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水無月学園生徒会は、どんな世界でも最強なのです!  作者: 葉月 都
第四章 水無月学園生徒会は、平凡なる毎日を所望しています
49/68

49,最強の奇跡



HPバーを七割ほど削ると、シュリンガルがフィールドの中央へと舞い戻った。

そして、あの輝く角を高々と天にかかげる。


すると、角の間に太陽のような光が集まって大きな球体を作り始めた。




「ちょ、ちょっと!あれはやばいんじゃないの?!」

『【サンシャインフォール】です!広範囲なので逃げれません!』




ウィルの説明の間にもその球体は大きさを増し、私達はどうすることもできないまま【サンシャインフォール】とやらを食らってしまった。


あ、あちちちち!


灼熱の光が私達を覆い、気が付くとHPが残り三割ほどになっていた。

や、やばっ!


慌てて私は指示を出す。




「ウィル!治癒お願い!」

『了解いたしました!【フラワーガーデン】!』




ウィルも危険な状態なんだろうけれど、私達に治癒魔法をかけてくれた。

花の良い香りが辺りを舞い、気が付くとHPが六割ほどにまで回復していた。




「サンキュー!ウィル!」

『はい!』

『ヒマリ様!危ない!』




少し遠くにいるウィルにサムズアップする。

すると、ララの金切り声が聞こえてきた!


その声で私は後ろを振り返る。

シュリンガルが角を向けて私に襲い掛かっていた!





ヒュン





手応えがなくうろたえるシュリンガル。

私はさっきまでいたところの真反対に来ていた。



そう。

支援スキル【魔法移動】。

行きたい場所と風コマンド1つで発動できる、いわゆる瞬間移動!思わぬところで試運転できたね。


連続では三回まで使えて、連続を使った後のクールタイムは二分間。使わなければ30秒だから、まあまあ使い勝手はいいかな。




「GURAAA!」




ティスイの口から火炎放射が放たれる。

シュリンガルは水・草だから効果はまちまち。




「ティスイっ!出来るだけ風魔法でOK?!」

「GRUUU!」




スピリットを召喚して攻撃スピードを上げる。


うう、ここまで光魔法のレベル上げをしていないとは思っていなかった(´;ω;`)

スキルレベルLv3の中範囲光魔法【ライティアー】を発動させて私は心の中で半泣き状態になった。



シュリンガルのHPバーがどんどん減っていく。

よぉし、これで決めてやるっ!


MPが足りることを確認した私は、コマンドを動かして発動直前まで移動させる。




「ティスイ!飛行ライド!!」

「GRU!」




上空を旋回していたティスイが、ひらりとジャンプした私を華麗にさらっていく。

地上ではウィルとララがシュリンガルの気を引いてくれている。まあ、もちろんあいつもこっちに気が付いてるけど、ウィル&ララ+スピリット達の弾幕や攻撃でどうしようもできないんだろうなぁ。



後頭部が見えるほど高い上空まで行くと、私は最後のコマンドを動かした。

精霊の杖がホログラムとなって消え、代わりに光でできた輝く弓が出現する。


キリキリ……と弦を引っ張って、私は光の矢を放った。




長距離支援攻撃系精霊魔法【ホーリーアーチャー】




彼のつややかな体毛に刺さったその矢ははらりと消え、そのまま体内を閃光として走り回る。


ちょっとMPが足りないな。

私はアイテムボックスからMPが回復できる食料を取り出してはむっ、と口に含む。

うーん、やっぱりシノのご飯の方がおいしいな。



そんな感想を思い浮かべながら、私は再びコマンドボードを操作する。

まあ、こっちはDM量高いし、属性不利もなんとかなるでしょう!



