弱者の盾
「では、行こうか」
ロティマス様は魔力で作った使い魔をファランディナ様にここの事を報告する。一般的には、こんな機密任務を行う時、現場の判断に任せたから、報告する事は滅多にない。しかしこの山賊の規模はさすがに大きすぎるから、念のため、ロティマス様はファランディナ様に報告すると決めた。
「待って、ぼうず、あの洞窟の中から変な声、残党かもしれん」
ロックオンがそう言ったけど、私は何も……
「とりあえず、俺とロックオン先輩が先行して探査しよう」
クニミツの提議、ロティマス様は頷いて同意した。
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暗い……誰もいない……
誰か……私を……助けてください!
お願い……
古傷のせいで、私は喋れなくなってしまった。どんなに大声を出したいとしても、こんな洞窟の深処、私を気づいてくれた人がないだろ。
「なかなか広いだな、この洞窟」
え?
「だそうだ」
二人の男がこの洞窟に入って来たそうだ。
お願い……私はここにいます……お願い……助けて……助けて……
「ゲームの地牢っぽい不気味な場所だな」
「そう言えば、なんてああ言うものは殆どこんな場所があるだろ」
何の話はわかりませんが、どうか……助けてください……
「先輩!」
「待って、何かの罠があるかもしれない」
「わかっている」
二つの光線が私を交錯しているから、私は目を閉じた。しかしこんな直線な光、松明には不可能なはず……一体誰か……
「罠がなさそうだぞ、先輩」
「そうか」
私はようやく牢の前にやって来た二人の顔をはっきり見えた。
男、若い男。年はあの山賊たちとあまり差がない男。
「ヒ!」
「おいクニミツ、驚かせてどうすんだよ」
「俺のせいのかよ⁉︎」
この二人が冗談のような会話のお陰で、私は少し楽できた。
「大丈夫だよ、俺は何もしないよ」
そしてクニミツと呼んでる人は私に接近する前に、両手を上げた。
「ほら、見ての通り、俺は何もしないよ、こっちにおいて」
そう言われても、体はまた勝手に……
どうやら私の心の深処、依然怖っているようだ。
「そうか、それも無理ではない、ならこれを君に」
クニミツは私の少し前に、腰からとあるものを地面に置いて、そして私の前に滑って来た。
これ……短刀……だよね⁉︎どう言う事⁉︎
「それを持っていい、もし俺らが変な事をさせようとしたら、その短刀で俺たちを刺して良い」
え?
「ロックオン!クニミツ!何かあったの?喋る声を聞いたけど」
「しーー」
また誰かがやって来た、この二人の仲間なの?
「何を……!」
あの人がこっちにやって来て、私の様子を見たら、すぐこの牢に入りそうだけど、そのロックオンに止まった。
「ロックオン!」
「待って」
どうやら女性のようで、そしてロックオンに止められた事に不満がありそうだ。
さっきからずっと私を待っているクニミツは本当に悪意が無さそうだけど、念のため、私は彼を気づくながら、その短刀を拾った。
てっきりこの短刀に何かの罠があったと思ったけど、どうやら本当にただの短刀のようだ。
「これで少しでも安心できるだろ?」
クニミツ?なんてわかるの?確かにさっきより安心している……
「ロックオン、これは一体……?」
「しー、黙ってろ」
その女性はまた何かを言いたいそうだが、依然ロックオンに阻止された。どう言う事?
「大丈夫、ほら、俺は何も持てないよ、君にも何もしない。とりあえず、まずはこの洞窟から出ようね」
……はい。
多分本当に悪意がないから、私はクニミツへ行った。しかしほんの少し怖っているから、その短刀をしっかりクニミツを指している。
「本当にそれは大丈夫なの⁉︎」
「クニミツを信じろよ」
ロックオンがその女性を阻止する同時に、後ろに退けた。
本当に何もしない?
「そうだ、俺たちは君をここから救出するだけ、これ以外何もしないよ」
クニミツの目をはっきり見える距離に来た。今私が見たのは、嘘のない優しい目だ。
人の目をたくさん見たけど、今クニミツの目にある優しさは、おそらくお母さんから初めて見た。
「では、ここから出ようか」
クニミツは先導してくれて、私を牢から連れ出された。
「なんてこんな女の子がこんな場所に……」
女性が私を近距離を見て、心配しそうな顔になった。
「どうやらもう何もなさそうだ」
ロックオンの話を聞いた私は、なぜだろう、涙は出た。
「え⁉︎どこか痛いの⁉︎大丈夫?」
女性は私は優しく抱っこしてくれた。
ううん、ここにいた他の子を思い出しただけです。
「喋れないか」
ロックオンさんは私の喉をあの直線の光を照らして見た、どうやら気付かれたそうだ。凄い!ほんの数秒だけでそんな判断をできたなんて……
「可哀想……」
なんてこの女性も泣くの?
