クーフーリンにて
「そう言えばこの船の名前、クーフーリンはどう言う意味でしょう?」
みんなさんこんにちは、ヴィクです。
カミトの貫雷魔剣が光子エネルギーを充分に提供しているから、今クーフーリンは動力全開でザッドの重力から離脱している。
この加速段階は安全を守るために、みんなは座位でシールドベルトを固定されている。
もちろん僕もだが……あの、この締め方はダサくない?
僕の考えはもちろん誰も気づかれてない、この段階では指揮室と操縦室しかやる事はないから、間話するしかないようだ。
それでロサナさんはさっきの質問を言い出した。
「そうか、君はザッド人だから知らないのも当然だ。クーフーリンは俺たちアースのケルト神話で登場した英雄の名前だ」
「そう言えば、その後私は相関の資料を調べたが、クーフーリンはあの英雄の本名ではないようだ」
シェルシンの説明に反論を出したのは桜だった。本来この役目は斎香がやるべきだと思ったが、今の離脱段階では彼女が指揮室でとても大変そうな仕事をしているからここにいない。
「確かにそうだが、セタンタとクーフーリンと比べたらあまり知らせていないからな」
シェルシンは何故セタンタからクーフーリンに変えた理由も含めて説明したから、桜だけではなく、他のみんなも納得できた。さすがえりなが認めた物知りだね。
「アースには、こう言う神話が多いのですか?」
ロサナさんは興味満々の顔で質問を続いた。
「地域によって伝説も違うからな」
今回はロックオンが答えた。
「なるほど、だからケルトと名付いたんですね、それは興味深いですね!」
ロサナさんの顔から見ると、やっぱりこう言う話が好みのようだ。
「そう言えばファランディナ様は言ったな、ロサナさんは良く本を読んでいるって」
国光が言ったから、ロックオンもそれもそうだなって頷いた。
突然、猛烈な加速度感が消えた。僕たちは少し浮いてるようになった時、彩子の声でアナウンスが流れて来た。
『ただいま本艦はザッドの重力圏から離脱成功しました。安全区域に到着するまで位置に座ってください」
後ろの部分はまるでロックオンたちに言うようだ。ロックオンと彼の隊員たちは浮いてると感じた時、シールドベルトを解けろうとした。だがそのアナウンスを聞いたから、誰も大人しく位置に戻った。
「あれは魔法?ここにいないのに、声ははっきり聞こえるのは凄いじゃない?」
うん、マドナさんは凄い誤解をしている。国光、解説は頼んだぞ。うん?なんて俺がって?お前が連れて来た者だからな、きっとシンもこう言うはずだよ。
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「あの、レイコさん、旦那様は指揮室で指揮を取ってないのようですが、大丈夫ですか?」
リジルザックスはクーフーリンに来たから、子育てのために、カミトの寝室の一つ区域をリジルに譲った。
本来ベットは一つ普通サイズのしかなかったが、カミトは奈美に依頼して、三人で一緒に寝ても充分の大きさのベットに建て替えた。さすがにその時はまたリジルも娶る事になるを想像しなかった。幸い織姫は小柄の体型だから、四人一緒に寝ても充分の大きさだ。
この部屋も総隊長私室でもあるので、空間はまた余裕があるから、リジルに譲った部分は菫のベットが置いている。
本来リジルは他の隊員と一緒に待機室にいるべきだったが、菫の事を考えて、カミトの部屋で待機することになった。そして万が一の為に、レイコが自らリジルと一緒にここで待機する。
ちなみに瑠美と彼女の赤ちゃん、そして他同じ需要がある隊員たちにもちゃんと支援兵科の隊員を世話役として派遣している。
アナウンスをしたのは彩子、指揮を出したのはえりなだと聞いたから、リジルはレイコにそんな疑問を言い出した。
「この船の動力源は兄さんの貫雷魔剣だから、細い調整は兄さんが貫雷魔剣にいないとできないよ」
「でしたら、そんな事は機密ではありませんか?私に語ってもよろしいでしょうか?」
自分が聞いた問題だが、カミトやえりなたちに迷惑をかけたくないのは彼女なりの優しさである。
「貫雷魔剣は兄さんだけ使えるのは二つの理由がある。一つは、貫雷魔剣の権限認証は兄さんだけ。そしてもう一つは、貫雷魔剣の性能は高すぎて、上手く駆動できるのは兄さんだけ。剣成と守護聖剣も同じ状況で、殆ど誰も知ってる事なのよ」
「わかりました」
「あの、リジルさん、私に敬語を使わなくても大丈夫だよ、家族だから」
「でもレイコさんはえりなさんだけに姉さんを呼んでいるではありませんか?」
「ああ、それか。それはえりな姉さんと兄さんと私は幼馴染だったから」
その時の仲の良さ、レイコもあの時からカミトはえりなと結婚する事を確信したが、自分の父親がそうな事をしたのはさすがに予想外だった。
(だから私はガーディアンスに入って、当時の熾炎天使に採用させられた時、私を迎えて来たのは兄さんとえりな姉さんだった事に驚いた。これは運命というものなの?)
