二
歩が出て行ってしまい今日は取り敢えず休みにして家族三人で話すことにしたみたいで喫茶店の方で話してる。
「うぅぅ。歩………」
「良い加減に泣くのを止めろ。さっきも言ったろ? 歩はもう俺達が知ってる子供のままじゃないんだ。彼女を作るぐらいするさ。と言うか今まで女の子と関わった話を聞かなかったんだ。これは褒めるべきだろ! あいつも大人になったんだって」
「あなたに何が分かるの!? あの子はか弱くて臆病で可愛い子なのよ!? そんな子をあんな何処の馬の骨とも分からない子に任せるのは無理よ!………………可愛いの認めるけど」
お母さんはお父さんの首襟を思い切り掴んで泣き声で怒鳴り散らしていて、お父さんは「苦しい! 苦しい!」っともだいていた。
「苦しいから! 苦しいから止めて!」
お父さんの言葉はお母さんに届いて無いのかずっと首襟を強く掴んで離さない。
「あの子はとっっってもか弱いの! 私が守ってあげないと駄目な子なの! あなたに分かる!?」
「分かってる! 分かってるから離せ!」
お父さんは無理にでもお母さんを離そうと手を退かそうとするがどうやっても離す気が無いのか全然離れなかった。
そんな時にずっと珈琲を飲んで二人を見ていた楓からお父さんを助ける船をだした。
「お母さん。あっくんだって男の子なんだよ? そりゃあ寂しいとか大丈夫かなって思うけど、ずっとあっくんを縛って篭に閉じ込めるの?」
そんな楓から言葉に胸を突かれ、うっとなってお父さんの首襟から手を離すお母さんは肩を落としてしまった。
「そんなのあっくんのためにならないよ………可愛いあっくんを取るのは確かに許せないけど、それでもあっくんが決めたことだから、認めてあげようよ」
「………………………………暫く一人にして」
楓からの言葉を受けたお母さんは二階の部屋に行ってしまった。
お父さんと楓はやれやれっといった感じに溜め息をついて暫くそっとしとこうとなった。
一方、歩達は………。
七海の家に来ていて、今は部屋でイチャついていた。
歩はぎゅぅぅぅっと七海に引っ付いてさっきからお母さんの悪口ばかり言っている。
「なんだよ。僕だって彼女作っちゃ駄目なのかよ」
「そんなことは無いと思うよ? お母さんだって心配なんだよ。あーくんは可愛いから」
「………みぃー。僕ってカッコ良く無い?」
「へ?」
突然そんな事を聞いてくる歩にこういう場合どう答えたら良いか分からなく七海は「えっと、その~」っと繰り返してばかりだった。
(あーくんがカッコいい………………駄目だ、可愛いあーくんしか知らない)
「………無いんだね。はぁ、湊みたいに背が高かったり明るくすればカッコ良くなれるのかな」
七海が悩んでるのを察して自分にはカッコいいところは無いっと悟った歩は自分と親友を見比べだした。
「あーくん。そのね。今のあーくんに言うのも悪い気がするけど、その、良い?」
「………………うん」
少し間があったが許可が降りたので七海は言った。
「あのね。その、あーくんがカッコいい所は今は無いけど、私は今のあーくん方が大好きだよ? 可愛いあーくんが私は大好き。その、カッコいいあーくんも見てみたいけど、可愛いあーくんの方が私は大好きだよ。その~、こんな事を言うのもなんだけど」
七海はその先を言おうかと迷ってるみたいで歩はじ~~~~っと七海を見ていた。
そして、言う決心がついたのか七海はとあることを言った。
「その、あーくんが可愛く無かったら、私はあーくんっと付き合って無いよ?」
「へ?………………本当に?」
いきなりそんなことを言う七海にビックリし過ぎて何がなんだか分からなくなってもう一度聞き直した。
七海は戸惑いながらも頷いて、歩は………………。
「あ、あーくん?」
「………………みぃーは僕が好き?」
「うん。大好き!」
「僕もみぃーが大好き」
そっとみぃーの唇に自分の唇を触れさせキスをした。
自分からしたのは初めてでかなり恥ずかしくなり顔を腕で隠す様に当て顔を多分真っ赤にしてる。
「あーくん!」
そんな歩を七海は押し倒して上に乗り掛かった。
それに驚いて「ふぇ?」っとマヌケな声が出てしまう歩。
「駄目………もう、我慢出来ない。良いよね、歩」
顔を赤くしてなんだか息遣いも荒くさせて僕の服を脱がそうとしてくる。
一つ、二つっと制服である学ランの鈕を外して来て僕はとあることを悟った。
あ、このままだと貞操が無くなる?
