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巨龍の悲歌

「どう言うわけで、一応、お前たちにも教えなければならんと思ってな」


「いや、そんな事を俺に言われても……」


エイル王国の事件が静まって、王家政権も復帰できた後、カミトはリジルザックス様を連れて、僕たちがいる月の聖殿にやって来た。


「リジルザックス様!これは本当ですか?あなたとカミトさんの間が子ができましたって⁉︎」


「ええ、本当ですよ、エド様からも魂がもう見えると言われましたよ」


そして僕たちにリジルザックスが懐妊した事を報告してくれた。


リジルザックス様がにっこりした微笑みに対して、僕とシンはしばらく何の反応もできなった。


あ、みんなさん、お久しぶりのこんばんはだね、ヴィクです!


カミトとリジルザックス様がそんな関係になった事はともかく、まさかリジルザックス様がカミトの子ができたとは。それを聞いたシンと杏たちは驚きすぎて、口はしばらく閉められなかった。


「よし!ザッドの巨龍とアースの人間の間でもできると言うなら!」


クロエだけは妙にテンション上がっているようだけど、あれは一体どうしたんだろう。


「つまりお前のせいで俺たちはまたここで待機ってわけか?」


リジルザックスさんのために、またしばらく待機と聞いたシンはあまり機嫌が良くなさそうだ。まあ、机の上にある未処理の書類を見たら、シンの気持ちはわからなくもないけど。


「まあまあ、シン、新しい生命の誕生には祝いべきだよ」


クロエの説得で、シンもカミトを祝福した。


「しかし本件は?まさかそんな事を伝えるだけしに来たわけがないよな」


いや、リジルザックス様が懐妊する事だけで十分大事件だと思うけど。


「祈りだよ」


「ほう?まさか神すら超える力を持つお前も神に祈るとは」


「皮肉な言葉は結構、俺でもこんな事が初めてだからな」


「え?桜は?」


僕もシンと同じ事を聞きたい。


「あの子はデザインチャイルドだから、人体で孕む事がなかったし、突然俺とえりなの前に現れた娘であった。」


あ。


「そ、そうか……すまん」


「だが遺伝子から見ると、桜は間違いなく俺とえりなの娘だから、えりなはそのまま受け入れた」


少し呼吸して、カミトは語る続けた。


「それにアイシュヤの軍団長の一人であれば、俺がここで祈りをする原因は知るだろ」


「アイシュヤは聖潔の神で、子供を守る神であるからだろ。確かに祈りに来た人々の中に、そう言う意図のも多かった」


カミトの理由を聞いたシンは、それもそうだの表情になって来た。


「だから俺の祈りをアイシュヤ様に伝えられるようのために、軍団長様に儀式を頼みたい」


「わかった」


さすがにあれほど重い話をした後だから、シンはカミトの要求を断れなかった。


多分救世主が祈りをする、そして軍団長が自らその祈りを行うことになったから、この月の聖殿が総員動き出した。


「こんな大袈裟に……俺は静かに祈りをしたいだけなのに……」


「それは仕方ありませんよ、救世主様。あなた様はこのザッドを救った恩人にして、我々の軍団長の友人でもありますから」


ピラコの説明で、カミトはやれやれって嘆いた。そしてカミトはアイシュヤの像の前に、長く静かに祈っていた。何かを唸っているのは聞こえないけど、子供が無事に産まれるように感じられる。


ちなみに、この件を知ったえりなと織姫もアリスを通って、アイシュヤに祈った。


「女神様はアイシュヤ様より偉い神ですよね?」


少し興味があるから、僕はアリスに聞いた。


「言ったはずだよ、ここにいる私はあくまでただの分霊に過ぎない。それに子供相関の事は私の本体の管轄ではなく、始源女神の管轄だよ」


あ、そう言う事ですか。


「そしておそらくこれはザッドにとっても初めての人類と巨龍の間が子ができたから、ちゃんと祈らないとね」


あ、はい。


しかしカミトが祈っている途中で、一人の女性が打ち入った。


「ちょっと!お姉様!人間の子を孕んだのはどう言う事よ⁉︎」


その女性はリジルザックス様と同じ白の中に淡い青色がする髪を持っている。しかしリジルザックス様の腰まで長い髪と違って、その女性の髪は肩までの長さだけ。


「リヴィル……」


その女性はリジルザックス様をお姉様と呼んだから見ると、お妹さんなの?


「お姉様は我々白龍族の誇りなのに、こんな弱い人間に体を許したなんて……」


えっと、何か勘違いしてるじゃない?あなたが言ったその人間は極光神剣を乗らなくても充分な化け物だぞ!


