七海のバイトは波乱!?
二人は腕を組んで歩の家に向かっている。
二人の背では落差がありとても歩き辛いっと思うのに二人はそれでも腕を組んで歩こうとする。
歩は歩き辛いので腕を組むより手をつないだら方がまだ歩き安いっと思ってるが手を繋いでも直ぐに腕を組んでくるので諦めてそのままにしているみたいだ。
「みぃー。本当にバイトするの?」
「うん! だってその方があーくんっと居られる時間が増えるもん!」
そう言って貰えるのは嬉しいけど、みぃーを連れて家に行くのはかなり憂鬱になる。
別にみぃーが悪い訳じゃない、どっちかと言うと僕の家族に問題があるから余り気が進まない。
そうこうしてる内に歩の家に着いてしまった二人。
喫茶「Furantsue」っと書かれた看板が飾ってあり、歩は気が進まないが店のドアを開けた。
お店の方に入ると今はお客さんが少なくて余り騒がしくは無かった。
フランツェは昔からある喫茶店で常連さんも年輩の人が多い。
それでも、雰囲気はあり、机や椅子は全部木で作られていてレトロ感のある喫茶店だ。
「いらしゃ………あっくん! お帰り!」
入ってきた歩達に気づいてお店の店員が来たと思ったらいきなり歩に抱きついてきた。
赤みが強い茶色の艶のある髪をロングにしており少しカールがかかっている。
童顔で背も低いが歩よりは高い方でぎゅぅぅぅっと歩を抱き締めていた。
それを見た七海はびっくりして直ぐに止めさせようとしたが歩が言った言葉で直ぐに納得して止めた。
「ね、姉さん。離れて」
「もう! こんな可愛い弟から離れろってのが無理なのよ~!」
「良いから! 離れて!」
歩は無理矢理に姉である楓を引き離した。
「もう~! あっくんは! 可愛い!」
意味の分からんことを言う姉は放っておきみぃーを連れて厨房に居ると思う父さんの所に向かった。
「父さん」
「ん? お、帰ってきたか。歩、早速手伝い頼む~」
見た目は歩にそっくりなお父さんだが歩と違って背が高い人だ。
コックコート着て調理をしてる父さんしか居なく母さんはホールに居るのかな? その方が都合が良いため今の内に話しておこう。
「父さん。こちらは柊七海さんで、今日からか、明日からバイト出来ないかな?」
歩が紹介をすると七海は綺麗に一礼をして、父さんはじっっと見つめて。
「ほほう。歩が彼女を連れて来るとは、成長したな!」
「まだ、何も言ってないんだけど………………。うん。僕の、その、彼女だよ」
親に言うのが恥ずかしいのか顔を赤くして恥じらう様に言う歩。
「初めましてお義父さん、先程あーくん………歩君に紹介を頂きました。柊七海です。歩君とは一ヶ月少しの付き合いですが、私達は結婚を誓ってますので、なにとぞ宜しくお願いします!」
頬を赤く染めて頬に手を当てうっとりした顔で言う七海。
歩はそれにびっくりしたのか戸惑いを見せていた。
「はっはっは! 歩! 良い子と付き合えたな! こちらこそ余り男らしい訳じゃない息子だが、宜しく頼む!」
「父さん。男らしいくないは余計だよ。僕だって気にしてるんだから、言わないでよ」
豪快に笑うお父さんに歩は呆れて少し不機嫌な顔をしていた。
歩は小さい頃から、色んな人に可愛い、可愛いっと言われ不満を持っていた。
僕は、男の子なのに何で皆、可愛いって言うの………………。
だから、可愛いっと言われるの嫌ってたが七海のお陰なのか最近では別に怒らなくなったがそれでも言われるのは気分が悪くなるので不機嫌になる歩。
父さんは「悪かった、悪かったから機嫌直せ!」っと言ってくるがそんなので機嫌を直す程僕は優しくない。
「うーん。そうだな。えっと、七海ちゃんだっけ? 明日からで良いなら宜しくお願いします」
「はい。お任せ下さい!」
七海はやる気満々だが、歩はまだふてくされているみたいだ。
