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赤と青の間奏曲

「この世界にもあんなものがあるとはな……」


 「あんなもの?」


 エーカーの呟きを聞いたから、多惠子はエーカーに聞いてみた。


 そして多惠子がエーカーの視線の先で見たものは、ガーディアンスのエース、時雨剣成の専用機、守護聖剣(エクスカリバー)がそこに片膝で跪いている。


 機龍型の怖さを充分理解しているからこそ、多惠子は剣成と守護聖剣(エクスカリバー)の力を感服している。


 (だから剣成さんはザッドの民たちに絶対守護の剣と呼ばれるのも当然だよね)


 多惠子は心の中で呟いた後、エーカーが言った言葉にある意味を感じた。


 「ルーンさんの世界にもPAWSがあるのですか?」


 さっきエーカーはもって言ったから、つまり……!


 「エーカーでいい。世話になった身だから、敬語は不要だ。それに俺自身もそんな事を好かん」


 「じゃ、エーカーさんで。さすがに年上の方を呼び捨てなんて無理だよ」


 「それもそうだな、じゃ、それでいい。それより、こっちはそれをPAWSと呼んでいるのか?」


 「エーカーさんの世界は違うの?」


 「俺の世界ではPAだけ、パーワードアーマーの意味で」


 「確かに時雨さんが言った、PAWSはパーソナルアーマードウェポンシステムの意味だそうだよ。あ、似てるじゃない?」


 「ああ、多分使い道はほぼ同じだから、名前が似ているのも当然だろ。しかし俺の世界はそんな程度の機体が無い。実際の戦闘は見てないが、おそらくあの機体は一機だけで俺の世界を制圧できるだろ」


 「それほどなの⁉︎」


 「ああ、それほどだ。俺の世界は既にそれを実戦運用しているけど、そのような人形兵器の歴史はまだ短い。アクションフォローシステムができていると言っても、その巨拳型異種を勝てる気はしない」


 「でもお主は生身で勝ったではないか?」


 当然のように、ギニンレードが聞いてみた。


 「あれはこの大太刀のおかげだ。俺の世界にはこんなものはない、さすが神の分身というだけがある事か?」


 エーカーはあの炎のような赤い大太刀を撫でて言った。


 その事件の後、多惠子と優はエーカーにザッドの事を説明したから、エーカーは最低限でザッドを理解している。


 赤色狂狼(ブラッドウルフ)について、エーカーも多惠子と優に説明した。二人が聞いた後、エーカーが新しい蒼藍狩狐の称号に呼ばれる事を心から喜ぶ。


 「しかし、もしお主の世界もそのような人形兵器を使えるほど科技が進めているなら、お主の剣技は一体どういう事だ?」


 そうだ。このアースは剣成とカミトのような化け物っぽい人間もいるが、科技が発展していたから、ほとんどの人間はそのような身体能力を持てない。しかし剣成とカミトでさえも、エーカーの剣技と敵わないはずだ。


 「前にも言った、俺の国は武で国を建ったから、国民は何か武術を身につける事は国が勧めでいる。それに誰も憧れる事があるだろ?英雄と言う存在をな」


 「そうだな」


 「し、時雨さん!」


 突然エーカーを答えた声、それはあそこにいる守護聖剣(エクスカリバー)を運用できるのただ一人、時雨剣成の声であった。


 「お疲れ」


 エーカーは適当に剣成に挨拶した。


 「お前の住む所が決めた」


 そして剣成は彼が離席した間にやった事を言った。


 「そうか?俺の予想だと、一般の宿など無理だろ?」


 「その通りだ。俺らの部隊の宿を使いたいが、それはマーヴェレヴェス様に却下された。なんても今お前の事はまた内密ってな」


 「時雨様、それは我が星のアルヴィス様の予言で私がマーヴェレヴェス様をお願いした事です、申し訳ありません」


 黒い肌色の精霊(エルフ)は剣成に謝った。


 「シェレニールと言ったか?大丈夫だ、こっちも余計な混乱を避けたいからむしろ好都合だ」


 「ありがたい言葉です」


 「ではエーカーさんの住所はどうなってます?」


 多惠子は剣成に聞いた。


 「異種のせいで、市区の半分は破壊されたから、土地の価値は大幅減ってしまっています」


 当然のように剣成の隣に立っているシルベリアが多惠子に答えた。しかしシルベリアが言った事は多惠子にとって答えになってない。


 「それを狙って、海外からたくさんの人があそこの土地を買っています」


 「え?なんて?」


 シルベリアは説明を続いたけど、多惠子はそう言う事を詳しくないから聞いてみた。


 「そいつらの共通点は、自分の国内は穏やかじゃないから、多分この機で逃げ出したいんだろ」


 剣成はシルベリアの話を続いた。


 「まさかと思うが、その話によると、お主も土地を買ったのか?」


 「多分神龍様の言う通りだな」


ギニンレードが言ったから、エーカーは少し微笑んで、剣成をじっと見た。


 「ああ、そう言う事だ」


 「えっと、土地の価値が下がったと言っても、それもかなりの額が必要なはずよね!」


 多惠子は信じられない顔を剣成たちに見せた。


 「カミトは簡単に数億の賠償金を代わって出せた、さらに芸能人の営業にも資金を出せるなら、ただの土地買収、俺ができないわけが無かろう。俺とあいつの給料やボーナスはほとんど同じだったぞ」


