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2.14章

2.14章の投稿させて頂きました。

お読みいただければ幸いです。

「みんなおはよう。」


 最後の火の番をしていたシズトが目を覚まし始めた俺たち声を掛ける。


「ん、ああ、おはよ。」


「おはようございますっす。」


「おはようございますですわ。」


 昨日の再び暗くなった雰囲気を気にしていないかの様に気軽に挨拶をするシズト。

 その変わらないシズトのマイペースさに今は救われる。


「じゃあ、さっさと準備して行こっか。」


「そうだな。」


 俺は重い腰を上げ伸びをする。

 昨日の夜、今日のことを話し合い、全員一致で隣の村に向かうという意見であった。


「おい、さっさと起きないかい。」


 テッカイが巨人族の男を叩き起こす。


「あいったっ!なんだなんだっ⁇」


「なぁ、アンタ。もう歩けそうか。」


「あ?ああ、そういえば体はもうどこも痛まないな。」


「大丈夫そうで良かったですわ。」


「悪いんだけど、安全が確認出来るまでアンタは街に居てくれないか。」


 俺は巨人族の男にそうお願いをする。


「…任せても良いのか?」


 男は巨体に似合わず、不安げに聞いてくる。


「おうっ!任せろっ!」


 だから俺は笑って答える。

 昨日の夜、巨人族の男には歩いてもそれ程遠くは無いので、街に向かってもらうとも話し合っていたのだ。

 彼はきっともう戦えないだろう。心が折れてしまっている。

 そんな彼を無理やり戦場となるかもしれない場所に連れて行くわけにはいかない。


「すまない…。」


「違いますですわ、そういう時は謝るんじゃ無いんですわ。」


 クックが笑って男の間違いを教える。


「ありがとぅ…、みんなの事を頼んだっ。」


 震える声で俺たちに思いを伝える。


「おうっ!」

「はいですわ!」

「うん!」

「っす!」


 4人の声が重なる。

 其処には4人の冒険者の姿があった。


 男はしばらくするとしっかりとした足取りで街に向かって歩き出した。

 俺たちはその背を見送る。


「じゃあ行くか。テッカイさん案内を頼む。」


 俺は巨人族の隣村までの案内をテッカイさんに頼む。


「あいよ、任せな。」


 俺たちも隣村へ向けて出発をした。

 一番前をテッカイさん、その後ろをクック、カーメイと並び最後に俺とシズトが一番後ろを務める形で進んで行く。

 何でも、テッカイさんは硬化魔法持ちらしくて、其処らへんの安物の剣程度では1ミリも切られないと自負している。


「シズト、あの人が山って言ってたものは何だと思う。」


 俺は気になっていたことにほかの意見もほしくてシズトに質問する。


「僕は四天王と呼ばれるものだと思うな。村が壊されるのを黙って見ていたってことは反逆軍の仲間だろうし、王都の破壊って点なら魔王の目的とも一致するからね。」


 魔王の目的は不明だが、ある日突然王都に向かって、いや、人族に宣戦布告をしたらしい。

 俺たちが召喚される前の出来事らしいので詳しくは知らない。


「反逆軍の名前が知られ始めたのも、魔王の宣戦布告後っすから、やっぱり関係があると思うっす。」


 この世界の住人であり、物知りなカーメイは答える。


「反逆軍と四天王は関係がある…か。」


 そう結論づけた所で現状は何も変わらない。


「そういえば、反逆軍の奴らは今の王政に何の不満があるんだ。」


「流石にそこまでは分からないっす。でも、みんなバラバラだと思うっす。単純に人族が嫌いな人とか多種族を見下しているからとかそんな理由だってあると思うっす。」


「よくそれで纏まるな。」


「反逆軍の後盾が魔王だとなれば、力で無理やり従わせてるかもしれないね。」


「仕方なくやってる奴らもいる可能性があるのか。」


「どうにかして、無理やり従わされている方たちを助けられないのですわ。」


 俺たちの会話にクックも参加して来る。


「俺っちが思うに、単純にその集団の一番強い奴を倒せばいいと思うっす。一番強い奴が倒されたとなれば、集団の統率が取れなくなるっす。そうすれば勝手に散り散りになってくれるっす。」