レイコは心の中でそう考えた。
「菫ちゃんは本当に可愛いだね、全く兄さんの娘だと思えないくらい」
レイコにとって菫も桜と同じ姪っ子なので、血が繋がっている。
「レイコさん、私とこの子がアースを慣れるまできっと大変になりますから、どうかよろしくお願いします」
「だから敬語を使わなくていいって!」
レイコはリジルを姉と呼ばないが、さすがにリジルは五百年以上生きていた者だから、自然に姉の気分を感じられた。
だがそれでも家族になったから、レイコはどうしても親近したい。
「これから慣れるよう、がんばりまー、じゃなくて、頑張る」
「あははは」
レイコの常識を超えた長年生きてきた習慣はそうやって容易い変えられないそうがから、今これでいい。レイコはそう考えて微笑んだ。
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「悪いな、指揮をあなたばっかりに任せてしまって」
『いいのよ。貫雷魔剣はあなたしか操縦できないし、この段階の光子の供給も細い操作が必要だし』
貫雷魔剣のコックピットにいるカミトはえりなと通話している。
「やっぱりロックオンや国光にも操縦の訓練をやってみようの方が良さそうだな」
『それはよくないと思うが』
「え?なんて?」
『あなたは私たちの切り札だから』
それだけで、カミトはえりなの意思を理解した。
貫雷魔剣を操縦できるのはカミトだけの今、貫雷魔剣の登場もカミトの登場に等しい。
状況によって、それも士気とかかっているから、えりなは「カミト=貫雷魔剣」の印象を壊したくない。
『それに、今あなたが極光神剣に変身する時も貫雷魔剣が必要でしょう?』
「それもそうだが」
意外を起こしたくないから、貫雷魔剣はそのままカミト専用にする方がいいって、えりなはそう思っている。
『そもそもこの部隊が成立できた理由は、あなたが極光神剣の力を持つからだよ』
えりなの言う通りだ。その強大すぎる力をサポートするために、マーヴェレヴェスと凛はこの部隊の成立を認めた。
「いつも俺を支えてくれて、感謝するよ」
『何の話?私はあなたの公私問わずの伴侶だよ』
えりなは声を小さくなったが、カミトは依然えりなの後ろから雑音を聞こえる。だがその艶羨するの声はこの二人への何よりの祝福になった。
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さすがにこれは気まずすぎるだろ!
あ、みんなこんにちは、俺はシンだ。
今は他の隊員たちと同じ、座位にシールドベルトをしっかりつけている。
ヴィクとトリーはもちろん俺の側にいるが、彼たちの反対側の座位は、杏だ。
正直、彼女の告白に対しての答えは今でも心当たりがない。
もし憐がここにいたらこの気まずくも多少緩和できるけど、今彼女はレイコの指示に従ってとある隊員の世話役を担当している。
しっかりやってるな、感服したぞ。
「シン」
うわー!
突然、杏は俺に声を掛けてくれたから驚いた。
「そんな驚きすぎる顔は何なんだよ⁉︎」
杏は少し不満そうな顔で唇を尖らしている。
「すまん、その件についてもうしばらく時間が要りそうだ」
多分この件の事だろ?そもそも今の俺にはこれしか考えられない。
「別にあんたを催促するつもりはないわ。むしろこれこそあんたがしっかり考えてる証明だもの」
「はい」
「そう言えば、広一たちはもう知ってる?」
「……はい、指揮官の態度からバレバレって」
「やっぱり恋する乙女の気持ちはわかりやすいかな」
うん、ツッコミしたいけど、使えるべき言葉なんて俺は知らない。
「って、彼らの態度は?」
「はい、歓迎しているのようだ」
「え?」
「顕衛からは、伴侶を持ってるから、別にどうでもいいって。そして広一もレイとアースにいる亜夜さんだけで充分って言われた」
「あんたもクロエと理江がいるのよね」
「だがカミトの奴を見たら、人数の理由がなくなったと思って」
総隊長を奴って呼ぶだけで、シンがこの部隊も特殊な存在だと見える。杏は心の中でそう思った。
「確かに。だが人々は違うから、もしあんたが広一と同じ二人で限界だとしても、私もその答えを受け入れるわ」
「わかった」
とりあえず時間を稼げた。もっとしっかり考えないと……
なんて今頭の中がお嬢様が……!?




