女王の密命(前編)
20211006:後の文に合わせて、名前といくつかところきを修正しました。
みんなさん、こんにちは、ヴィクです。
エド様との会議の後、僕たちは三部隊に分散した。
一つは、月の聖女軍団の指揮権を取り戻すために、月の聖殿へのシンたち。
一つは、戦艦クーフーリンを旋回しながら待機と装備の整備、主には技工兵科と支援兵科、そして通信兵科は集まった情報の整理をしている。こちらはグレイドと斎香がメインにやっている。
そして最後の一つは、エド様と共にレカーライヴズ王宮へ、リズ女王と相談するためにのカミトたち。えりなはここにいるから、通信兵科の仕事は斎香に任せた。まあ、斎香なら問題がないんだろ。
僕はシンたちと一緒に行きたいけど、シンもカミトたちの状況を知りたいから、僕をカミトに預けた。
けどそれはどうやって連絡できるのかと思ったら、クロエから僕の首輪に一つ指輪を嵌めてくれた。その指輪には一つ紫色の宝石がある、とても綺麗。
「その宝石はデゥカラガン様の鱗の欠片から作ったものから、それを通えば、シンとの通信は可能です、だから頼りになるあなたにお願いね、ヴィク」
クロエは僕を撫でてくれた。シンではないけど、うん、頑張ろ!
「来たか」
僕たちはレカーライヴズの王宮に来たのはずなのに、僕たちを待っているのはシェルフィーさんのはどうしたんだろ?確かにシェルフィーさんはシヴァニ公国の者であるはず…
「シェルフィーさんはどうしてここに?」
えりなはカミトやエド様の先に質問した。
「そんな物を見たら、誰も緊急事態だと思わずにいられないんでしょう」
シェルフィーの人差し指は空で旋回しているクーフーリンを指す、カミトはやれやれと肩をそびやかすで答えた。
まあ、これも仕方ないんだね。
「私だけではないよ、ファランディナもすぐここに来るだと聞いたよ」
ファランディナ…確か、カノン帝国の大公爵様だよね。しかしそうやって簡単に国から出られるのか?
と、思った瞬間、僕たちの隣はもう一人が現れた。
「私を呼びましたか?」
うわ!ファランディナさんだ!いきなり現れたなんて、タイミングが良すぎない?
「テレポートのような魔法か?便利なものだな」
「はい。私はそんな物を見ましたから、とりあえずエドと相談をしたいからここに来ました。無礼な真似はお詫びをします」
不法侵入のような真似だから、ファランディナさんはエドに謝った。
「わ、私はちゃんと手続きの手順に従ったよ!」
シェルフィーは慌てて弁解してる。
「現在これはまた我が国の問題だが、このザッドに影響を発生するかもしれない状況だから、最初からあなたたちを呼ぶ予定だ、これは呼ぶ手間が省けたな」
エドは微笑んで僕たちとシェルフィーさんとファランディナさんを王宮内に招いた。王家導師だから、衛兵たちは自ら道を譲ってくれた。
「導師様!」
謁見の廳で僕たちを待っているのは、レカーライヴズ王国女王、リズ=レカーライヴズとエドの息子にして王夫であるレッド=ギルヘット。
「お久しぶりです、母上、父上」
さすが姫だと言うのか?もちろんカミトと一緒に来た織姫は綺麗な動作で女王様たちに敬礼した。
「お帰り、織姫、前より元気そうで何よりだ」
織姫も一緒に来たから、彼女は先にあの二人に礼をした。
「俺も母上と父上で呼ぶ方が良さそうだな」
確かにそうかもしれないけど、カミトのこっそり話を聞いた女王リズと王夫のレッドは同時に頭を振って不要だと示した。
「カミト、お前は織姫の旦那の前に、この私と同じこのザッドの救世主であるから、そこは勘弁して」
エドもそれ却下とした。
「分かったよ」
と言っても、カミトは依然エドの指示通りに普通の謁見礼をした。そしてファランディナさんとシェルフィーさんも。それは宮廷礼儀というやつなのか、二人各自の作法は織姫やカミトと違ったけど、どれもカミトより綺麗な敬礼をした。
「申し込み無しに突然な伺い、大変無礼な真似にお詫びを申し上げます」
「この状況であればそれも無理でもありません、それにお二人も導師様から招いたい相手だと知ってますから、今回の限りその無礼は不問とします」
「陛下のご容赦に最高の敬意と感謝を」
「さてと、そろそろこの私から状況の説明をしようか」
「導師様、その前に、私は赤城殿にお礼を言いたいです」
リズ女王陛下はエド様の話を中断させて、カミトに向かって、軽く敬礼のように頷く。
「今の織姫を見て、彼女はアースでどんな幸せな生活を過ごしたのはは明白です、だから赤城殿に感謝を申し上げたい」
「陛下、この俺は織姫の夫としてやるべきことをしただけ、別に感謝とか要るものではない」
