自然合宿
「では、自然合宿での班の名簿を配りますので、決まりしだいに先生に持ってきて下さい」
そして、休み時間。
「あ~くん! 班組も~!」
「うん。良いよ」
案の定、歩と七海は班を組んでそこに七海の親友でもある真矢が加わりあと三人になった。
「これって、他のクラスの人でも良いのかな?」
「どうだろう? 先生に聞いてみよ!」
もし組めるなら僕は湊と班を組みたいな、どうせなら知ってる人が居る方がなにかと楽だし。
別にクラスに知り合いが居ない訳じゃないけど、どうせなら親友の湊と組みたい。
そして、先生に聞きに行ったところ………。
「えぇ、良いわよ。これは一年生の皆の交流も兼ねてるから大丈夫よ」
許可が貰えたのでさっそく湊の所に行くと二つ返事でオッケーして貰えて後は二人になった。
そんな時に入りたい!っと言ってきた男子と女子が居たので断ること無くオッケーをした。
金髪の毛がツンツンした髪型にしている男子、賀川 亮平と艶のある黒髪をロングストレートにしてる見た目からは大人しめに見える久熊 采明が班に加わった。
「いえーい! 歩とはクラス違うから班組めないなって思ったけど組めたな!」
「そうだね~。湊が居ると力仕事は任せられるから助かるよね」
「おう! 任せておけ! 力に自信あるからな!」
腕を曲げて二の腕辺りに手を当て自信満々な顔をして筋肉あるぞ!アピールをしてくる湊。
湊は本当に筋肉が凄いので大抵の力仕事なら任せても大丈夫だ。
「まぁ、良いけど、班長どうする?」
和泉からそう言われ俺達は一旦皆の輪に戻り班長を誰にするか相談した。
でも、相談すること無く僕は決まってる。他の人がどう思うかはしらないけどあいつしか居ないと僕は思う。
「じゃあ、湊で」
「あーくんがそう言うなら私は良いよ」
「うん。私も大丈夫だよ」
「自分もっす!」
「はい。私も大丈夫ですよ」
「ん? 俺で良いのか? なら、俺は何でも良いぞ!」
全員満場一致で湊と言い、多分僕以外はその場の乗りで決めたと思うけど、湊は面倒みも良いし、なにより優しいから班長に向いてると思う。
だからと言ってバカだから扱い安い訳じゃない。決してそんな理由で決めた訳じゃない………………。
「あの、なら、私は服班長やっても良いですか?」
「うん。大丈夫だよ。なら、笹熊君と久熊さんで良いかな?」
全員頷いて、二人で良いとなり先生に提出した。
そして先生から許可が降りて歩達の自然合宿での班が決まった。
「歩~! 今日もバイト行くな~!」
「うん。助かるよ」
「ん? バイトって間宮君家何かやってるの?」
「あーくん家はね! 喫茶店やってるんだよ! あーくんのコックコート姿は可愛いしかっこいいよ!」
歩より先に七海が言ってしまい歩の事を自慢するかの様に言い、歩は少し照れた様子でいた。
「へぇー。七海も居るのか~。私行ってみようかな?」
「是非どうぞ。一応、おすすめは珈琲とシフォンケーキかな?」
歩はちゃっかりとおすすめまで教えて是非来てと目をキラキラさせていた。
そして和泉と久熊が来ることになり賀川は用事あるとかで後日改めて来てくれるそうだ。
☆
そして、放課後に皆を連れて歩は家に帰って来ると、中は中々に騒がしく大変そうに見えたので、歩はさっさと厨房に行き、それに続いて七海と湊も奥の部屋に入って店の制服を着て出てきた。
残った二人は取り敢えず座り歩がおすすめっと言った珈琲とシフォンケーキを頼んだ。
「凄いね。間宮君家のお店」
真矢は店を見渡しぎっしり埋まってる席を見て「ほぇ~」っと感心していた。
采明はそんなことよりじ~~~~っと頬を赤く染めてうっとりした顔で湊を見ていた。
それに気づいた真矢はにやにやした顔になり。
「あれ~! 采明ちゃんは笹熊君が好きなのかな~!」
「ふぇ!? あ、いや、その~!?………………………」