「その子は?」
洞窟から出てきて、ひさしぶりの日差しが強すぎて、私は思わず手で目を遮った。
「奴隷のようだが、あまりにも若すぎるから、多分『その方面』の奴隷だろ」
クニミツは洞窟の外で待っている若い男性に私の事を報告した。その男性、どこかで……
あ!
思い出した!
その瞬間、私はあの青年に向いて走り出した。
「ロティマス様!」
あなた様ですよね!
あの日の!
「ロックオン、クニミツ!早く!」
女性は少し焦っているようでロックオンたちに何かを命令した。
「いや、悪意がなさそうだから」
「俺もそう思うけど」
だがロックオンさんとクニミツさんは私を阻止する気は全くなさそうのお陰で、私は青年の前にやって来た。
「大丈夫?」
その青年は体を低くして、目線は私と同じ高度で私を見ている。
この顔、間違いありません!
あの日、違法奴隷商人を潰したの!
「喋れないから、俺たちの話を理解できる?」
クニミツも私の隣りで体を低くした。
はい、わかります!
「君はこいつの事、知ってる?」
はい!
「喋れないけど、書けるか?」
ロックオンの質問に、私は頭を振って答えた。
「ロックオン、書く読みとは、教育を受けた人だけできる事だのよ。それに教育を受けられるの、現状も貴族だけで……」
「ああ、それもそうだな。出会った奴らは殆ど貴族だって事をすっかり忘れてた」
ロックオンが何か悩むそうな表情になった。
「つまりアースは違うの?」
「先輩の方はよくわからないが、俺の祖国は基礎教育があるから。それにガーディアンスの訓練学校もある程度の普通教育提供している」
クニミツは女性の質問を答えた。アース?聞いたことない場所だね。それはどこだろ?でも誰も読み書く事を習えるなら、きっといい場所だよね。
「その基礎教育って、誰でも受けるの?」
その女性はその話に興味がありそうで、クニミツさんにもっと聞くとした。
「義務教育とも呼ばれているから、国民なら誰でも受けるよ」
「ロティマス様」
クニミツさんの答えを聞いた女性があの青年に何かを言いたいそうだ。
「今回の任務が終わった後、俺からお母様に提議しよう。今はこの子の事は優先だ」
やっと青年の名を知った。やっぱり彼はあの日の……!
「もしかして、あの違法奴隷商人の時……?」
はい!
ロティマスはようやく私の事を思い出したそうだから、私は頷いて答えた。
「ゆっくりしてもいいのよ」
多分私が頷くの勢いが猛烈すぎるから、女性が私を撫でてくれた。
そう言えば、まだあなた様の名前を聞いてませんね。
「あ、こいつはロサナだ」
私が聞きたい事がロックオンさんに見破ったそうで、ロックオンさんは女性の名を私に教えてくれた、ありがとう。
「すまなかった」
えええええ⁉︎どうしてロティマス様は私に頭を低くして謝ってくれたの?
「この国の法律では、違法の奴隷商売は無効であり、該当の奴隷たちも解放する。即ち、あなたはもう自由になったはずだ。しかしあなたはまた奴隷に落ちてしまった、これは為政者である俺たちの落ち度である、すまなかった」
ロティマス様はもう一度頭を下げた。
「ぼうず、気持ちはわかるが、それを後にしてくれ。お前はこの子を連れて行くのか?或いは一旦戻ろうか?」
ロックオンさんはロティマス様に質問した。それを聞いた私は思わずロティマス様の腕を掴んだ。
「日程から考えると、戻るには無理だな」
「って事は、連れて行くのか?」
ロックオンさんはもう一度ロティマス様に確認した。
なぜだろう、ロティマス様の方が身分が上のはずなのに、ロックオンさんとクニミツさんは全く恐れないように接している。
「近くの村に到着したら、そこに預けるのもいいと思いますが」
ロサナさんはロックオンさんやクニミツさんと違って、ちゃんとロティマス様に敬意を持っている。
妙な四人組だね。でもロティマス様は二度と私を救ってくれたから、きっと悪い人ではない。
「とりあえず、このしばらく、俺たちと一緒に行く?」
はい!
ロティマス様の手、私は強く握った。
ロックオンたちが使ったライトは、とある少年探偵たちが使う腕時計型ライトだと思ってください。いや、ランクレッドの腕時計は本当に万能ですね。




