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ポメラニアンとご主人の奇妙な冒険  作者: クレナイ
レカーライヴズ王位選抜
117/215

のんびりできなかった

「では、私と織姫ちゃんは先に母艦に帰るから、リジルザックスさん、カミトはお願い頼みます」


「はい、私に任せてください」


「教官、じゃなくて、総隊長、ご武運を!」


えりなと織姫を迎えに来たのはロックオンだった。


ちなみに、今カミトの表情は「リジルザックスには関係ないだろ」って。


一週間後はカミトの正式就任儀式だけど、他国の要人がいると色々不便なので、ファランディナさんたちは先に帰国した。


「あの、これを登るのですか?」


そしてこれからの問題と関わらないように、ライドとメローはえりなさんたちと一緒に僕たちの母艦クーフーリンへ行くと決めた。そしてメローはヘリを乗る事にちょっと疑っていた。うん、さすがに初めて変な飛行機械を見たのは困ってるよね、メローさん。僕は少しあの時のサファリアンを思い出して笑った。


「さすが救世主赤城殿、容易い私の予想を超えましたとは」


「なに、ドゥバンの爺さんと比べたら楽な事だ」


「確かに赤城殿には余裕があると見えるな、ははは」


えっと、この二人は……


あ、みんなさん、こんにちは、ヴィクです!あの試煉儀式が終わった後、僕はてっきりシンと一緒に月の聖殿に帰ると思ったけど、まさかシンは就任儀式までここにいるって……


わい〜


「大変だったな、ヴィク」


本当にお久しぶりにシンと一緒にお散歩する。


「ねえねえ、シンさんとヴィクちゃんの出会いはどんな状況なの?」


えっと、チャルナウ、あなたまたいるの?


「こいつが雨の中に一人ぼっちだから、思わず手を出した。よく考えれば、ヴィクとの出会いはこの奇妙な冒険の始まりだったな」


確かに。まさか和歌奈お嬢様は異世界の聖女、デゥカラガン様は異世界の神龍なんて、シンに拾わなければ、きっと僕とは無縁な事だ。


だけど僕とシンが出会った、そして今はアースではない、異世界のザッドにいる。


「それより、あなたたち獣人族は?」


「ああ、お父さんは赤城様の就任儀式を参加するつもりだから、しばらく泊めるよ。そしてシン様も儀式を参加すると聞いた」


「ああ、俺はアイシュヤ様の代表として、あいつの就任を見証しないと」


「シン様と赤城様の関係は?」


えっと、なんてチャルナウがその質問を?


「ただの腐れ縁だと言いたいが、今あいつは俺の上司だ」


「でもでも、シン様は相当赤城様を信頼してるように見えるけど」


それは間違いない。今の僕も理解している、信頼できる後方がいる事は前方にとってはどれほど重要な事。


チャルナウは僕の考えをシンに言ったから、シンは僕を撫でてながら頷いた。


「そうか!」


「シン!」


この声は……クロエさん!


「あら、ヴィクちゃんお久しぶり」


ワーッ!


挨拶した後、クロエも僕を撫で撫でくれた。そう言えば、理江さんは?


「理江は母艦で俺のバックアップをしている。クロエは軍団長副官だから、現場の支援は彼女しかできない」


あ、そうだったよね。


「こんなに忙しそうな、何かあった?」


多分クロエさんは少し忙しそうに見えるから、シンは聞いた。


「まさか赤城さんが王弓の団長になったと聞いたから、少し驚いたよ」


少しだけなの?どうやらクロエさんもカミトの無茶苦茶を慣れて来たな。


「初めまして、あたし、チャルナウと言いま〜す!」


「初めまして、聖殿騎士団月の聖女軍団の軍団長副官、クロエです、よろしくお願いします」


「そして俺の妻の一人だ」


「一人⁉︎つまり他の妻がいるって事⁉︎導師様からアースでは結婚相手が一人だけと聞いたけど、そうじゃなかったの?」


さすがチャルナウ。


「ああ、アースでも地区によって差がある。そしてもう一人の理江は俺たちの母艦で俺を支援している」


「母艦……か、今ライド兄とメロー姉がいる場所だね、あたしも一度見学したいな」


「それは俺が許可を出せる事ができない」


「え?どうして?」


「権限不足だ。ここの俺は月の聖女軍団長だが、あそこではただ戦闘員Aに過ぎない」


それはそうだけど、その戦闘員Aって、チャルナウは理解できないだろ!