「倒したところで代わりのリーダーが現れるだけなのではですわ。」


「力があるから下についてるだけなら別っす、力のある奴の下に着くから大きい顔してるだけで、そうゆう奴らは勝ち目が無いと分かれば直ぐに諦めるっす。」


「だとすれば俺たちのやることは変わらないな。」


「アンタたちもうすぐ着くよ。」


 テッカイの声に俺たちは緩んでいた気を引き締める。


「あそこに見えるのが隣の村なんだけど…。」


 物陰に隠れて伏せているテッカイが言い淀む。

 俺たちもテッカイに倣い、伏せて村の様子を覗う。


「見るからに雰囲気が悪いですわ。」


 クックが一言呟く。

 俺から見ても村の様子は異常の一言に尽きた。

 まず目に入るのは木材を組んで作られたバリケード。

 その物々しさが村の異常事態を教えてくれる。


 そして、村の至る所には松明が設置されており、今は点いていないものの、夜中の間灯されていたであろう痕跡を残している。


 門番は敵の監視よりも味方を視線で殺さんとばかりに互いを監視し合っており、そんな物騒な村の中を監視し徘徊するのは武装した巨人族。


 武装してない反逆軍以外の巨人族は家の中に閉じ込められているのか全く姿を見ない。


「どうやら此処が反逆軍の拠点で間違いなさそうだね。」


「師匠一番奥っ!一番奥のでっかい家を見るっす!」


 カーメイが何を焦っているのかシズトを急かす。


「なっ!」


 クックが絶句する。

 視線をやると一番異常な光景が目に入った。

 巨人が家の屋根をまるで椅子のように使い座っているのだ。

 何が異常なのかそれは巨人が巨人族の暮らす家の屋根に腰掛けているということだ。

 一階しかない平屋だが、だとしても巨人族の暮らす家だ。


 テッカイさんの身長は目測だが、3メートルと少しあるように見える。

 それを踏まえると一階部分だけで4メートルはあるはずだ。

 だとしたら立ち上がれば、15メートル以上の身長になると予測出来る。


「なっ、なんなんだアイツは…。」


 規格外のサイズにも程がある。

 巨人族に何度か指示をしている様子を見る限りアイツがこの軍のボスで相違ないだろう。


「あんなでっかい奴、一度も見たことないよ。」


 テッカイさんが呟く。

 この村の距離であれを知らないというのはあり得るのだろうか。


「あんな大きい巨人族、俺っちも聞いたことないっす。」


「でも、山って程じゃないよね。」


「シズト、お前以外と冷静だな。」


 シズトの場違いな発言に強張った空気が弛緩する。

 本当にマイペースだなコイツ。


「とにかく、あれをどうするのかが先決ですわ。」


 さっきまで言葉を失っていたクックは緩んだ雰囲気に気を取り戻して言う。


「あんなに大きいとどれくらい力が強いか分からないっす。」


「そうですわ、毒、あの時に使った毒を使えば簡単に倒せますですわ。」


 クックが思い出してキングゴブリンを倒した時の触手を使えば良いと言う。


「あれは取り回しが悪いんだ。無理に伸ばそうとしたことがあるが、全然スピードが出ない。接近させてるうちに誰かに気づかれる。それにアレが素直に罠に引っかかってくれるとも思えない。」


「そんな…。」


 俺の操るクラゲの触手は操るには少し難があり、スピードが出せないのだ。

 一番効果的なのは罠として仕掛けるなどであろうがあんな見え見えの罠にかかるのはそれこそゴブリンくらいであろう。


「あっ、じゃあいつもみたいに手から出して振り回せば良いのですわ。」


「いや、それは一番出来ない。」


「どうしてですわ。」


「実はあの毒、俺にも効くんだ。」


 明かされる衝撃の真実。


 そうなのだ、俺も最初の頃は弱い毒しか使えなかったから良かったものの、クックの考えと同じく、鞭のように振り回して使おうと考えたのだ。

 しかし、がっしり掴んだ瞬間、掌に激痛が走り、手を離すとしっかり毒針が刺さっていた。

 そのあと、3日ほど手の痺れに悩まされた。


「本っ当に使えないですわっ!」


「うるせぇ、この場で一番役立たずはクックだろうがっ!」


「2人とも静かにするっす。」


 カーメイがいがみ合う2人を諌める。

 しかしどうにも困った。

 また振り出しである。

お読み頂きありがとうございます。

今日は投稿1ヶ月になると言うことで、夕方ごろにもう1話投稿させて頂きます。


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