龍と虎
「な、ぼうず、精霊ってのは、黒い肌色のがいるのか?」
「俺の記憶によると、いないはずだ。何か聞いたのか?」
ロックオンが帰って来たばっかりのに、そうやって俺を声を掛けてくれた。
「ああ、その辺のチンピラから、黒い肌色の精霊がこの近くにいたって」
「見間違いだろ」
「それを調査する価値があると思わないか?」
「そうかもしれないが、もっと情報がないと判断できまい」
「ご飯ができましたよ!」
ロサナさんが俺たちを呼んでんいるから初めて気づいた、質が良い食材が有れば、ロサナさんの料理の腕が上手い。軍事貴族としては珍しいな。
ちなみに、今の食材はこの家に来た途中で買ったものだ。どうやらロックオンが言ったその新年の祭りのお陰で、いいものが沢山ある。
「お食事中、お邪魔してしまって、本当に申し訳ありません」
座ったばっかりに、村長がやって来た。
「何かあったんですか?」
村長の顔色はあまり良くなさそうだから、俺は自分の食器を置きて、村長との会談に入った。
「猛獣の駆逐、ですか?」
「はい、誠に申し訳ございませんが、閣下たちに手伝いもらえれば幸いですが」
「どんな猛獣なのか?またなぜそれを駆逐する必要がある状況になったんですか?」
俺は大公爵の子であるけど、今ここで身分を晒したくないため、俺は慣れてない言い方で、村長と話している。
しかし猛獣か……もし危険だったら、ここは断る方が……
「分かりました、私たちに任せてください」
俺には貴族の義務があるから、断るわけがない。
「本当にありがとうございます!しかしだな……」
「何を言いたいのか?」
相手の態度が変わったから、俺も本来の言い方に戻った。
「失礼しました。実は、この前の時、わしは貴殿たちに良くない態度を取ってしまったので、断れると思って……」
「ではなぜそれでも俺らを頼んで来たのか?」
「はい、実はその方の実力を知ったので、ダメ元に来ました」
村長が指す人は、ロックオンであった。
おい、ロックオン、お前はまた何をしたのかよ⁉︎
「そうか、その後、てめらが村長殿に密告したか」
ロックオンは村長の後ろに控えている三人組を見た瞬間、殺気が溢れて来た、それは俺でも少しピピった。
「貴殿のご存知通り、この村は悪妖の襲撃からようやく祭りが挙げられるほど復興できましたから、この三人も若いから、どうか大目にしてもらっていただきたい」
あの三人もロックオンの凶悪な目でブルブルしているから、村長は慌てて弁解した。
「村長殿、さっきはなぜこの村を助けようと決めたと聞かれたな」
「あ、はい」
「ここだけの話だ、他言は無用だぞ」
俺は極めて小さい声で言った後、村長にその金属製の名札を見せた。
「あ、あなた様は……!」
「礼は不要だ。お前たちも、さっきの事は他言無用だ」
慌てて俺に敬礼しようとした村長を阻止した後、後ろの三人にも同じ警告を言った。凄い勢いで頷く三人を見て、ロサナさんとアリスちゃんは少し笑った。
「その猛獣は……虎です」
「これは珍しい、この近くには虎はいないはず……」
村長が言い出した猛獣の種類を聞いた俺は少し考えに入った。
「その任務、俺に任せてくれるのか?」
え?クニミツ⁉︎
「本気か?」
ロックオンも意外な顔をしている。
「いいのか?」
俺はもう一度クニミツに確認しに声をかけた。
「ああ、ぜひ俺に」
「あ、ありがとうございます!」
クニミツが行くと聞いた村長は涙が出るほど嬉しそうになっているそうだ。
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「なぜお前がそう言い出したのか?」
猛獣狩りの装備を備える時、当然のように、ロックオン先輩は俺に質問した。
「まだ害獣確定ではないから」
「一応確認したいけど、害獣確定であれば、お前はどうするつもりか?」
「その時はもちろん殺すが、もしそうでなければ、説得したい」
「そうか、お前は『龍』だからな」
ロックオン先輩はあっさり俺の考えを同意してくれた、感謝する。
「えっと、何の話?」
ロサナさんが理解してないのは当然な事だが、俺や先輩も説明するを後回しにした。
「国光、もし目標が変な挙動をしたら、俺は迷わず射撃するぞ」
ロックオン先輩の話はもちろんの事だから、異議はない。
もちろん俺はそうならないよう努力するけど、それも悪意がない限りだ。
え?目標の位置?もちろんこれから追跡する。
「本当に申し訳ありません、わしが案内できるのもここまでです」
「大丈夫だ、充分だ」
村から出発した時間から見ると、また森の外側だな。
まあ、魔物がないアースでも、一般人が森の深処に入るのは危険だから、ここは魔物がいるザッドであれば、それは言うまでもない。
「では俺が行ってくる」
先輩達に頷いた後、俺は出発した。
ガオオオオオオ!