「ここにいたか、シン」


え?この声は……杏⁉︎


「指揮官」


「ねえ、ヴィクちゃん、この人、偉いの?」


多分シンがしっかり杏に敬礼した事を見たから、チャルナウはこっそり僕に聞かれた。


その人は藤原杏、僕たちの部隊ではシンの長官だ。


「へい〜若いのに凄いね」


未だ言ってないのに、歳は知ってるのか?


「うん、なんとなくって」


勘って事か。


「どうして指揮官までここに?」


「私たちの総隊長が騎士団長になったからだよ。まあ、私もこのザッドに興味があるしね」


そう言えばこれは杏が初めてザッドの土地に立つ事になったよね。


「あ、えりなさんが不便だから、指揮官が代理って事?」


「そう言う事」


「おい、シン!まさかお前はここの軍団長なんてよ!」


あ、広一と顕衛だ。その様子から見ると、護衛かな?


「わ、私も来ました」


え?憐さん?


「そうか。クロエ、軍団から指揮官と憐の護衛人選は頼む」


「はい!」


「ここはレカーライヴズ王宮なのに、王弓騎士団に頼まないの?」


うん、チャルナウの質問は僕も聞きたい。


「いや、カミトは未だ正式就任してないし、就任した後も騎士団を把握できるまでこんな指令を出せないはずだ」


あ、そうか。


「あ、初めまして、あたし、獣人族崩天氏族族長の娘のチャルナウで〜す!よろしく!」


光神信使(ルーズブリュナーク)所属、特殊陸戦部隊指揮官、杏=藤原です!」


「同じ部隊の支援兵科所属、憐=藤原です、よろしくお願いします」


「あの、もしかしてお二人は……双子なの?」


「そうだよ、姉は私」


「ねえねえ、あたしはちょっと聞きたい事があって……」


そしてチャルナウはそのまま杏と憐を連れて行った。


「まあ、ガイドとしてはちょうどいい、こちらは儀式の下準備があるからな」


「おい、シン、その獣の子は大丈夫か?」


「彼女の自己紹介お前も聞いたはずだ。ちなみに、彼女の父はこの国の王夫殿下の義理の兄だから、彼女も姫格だぞ」


まあ、族長の娘である事だけで充分姫と言えるかな?


それでも心配しそうな広一と顕衛は急いで杏たちを追って行った。


「ではカミトの奴とドゥバン爺のところへ行こう」


シンは少し右手を下ろして、僕はその手を登ってシンの肩に立った。


「そろそろ来ると思ったところだ」


ドゥバンさんの執務室に、カミトもいた。あ、ここは王弓騎士団長の執務室なら、これからカミトもここにいる事だね。


しかし部屋内はカミトとドゥバンだけではない、あと若い二人がいる。


「初めまして、レカーライヴズ王国王子、ライナーです」


「第四王女のリリズです」


え?となれば、この二人は次期王位継承者なの?


