親子喧嘩
みんなさん、こんにちは、ヴィクです。
今僕たちはレカーライヴズ王宮に帰ってきた。
ファランディナ様とロティヴァン様も同行して来るから、テレポートで一瞬に到着できたのは実に楽だった。
でもシンとカミトの機体を一緒にテレポートするのはさすがに無理だから、あの二人は僕たちよりかなり遅れて王宮に帰って来た。そしてシンの機体がその異様すぎる姿で王宮に着陸した時、少し騒乱を起こさせてしまった。
「事情は既に導師様から聞いておった。我が子ライドよ、よく帰ってきた」
「はい、陛下のお陰です。ご紹介させていただきたい人がいます。彼女はメロー、私の妻であります」
今は正式の謁見場合だから、王子のライドでも正式の呼び方を使う。
「お初お目にかかります、私はメロー=レッドフラワーと申し上げます。魔族の身でありますが、どうかライド王子殿下とのこのお縁、お赦していただきたいと申し上げます」
そしてメローも相応の礼儀でリズ女王に自己紹介した。
「星の巡行者アルヴィス様まであなたを認めていると聞いたから、私は反対するつもりがありません。こちらの要求はただ一つ、ライドを裏切るなって事」
リズ女王陛下はお母さんの顔をして、メローとの公式初対面は無事完了できた。
まさか自分の息子は邪神ニンザスの復活と関わったなんて、魔族のメローを奪還するから、ある程度予想したけど、そんなに大変だったなんて……リズ女王陛下はそんな表情をしながら、正式の謁見が終わった。
「どうぞ、座ってください」
僕たちは女王と一緒に宴客の間に来た。さっきの正式謁見とは違って、今はプライベートの場合だから、女王陛下はさっきより柔らかい顔になっている。
「カミト殿、シン殿、邪神ニンザスの復活を阻止してくれた事、本当に感謝しています」
どうやらそれは表立てない事だから、こんな非正式な場合で女王様がカミトとシンに敬礼した。
「いいえ、俺はできる事をしたまでです」
「お母様、家族を助ける事には礼が不要だろ」
丁寧に女王陛下に答えたシンと違って、冗談かどうか知らないけど、女王陛下がカミトにお母様と呼ばれた時、変な顔になった。まあ、確かにカミトにとって女王陛下はお母さんだけと。
「陛下、少し言いにくいですが、俺は申し上げたい事があります」
ライドの発言のせいで、ここの空気が重くなった。そして多分例の件だから、ライドはとても荘重な態度で女王陛下の前に跪いた。
「何のつもりか?ライド」
王夫のレッド殿下は険しい顔でライドを質問した。同時にリズ女王の目も厳しくなった。
「自惚れかもしれませんけど、小さい頃から、導師様は俺に王位を継承する為に、厳しい訓練をさせてくれました。今俺が言う事は勝手なわがままだと承知しています。けどメローと一緒にいたいとするなら、その王位継承権を放棄しなければなりません!だから俺はここで宣言します!王位継承権を放棄します!」
「お前は国の民たちも放棄する気か?」
「継承権の放棄、つまり全ての王室権利を一緒に放棄する事、それは知っているわよね」
「もちろんです!」
父と母からの厳しい質問、ライドは意志固いの顔で答えた。
ライドの答えを聞いたリズ女王はエド様に助けてくださいの目線を送った。
よく考えたらそれも当然な事だ。さっき謁見の間でメローを承認したから、今はライドのお願いを断るなんて言えないよね。
そんな目に見られたエド様は、やれやれの表情でライドと女王の間に出ていた。
「女王陛下、ライド王子、先に言わないといけない事があります」
エド様の発言に対して、女王陛下はどうぞのジェスチャーを示した。
「私はこのレカーライヴズの王家導師、そしてライド王子の爺さんでもある。そんな私が優先考えるべき事は、このレカーライヴズの未来です」
「そんな話はもう良い、お前は既に結論ができたはずだ」
うん、カミトはまた勝手に話を介入した、そしてえりなに怒られた。
「確かにカミトの言う通りです。ライドとメローの事を承認した今、王位継承者はライナ王子とリリズ王女になります。死の騎士である私は王家導師を務められても、さすがに魔族が王妃になるのは無理ですね」
「でもそうなると、ライドはどうします?」
「答えは一つしかありません、アースです」
え?なんだか予感したけど、エド様がそうやってあっさり言ったのは予想しなかった。
「俺、いえ私とメローがアースに……?」
「今回は失敗とは言え、メローはニンザスの復活に関わっている事は変わらない。つまり彼女がこのザッドにいる限り、ニンザスから逃げられない」
エド様の説明より先に、カミトが説明した。そう言えば、謁見の間に入る前、エド様とカミトはずっと何かを相談していたようだね。
「つまり私とカミトが出した結論は、あなた二人がアースに移住する事です」
「しかし……!」
まさか娘だけではなく、息子まで他の世界へ行かなければならない事になった、女王陛下は想像すらしなかったんだろ。
「なに、織姫と俺もいるから、寂しくはないだろ」
カミトは軽くライドの肩を叩いた。
「あの、ヴィクちゃん、あの赤城さんはいつもそういう調子なの?」
多分幻滅したから、チャルナウはこっそり僕を聞かれた。いや、確かにそう言う人だけど、やる時はできる人だよ。
「赤城さんの戦い振りを見れば、それはわかるけど……」
うん、女王陛下の前でもこんな言い方をできるのはおそらくカミトだけだろ。
「あの、失礼ですが、もしライドの移住はいけない事と言うなら、私はーー」
メローは何かを言い出す前に、ライドに口を塞がれた。
「却下だ、君が言い出そうな事」
「しかし!」
「俺は死を超えて君を奪還したよ」
ライドのその言葉に、メローはなにも言えなくなった。
「どう言うわけで、陛下、どうか私とメローがアースへ移住を許可していただきたいです」
ライドの発言でさらなる困る表情になった女王陛下はしばらく沈黙した。
「ライド、ついて来い」
王夫のレッドがライドに言葉だけではなく、ついて来いのジェスチャーまで見せたから、ライドではない僕でもわかる、それは断れない命令だ。
そして当然のように、チャルナウは僕を載せたままでついて行くとした、もちろんチャルノウとロティマスもだ。
「剣を取れ」
そして僕たちが見たのは、親子の決闘。
「どうしてこんな……」
「簡単だろ、お前には達成したい事がある、そして私はそれを阻止したい、それだけの事さ」
瞬間、レッドの殺気はこの場に満ちた。さすがあの死の騎士エドの息子だ!