おう?これは何かの咆哮声か?見に行きたいけど、さすがに正体を判明するまでは無謀な事だな。しかしここで待つのも時間の無駄だから、俺は行くと決めた。大丈夫だ、総隊長や先輩たちほどではないけど、俺も最高級戦闘兵の一員だぞ。
では、いざ参る!
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クニミツが出発したからもう何時間経ったのか、もうわからない。私たちはいつでもクニミツを助けに行けるように、ここで野宿の準備を進めている。
と言っても、ロックオン一人で私たちの天幕をあっという間に立てた、さすがなんでもできるの最高級戦闘兵だね。
「ロサナさん、あなたはアリスちゃんと一緒に村に帰っていいよ、ここは俺とロックオンで」
ロティマス様の話はありがたいけど、私でもクニミツを心配しているのよ!ほら、アリスちゃんもここでクニミツさんを待つと示したよ!
「なら俺とぼうずは見張りをするから、飯は頼むぞ」
ロックオンはロティマス様を越えて私に命令されたのはちょっと腹立つけど、仕方ない、ロティマス様より、こう言う場所の経験はロックオンの方が圧倒的に上だからな。
サッサッ
少し前の草叢から何かが動いてるそうだから、瞬間、ロックオンとロティマス様は警戒態勢に入って、いつでも攻撃できるように構えた。
ガルルル!
「待って待って、撃つな!俺だ!」
妙な吼え声の後、草叢から出てきたのはクニミツであった。
でもどうしてクニミツは虎の子を抱いているの⁉︎
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「つまり、お前の目標であるこいつの母は他の誰かに殺されたから、お前はこいつを持ち帰って来たって事か?」
「……はい、そう言う事です」
俺がおよそ十分間の説明で、ロックオン先輩は一言でまとめた。
ガルルル!
おそらくロックオン先輩から敵意の目線を感じたから、この子はロックオン先輩に向かって威嚇をした。
「よしよし、大丈夫だ。彼はロックオン、俺の先輩だから、仲良しするぞ」
ガルルル。
うん、いい子だ。
ガル!
俺の撫で撫でで嬉しそうな顔をするこいつは本当に可愛い。
この子を撫でる俺を見た先輩や他の誰も口が開けているほど驚いている。
まあ、それも理解できなくもない。虎はどちらの世界でも猛獣の類だからな。また幼いとは言え、この子でもその意があれば、いつでも俺の手を丸ごと噛み取れるだろ。
「ク、クニミツ⁉︎ほん、本当に大丈夫なの⁉︎」
ロサナの心配ももっとものことだが、この子に限っては大丈夫だ。なぜなら、俺は龍だから。
龍宝寺、それは俺の苗字だけではなく、今はもう戻れない実家である寺の名でもある。供えるのは龍の神、さすがにこれの範囲は広すぎるから、俺は覚えきれないほどの数だ。
え?それと虎の関係は?
俺たちのアースの東方地区では、龍と虎はよく一緒に出る関係だ。例えば龍兄虎弟、臥虎藏龍、龍虎の如くとか。
つまり、俺とこの子は兄弟になれる。むしろ、俺はこの子と兄弟になりたい。シンさんがヴィクを拾いだ時もこんな気持ちだろうか?
グルルルル
そう言えば、お前もそろそろ腹が減ったな。まあ、それは俺でもだけど。
虎が頷いた。よしよし、では狩りに行こう。え?ここの食料はだめかって?俺もそのまま食料をお前に分けたいんだが、そうすると、緊急状況用の予備食料は無くなってしまうから。大丈夫だ、俺とお前が手を組んだら、きっとすぐ獲物を取れるさ。だから、もう少し我慢してな、いい子だから。
「では俺たちはちょっと行ってくる」




