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3.13章

お待たせしました。

3.13章を投稿させて頂きました。

お読みいただければ幸いです。

「見えるか、あれがゴブリンだ。」


 茂みに潜みながらギャッギャッと叫ぶ緑の小鬼の集団を窺う。

 その数は4。

 こちらより1人分多いが、()したる問題は無いだろう。


「基本的に弱点は人と変わらない。」


「ん。」


「俺が向こう側に石を投げて物音を立てる。視線を釣れたら一斉に飛びかかるぞ。」


 小声で軽く作戦を立てて、石を拾うと準備する。

 俺は大きく振りかぶり、拾った野球ボールサイズの石を投げる。


 そして放物線を描く石を見ながらこの作戦の致命的欠陥を思い出す。


 俺はノーコンであった。


 放物線を描いて石はゴブリンの頭にデッドボール。


「「「あっ」ですわ。」」


 3人の声が重なる。

 そして頭に石をぶつけられたゴブリンの一匹がばたりと倒れる。

 更に、俺たちの声に反応したゴブリンの視線が全て此方へ向く。


「行くぞおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 作戦なんて無かった。

 俺は正面切ってゴブリンの前に踊り出る。

 それに石ころにやられる程度のゴブリンなんぞに負けるわけが無い。


 先輩風を吹かせて、ゴブリン討伐の華麗な見本を見せようとしたもののこの体たらく。

 もはや論外としか言えない。


 そして、飛び出した所でやっと気づく。


 残り3匹のゴブリンが立ったまま、既に事切れていることに。


 いや、飛び出す前にはしっかりと生きていた筈だ。

 風に吹かれたゴブリンの死体がドサリと力無く倒れその首が転がる。

 死因は首と胴体を離されたからみたいだ、頭があったはずの場所から鮮血が勢いよく噴き出る。

 ゴブリンの死体の背後には、先程まで隣にいた青い少女が立っていた。


「これで良いの?」


「あっ、ああ。」


 これが白金冒険者の暗殺魔法か。

 全く気づかないうちにゴブリンの命を奪っていた魔法に慄く。


「気づいたらゴブリンが死んでいましたですわ。」


 茂みから飛び出す暇さえなかったクックが呟く。


「ん、これで最後。」


 そして、投石で気絶していたゴブリンの首をナイフで断ちトドメを刺す。

 ナイフで首を切断出来るとかどんだけだよ。

 しかし、彼女の実力ならゴブリン程度では練習にもならないことも分かった。


「うーん、これならもっと強い魔物でも良さそうだな。でも、ほかに依頼を受けてないしな。」


 面倒だが、一旦戻るかと考えていた時、クックが待ってましたといった風に口を開く。


「そんな事もあろうかと他の依頼も受けておきましたですわ。」


 クックにしては準備の良い事だ。

 いつものポンコツ振りが嘘みたいだな。


「一体何を依頼したんだ。」


 俺はその討伐対象を聞く。


「はい、魔鳥『アルゲンホーク』の討伐依頼ですわ。」


 アルゲンホークとは銀色の大翼を持つ(たか)の魔物だ。

 その体躯は小型のドラゴンと間違われるほど大きく、鋭い嘴と爪で獲物を襲う。

 時には上空へと強靭な足で獲物を連れ去り、空からフリーフォールさせるという知恵も持っている。


 アルゲンホークの討伐には銀色冒険者が推奨されており、このメンバーなら無難な相手だが、一つ問題がある。


「で、上空から襲ってくるアルゲンホークをどうやって地上まで下ろすんだ。」


「囮を用意するのですわ。」


 む、確かに有効な作戦だ。

 上から何度も急降下して襲い掛かるのがアルゲンホークの攻撃の仕方だ。

 だから、囮を用意して急降下し獲物を掴む瞬間を横から叩くなら効果的ではある。

 だが、1つ気になることがある。


「囮ってのはいつ用意したんだ。」


 クックもいつもの装備で、誰もそれらしき物を持っていないのだ。


「囮はオクト、貴方ですわ。」


「あまりにも無慈悲じゃないかっ⁈」


 クックの言葉に涙がちょちょぎれそうだ。


「オクトは魔法で盾を作れますですわ、それに仮に上空へと連れ去られたとしても着地が出来るオクトが適任だと思いますですわ。」


 確かにこのメンバーの中で空中戦でも戦えそうなのは俺だけだ。


 そもそも人選が悪いよね。

 料理魔法と暗殺魔法だぜ。

 分かってて依頼を受けたとしか考えられないな。


「で、何でアルゲンホークの討伐なんだ。」


「勿論、私の料理魔法のレパートリーを増やす為ですわ。魔鳥種下位の魔物であるアエスホークは調理したことがあるので、その上位種をと思いましたのですわ。」


 成る程、アエスホークは確か銅色の鷹型魔鳥だった気がする。

 サイズはアルゲンホークよりも小さいが、獰猛さは変わらないので厄介というより、面倒な魔物だ。


 それはともかく、今はパパラチアとパーティを組んでいるのだ。

 本人に確認しなければな。


「パパラチア、次の獲物はアルゲンホークで良いか?」


「ん。」


 構わないということだよな。

 何度も言うが検定はクックさん検定だけで充分だ。


 取り敢えず白金冒険者としての実力は確かなものだし、足を引っ張るなんて本人は言っていたが今日一番活躍してるのは今のところコイツだ。

 アルゲンホーク程度なら問題は無いと思う。


「じゃあ、行くか。」


「はいですわ、現れるようになったのは付近の村との事で、家畜を狙われて困っているそうなのですわ。」


「なら、急いだ方が良いな。畜産農家の人も狙われるかもしれないしな。」


 俺は獣型魔物避けの香水を一箇所に纏めたゴブリンの死体に振りかけると、ゴブリンの右耳をナイフで削ぎ落とす。


「それは何。」


「ああ、獣型魔物避けの香水を振りかけたんだ、まぁ、マナーみたいなものだ。それとゴブリンの右耳は討伐の証になるんだよ。」


「覚えた。」


 やっと先輩風を吹かす事に成功した俺は心の中でガッツポーズを取るのであった。


お読み頂きありがとうございました。

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