奈美と支援兵科長の北上であった。
「奈美と北上さんも来たか」
「本来はソフィアも来てもらいたかったが、あいにく彼女は事務処理のデスマ最中だ」
「へ〜」
「あれほどの量をパパっと処理できたのえりなは規格外だからな」
おそらくカミトは「えりなの時はデスマなんてしなかったぞ」って顔を見せたから、北上はカミトに注意した。
『どうやらそちらは幹部だけになったそうだな』
みんながヘリに乗って、カミトは離陸準備をしている時、剣成の通信がいきなり入って来た。
「もしお前の能力を知らなかったら、きっと覗き魔だと通報したぞ」
タイミングが良すぎるから、カミトは剣成をツッコミした。
『既に座標ポイントをそちらに送った、そこに来てもらいたい』
「理由は?」
カミトは目で凛に指示を求めたから、凛は少し考えた。
『現場で教える』
『赤城様、どうか時雨様の話を従っていただけないでしょうか?』
剣成の他に、凛たちが聞いた事のない声がカミトを呼んでいる。
「この声は……シェレニールか?なんてお前は剣成のところに……?」
「カミト、行こう」
カミトはまたシェレニールがそこにいる意味を考える時、凛は発令した。
「了解」
カミトの操縦によって、ヘリが上昇しステルスモードを発動して、夜色に溶けて消えた。