「カミトさん、この人は私の妹のリヴィルザックスです」


「カミト=アカギだ、よろしく」


カミトは友好のつもりでそのリヴィルさんに手を差し上げたけど、リヴィルさんに払われた。


ええええ⁉︎


「リヴィル!何をするの⁉︎」


「それはこっちの話ですよ!お姉様!こんな奴と一緒に、正気ですか⁉︎」


「カミトさんに謝れ」


リジルザックス様普段は優しいから、あまり巨龍と考えられなかったけど、今リジルザックス様が放った殺気は明らかに人間より遥か超えた強烈だから、僕は思わずシンの後ろに隠した。


「リジル、赤ちゃんに影響があるかもしれんから、冷静に」


「お姉様!あなたはこんな奴のために、我が誇り高く白龍族を捨てますか⁉︎」


「私、現白龍族族長であるリジルザックスはここで宣言する、族長を放棄する!」


「お姉様⁉︎」


多分リジルさんがそんな宣言をすることを予想しなかったから、リヴィルさんは少し取り乱れたそうだ。


「この子が生まれて安定できた時、私はカミトさんと一緒にアースへ行きます。これからあなたが族長で、我が誇り高く白龍族はあなた任せます」


「お姉様!」


「今更だけど、本当にそれでいいのか?」


リヴィルの咆哮を無視して、カミトは優しくリジルの意向を確認しに質問した。


「私はこの子に両親と一緒にいたい」


「そうか、わかった」


おそらく子供には、両親と一緒にいる方がいいから、カミトは頷いた。


「お姉様!もうシデーダスのことを忘れましたの⁉︎」


無視されたリヴィルザックス様は、爆弾のような事を言った。


「あの人はもう……亡くなりました」


しかしリジルザックス様の顔から少しでも悲しさを見えない。


「どう言うこと?知ってる?」


シンも気になったようで、こっそりクロエとピラコに聞いた。


「エド様と聖女たちがあの大戦を終わらせた、聖女たちがアースに帰った後、最強の巨龍が立ち上がった。その名は覇黒龍ザミュドリオンと言う」


覇黒龍……その名だけで、僕は不祥な感覚しか感じられない。


「そしてあの時、私は紅龍の王子、焔紅龍シデーダスと、交際する事をしていた。しかし彼はザミュドリオンの口車に乗ってしまって、人類の対立面に立ってしまいました。私は人類を守りたいですから、彼と分かれになりました」


多分こちらの言葉を聴こえられたから、リジルザックス様はこちらの話を続いた。


「それで?」


「シデーダスはエド様の息子であるレッド様に殺されました」


リジルザックス様があのシデーダスの事を語る時、全く揺れなかった、まるで知らない人の事を言ってるように平静な顔。


そしてレッド前王夫殿下は本当に龍殺しとは、あの時ライドと決闘する時放った殺気がそんなに強かったわけか。


「し、しかし!」


「リヴィル、私はもうこれ以上あの人の事を話したくありませんから、もういいです」


リジルザックス様の顔は嫌いしか見えない。まさかそれほどあのシデーダスを恨んでいるのか?


「お姉様!この人間は本当にそんなに大事なの?」


「確かに最初はただの憧れでした。しかしあの夜、えりなさん、杏さん、そして女神様に相談してもらいましたから、私はこれは私の恋だと気づくました」


あ、あの夜か。


「し、しかしお姉様は誇り高く白龍です!人間なんて……!」


「カミトさんはこのザッドだけではなく、向こうのアースも何度も救った英雄ですよ。そんな人に、私の龍生を捧げられる事こそ私の誇りです、今の私はそれを確定できました」


「リジル」


「はい」


「これからもよろしく」


リジルザックス様の告白を聞いたカミトは、お腹の赤ちゃんに影響しないように、柔らかくリジルザックス様を抱いた。


「はい!」


そしてリジルザックス様がカミトへの答えは、そのままキスをした。


「白龍族族長として命じる、リジルザックスを族から駆逐する!」


その景色を見たリヴィルザックス様は、とても険しい声で宣言した。


「これでお姉様はもう依頼できる族がない、そして私は白龍族族長として、あなたとこの男の関係を承認しない。では」


どうやらリジルザックス様の機嫌は最悪になったようだ。宣言した後離れた後ろ姿も怒りの炎を見えるようだ。


「何度でも聞いたってわかってるけど、本当にこれでいいのか?」


「この子ができたあの瞬間から、族との決裂は必然です。しかしこんな私も、新しい家族ができましたよね」


「ああ、もちろんだよ!リジルさん」


「リジルザックス様、これからはよろしくお願いします!」


アリスを通って、さっきの事を全て見たえりなと織姫がリジルザックス様の話を聞いて、あっさり受け入れた。


「もちろん私たちもリジルさんの家族だよ!」


杏の発言で、憐も頷いてくれた。


「ありがとう……みんなありがとう……!」


どう見てもリジルさんは喜びすぎて泣くなった。


「しかし、本当に大丈夫っすかね?」


え?


