愛のために
「フ!ハ!フ!ハ!」
僕はラエリエト=シングルモルト、今は口を大きく開けて新鮮な空気を吸っている。
「なんだ?もう限界か?」
僕の前に立っているのは、ランクレッドのシェルシン=ライカードさん。その少し嘲弄意味の顔を見たら、少し怒って来たけど、怒られない。だってこれは僕が自ら彼に教官をお願いしたから。
赤城総隊長の新妻、リジルザックスさんはもうすぐ子供を産まれそうだから、赤城総隊長は彼女を母艦クーフーリンに連れて帰って来た。そしてリジルザックスさん以上にその子を関心しているのは、長門さんと織姫さんであった。総隊長の妹のレイコさんは支援兵科長なので、万全の態勢でリジルザックスさんを支援している。
桜先輩たちも妹、或いは弟の誕生に喜んで備えている。
それを見た僕も何か覚醒したようだ、自分を鍛錬し直したいって気がする。そうしなきゃ、あの子に認められるわけがない。
だから僕はシェルシンさんに教官をお願いした。幸いランクレッドの誰も教官資格を持っている、あっさり同意してくれた。
しかしシェルシンさんのあの何かを考えてるような顔は一体……?
「俺は主に戦闘兵科なのだが、狙撃には体力が必要ってくらいがわかっている」
確かに、長い時間で目標を待つのはよくある事だ。限界を超えても集中力を保持できるこそ狙撃兵の価値である。勝負は一瞬だけど、その一瞬はどれくらい時間をかかった事は誰も知らない。だからこそ体力が必要。その一瞬が現れたまでに待ち続けるために。
「もう休憩が十分だろ!ムーヴ!ムーヴ!」
あの、三十秒だけなのに……うわ!
「走れ!虫め!いや違う、きさまの価値はそれ以下だ!走れ!きさまの価値がそれ以上だと証明しろう!」
うん、今のシェルシンさんはまるでアメリカ海兵隊のような口で僕の後ろに付いて一緒に走っているから、僕は不満を言えなくなった。
僕の体は限界だと言ってるように震えているけど、シェルシンさんは依然余裕のようだ。さすがランクレッドだな。
そして僕はもう倒れそうになった時、一人が現れた。
「お二人、ちょっとこちらへ」
藤原隊長だ!僕はまるで救世主を見たように、隊長の指示通りに行った。
「杏、どうした?」
シェルシンさんは隊長の名前を直接呼ぶとは……あ、それも当然だな。シェルシンさんは先輩にして、杏さんと同じこの部隊の隊長の一人だからな。
「いや、私たちがこのザッドにやるべきことはほとんど完成したから、少しこの時間を活用したいなって考えてる時、ちょうどラエリエトがシェルシンさんに教官を頼んだと聞いて」
「すみませんでした」
責められるかどうかはわからないが、とりあえず僕は謝った。
え?ま、待ってよ!隊長!その目が怖いよ!
「ほう、杏は何かいい考えがありそうだな」
隊長、シェルシンの話に頷かないてください!
「今のラエリエトには体力訓練より、精神訓練の方が必要だと思う」
「と言うと?」
シェルシンさんの顔にはいやな予感しかない、杏さんのもだ!
「あちらの森に放りおけばいい」
杏はAIによって地図を見せてくれて、緑ばっかりの場所を指して言った。
しかし放りおく⁉︎なんの話⁉︎
「なるほど、総隊長とエミリーの訓練を参考したな」
「シェルシンさんのようなレッドたちと違う、軍士訓練学校にはそう言う訓練が足りないと思ってる」
ど、どう言う訓練⁉︎
杏が発言する度に、僕は緊張して行く。
「ラエリエト、これよりあなたに生存訓練を命じる」
「では俺から詳しく説明しよう」
あ、あの、お二人、目で交流しないてください、怖いです!本当。
「ではクソ虫……じゃなくて、ラエリエトよ」
おい!さっきはクソ虫と言ったよね!
「これを持って」
シェルシンさんから二つものを僕に渡してくれた。
え?戦闘用短刀と……塩?
これだけ⁉︎
「では、一週間頑張ってな」
おおおおおおい!
「本当にいいのか?」
ラエリエトが生存訓練を始まった後、シェルシンは杏に声を掛けた。
「それ、どう言う意味?」
「いや、あれはレッドにとっても厳しい訓練項目だから、あいつが耐えられるどうかって」
「さっきまでクソ虫と呼んだのに?」
杏は少しいじわるの目でシェルシンを見た。
「それは俺個人の教官スタイルだ、勘弁してくれ」
「わかったわ。ではさっきの質問、大丈夫だ」
「説明してもらえるか?」
「監視役は既に用意したから」
杏はそれだけを言っただけで、シェルシンは杏の目で察した。
「さすがだな」
「実は私もあなたからアドバイスをもらいたい」
シェルシンの頭が傾いた同時に、疑問符が出てきた。
(この勢い……訓練や部隊の事じゃなさそうだな)
「あのね……」
杏の話を聞いたシェルシンは、少しの間でその場に動けなかった。