長距離広範囲攻撃系精霊魔法【エレメントフェニックス】



火の鳥が、今度はガラスのような鹿を襲う。

爆炎がシュリンガルを包み込み、大きく爆発した。



数秒後、高原は跡形もなく焼き尽くされていた。

私は地上へと降り立った。ティスイは疲れたようで縮小化する。



……………おかしい。

ボス討伐のメッセージがない。



私は視界を魔力感知に切り替えて辺りを警戒する。



おかげで気が付くことができた。

地面がゆらり、とダークパープルに深く振動して、私達の仮想体を揺らせた。





「………ッ!」

『ひ、ヒマリ様っ!!』




もちろん、他の三人は空中だから直接には振動を感じてはいないだろうけど、私が思わず座り込んでしまったのを見て揺れの深さを感じたんだろう。




「っ、全員警戒!」



『はい!』『了解!』「GRU!」




いまだ揺れは続いていて、立っているのもままならない。

いざという時のために【魔法移動】は取っておきたいし、魔力感知状態にいればなんとか大丈夫だよ………ね…………



でも、そんな楽観思考はあっという間に吹き飛ばされた。




『ひ、ヒマリ様!危ないっ!!!』




ララの叫び声で私ははっ、とした。

そして、そのまま発動状態だった魔力感知を、立ったはずみで気を抜いてしまい解除してしまう。


う、うそ!?


私は、()()()()()()()()()()()()()、思わぬ攻撃に唖然としていた。



視界の下の方に、真っ赤な目をしたガラスのような鹿…シュリンガルが、角を振り上げた状態で佇んでいた。



そっか。

もしかしたら、魔力の一切を消していたから魔力感知で感知できなかったのかも。


減っていくHP。

バーは緑色の安全域から、あっという間にオレンジ色の注意地点までやってきて、赤色の警戒域に到達する。

つまり、もはや残りHPは二割以下ということ。




それだけのことを、私は地面に叩きつけられるまでに考えていた。



あー、やばい。

これ、初のGAME OVERになるかも…………






刹那。


激しいほどの突風が吹き荒れた。

そして、私は重力に乗せられたまま地面に叩きつけられた。



だけど、HPは減らなかった。



よく見ると、ログが流れていた。





【エルフの国南フィールドBOSS シュリンガル討伐おめでとうございます!

討伐により、エルフの国のダンジョンが解放されました!】




……………え。


呆然としていると、突然ひしっ、と誰かがしがみついてきた。

それはウィルとララだった。




『びま"り"さまぁ!!!!』

『す、すぐに治療しますねっ!!』




あはは………


ウィルの発動させた治癒魔法の淡い光がほんわりと私を包み込む。

あっという間に真っ赤だったHPバーが満タンになる。


でも、やっぱり私は、なぜGAME OVERにならなかったのが不思議でいた。




「ありがとう、ウィル。………ねぇ、なんで私ガメオベラにならなかったの?」

『それは、ティスイのおかげです!』




…………ティスイ?

すると、その言葉に反応したかのように、パタパタ、と羽を羽ばたかせてティスイが私の元へやってきた。


よしよしと撫でてあげると、嬉しそうに小さく鳴いた。





『ヒマリ様が【報復】状態のシュリンガルに衝突された瞬間、ティスイの体からものすんごい風が出てきてさ。それで、そのままティスイがシュリンガルに突っ込んでいって、あっという間にHP削って倒しちゃったんだよ!!』

『GAME OVERの条件はもちろんHPがゼロになることですが、ボス戦終了後は自動でセーフティタイムになるんです。せっかく勝ったのにモンスターに襲われてはいけませんからね。

つまり、ヒマリ様のHPが削りきるのより、ティスイがボスを倒したのが早かったためヒマリ様はGAME OVERにならなかったのです。』





ふむふむ。

ってことは、ティスイがボスを倒してくれたからコンマの差(かどうか分かんないけど)で私はセーフティタイムに入れた。だから、HPが減らなかったんだ。


じゃあ、ティスイにお礼を言わなきゃ!


私は、私のお腹の辺りで丸くなっていた小さなティスイを持ち上げると、笑顔で言った。




「ティスイ!助けてくれてありがとう!」

「KRU!!」




私には、ティスイが小さく笑ったように見えた。



ーーーーー



エリアに戻ってくると、私は大きく伸びをした。




「ふあ~、疲れたぁ~!」

「………お疲れ様、ヒマリ。」

「…………へ?!」




すると、出てきた城門の方から私の名前を呼ぶ聞き覚えのある声がした。

私は驚いて振り返った。


そこには、私達を優しげに見つめる深紫色の狼半人ウルフニュートプレイヤーがいた。




「な、ナイト先輩!?」





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