「まさかレッド叔父さんはこれほど強いとは……」
「レッド王夫殿下は龍殺しだと聞いたぞ」
「レカーライヴズの戦乱を終結し、リズ女王陛下を王座に座らせたのは伊達じゃなかった」
「そんな……だめです!」
「だめよ、メロ姐、誰もあの二人を阻止するにはいけないの」
二人の間に出て阻止しようのメローはチャルナウに阻止された。
「そう言う事だ。ライドの決意、無駄にしないてほしい」
「実に残念だったな。もしライドは王になって、その決意で国のために働いたらって、カノン帝国を仕える俺もそう考えずにいられない」
「お前の教育は導師様ばっかりに任せたから、私はあまりお前を構えなかった」
レッドが何かを言いながら、手に持つの剣は高速かつ変化自在の剣技でライドに攻めている。
「あれはーー!」
チャルノウは何かを気づいたようだ。
「間違いなく、聖殿騎士団の剣術だ。記録によって、レッドは月の聖女軍団のメンバーだった」
え?シンも来たの?
「クッソ!俺は絶対親父を倒す、メローと幸せになるのだ!」
「ライド……」
まさか親子喧嘩の最中に告白するなんて……
「ではお前のその覚悟、その決心、その願い、私に見せてみろ!」
そしてレッドがとある構えを取った。
「ピラコも使った技だ、確かにそれ月見の構えというものだ」
つまり必殺技の事?となればライドは危ないって事?
「クソ親父!今更そんな顔をするどう言うつもりか!」
ライドも双剣で構えた。
「月華散在墜紅塵!」
「果てしなく聖なる十字!」
そして双方の必殺技が激突する。
さすがに激烈すぎて、僕はちょっとその雰囲気に耐えられず目を閉じてしまうほど。
僕が目を開けて見たのは、お互い一歩退いたのライドとレッド殿下。
「これはこれは、殿下二人の剣技はまた精進しましたな」
ちょっと初老の一人がやって来た。誰かな?こんな王宮深処まで来られるとは……
「失礼、諸君とは初対面だな」
僕たちもいる事を気づいて、その人が僕たちに声を掛けて来た。
「私は先王ネクライ陛下の時からレカーライヴズ王国所属王弓騎士団団長を務めているドゥバン=サングラナスだ」
「ドゥバン=サングラナス……レカーライヴズ王国歴史の中、ただ一人が弓技ではない、剣技で王弓騎士団の長の座に就けたあのドゥバンですか⁉︎」
チャルナウはこの人の身分に驚かせたから見ると、偉い人のようだ。
「ドゥバン様のご高名はカノン帝国にも響いています。エド様に次、レカーライヴズの二番目怖い人だと言う」
なにそれ?しかしロティマスは真剣な表情で語る事から見ると、冗談ではなさそうだ。
「サングラナスの爺さん、どうしてこんなところに?」
王夫のレッド殿下はドゥバンさんを見たら、すぐにこっちにやってきた。それよりレッド殿下からも爺さんって……
「なに、陛下はこの私に王妃になる人の見極めろを命じられたからだ」
となると……
「私ですよね」
メローは一歩前へ、ドゥバンの前に来た。
「そうか、確かにエド様の言う通り、星の巡行者様も認めているわけか。こうやって実際見たら、私もレカーライヴズ王室を裏切らない限り、あなたの味方になると決めた」
「ドゥバン爺さん、それはどう言う意味?」
ライドも来た、そして同じ爺さんでドゥバンを呼ぶ。
「こんな綺麗な女性は君と一緒になりたいとは、小僧は幸せ者だな、はははは」
颯爽な人だそうだ。
ドゥバン=サングラナス:その剣は矢より早い、炎より強烈と言われた剣士。




