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水無月学園生徒会は、どんな世界でも最強なのです!  作者: 葉月 都
第一章 水無月学園生徒会は、チュートリアルに向かいます
7/68

7,一難去ってまた瀕死?!



「オー、ノー………………」

『んもうっ!契約主(仮)がちゃんとしてくれないと、私も動けないんだから!』

「そ、そんなこと言われてもッ……………」



ヒマリの目の前には、巨大すぎる岩石が幾つか積み重なってできた、世間一般で言うところの「ゴーレム」が、その小さな目を赤く血走らせてこちらをにらみつけてくる。


(絶体絶命って、このことを言うんじゃない?)


ヒマリは、半泣き顔で目の前に表示されてるコマンドボードを改めて見る。


(どうすればいいのぉ?)


どんよりとした空気をまとう向日葵は、しょんぼりとしおれかけてしまっていた。


もちろん、こんな状況になっているのはヒマリのせいだ。

フィラメントは、ぷくぅと頬を膨らませてヒマリを睨んでいる。


Wの威圧攻撃に、ヒマリの(心の)HPは底をつきかけていた。



どうしてこんな状況になっているのかを、フィラメントに簡単に説明してもらおう。



『ヒマリがどうしてこんなんになっちゃったのかって?

なんか知らないけどさぁ、テロップ表示後すぐにボスフィールドに転送されてきたんだけど、その転送場所をマスターがしくじったか、プログラムが誤作動したかで、ブロックゴーレム(エリアボス)のゼロ距離に転送されちゃって。

ま、ゴーレムも眠ってたから戦闘モードにすぐ入らなかったけど、ヒマリは、びっくりしすぎて大きな声出しちゃってさ。それがゴーレム起こす目覚ましになっちゃって。

で、いまだその恐怖を引きずっちゃっててさ。

これでOK?アンダースタンド?』




…………………話を戻そう。

かくして、興奮状態のゴーレムを目の前に固まるヒマリ。

すると、そんなヒマリに追い打ちをかけるように、フィラメントが言った。



『ヒマリー、早くしないとゴーレムの方から襲ってきちゃうよー』

「こんな状況で呑気な声出さないでぇ!」



半分悲鳴まじりのヒマリの声。

だが、なぜかそれで冷静になったのか、ヒマリは深呼吸。

それを二、三回ほど繰り返したのち、にっこりといつもの笑顔で言った。



「OK!んじゃ、やろぅ!」

『了解っ!!』



妖精の同意の声を耳でしっかりと聞いたのち、ヒマリは少し脳内会議を開く。


(転送される前にフィラメントから教えてもらった情報は、

・ゴーレムは水に弱い

・近接攻撃が強い

・HPが少なくなるにつれ、攻撃力(ATK)が上昇

だよね。

私の属性は水と風、フィラメントは土と草だから…………………

フィラメントに土と草でゴーレムの足を固めてもらって、そこで私の水の遠距離攻撃をかけよう。

うん!大体の構成はこんな感じだね!)


コクンと頷くと、ヒマリは早速フィンカーを移動させる。

現在は、フィラメントがパーティに加わっているため、重要四属性(火・水・風・光)に加え、土と草もフィンカーがある。


ヒマリはまず、土フィンカーを三つ縦並びに。連続して、草のフィンカーを二つ横並びに並べる。

すると、先ほどのように合計五つのフィンカーが、ボード上から消える。



「フィラメント!まずは、ゴーレムの足元を固めて!」

『OK!アースマジック!』



フィラメントが合わせた小さな白い両手から、チョコレート色の球体がゴーレムの足元を狙ってとばされる。

見事的中したボールは、ゴーレムの足元の土を盛り上がらせ、膝辺りまでを覆う。



『ググ、ガガガ………………………』

「やっぱり、最初のダンジョンだし、それぐらいの拘束でどうにかなるよね。」



ヒマリはそうつぶやきつつ、フィンカーをスススーと動かす。



「それじゃあ行くよ!ウォーターボール!」



ヒュンヒュンヒュン、とヒマリの両横から飛び出していった水の球体は、くるくると回りながらゴーレムにあたる。

しかも、急所に偶然当たったらしく、ゴーレムの悲鳴(?)が大きくなる。



「これで撃破でしょ!!」



その叫び声を聞いて、安堵するヒマリ。


だが、






それは間違いだった。






にっこりと笑い、気を抜いた瞬間、少し離れた場所にいたフィラメントの声が、ヒマリの耳に響き渡った。



『ヒマリ!危ない!!!』

「!?」



ヒマリが驚いて前を見た刹那。





ほぼ





ゼロ距離に





エリアボス、





ブロックゴーレムの姿が





あった。





「っ?!?!」

(わ、忘れてた!ブロックゴーレム(こいつ)の特殊スキル!)



ヒマリの脳内に、フィラメントの言葉がよみがえる。





ーーーーーーーー



『いーい?ヒマリ。

ブロックゴーレムは、いくら急所を突かれても、特殊攻撃されても、【我慢】っていう、本来は死ぬはずだけど、HP1で生き残る特殊スキルを持ってるの。

しかも、【我慢】状態のブロックゴーレムは、ATKが三倍される【復讐】状態になるから、絶対に気を抜いちゃぁ駄目だからね!!!!!』



ーーーーーーーーー



何度も何度も念押しされるように繰り返された言葉、

それを、ヒマリは完璧に忘れてしまっていた。




だが、その思いは消えていた。




(こ、んなところで!

っていうか、チュートリアルで!)






「死んでたまるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」









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