「ピラコ、何か言いたいと言うのか?」


ピラコの呟くを聞いたシンはピラコに質問した。


「いや、噂によると、群の保護がない巨龍は流浪の人間よりまずいと言われてだけっす」


「ピラコ、その原因はともあれ、俺がいる限り、そんな事を許すわけがねえだろ」


うわ!格好いい!


『その志はいいけど、私と織姫ちゃんを忘れてない?』


ほんの少しだけと、珍しいえりなさんから嫉妬を感じられた。


「えりなさん、カミトさんは決してそんな事……」


『もちろん冗談だよ。そして私と織姫ちゃんの悲願を叶えてくれて、ありがとうございます」


悲願?何それ?


「リジル姉さん、私もあなたに感謝しています」


「い、いいえ、私の方こそ、カミトさんと一緒になれるを許してくれた事に、感謝しかねます」


『リジル、これからみんな家族だから、敬語は禁止よ』


「は……はい!」


年齢はリジルザックス様の方が遥か上なはずだけど、カミトの奥さんではえりなさんが一番上だから、リジルザックス様は素直にえりなの話を受け入れた。


カミトと三人の奥さんが一緒に笑っている、それはこの月の聖殿にも喜ぶを感じられた。






「なあ、ピラコ、どうして群れがない巨龍は流浪の人間より悲惨なのかよ?」


「はい、それは巨龍たちが神龍に及ばないけど、鱗、肉、角、牙、そして骨、どれも最高級素材になれっすから」


「しかしどうやってそんなものを得られるのかよ?巨龍の力はそう簡単に倒せないだろ?」


「さっき軍団長も聞いたはずだ、織姫殿下の父親、レッド前王夫殿下は紅龍のシデーダスを殺し、リズ前女王の統治に絶大な貢献を上げた」


「レッド前王夫殿下の剣術、俺は見た事ある、確かに凄い。しかしそれだけで巨龍を倒せるはずがない」


確かに凄い、さすがあのエド様の息子だね。


「私も実際見てないけど、あの時、レッド前王夫殿下が持った剣は、『符文剣』だと聞いた」


符文剣⁉︎何それ?


「そうか、それなら納得できる」


ええ?シンがわかったの⁉︎


「つまり、何かの方法で剣を強化して、性能を上げさせる事だな」


「さすが軍団長」


「まあ、たまたまアースの読み物も似たような物を書いていたからな」


あ、それか!さすが本当の魔法が存在している世界、そんなものがあるのも怪しくない。


「その符文剣、どれくらいの強さか?」


「魔法剣の類では、最下位だと」


え?最下位?レッド前王夫殿下強すぎない?


「それは、このザッドに魔法武器を作れる存在自体が少なすぎるから、符文剣以外は魔剣と聖剣、そして神龍剣だけよ」


クロエの追加説明で少し分かった。


「魔剣?魔法剣とは違うのか?」


字面だけの差ではなさそうだ。


「魔剣は、かつて邪神ニンザスの三騎士が使った剣の通称。そしてほとんどは前回の大戦で折れたから、今また存在するのはカノン帝国のブレイド選帝侯爵が持つ『獅子炎王』だけ」


しかしその話によると、エド様も魔剣を持ったよね?


「エド様の魔剣は少し特殊だった。エド様が持った魔剣『氷の死息』、本来は寒氷龍様の神龍剣『氷の呼吸』であったから、その力は魔法剣の類でも、シェルフィー様が持つ聖剣『ナティシュウス=光を探す者』だけ比べられると言う」


へい〜しかしどうしてシェルフィー様の聖剣の名前はそんなに変なの?


「それはな、私の聖剣は、ヴァルキュリアの剣だから」


ええええええええええ⁉︎シェルフィーさん⁉︎

お待たせしました。


元々はリジルの事を書きたいだけですが、思わずザッドの世界観の説明になりました。キャラクターが勝手に動く事は恐ろしいね。

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