「この国の女王ではなくても、織姫の母としてもあなたに感謝を申し上げたい。そしてどうかこれからも織姫のことをよろしくお願いします」
「任せておけ」
カミトはちゃんと女王陛下に応えた同時に、えりなは少しやきもちのような顔に見える。
「だけど女王陛下、俺の一番はえりなって事を変わるつもりはない、これも最初から言ったはずだ」
多分えりなの顔を気づいたんだろ、カミトはもう一度えりなの地位を宣言した。それを聞いたリジルザックスさんは理解と称えるように微笑みながら頷いた。
「その点はもちろん分かっていますから、よろしくお願いします」
「ようやく俺の番だな」
エド様はやっと説明を続けるようになった。
「まずはニンザスの事、それはこのザッドの俺たちにとっては常識の一つだから、教え直し必要がない。そしてここに来る前に俺もアースのみんなに教えた。前提としてのニンザスの事、ここで省略とする」
「あのさ、そのニンザスって、うちの総隊長の極光神剣の力で消せるのはどう?」
「ロックオン、ここは陛下たちの前ですよ!発言は慎んで!」
ロックオンの態度は相変わらず、そして斎香も相変わらずロックオンを叩いた。この二人も面白いだな。幸いロックオンは前回の表彰式で聖女から讃えられた事があったから、陛下たちは微笑んで許してくれた。
「もちろんそれはできますが、相応の対価が必要になりますよ」
そして答えたのは、アリス。まあ、おそらく答えられるのも彼女しかいないんだろ。
それにしても、本当にできるの?ならばやればいいじゃないかと思うけど、その対価の事は気になる。
「失礼、あなたは…?」
あ、陛下たちはアリスの事を知らないようだ。まあ、この世界ではただの妖精などかにしか見えないかもしれん。
「そう言えば自己紹介はまだですね、これは失礼しました。私はアリス、赤城カミトの支援AIにして、聖魔の女神の分霊でもあります」
「つまり彼女はアイシュヤ様より偉い神様だと言う事だ」
陛下たちはアリスの話を理解出来そうにないから、エド様は女王陛下たちに簡単で追加解釈をしてあげた。
「礼拝は不要です、所詮私はただの分霊に過ぎません」
陛下たちは慌ててアリスを敬拝するつもりだったけど、その前にアリスに阻止された。
「まあ、一応参考として聞くが、対価は何のものならできるか?」
おそらくカミトもその気になっているから、アリスに質問した。
「ニンザスはザッドの世界神、つまりアースのゼウスやルー等と同じ存在。そして世界神たちは世界そのものと繋がっているから、世界神を消滅したいと言うなら、世界をまとめて消滅しなければなりません」
「よし、その提案は却下だ」
カミトはアリスの話を聞いた瞬間、ロックオンの提案を否定した。ロックオンもアリスの説明を聞いたから、理解したの表情で頷いた。まあ、当然な事だね。
でもまさかその邪神を消滅するためにはザッドも一緒に消滅しなければならないなんて。
「では話を戻りましょう。現状、一番の問題は、我が国の王子、ライドが行方不明の事と、ニンザスの血を持つ一族、メローと言う魔族の事」
「待ってよ、お前の魔法もそのライドを見つけないのか?」
「ライドは斥候だから、まさかこの俺の追跡からも隠れるほどまで成長したとはさすがに俺も予想外だった」
「勝手な発言で失礼しますけど、私に探査させてみてください。私と赤城殿であれば、何かを見つけられるかもしれません」
魔法のスペシャリスト、ファランディナさんが提案した。確かに魔法と言えば、この世界ではファランディナさんだよね。そしてカミトは最強の狙撃兵、つまり最強の狩人でもある、これなら何か見つけるかもしれん。
「サンタルシア大公爵様にお願いできますか?」
多分ファランディナさんは一応カノン帝国の大公爵かつ戦争の英雄の一人だから、リズ女王でも敬意を持たないといけないようだ。
「邪神ニンザスと関係が有れば、それは貴国だけの問題ではありません。故に盟友として、この私、カノン帝国大公爵、ファランディナ=サンタルシアが参りました」
「シヴァニ公国の使者である私、シェルフィー=ヴァン=ホッセンにも手伝いさせてください」
ファランディナさんの話を聞いたシェルフィーさんもやる気を出したようだ。
そう言えばシェルフィーさんの職位はなんだろ?大公爵のファランディナさんと対等だと見えるけど。
「シェルフィーさんはシヴァニ公国の正義騎士団団長、爵位は伯爵だと聞いた」
交流できるから、僕はこっそりリジルザックスさんに質問した。しかし伯爵だけだとしたら、大公爵より遥か劣れではないか?
