危険の色
「なんて大公爵なのに、屋敷はこんな田舎にいるのかよ」
「昔からここはずっとサンタルシア家の領地だし、それに国皇陛下の希望によって、もう一つの戦略指揮所として運用するからだよ!」
「つまりその国皇陛下の逃げ場と言うのか?」
いくらなんでもこれは無礼すぎるのよ!衛兵に聞かれたら、そのまま処刑されるのも怪しくないのよ!
「こんな事だけで、人民を処刑する国なんて、未来も長くねえぞ」
ロックオン!!
「なんだい?お前の国皇陛下はそれくらいの器量もねえのか?」
こいつ!
「おっと、俺を責めたいなら、それは後でな」
え?
「客だ」
ロックオンと私の前に、冒険者っぽい人たちが私たちを包囲された。しかしこの冒険者たち、何処かで見たような……
でもロックオンから見れば、相手は善意がなさそうだから、ロックオンは私の前に出た。
このドキの感覚はなに⁉︎
「てめ、先日お前のせいで、俺らはまともな依頼を受けられなくなったぞ!どうやって補償するのかよ!」
なるほど、先日でロックオンとクニミツが酒場で倒した冒険者たちか。しかしその挑発の態度、ロックオンは無視できないはず……
「殺しちゃダメ!」
私の考え通り、相手はまた挑発の言葉を喋ってる時、ロックオンの手はいつのまにか短刀を取っていて、攻撃態勢に入った。
酒場で彼の素手戦闘を見た、そして私が魔法を発動する前に私を制圧された戦技、最高級戦闘兵は伊達ではない事は理解していた。
しかしここは田舎だから、相手も本気を出して、各自の武器で構えた。剣、斧、弓,引き換えて、ロックオンは短刀だけ。無茶な事をしないて!
「殺しちゃダメか、了解」
そんな事を言ったけど、ロックオンは依然短刀で攻撃行動に入った。おい!
まずは斧を持つ人、彼が使うのは普通の手斧だけど、ロックオンは死角から彼を接近したら、反応が出来なくて、そのまま後脳に一撃、倒せた。
殺しちゃダメって言ったのに……
剣を持つ二人は前後ろでロックオンを包囲したけど、ロックオンは巧み二人の同時斬撃を避けて、短刀で一人を倒した。
だから殺しちゃダメってば!
「くそ!」
もう一人の剣使いはロックオンに攻撃続いた。しかしロックオンは攻撃をしない、彼を回っているように動いている。
どうしてそのような動きなの?
ロックオン次の行動で、私は理解した。
弓を持つ人は攻撃したいけど、ロックオンは常に剣使いで彼の射線を邪魔させるので、誤射の可能性があるから、射撃できなかった。
そうやって弓使いとの距離が短くなった時、ロックオンは突然彼の後ろに現れて、弓使いを叩き倒した。
残っている剣使いは逃げたいと見える、それも当然だろ、まさか四対一がこんな事になったのは誰も予想できないだろ。
「逃るもんか!」
ロックオンの目は猛獣のようになった瞬間、剣使いは逃げ出した。しかし彼はすぐロックオンに追いかけて、倒された。
「こんな程度だけだから、お前らを指名する依頼が減るのも当然だろ」
「もう、殺しちゃダメって言ったのに……」
「殺してねえぞ」
え?
「俺は全員を柄で気絶させただけだ。見ろ、誰もちゃんと呼吸してるぞ」
あ、本当だ。だけど待ってよ!
「四人の冒険者を相手に、無傷に短刀の柄で全員気絶させるなんて……いくら上位の冒険者ではなくても、これも恐れすぎるだろ!」
「なぜ最高級戦闘兵の読み方はランクレッド、知ってるかい?」
「聞いてみれば……どうして?」
「俺たちのアースでは、一番よく危険の意味として使っている色は、赤色だ。そしてランクの意味は階級、レッドの意味は赤色だ」
つまりランクレッドの意味は赤色階級……いや、危険階級の方が正しいのね。
「今は着てないが、俺の軍服は赤色だ。それは実力の証明だけではなく、警告の意味にもあるから」
「警告?」
「この服を着る奴は危険だ!って事だ」
「これだけ見れば、確かに危険だね、あなたと言う人は」
皮肉か讃えるかわからない、私は心が浮いた言葉をそのまま言った。
「そこのきさまら!動くな!」
あ、ここの衛兵に気づかれてしまった。ここは田舎だけど、それでもちゃんと建設した町だから、こんな程度の騒ぎを起こしたら、気づかれたのも当然なんだろ。
そして衛兵たちはロックオンを包囲した。しかし手を上げたロックオンの弁解を一切聞くもしない態度、私はロックオンから戦闘の意志を感じられた。
「待ちなさい」
仕方ない、私は衛兵たちとロックオンの間に介入した。
「こ、これはブリキット子爵殿!」
「彼は私の同行護衛だよ」
「し、しかし!」
「この四人は私に武器を向かれたから、彼が排除行動を取っただけ。それに誰も死んでないよ」
「あ、本当だ!ではこれから私たちはこの四人を回収します」
「ご苦労」
「そうか、お前も貴族だな」
衛兵たちは冒険者たちを連れて行った後、ロックオンは私に声をかけてくれた。まあ、それはカノン帝国の軍制では、百人長は子爵位だから。
「それじゃなくて、私に言うべき言葉があるでしょう」
そうよ、私が聞きたい言葉があるのよ!