「そう言う事だ。まずは面談からと思ってな」


あ、そうか。


「カミトお兄様、本当にライドお兄様もアースへ行きますか?」


「織姫姉さんは更に綺麗になった、一体どんな魔法をかけたの?」


うん、義理とはいえ、兄弟でもしっかり敬語を使うライナーと違って、リリズはちょっとチャルナウと似てるような性格だそうだ。


「未だ正式就任ではないが、これからは私的場合でも赤城殿を団長を呼びなさい!」


さすがあの王夫のレッドも爺を呼ぶ存在、かなり厳しいな。


「まあまあ、ドゥバンの爺、この二人は俺の弟と妹だ。だから敬語は使わなくていいぞ」


「その方こそ無理だろ!赤城殿はただの兄ではない、このザッドを救った救世主でもあるぞ!」


「とりあえず、見ての通り俺もただの人だから、もっと楽にして」


なんと言うか、さすが実の妹を持つ人と言うべきか?カミトはライナーとリリズに対しての態度は優しすぎると思う。


「しかし赤城殿、これからの争いには……!」


「わかっている、だからこそまず俺のことを信頼させないと」


「カミト」


「シン、杏と憐が来た?」


「ああ、今チャルナウは彼女たちのガイドをしている」


「それでいい。まあ、今この王城にいる限り、危険はないはずだ」


「ところで、よくお前がその試煉を達成できたとはな。まあ、お題を出したのは俺だけど」


「多分聖物として扱っていたから、保養はしっかりやっていた。そのおかげで、弾道の較正は楽だった」


「エド様から、赤城殿は射撃の名手だと聞いたが、まさかそこまでとは」


うん、初めてカミトの射撃を見た誰も同じ反応だった。


「俺の話はここまでにしよう」


そして、カミトの目線がライナーとリリズに向いた。


「君たちが知った通りに、ライドと織姫が不在だから、王位継承権が君二人になった」


「はい、既に陛下から教えていただきました」


「なんか面倒くさい気がする」


「リリズ殿下!」


うん、その軽い口調を聞いたドゥバンが怒ったようだ。


「ドゥバンの爺、シンと儀式準備の確認を頼む」


その瞬間、カミトとシンの目が合った。


「ではヴィクはここで待つ」


何か裏がありそうだけど、シンを邪魔するのも良くない。


「可愛い!ねえ、カミト兄さん、この子は?」


リリズは僕を見たら、チャルナウと同じ顔になったけど、ライナーはあまり興味がなさそうだ。まあ男だから仕方ない。


「こいつはヴィクだ。デゥカラガンの加護を持っているから、失礼しないように」


「この小さい狼っぽいものがデゥカラガン様の加護を⁉︎」


どうやらそれでライナーの興味を引いたようだ。


「さっきの見た通り、こいつはあの軍団長のお付きだ」


「それより、カミト兄さん、さっき言った王位継承権、私とライナーはどうする?」


え?ライナー王子の方が上なのに、リリズは直接名前で呼ぶの?


「まあ、エドが来るまで、少しここで待ってろ」


そしてカミトは立ち上がった。え?どう言うつもり?そう考えている時、カミトは二人份のココアを淹れてきた。おい!


「この黒いものはなに?気持ち悪そう」


「なんか甘そうですね」


うん、露骨に嫌な顔を出したリリズと違って、ライナーは少し飲んでみた。


「おい、カミト、俺の孫に変なものを飲ませないてくれる?」


「変なもの?」


そして僕が見たのは、どこからもう一杯ココアを出して、そのままエドの口に飲ませたカミトであった。おおおおおおい!


「なにこれ?甘味の中からほんの少し苦味が……」


その一口を飲んだエド様は、自ら残る部分を飲んだ。


「お前らは初めてだから、少し甘味を強調した」


「つまりお前のは……うん、匂いだけで分かった」


うん、カミトがよく飲んだココアは少しその苦味を強調したもの。僕は犬だから飲めないけど、匂いで分かっていた。


「では、本題に入ろ」


カミト特製ココアを飲んだ後、エド様の顔が真剣になった。それを見たライナーとリリズは少し恐れているようにエド様に注目する。


「君たちの知った通りに、次期レカーライヴズ王国の国王は君たち二人の中から一人を選ぶ事になった」


単刀直入すぎて、ライナーとリリズが予想したとしても、一時に反応できなかった。しかし既に陛下から聞いたので、二人はあまり驚かなかった。


「少し争いっぽい内容になるけど、一応お二人の能力を確認してもらいたい」


「では私たちはどうしますか?導師様」


「本当に面倒くさい……」


多分エド様を恐れているから、リリズは極めて小さい声で文句を言った。


「君たちを領主になり、内政の腕を見せてもらおう」


あ、つまり実習の事だよね。


「はい!」

「はい」


僕から見れば、この勝負は既に結果が出た。

ライナー=レカーライヴズ:レカーライヴズ王国第三王子、優しいかつ真面目な性格で、周りから信頼されている。身体能力は織姫より弱いのは欠点だが。


リリズ=レカーライヴズ:少しでも安静できない、そして面倒な事を嫌い性格。小さい頃からよく周りに迷惑をかけた。

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