2.4章
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2.4章の投稿となります。
お読みいただければ幸いです。
「下着姿になった理由が全く分かりませんですわっ!」
「まぁ、そうだよな。俺もお前の語尾が全く意味わからないが、特別に教えてやろう。」
「今私の語尾を弄る必要がどこにあったのですわっ!」
シズトの魔法は知らない人には確かに分からなかったであろう。
「クック、シズトの魔法は『全裸魔法』だ。」
俺がそう言った瞬間、宇宙が止まったような顔をするクック。
「オクト、貴方は何を言ってるのですわ。」
一瞬意識が宇宙へと意識が飛びかけたクックが心配そうに俺を見て聞いてくる。
「だから、シズトの魔法は全裸魔法なんだよ。」
「そんな魔法、聞いたことありませんですわっ!」
だろうな。
俺の発言にクックが猛反論してくる。
「シズトの魔法は俺と一緒だ。俺の魔法も俺に会うまでは見たことなかっただろ。勇者だけが持つ固有の魔法なんだ。」
「オクトも下着姿になれば強くなるのですわ?」
「ならねぇよ!言い方が少し悪かったな。えーとつまりだな…。」
クックの余りにもポンコツな発言に、ペースを乱されどう説明したらと言葉に詰まる。
「勇者には召喚された時に、それぞれ固有の魔法が与えられるんだよ。」
言葉に詰まっていると俺の説明を継ぐように服を着ながら答えるシズト。
「僕ならこの全裸魔法、オクト君なら触手魔法ってね。本当はヌード魔法ってつけたかったんだけど、勇者のみんなから、ヌードは男のロマンだからダメだって猛反対されたからこの名前を使ってるんだ。」
分かりやすく説明したシズトは、ついでにまだ全裸魔法というネーミングを気に入ってないとさりげなく抗議を入れてくる。
なので、俺は察しない。
ヌードは男のロマン。そうだろ?
「成る程、道理でオクトと同じ魔法を今までほかに見たことも聞いたこともなかったはずですわ。良かったですわ。オクトと同じ触手魔法なんて、不憫でなりませんものですわ。」
「おい、どういう意味だポンコツ。」
「…。」
俺の発言は綺麗にスルーされた。
料理魔法のほかにスルー魔法でも持ってるのではないかコイツ。
「では、全裸魔法とはどんな魔法なのですわ。」
「簡単だよ、脱げば脱ぐほど強くなるんだ。」
クックの思考が宇宙へと飛んでいった。
きっと今頃、宇宙で勇者というものについて自己問答している頃だろう。
俺も最初は信じられなかったから気持ちは分からないでもない。
「あっ、でもさっき使った風魔法は別だよ。あの魔法は僕が後から手に入れた魔法の一つなんだ。他にも僕は4つくらい魔法が使えるよ。」
「凄いですわ、王都の城に招かれる王宮魔法使いでも、魔法を4つ持ってれば天才と言われるのにですわ。」
宇宙へ飛んでいったクックの思考はシズトの才能マン発言に呼び戻された。
「まぁ、僕だからね。」
このナルシスト、ただのナルシストではなく天才ナルシストなのだ。
文武両道から家庭的なことまで得意だと本人は語ったことがある。
しかも、自分より完璧な人間はいないと自分で語りやがる本当に手に負えないナルシストなのだ。
俺がシズトに軽く呆れを感じていると、クックが何か閃いたかの様に口を開く。
「あ、じゃあ、カーメイさんも同じ様な魔法を持つから服を脱いでいるのですわ。」
「いや違うっす。師匠が脱ぐなら俺も脱ぐっす。」
クック以上のポンコツとの出会いに俺もクックと一緒に思考が宇宙へと飛び立っていった。
「じゃあ、冒険者も追い払った事だし、食事の続きでもしようか。」
マイペースに食事に戻ろうとするシズトと、それに遅れないように続くカーメイ。
そんな2人を暫く眺めてから再起動した俺たち2人はシズト達の後を慌てて追いはじめた。
そして、完全にシズトたち2人のせいで記憶から忘却の彼方へと消えたダマーだけが広間に残ったのであった。
お読みいただきありがとうございました。




