神の代行者と古の記憶(前編)
リヴィルザックスが離れた後、やって来たのはシェルフィー様であった。
えっと、どうしてシェルフィー様がここに?
「エド様から赤城殿と白龍の姫の間に子ができたと聞いて、いくつかの事を確認したいと祝福したいので、エド様に赤城殿がここにいる事を教えてもらった。ちょうどあなたたちがヴァルキュリアの話を聞いて、勝手に入ってきた」
僕の話はチャルナウに通訳されてシェルフィー様に伝えた。
「そうか」
シンが軽く頷いた。
「ああ、まずは祝福するよね。リジルザックス様、赤城殿、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
リジル様は丁寧に祝福してくれたシェルフィー様に答えた。
「ではさっきの話を続けよう。エドの奴の話によると、お前のようなヴァルキュリアが技を発動する際には、使う言葉は古代語というのか?そしてエドの重力圧壊も」
古代語?初耳の言葉だね。
「はい、ヴァルキュリアは神が自ら創造した神の代行者であるから、聖武器の力を発揮するためには、古代語で技を発動するが必要です」
「エドの重力圧壊も同じ原因か?」
カミトがエド様のあの技を言ったから、僕はようやくその古代語はアースの英語だと気づいた。
「結果は同じだが、エド様自体が少々特別なので」
「ほう?」
うん、僕とシンもカミトと同じような聞きたい顔になっている。
「さっきも言った通り、私たちヴァルキュリアは神様自ら創造した神の代行者である。そして、ヴァルキュリアの総数は六名、まあ、今その力が顕現したのは私とシルベリアだけど」
え?それは何か問題があるの?聖殿が十二座だから、二つで神一人なら、六名は間違いないだろ?
「覚えてる?私たちザッドの神は、六名だけではないぞ」
え?
「そうか、ニンザスの事か?」
カミトの答えで僕はようやく気づいた。そうだな、邪神も神だよね。
「ヴァルキュリアと対抗するために、ニンザスは死亡騎士、血痕騎士、そして怨霊騎士を創造した」
え?しかしエド様が若い頃の時はあのクラナイド皇国の皇家騎士だったではないか?
「最初の時、ニンザスの創造は失敗した。死亡騎士はただの骨の化け物、血痕騎士は魔法を使えない、怨霊騎士はただの幽霊だった」
「しかし今は完成品のエドとロティヴァンはいる」
「血痕騎士の事はよくわからないけど、エド様は第三世代の死亡騎士だと聞いた」
どうしてリジルザックス様がそれを知ってることを聞きたいところに、チャルナウからこっそり教えてくれた。まさかリジルザックス様はエド様と一緒にニンザスと対抗したとは……
「確かに、区域内の素子を打ち消せる私には、血痕騎士は相手にならない。しかし死と恐怖を司る死亡騎士、それは私が二度と対峙したくない相手だ」
死と恐怖を司る……エド様が怖い!
「そう言えば、死亡騎士は死と恐怖を司ると言うなら、他のは?」
シンが発言した。
「血痕騎士は血と絆、そして怨霊騎士は憎しみと統治、エド様からそうやって教えてくれた」
き、絆だと⁉︎悪の軍団とは似合わない名詞だね。
「守りたい気持ちは奇跡を起こす、そんな言葉を格言として従っている赤城殿なら、わかっているよね」
「確かに、守りたいものを失う恐怖はその者自身への攻撃より有効って事だな」
失った事があるカミトから説明すると、何よりの説得力を感じられる。
「その通り、だから完成した三騎士はこの世に大きな被害を起こした」
それもそうだね。その怨霊騎士の事はよく知らないけど、エド様とロティヴァン様を見たら、そうなるのも当然だろ。
「だからエド様やロティヴァンが力を使う時は古代語で唸る故だ」
「ロティヴァンはカノン帝国の選帝候爵なのに、呼び捨てなのか?」
えっと、シン、それを聞いて、どう言うつもりなの?
「エド様はこのザッドに恩があるからな」
ロティヴァン様もニンザスと対抗したと聞いたけど?
「ロティヴァンの目覚めはかなり遅かったから、元同級生のファランディナでなければ、彼を信用する人はいなかった。その後、彼もファランディナのためにほとんどカノン帝国の事だけ手を出したから、元血痕騎士として国際での発言の重量があるけど、エド様ほどではない故だ」
「しかしそれでも、今全ての魔法使いの頂点に立つ人は、ロティヴァン様であるのよ!」
チャルナウが説明を追加したけど、それはわかっている。
「まあ、私の剣刃波動に敵わないけどな」
えっと、一区域内で魔法を使えない状態にさせられろなら、どんな魔法使いでもシェルフィーに勝てないだろ。
「確かに魔法で戦う人には、私は天敵のような存在。しかしエド様だけは、それを無視できた」
え?
「エド様は死の騎士だから、魂を利用できるとは言え、それも素子を運用すできた成果。だから剣刃波動で素子を消滅すれば、エドの戦闘力を大幅減られると思ったけど、苦戦だった」
今更たけど、やっぱりエド様は化け物だよね。
「しかしエド様は生まれたから死の騎士ではなかったら、何かあったの?」
隣でこの歴史の講義を聞いているクロエは質問した。
「そうか、君は若いから知らないのも当然だ。わかった、説明しよう。死の軍団は三騎士だけではなかった、魔獣や魔物、そして魔将がいた」
えっと、シェルフィーさん、おいくつなの?
「シェルフィー様はあの世界を滅ぼしたかった黒いエド様を倒した人から推算すると……」
唯一僕の話を聞いたチャルナウがこっそり計算を始まった。うん、そこだけ聞いても、かなりの年なはずだ。さすがヴァルキュリアというべきなのか?シェルフィー様の外見はクロエとあまり差がないと見えるけど。
「私の年齢は気にしなくていい」
睨まれた、僕とチャルナウはシェルフィーに睨まれた。そしてほんの少しだけど、殺気を感じた。やっぱり女性の年齢を聞くのは失礼だね。
「当時はクラナイド皇家騎士のエド様が魔将を討伐した時、その魔将の血に汚され、ニンザスの召喚によって死化して、死之騎士になった」
汚された……
「そして死の騎士になったエド様は自分の同僚であったクラナイド皇家騎士に剣で指した」
えええ⁉︎
「当時の状況はエド様の妻、シンインとメイインもエド様を呼び返せなかったと、最後エド様は自分が仕えた女皇でもニンザスに献上した」
「しかし今エド様を見れば、結局あの時エド様は目覚められたよね」
クロエが発言した。
「私の記憶によると、それはニンザスがエド様に妻の二人を殺してと命じた時、エド様もその命令を行うに剣を取った時、ラヴェンダーに阻止された」
ラヴェンダー?また新しい名前だね。僕は目でチャルナウに聞いたけど、どうやら彼女も知らないようだ。
うっかり書きすぎたので、割りとします。