そして、父さんが母さんを呼び付け。
「あら~! 歩~! お帰り!」
姉と同じで抱き締めてくる母さんを引き離そうと手でぐいぐい退かそうとするが全然離れない母さん。
「で、貴女が歩の彼女ね」
歩に抱き付くの止めて七海を見る歩のお母さんは先程と変わって冷たい顔で七海を見る。
「あの、お義母さん。私は柊七海と言います。歩君とは一ヶ月少しのお付き合いをさせて貰ってます」
行儀良く挨拶をする七海。
七海は少しだけ緊張してる。歩のお母さんから向けられる視線がとても冷たくこのまま殺されそうな勢いな感覚に襲われている。
「駄目ね。ぜっっっっったい! 歩との交際は認めません!」
母さんから出た言葉は爆発発言過ぎて頭が一瞬真っ白になったが、直ぐにムカッと怒りの感情が湧いてきた。
「母さん。別に親からの許可は僕はいらないし、母さんがそう言うからって別れる気は無いよ」
強気にお母さんに反抗する歩は何処か男らしく見えるが見た目が可愛いので可愛いさが勝ってしまって男らしさを消してしまっていた。
「うぅぅ! お母さん悲しいわ! 歩がこんな反抗な態度を取るなんて! きっとこの子と付き合ったからそんな反抗な態度を取る様になったんだわ!」
ハンカチで涙を拭く仕草をする母さん。
そして、歩の怒りも爆発しようとしていた。
「別に反抗した覚えもない。してたとしてもそれを夏海のせいにするのは場違いだ。母さんに反抗してるな
らそれは僕の意志で夏海は何も悪くない!」
またしても男らしいが可愛いさが勝ってしまい全部が台無しになってしまってる歩。
「お父さんからも言ってあげて! こんな子と付き合うはよしなさいって!」
「あのなぁ、母さん? 歩が誰と付き合うかは俺達が決めるじゃない。まぁ、見た目や態度からして悪かったら考えるが、この子は良い子そうじゃないか! 礼儀正しいし。俺達が割り込んで良い事じゃない」
そんなカッコいいことを言う父さんに僕は改めて父を尊敬をした。
「ならまぁ! あなたも私に反抗するの!? きっとこの子と会ったからだわ! 貴女どうしてくれるの!」
「え。あ、いや、その」
いきなり自分のせいだと言われ七海は戸惑ってしまい言葉が出て来ない。
だが、もう歩の怒りも頂点に達してその怒りは爆発した。
「良い加減にしろ!! だから本当は嫌だったんだ。母さんは過保護でうざったいし、あの姉もそうだし、だけど、母さんなら分かってくれるかなって思ったからみぃーをここに連れて来たのに、何で分かってくれないんだよ! 僕は絶対にみぃーと別れる気は無いからな!」
そんな事を言う歩。そして間合いが悪い様に厨房のドアを開けて入ってきた歩の姉の楓はキョトンっとしていた。
他の二人や七海までキョトンっとしており、歩の親は初めて歩が大きな声で怒鳴り散らしたことにビックリして終始停止していて。
七海は歩が怒るを初めて見て場違いにカッコいいとか思ってうっとりしていた。
「ごめん。みぃー。行こ」
「うぇ? あ、うん」
歩に手を引っ張られ七海は厨房を出てそのまま出入口のドアも開けて何処かに行ってしまった。
そんな光景を見た歩のお母さんは力が抜けたのか地面に座り込んでしまい泣き出してしまった。
「うえーん! 歩が! 歩が!」
「おいおい。良い年して大泣きするな」
「あなたに何がわかるのよ! あんな子の肩を持つとか! どうせ可愛いからってえこひいきしたんでしょ! この人もあの子に取られるのね!?」
「いや、そんなことは無いが………。あのなぁ、歩だって成長するんだ。彼女を作るのは思春期の男なら当然だろ? 今回はお前が悪いからな」
お父さんからそう言われまたしても大きな声で泣き続けるお母さんだった。
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