 「あ、そうですね」


 カミトがやった事は少しでも綾崎家と関わっていたから、多惠子たちも和歌奈からある程度の事を教えてもらっている。


 「もちろん仮名で買う事になりますよ」


 「あ、それもそうですよね」


 多惠子も知っている、この国にとって、時雨剣成と言う人は既に存在しない者だ。もし何をしたかったら、仮名を使うしかない。


 「しかし今土地を買うなんて、急がしすぎない?もし明日俺は消えたらどうするつもりか?」


 「もちろんお前だけのためではない。この前、俺の家族は息子の剣心だけだった。そして俺は彼を無関心しすぎて、カミトとえりなばっかりに任せたせいで、シルベリアと結婚したから、俺はようやく家族と言うものを認識できた」


 「つまりあそこはお前たち夫婦の家にしようとするつもりか?だとしたら俺が一番先に住んでも大丈夫のか?」


 「お前も貴族だから、使ってない屋敷も管理人が必要って事は知ってるだろ。しばらくの間でもいい、来るべき未来が来るまで、あそこで屋敷の管理人の身分で隠してもらいたい」


 「なるほど、それで俺の事を隠すって事か」


 「そうです。今私と剣成さんはまた完遂するべき任務がありますので、その屋敷で長居できるわけがありません。エーカーさんが去った後でも、私と剣成さんは新しい管理人を雇うつまりです」


 「なるほど」


 まさか一人を隠すために、簡単に土地まで買ったなんて、多惠子は今の状況を少し飲み切れない。


 「多惠子、できた」


 「優!」


さっきまでいなかった優とエスレールの言葉に、シルベリアは頭を傾いた。


 「エーカー、その刀を」


 「はい」


 エスレールの命令で、エーカーは両手で刀をエスレールに捧げた。


 「多惠子、あなたも来て」


 「わかった」


 優と多惠子は同時に手をその刀に置いたら、刀は赤と青の光で光った。


 そして光が消えた時、赤色の刀は青色になった。


 「これは……蒼藍狩狐と言うのか⁉︎」


 少し困ったエーカーに、淡い青色の光が包まれた後、エーカーは刀の新しい名を言い出した。


 「赤色狂狼の威力は強すぎて、だからギニンレードからもエーカーさんに鱗を渡そうと決めた。しかし刀が二振りになったのもさすがに不便だから、私は優と相談して、こうやって二つに一つにしましたよ!」


 「しかし、もし力が必要な時、エーカーさんの覚醒と共に、再び赤色狂狼に成れる」


 「つまり俺の姿に合わせて使えると言うのか?それはありがたい」


 エーカーは両手で優と多惠子から刀を渡されて、頭を深く低くして敬礼した。


 「決してこの力を悪用しない、この刀で誓おう」


エーカーは刀を持って、神龍と聖女たちに儀式のような敬礼をした。


 「最強の剣士が誕生したと言う事か」


 剣成はエーカーと多惠子たちを見て、微笑んだ。


 「待たせた、お前たちの用事は?」


 この前の弱気の顔と全く違って、エーカーの言葉に自信が溢れている。


 「ああ、さっき言った屋敷へ行こう」


 「あの!」


 剣成たちは行こうとした時、多惠子に声で引き止められた。


 「どうなさいましたか?」


 剣成の代わりに、シルベリアが多惠子に聞いた。


 「私と多惠子も行きたい」


 優は短い言葉で答えた。


 「しかしご両親は大丈夫ですか?」


 シルベリアは多惠子の家を見て確認して聞いた。


 「書き止めは書いたから大丈夫よ、店の扉もちゃんと閉めたし」


 「ではシルベリア、案内と運転は任せる、俺は一旦帰還しようとする」


 「はい!剣成さんも帰還の途中は気をつけてくださいね」


 剣成は親指で守護聖剣(エクスカリバー)を指して、シルベリアに指示を出した。


 そして剣成はシルベリアと分かれて、守護聖剣(エクスカリバー)へ向いた。


 「そう言えば、よくお前たちはその機体をそのまま放置していたとはな。奪われたらどうする?」


 エーカーは剣成の後影を見て、シルベリアに聞いてみた。


 「大丈夫ですよ、それは私が剣成さんと一緒に行動した原因です。私たちがいなくても、剣成さんのAIが控えていますので、いつでも動きますよ」


 「なるほど」


 ガーディアンスの個人AIの凄さをよく知っているから、多惠子と優はすっかり納得した。


 「AI……?」


 どうやらエーカーの世界には未だそんな程度の科技に至ってないようで、理解できない顔を出している。


 「どうぞ」


 シルベリアは多惠子と優のために、黒い車のドアを開けた。


 「えっと、シルベリアさん、運転は大丈夫ですか?」


 元ザッド人だから、多惠子がシルベリアの技術を心配するのも仕方ない。


 「ご心配なく、私はこの国の運転免許を取っていますよ」


 「ええええええ」


 この国の車の免許試験はどれほど難しい、優と多惠子は友達からよく聞いていた。だからシルベリアが二人に免許証を見せた時、多惠子と優は口が大きく開いて驚いた。


 「しかし剣成さんは一発で合格できたのに、私は三回目でようやく……」


 「いやいや、もし剣成さんが一発合格出来なかったら、その方が驚きますよ!」


 「うん、剣成さんだから」


 多惠子と優の言葉を聞いたから、シルベリアは嬉しそうに微笑んでいる。


 「えっと、俺はどこ座ればいいだろ?」


 自分の旦那を自慢しているシルベリアと二人の聖女を見て、エーカーはやれやれって肩をすくめた。


もちろん二人は仮身分で免許を取った。

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