顔を真っ赤にしてしまい小さくコクりっと頷いた采明。
更に真矢のにやにやっと面白がる顔になり采明に更に質問して行った。
「ねぇねぇ! 笹熊君の何処が良いの!」
「それは、やっぱり優しいところでしょうか。笹熊君は誰にでも気さくに接して明るくて、面倒みも良いですし、 もう! 優しい過ぎるんです!」
語ってる内に恥ずかしいのが無くなったのかうっとりとした顔で湊の良い所を語る采明だった。
「じゃあ、告白したりしないの?」
「いえ! 滅相もありません! 私なんかが笹熊君に告白なんて………………それに、笹熊君は人気もあると思いますから、ライバル多そうですし」
控えめな事を言う采明にもう少しグイッと行った方が良いと思う真矢だった。
「そんな控えめなことばかり言うと、その内誰かに取られるよ?」
真矢がそう言うと采明は一瞬にして顔色を真っ青にしてしまいあたふたしだした。
「えっと、それは! あの、えっと! 嫌です!?」
「なら! 積極的に行かないと絶対に無理だよ?」
「うぅぅ。でも~どうしたら良いか分からないですから」
じれったくうじうじっとしてる采明を見て後押しをしてあげようと真矢は七海を呼びつけた。
「ねぇねぇ! 七海! 間宮君の親に私達も働けないって聞いてみてくれない?」
「え。良いけど、大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ! 今日だけだしね! 采明ちゃん」
「へ? あ、はい!」
そして、七海は歩のお母さんに許可を取りに行くと二つ返事で了承をしてくれたので二人にはホールに入って貰うことになった。
そして二人は激戦のホールに出るとあちこちの注文を取りに行ったり、注文の品を持って行ったりっとホールの大変さを実感した。
「ふぇ~、つっっっかれた~~」
「はい~、こんなに大変だとは思って無かったです」
二人は初めの七海みたいに机にベッタリ顔を付けて手をぶらんぶらんさせていた。
「お疲れ。これ、珈琲と余り物で悪いんだけど、シュークリーム」
歩が二人に珈琲とシュークリームを持ってきて机に置くと真矢はあっという間に食べてしまい、歩に呆れられていた。
采明は上品にシュークリームを食べて、珈琲をゆっくり飲んでいた。
「二人共お疲れ様~。俺も疲れたから歩何かくれ~!」
二人の所に疲れた様子で来て歩に何かくれっとせがんで歩は「はいはい」っと言って厨房から珈琲と、歩が作ったカステラを渡した。
大抵、歩は自分が作った物はまず親友の湊に食わせて感想を聞く。
湊は正直者で嘘がつけないタイプで味の感想も率直だから信じられる。
湊は貰ったカステラを一口で食べてモグモグっと口を動かしてごっくんっと飲み込む。
「どうだ?」
「うーん。ふわふわしてて旨かった!」
「そっか。なら、良かった」
歩は褒められて嬉しそうにしておりルンルンっで厨房に戻って行った。
「ねぇねぇ! 笹熊君! 采明ちゃんって可愛いよね?」
「え!? 何聞いてるんですか! はわわ!?」
唐突に聞く真矢に怒鳴り声で言う采明は顔を真っ赤にして体を竦めてしまった。
「ん。可愛いよ。肌綺麗だし髪はサラサラしてそうだし! あと、俺は湊で良いぞ!」
それに動じない様子で答える湊に更に顔赤くして体を竦めてしまう采明。
「ふーん。そっか。良かったね! 采明ちゃん」
「うぅぅぅ!」
顔を赤くしたまま下向いて黙ってしまう采明。それを不思議そうに首を傾げて見ていた湊だった。
これは自分が通っていた学校にあったのを少しモデルにしてます。
ここまで自由ではありませんでしたが他校の生徒や他の生徒達との交流が主だったと覚えてます。
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