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水無月学園生徒会は、どんな世界でも最強なのです!  作者: 葉月 都
第五章 水無月学園生徒会は、アリーナをも征服します
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65,アリーナ編Ⅷ ー紅血の協奏曲ー




そう決めた10秒後、私は否応にも戦うことになった。




「ああ、せや。実はな、この鎌固有スキルの【紅血の協奏曲アーティクル・コンチェルト】はな、こんなこともできるんやで。」

「………え?」




ふいに、ウィルとララの攻撃をよけつつ、ハミちゃんはくるりとこちらを向いた。

にかっ、と笑うハミちゃんに呆気に取られていると、突然ウィルとララの動きが止まった。




『っう……すみませ』

「ウィ、ウィル?!」




苦し気にこちらを振り向いたウィルが、突然気を失ったように動かなくなる。

澄んだ青色の長い髪や同じ色のドレス。その全てが突然色を失ったのだ。


ま、まさか、ララも……?!


そう思った時にはもう後の祭りだった。




「ララまで………」

「んふふ、ごめんなー。やけど、私が戦いたいのはあくまで天使姫ちゃんさかい。」




いつも明るい笑顔を浮かべるララの姿はなくて、ただ色を失ったララ()()()()()が、ウィルと並んで浮いている。


私は、きっ、とハミちゃんをにらみつける。




「なにしたの……ウィルとララに、何したのっ?!」

「そういや結局説明できてへんかったっけ。じゃあ説明するわ。」




ゆっくりと近づいてくるハミちゃんから離れるように、私はじりじりと後ずさる。

まるで蛇に狙われているネズミの気分。

だけど、ハミちゃんは楽しそうに笑っている。




「この鎌はな、【紅血の協奏曲アーティクル・コンチェルト】っていう固有スキルがあってな。んで、それは、敵味方すべてのバフ・デバフ効果を打ち消す能力なんよ。まあ任意で発動できるんやけどね。」

「………だからって、ウィルとララが消えた理由には…」

「それがな、できるんよ。」




ハミちゃんの口角が三日月に吊り上がる。




「だって、契約精霊はある意味そのパーティに対する【バフ効果】やろ?」




ぽちゃんと右足が川に入る。


そんなの、こじつけすぎるよ………

力を失った二人を見るのがつらくて、私はそっと目をそらした。




「ほんまごめんって!でも、どうしても天使姫ちゃんと一対一で戦いたかったんよ!」




あわあわと笑顔を取り繕うハミちゃんは、もう敵。完全なる敵になった。

もう知らない。戦ってやる。さっさと終わらせて、ウィルとララを取り戻す!


私は、ひゅんっと魔法移動でハミちゃんの背後三メートル後ろにとぶ。



突然の移動に驚いたハミちゃんが体勢を崩す。

その隙を狙って、私は魔法を放つ。




「うわわっ!」




精霊魔法・リティルドール。

ハミちゃんは全部よけてしまったけど、まだ終わるわけない。


私は次々にリティルドールを放って、逃げる隙がないくらいに火炎球を敷き詰める。それはまさにウィルの弾幕みたいに。




「な、なんか急に殺気でてきたなぁ……」

「ウィルとララを取り返す……!」




ところどころで水魔法も織り交ぜて。

少しずつハミちゃんのHPも減ってきていて、私は発動のスピードを速める。


だけど。




「あ、れ……?」




突然体が宙に浮く。見る見るうちにHPが減って、私は慌ててヒールを使う。

だけど、体が熱くて、熱くて、仕方がない。




「あは!あんまりむちゃくちゃ魔法うってもMPの方が持たないよー」




慌ててステータスを見ればバーの横に赤い雫のアイコン。状態異常・出血のしるしだ。

やばいやばいやばい!このままじゃ死んじゃう!


私は少しずつヒールをかけてなんとかHPを保つけど、中々回復しない。




「こ、効果長すぎない……!?」

「そりゃあ煉獄魔法の状態異常やからねー」




ハミちゃんはその間にも攻撃を繰り出してきて、すっかり防戦一方になる。




「いろんな効果も合わさって、たぶん5分くらい続くんやないかな?………出血で天使姫ちゃんが死ぬのが先か、私が狩るのが先か………どっちが先やろかね?」




その端正な顔からは考えられないほどニヒルな笑みを浮かべてハミちゃんがそう言う。

………確かに全然消える気配がしない。これは使うしかないよね。


ハミちゃんのHPは半分を切っている。だけど私の方はもう二割のデッドゾーンだ。



私は唯一持ち込みが許されているアイテム二つのうちの一つを取り出して、一気に飲み干した。

見る見るうちにHPが全回復する。




「……回復ポーション?でもHP回復したところで出血が………」




そこまで言って、ハミちゃんは真っ赤な目を大きく見開いた。

きっと、状態異常アイコンが消えたのが解ったんだろうな。



だって、私がさっき飲んだのは、私が精霊薬術で作ったスーパーポーションなんだから。





「……どうゆうことや?全回復・状態異常回復やて……?そんなポーションみたことないで……」

「あはは……まあ色々あってさ。」




アリーナ前に、私は全員分のスーパーポーションを作り上げていた。

精霊薬術はやっぱり最強で、見事に一発で全状態異常回復がついた。



だから、今日皆の二つのアイテムのうち一つは、私の万能最強ポーションになっている。




「…………くふ、くふふっ……あはははははは!!」




すると、突然ハミちゃんが大声で笑いだす。

なにか面白いこと言ったかな……と思ったら、涙を流しながらハミちゃんは言った。





「はー…天使姫ちゃんは規格外ってきいとったけど、まさかここまでとは思わんかったわ!あー楽しー!」





えええええ…………

なんだろ、物凄い複雑な気分………


しかもなんで規格外とかそんな不名誉なことが広まってるわけ?……誰よ広めたの。




「ぜんっぜんあきへんわ。絶対フレ交換しよな!」

「そ、それは分かったから!やる、やるって!」




さっきからしつこくフレ交換をせがんでくるハミちゃんに、さすがに呆れてくる。

それにしても、し、しつこい………




「んじゃ、こっちも回復してもええよな?」




そう言って、ハミちゃんもポーションを取り出す。

けど八割くらいまでしか回復してない。いやそれくらいのハンデは欲しい。こちとらまだまだ初心者だからね。うん。


んー、とのびをして気分を一新したハミちゃんは、普通ににっこりと笑って言った。




「改めて、はじめよか!天使姫ちゃん!」

「そ、そうだね……!」




は、ハミちゃんはどうやら戦闘狂なのだろうか…………

鎌を構えたハミちゃんを見つめながら、私も杖を構えなおした。



待っててね、ウィル、ララ!



ヒマリ特製ポーション

超回復薬エクストラ・ポーション

評価:SSS

効果:HP全回復、全状態異常回復

備考:とある精霊姫が作成した回復薬。あらゆる病を治してしまう。世界樹の加護がかけられている。

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