(いや、嬉しいけど、好きな人とできるだけことは………だけど、良いのか? このまましても良いのか?! いや、まだ駄目だろ! 付き合って間もないんだから、もう少し時間を一緒にしてからだ!)
流石に速いと思った歩は七海を止めようと何かないかと考え始めた。
考えてる間も服は脱がされて行くので時間は無い………。
そして、歩はとある事を思った。
(七海は僕が可愛いって言ってた。可愛い僕が好きって言うなら)
「みぃー、僕ね。まだそういうことはしたくないかな」
歩は上目遣い+うっとりした顔で七海にお願いをした。
七海は可愛い自分が大好きだと分かったので、余りやりたくないけど多分、可愛いっと思う顔と甘い声でお願いをしてみた。
七海の反応は………。
「もう! 無理! あーくん! 大好き!」
逆効果で上着は全部脱がされてみぃーまで上着を脱いで白のブラジャーが丸見えの状態になってしまった。
(えぇぇ、何でそうなるの?)
「みぃー! そうだ、そのね、僕はまだそういうことはしたくないから、離してくれると嬉しいな?」
「………………何で」
「へ?」
「あーくんは私としたくないの? そうなの? ねぇ、何で私としたくないの? 私はあーくんとしたいのに、何で? あ、あーくん浮気してる? そっか~、その女ともうしたから、私とはしたくないんだね」
早口で浮気とか言ってくる七海に困惑して何をどう返せば良いか分からなくそのまま七海が言ってることを聞いた。
「ふーん。あーくん………………歩君はそんな悪いことをする子だったんだ。誰れ? その相手は誰れ? そんな人より気持ち良くさせてあげるから、私としよ」
はっ!っとなって流石にそろそろ言い返さないととんでもない勘違いをされそうなので僕は言った。
「みぃー! 浮気とかして無いから安心して! 絶対にしてないから! 誓うから! それにね、まだ僕達付き合って一ヶ月少しだよ? まだそれをするのには早い気もするだけど、僕は」
「………………一週間でしたって友達から聞いたことある」
(はあぁぁぁぁぁ!? いや、は? 一週間って早過ぎでしょ………。だけど、それは他人であって、僕達には関係無いことだと思うんだけど)
「あのね。みぃー? 僕はこんな短期間でそんなことはしたくない。いや、その、みぃーとしたくない訳じゃないけど、こんな短期間でやると、身体目当てで嫌だから………………あ、そうだ。みぃー、クリスマス! クリスマスに、デートした後に一緒にね。駄目かな?」
自分でも何を言ってるか分からなくなってクリスマスにやろうとか言ってしまい七海は………………。
「うん。そうだね。私もそう思われたら嫌だし、あーくんがそう言うなら、今日は止めておく。でも、あーくんが良いならいつでも言ってね。私は待ってるから」
それから、お互いに服を着直してから歩は家に帰って行った。
「はぁ。良かった~」
あのまま本当にやってしまうのか冷や冷やしたけど、何とかみぃーも大人しくなってキスをするだけで許して貰えたし、良かった………のかな。
本当にあれで良かったのか今さら後悔をする自分だった。
ここで言っておきます。
歩は決して臆病でもか弱くもありません、どちらかというと堂々っとしてますしそれなりに鍛えられています。ただお母さんが過保護過ぎるために臆病やか弱いっと錯覚してるだけですので本来の歩には関係ありません。