八
「おい、静かにしろよ?」
ぞろぞろっと男子達は忍び足でとある場所に向かっていた。
向かってる場所には女子達が風呂に入るのに着替えている脱衣所がある。
目的はやはり、覗きだ。
風呂で裸が覗けないなら脱衣所で着替えてる所を覗こうっと変態染みた男子達の考えで一心不乱に脱衣所に向かっている。
そして、扉前に着いたら………………。
「あ、本当に来た」
そこには黒色の短パンに猫耳パーカーが付いた服を着てる歩が居た。
それに対して覗きを行おうっとしていた男子達はびっくりした顔で騒ぎだした。
「はあ? 何で居んの!?」
「嘘だろ………」
「マジかよ。どうする?」
「どうするって、えぇぇ、よりによって歩だもんな~」
全員ちらちらっと歩を見る。
歩は見た目が可愛いので男子達も手を出すのは引ける感じでどうするか迷っている。
歩は呑気に扉の前に座り「早くどっか行かないかな~」っと思いながらじと目で男子達を見ていた。
(というか、こんな間近で騒いだら気づかれるって思ってないのかな?)
そんなことも思いながら男子達を見ていると、一斉にこっちを向いてきた。
「うーん。さっきに言っとくよ? 止めて帰った方が身のためだよ」
「間宮。男には引けない時があるんだ。それがいまなんだ! 分かったなら退いてくれ。じゃなきゃお前を傷つけることになる。俺達は男のロマンである覗きをしたいんだ! だから、退いてくれ!」
「うん。かっこいい風に言ってるけど、覗きは犯罪だよ? それと、もう遅いよ」
そう、歩が言うと脱衣所の扉が開いてそこから怒りの形相を浮かべた女子達が現れた。
男子達は「え」っと一斉に声を漏らして直ぐに顔が恐怖に染まった顔になった。
「男子達? さっきの言葉は録音したからね? それで、言う言葉は?」
少し間が空いてから男子達は全員土下座の体勢をとって、
「「「ごめんなさい」」」
潔く男子達は謝り、女子達は軽蔑をする目でひそひそっと男子達を罵倒する話をしていた。
そして、覗きをしようっとした男子達は先生に突きだされこっぴどっくその日は怒られ、反省文を書くことになった。
☆
「あーくん、ありがとうね! ほんっと助かったよ!」
「まぁ、その、みぃーの裸を見せる訳にはいかないならね」
七海はぎゅぅぅっと歩を抱き締めて自分な顔を歩にこすりつけていた。
「と言うか、あいつら本当に覗いて来るとか、バカでしょ」
女子達はまだ男子達が覗きを行おうっとしたことに怒っていてそれを見た歩は黙って七海に抱かれておこうっとして抱き締めてくれる七海の腕をぎゅぅっと掴んだ。
「そういえば、今日はその服なんだね! あーくん可愛い!」
「う、うん」
昨日は体操着のままだったので今日の歩は前に買った猫耳パーカーのパジャマを着ていて少し照れ臭そうにしていた。
「ねぇねぇ! 七海~! 少しだけで良いから、私にも間宮君抱っこさせて!」
「嫌よ。あーくんは私のだもん」
「ちぇ~、少しぐらい良いじゃん!」
「嫌よ」
それからしつこく真矢は七海にせがんで七海は居れて少しぐらいなら良いと言う話になった。
「わーい! 間宮君の髪はさらさらしてるね~」
歩はさっそく真矢に抱っこされるように抱き締められ。
(うーん。僕の意見は無しなんだ。嫌じゃないけど、なんかな~)
彼女の目の前で他の女の子に抱き付かれる状況はなにかと不味い気がするが歩は柔らかい、七海より柔らかい感触がして少し照れ臭くなり大人しくその感触を楽しみながら抱き締められた。
それを嫉妬や怒りの形相で見てくる七海からの目線が凄く痛かった。
「で、あーくん私に言うことは?」
「ごめんなさい」
何故か僕が出来心で和泉の胸の感触を楽しんでいたことが七海に一瞬にしてバレて正座させられていた。
「あはは。間宮君も男の子なんだから許してあげなよ~」
「真矢。私より大きいからってあーくんを取らないで」
「え。いや、そんなつも………………………はい」
ギロッと冷たい目で七海に睨まれ真矢は大人しくはいっと答えておいた。
「あーくん、分かってるよね、何をするか」
「え? あ、いや、その、ごめん。分かんない」
「なら、来て」っと七海に歩は引っ張られ部屋を出ていった。
二人は暫く帰って来ず、二人が帰ってきた時は歩が七海に背負われながら何処か酷いことをされた様な顔をしていた。
「ね、ねぇ、何したの?」
「うーん。悪いあーくんにお仕置きしただけだよ。あーくん今日はもここで良いよね」
誰もそのお仕置きに付いては聞こうとはせず「うん」っと答えて七海は歩を自分の横に寝かせて布団を被ったらチュっ、チュっと歩にキスをする音が聞こえたが誰もそこには触れない様にした。
いや、触れたら危険だと思い皆は静かに布団に入って行った。
☆
「うっ、頭痛い………」
また目を覚ましたらまだ夜中で周りには女子達が寝ていた。
僕の横では幸せそうな顔でにやついた七海が居る。
あの後、七海に拷問ぽいものをやられ、段々意識が無くなって行ったのだけを覚えてる。
ずっと、七海が好き、みぃーが大好きと言わされ続けて最初な良かったけど、やってる内に言う言葉もキツくなって行き最後の報告はもう覚えてない。
「…………」
じ~~~~っとみぃーを見てもう二度と七海を怒らせないようにしようっと誓った。
そして、流石に二日連続でここで寝るのもいけない気がして布団を出ようとしたら………………。
「ん?………………」
みぃーが服を強く掴んでいて動こうと思っても動けなかった。
「………みぃー、起きてる?」
そう、聞くけど返事は無く………………。
(寝たふり………かな?)
こんなけ強く握ってるってことは起きてると思うけど何故寝たふりかますかは分からない。
「………起きてるならキスするよ?」
「あーくん。早く~!」
やはり、起きていた。
言ったからにはしないとまた機嫌が悪くなりそうだからキスを唇にして。
「ところで離してくれない?」
「何で?」
「いや、何でって………ここ女子部屋だよ? 僕は男だから帰らないと」
「そう言って違う女子部屋行くの?」
「いや、行かないよ」
歩は若干呆れ気味で答えて七海は心配なのかまだ歩の服を掴んでいた。
「………そんなに信じられない?」
みぃーは首を横に振るが服は離してはくれてない。
(うーん。和泉とのことがあったから中々信じては貰えないかな。まぁ、僕が悪いけどこのままってにもいかないからなぁ)
「はぁ。分かったよ。ここに居るから」
歩は七海に抱き付きながらまた布団に入り。
「ごめん。あーくん」
「良いよ。それより早く寝よ」
七海も歩を包み込むようにそっと抱き締めてから二人は眠りに入った。
☆
「では、皆さん今日で合宿は終わります」
最後に詰まらない先生達の話を聞いてから皆はバスに乗って帰宅して行った。
「ねぇ、みぃー。夏休みは旅行とか行かない?」
「そうだね~、二人………………まぁ、皆ででも良いけど、行きたいね」
「分かった。約束だね」
「うん」
二人はお互いに小指を出して指切りをしてからお互いの家に帰って行った。
溜め置きが切れてしまいました。これからは不定期になってしまいますがなるべく早く更新します。