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1.18章

1.18章続けて投稿させて頂きました。

「ちょっと、動かさないでくださいですわ。まだ少し怖いのですわ。」


 ソレを前に彼女は体を小刻みに震わせている。


「まだ動かしてねぇよ。早く覚悟を決めろポンコツ。」


 彼女の初めての体験だというのに、俺は情緒もへったくれもなく彼女を急かす。

 俺は内心何と言って良いのか分からない単純に興奮していると言えば良いのか、高揚感に襲われていてとでも言えばいいのか、兎に角すぐにでもソレを味わいたかった。


「少し開くぞ。」


「まま、待ってくださいですわ。まだ心の準備が出来てないのですわ。」


 しかし、それを待つ事なくソレを微妙に開かせる。


「きゃっ!待ってくださいと言ったのにですわ…。」


 俺のせっかちな態度に、彼女は可愛い声を上げて抗議する。


「もう、充分待っただろ。」


 俺は飢えた獣のように彼女を何度も何度も急かす。


「ちょっと目が怖いですわ。」


 俺の本気の目を見て彼女は少したじろぐ。

 俺もそろそろ待つのに限界が来ていた。

 今か、今かと待ち構えている俺の触手はビンビンだ。


「もうダメだ、待ってられねぇ。いくぞ!」


 何度も心の準備がと目線を逸らし拒む彼女の意思を無視して、俺の触手を開いた隙間から無理やりねじ込みぐぱっっとソレを強引に開けるとソレが開いていく感覚が伝わる。


「くぅぅぅぅぅ…………っさいですわ!」


 彼女が叫ぶと同時に、俺の腹もグゥ〜と情けなく叫ぶ。

 そして、触手でこじ開けたドラゴンの口からは悪臭が放たれる。


「本当に入らなきゃダメなのですわ?」


「ああ、さっさと行って、二階級特進してこい。」


「私は死んでしまうのですわ⁉︎」


 俺が頼んだのはドラゴンの舌だ。

 牛タンという食材を知っているだろうか、まぁ、文字通り牛の舌なのだが、生で刺身のように食べることもあるらしい。

 俺はそれを試して見たかったのだ。

 しかし、彼女は何度も渋る。なんでも注文を受け付けるという言うから頼んだのだ、さっさと口の中に入って舌を切り取ってくるというだけであるのにだ。


「なんでもって言ったのは嘘だったのか。貴族の名が泣いてるぞポンコツ。」


 ここで勝気な性格な彼女を煽ってみる。


「嘘ではありませんですわ。くっ、わかりましたですわ。やってやりますですわ。」


 ちょろい。


「ちょろい。」


「何か失礼なこと「言ってないから行け。」」


 彼女の扱いをだんだん心得てきた俺は声を被せてさっさと特攻させる。


「絶対に支えを外したり揺らしたりしないでくださいですわ。」


「わかったよ。」


 これはフリだな。任せろ。

 彼女が舌の中程まで進んだところで、ドラゴンの口を支えてる触手の力を緩め始める。


「なななななっなっですわっ!」


 焦った彼女はドラゴンの口からヘッドスライディングで飛び出す。

 ドラゴンのよだれでベトベトになった彼女は、こちらに肩を怒らせ向かってくる。


「なんで閉じるのですわっ!」


「ああ、完璧だったろ。」


 俺はドヤ顔で返す。

 本当はハイタッチでもしたいところだが、足が無いのが物凄く悔やまれる。

 彼女が俺の気持ちを察してくれたのか、近寄ってきてくれたので万歳をして、ハイタッチのポースを取る。


「ぐふぅっ⁉︎」


 華麗に無視され、俺の脇腹に容赦なく彼女のつま先がうまる。


「次同じことをしたら、貴方の舌を引っこ抜きますですわ。」


 アンタはどこぞの閻魔様だ。

 突っ込む余裕もなく脇腹を抑えて俺は蹲る。


「わかった、わかった、だからジャンプして、二撃目の準備に入るな。」


 俺はさっきよりも大きく触手でドラゴンの口を開ける。

 蹲ったままの俺を冷たい目で一瞥すると彼女はもう一度ドラゴンの口内へと向かっていった。

 流石に時間はかかったもののドラゴンの舌を切り抜くとことの出来た彼女は、舌が重くて運べないので俺に舌を引っこ抜いて欲しいと言う。

 やっぱり閻魔様の才能があるのでは。

 俺は素直にその指示に従い、ドラゴンの口から舌を引きずり出す。

 するとピンクの滑りを放つ舌が夕日に照らされる。


「食べる部分だけ切り取って洗ってきますですわ。」


「わかった。」


 ここはドラゴンのなわ…やめておこう。またフラグが立つ気がする。

 フラグ発生を寸前のところで回避した俺を尻目に、彼女は川の方角へと消えていった。

 あ、なんか、童話みたいだな、お婆さんは川に舌を洗いに。

 ダメだ、このお婆さんは多分雀の舌とかちょん切っちゃうタイプのお婆さんだ。

 そんな下らない事を考えながら彼女の帰りを待つのであった。

今回は流石に短かったので連投させて頂きました。

お読み頂きありがとうございました。

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