「公国の一番上の人は公王だと言うけど、それは公爵に扱いから、臣の爵位は候爵から。そして近衛兵であるの正義騎士団の軍権を持つことだけで、他国の王でも慎まないと」
つまりシェルフィーさんはその国の第二人って事か?
「そしてかつてのエド様を倒したの聖剣のヴァルキュリアでもある」
そう言えば、確かに彼女は「剣刃波動を使えるんだね。
「よく知ってるね、彼女の剣刃波動を区域内の素子、つまり魔法が必要のエネルギーを完全消滅できるから、ファランディナさんのような魔法使いにとっては天敵だよ」
え?つまりあの時、シンの体内に残された過量の魔法エネルギーを打ち消したのもその力なのだったか?凄い!
僕とリジルザックスさんと話してる時、どうやらそのリードの寝室へ移動しそうになったから、リジルザックスさんは僕を抱いてまま一緒に移動した。
「ここだ」
正直、ここはちっとも王子の寝室と見えない。
「王子の寝室だよな」
どうやらカミトも同じ疑っているようだ。
「言ったはずだ、この前ニンザスの動乱のせいで、国を復興するだけで精一杯だから、個人の快適は後回した。何せ織姫でも厨房を手伝いしたぞ」
確かにそう言ったよね。
「赤城殿、この現場を見てどう思う?」
「時日が随分経ったようだから、今残っている痕跡から見れば、かなりの実力者だ」
カミトはこの部屋を少し観察したら、まるで自ら見たように、そのリードの行動を再現した。
「さすが赤城殿、私の魔法探査も同じ結論が出した」
そしてファランディナさんはカミトが正解だと証明した。さすが狩人である狙撃兵科の代表。
「さすが赤城先輩、俺は何も見えねえぞ」
「俺でも少しだけしか…この辺までは大丈夫けど」
ロックオンはさっきカミトの動きを模倣して動いたけど、およそ半分くらいで止めた。
「一体何の根拠でそのような行動を確信したの?全く理解できない」
一緒に来たシェルフィーさんもカミトとファランディナさんの調査行動を理解できないようだ。
「正直私も赤城様の根拠を理解できなかった。でもスタウダマイヤさんもある程度見えた、ファランディナ様もそれを証明したから、嘘ではないはずだと思う、やっぱり凄いね、赤城様は」
うわ、今のリジルザックスさんの目からLOVEマークが出ているよ!まあ、さっきカミトが格好良くつけたから仕方ない。仕方ないけど、他のみんなが見てるから、少し自重して欲しいな。
そう言えばリジルザックスさんはファランディナさんのように魔法で探査できないの?巨龍だよね
「サンタルシア家は特別だから。彼女の先祖、テレシア=サンタルシアはかつて唯一龍主の称号を持つ、アレックス=トレイスの戦友だったぞ」
あ、だからファランディナさんはそんな魔法の力を持つわけね。
「そう言う事、そしてサンタルシアの古い意味は、『奇跡を運行する者』の意味だよ」
へい〜
「アレックス=トレイス、彼は巨龍たちを従えて、ニンザスと対抗する第一人であるよ」
多分僕とリジルザックスの会話を聞いたから、シェルフィーさんは会話に参加した。
それより、龍主というのは?
「私たち巨龍の主になった人だけ、私たち巨龍から与える称号です」
「確かにそれは三千年前の事かな?」
何と三千年前もか?さすがに遠すぎて、はっきりとした実感は湧かない。
書けば書くほど長くなってしまいから、前編になります。