「ああ、感謝するよ」
「まさか本当にあなたから素直に感謝の言葉を聞かれるなんて……」
「何を言う?俺は普段がああ様子だが、これくらいは知ってるさ」
「そうみたいね」
「とりあえず、俺らに交代された仕事をさっさと解決するか」
「わかったわ、ではこちらへ」
帝国の軍隊は戦場だけに出るわけがない、国からの依頼があって、私たち兵士が冒険者たちと組む事もよくあった。そう、今のように。
冒険者の補給品と言ったら、応急手当用品に回復薬、食料、そして冒険用工具は基本だ。一応冒険者酒場の一隅でそんな店もあるけど、質が良いものを欲しいと言うなら、専門店に行くのは常識だ。
もちろん、値段もそれなりに上がっているけど、そこは冒険者自身で店と相談しよう。
「これはブリキット子爵ではありませんか?お久しぶりですね」
「お前は常連か?」
「私ではなく、魔導軍団のみんな誰もだよ」
「ほう、そんなにいい店なのか?」
ロックオンが呟いた後、観覧の態勢であちこち回っている、まるで初めて新世界を見た子供みたい。
「今回はどのような物がお望みですか?」
「ここに書いた物、四人前を頼みたい」
私は来る前に、ロティマス様に確認していただいた明細を店員に見せた。
「分かりました、今すぐ在庫の確認をしますので、少々お待ちくださいませ」
「お願いする」
私が頷いた後、店員は倉庫へ行った。私はウロウロしているロックオンを見て、突然、視界の隅でとあるものが私の目を引きつけられた。
何かの遊戯のようだ。えっと、この輪を指定する棍に正確命中する数によって商品を取れるって……
しまった、こう言う投げるものが苦手なのよ……どうしよう……
「なんだい?どれかほしい?」
「いや、少しあの熊が可愛いなと思うだけ、別に欲しくわけがないよ」
見られちゃったなの⁉︎
「……よし、一回で頼む、料金でこれで大丈夫か?よし」
え?ロックオン、あなたは何を⁉︎
「なに?あの熊のぬいぐるみは全部命中、しかも高得点の賞品かよ⁉︎」
だから無理をしなくても。
「これは面白くじゃねえか」
えっと?なんてあなたが逆に盛り上がってきたの?
「まずは一つ!」
適当に投げただけ見えるけど、その輪は正確に高得点の位置に命中した。
え?
「そら!」
第二投も次高得点に命中した。
「まだまだ!」
その勢いに任せて、ロックオンは連続高得点の位置を命中した。そして命中する度に、店主の顔が青くなって来た。
「これで最後だ!」
ロックオンの叫びと共に、最後の一つも命中した。凄い!こんな正確の投げができる人初めて見た。
「ほれよ」
ロックオンは震えてる店主からもらった熊を私に渡してくれた。
「……本当にいいの?」
「欲しそうなくせに」
「それはそうだけど……」
まさかあの瞬間だけで私を見抜かれたとは……
「なら取っていけ、こんなもん、俺が持っても意味がねえよ」
あはは、確かに。
「ではありがたくいただく」
おそらくこれは初めてロックオンという男に私の笑顔を見せた。
「なぁに。おっと、そっちの店員が戻ってきたようだ」
「うん」
そして私は熊を抱いてまま、店員と補給品の確認に入った。
「これ、二人前の追加だ」
こちらの確認ができた時、ロックオンは何かを持ってきた。
「矢……なのか?しかしこの矢のできがあまり良くないと見えるけど……」
「そ、それはうちの新人工匠の作品です!もしお目に入らないなら、こちらの品で……」
「いや、これでいい。その新人に、よくできたと伝わってくれ」
店員が慌てて他の品を推薦してくれたけど、ロックオンは断った。彼には一体何か見たのか?
「あ,はい!ありがとうございます!」
「ねえ、なんてわざわざそんなできが良くないものを買うの?」
目的が達成した、帰り道で、私はロックオンに質問した。
「安いから」
え⁉︎まさかそれだけの理由で⁉︎
「基本性能はちゃんと満ちている、使い道としては最適だ」
「どういう事?」
使い道?あなたとクニミツが持つ矢はこれよりずっといいものなはず……
「安いから、使い捨てのも痛くない」
使い捨て?
「ああ、例えば爆薬を繋いだら、爆撃矢として使えるだろ」
ああ、なるほど、そういう意味の使い捨てか。確かにそんな使い方なら、矢が回収できなくなるよね。
「それにしても、冒険者の補給品にはこんなに高価なのかよ⁉︎経費として落とされるんだろ⁉︎」
経費?それなに?初耳のだが……
「国からの依頼なのに、経費を出さない、全部自腹のかよ⁉︎ガーディアンスではちゃんと申し込めれば、ほとんど経費として落とせるぞ!」
「あなたがそう言われても……」
良く考えれば、そちらも一理がある。
「お前から言いにくいなら、俺がファランディナ様に言うぞ!」
「……いや、やっぱり私から」
それは今まで制度を変われるかもしれない提案だから、そこで私から言わないと……
「それより、まさかあなたがあんな投げ遊戯にそんなに上手なんて……」
気になるから、閑談のつもりで聞いてみた。
「いや?教官なら、もっと華麗にできるのはずだぞ」
「教官?」
「ああ、総隊長の事だ。彼は俺を拾いて、全ての技術を教えてくれた人だ」
え?つまり、あなたはアカギ様の弟子⁉︎
「まあ、他人から見ればそうなるだろ」
「まさかクニミツも?」
救世主の弟子……もしこの事を公表したら、弟子にしてもらいたい人は殺到するだろ。
「時々指導してもらったことがあったが、あいつの空間認識能力は教官と俺に追いつけられないから、少し大変だったそうだ」
「空間認識能力……」
「サンタルシアの屋敷に到着したから、詳しく説明はまた今度で、先に報告しないと」
「あ,はい、そうですね」
私たちが買ったものに、ロティマス様は満足に頷いてくれた、よかった。
私が抱いている熊についての質問はまた別の話。




